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ダークエルフの女の子が、聖職者と仲良くしたらダメですか?  作者: 渋谷 恩弥斎
第1章 少年牧師と、ダークエルフの少女
40/114

04/10. 強襲(後編)

「下がって、アミカちゃん――早くっ」


 突如として現れた男を見据えながら、俺は叫んだ。


「ふっ……どうやらお前は、ただ目を閉じて祈りを捧げるだけの牧師ではないようだな。しかし、雑魚に用はない」


 この男は――この魔族は『チノセパリック』。

 強靱きょうじんな肉体と、野犬の頭部を持つ存在。


 そして、


「手合わせしてもらうぞ、聖剣士」


 あの狂獣人――ケルギジェと同族の凶悪な魔族だ。


「我らチノセパリックを狩るのは得意だろう、聖剣士よ」


 チノセパリックの男は、子供たちを背に構える姉さんに向かって、挑発気味に呼びかけていた。


「な、何なのよ、あなたたち!? いくら何でも、あまりに――うわっ!?」


 一連の出来事に反応を見せたフィンネが、驚きの声を上げる。

 再び、教会堂の壁が破壊されたからだ。



「ダメじゃない、抜け駆けなんてしちゃ」



 次に現れたのは女性。


 紫色の長い髪、細身の長身。

 切れ長の目は、どことなく官能的だ。

 大人の色気――とでもいうのだろうか。

 気だるく身につけたゆるい布地が、独特の雰囲気を強調している。


 とても、建物の壁をどうこうできるようには見えないけれど……。


「私も最近、人間の肉の感触を、味わってないんだから」

「……聖剣士以外は、好きに殺ればいい」

「どうせなら、私も一番おいしいところをいただきたいわ」


 どうやら、あの二人は仲間のようだ。

 しかも、ずいぶんと不穏な間柄らしい。


「ならば、早い者勝ちだな」

「そうね、わかった――はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」


 答えた謎の女性が叫ぶと、見る見るうちに、その姿が変化していき、


「……ふぅ、やっぱり血がたぎるわね、ふふっ」


 巨体の男と同じく、頭部が野犬のそれになった。


 くっ。

 チノセパリックが、二体。


「リリウ、フィンネ――アミカちゃんと子供たちを頼むっ!!」

「え、あ、ちょっと、な――」

「任せて」


 フィンネは戸惑っていたが、リリウはすぐに返事をしてくれた。


「……カッタくん、ちょっと手伝ってもらえる?」

「もちろん、初めからそのつもりだよ」


 ゆっくりと進んできた姉さんに、俺は答えた。


「雑魚に用はないと言っただろう――んらぁっ!!」

「〈土魔力による具現化ダーノクリスタライズ――ソード〉」


 鈍い音が耳を打ち、重い衝撃が俺の腕を走った。


「……雑魚かどうか、確認してみるか、犬頭?」

土の魔力ダーノ』で剣を創り出した俺は、チノセパリックのこんぼう攻撃を、瞬時に受け止めていた。


「こ、小僧っ……」


 交差する土の魔力ダーノの剣とこんぼう越しににらみ合う俺たち。


 こいつらは、リリウやフィンネとはもちろん、村にさまよい出てくるようなタキシムとも違う。


 争いと血を自ら求める、明らかに危険な魔族だ。


「あら、話がまとまったみたいね?」


 女性のチノセパリックは、どこか楽しそうだ。


「だったらあなたが、私の相手をしてくれるってことよね、聖剣士さん?」

「……私としては、気が進みませんけどね」


「あらら。じゃあ、相手をしてくれないと、そこの人間やダークエルフ、みーんな殺しちゃう――って言ったら?」

「迷うことなく全力で、あなたを潰します」

「うふっ、いい目♪」


 互いに視線で火花を散らすこうちゃく状態の中、


「……我が声に応えよ、イープノス」


 姉さんは静かに、聖剣をその手につかんだ。


「覚悟はできているんだろうな、小僧?」

「そっちこそ、村の教会堂を壊した代価は高くつくぜ、犬頭」


 次の瞬間、俺たちの戦いが始まった。

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