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ダークエルフの女の子が、聖職者と仲良くしたらダメですか?  作者: 渋谷 恩弥斎
第1章 少年牧師と、ダークエルフの少女
37/114

04/07. また一人、ダークエルフの女の子が仲間に加わった?

 結局お昼抜きになってしまった俺は、夕飯の料理中。

 今日のメニューは、香辛料が決め手の山菜スープだ。


「手伝おうか、カッタくん?」

「いいよ、ゆっくり座ってて」


 背中に声をかけてきたマルセラ姉さんに、俺は答えた。

 ありがたいけど、こういうことには不器用だからな、姉さん。


「昔はいっしょに、おかしとか作ったりしたよね」

「い、いっしょにっていうか、姉さんの後始末を、俺がしてたような気が……」


 まぁ、懐かしい感じは、ちょっとあるかな。


 施設では大人の人が食事を用意してくれてたけど、おやつとかは、教育も兼ねて手作りしたりもしてたから。


「カッタくんの料理、お姉ちゃんは大好きだよ」


 うれしそうなマルセラ姉さん。


 ある意味、姉さんが料理オンチだから、俺の家事スキルが上がったっていう面もあるんだけど……喜んでもらえるなら、それはそれでいいか。


「お腹空いたわよ、カッタ。早くしなさいよ」

「待ってろって。俺だって、お昼抜きで腹ぺこなんだからさ」


 急かしてきたフィンネに、俺が答えると、


「……どうしてあんたが、普通にここにいるのよ、もう」


 不満そうに、リリウが嘆いていた。


 そう。

 何やかんやでフィンネは今、俺の家のテーブルに向かって、まるで招かれたゲストみたいに、のんびりとくつろいでいるんだ。


「文句でもあるのかしら、リリウ? 私はちゃんと、この家の主であるカッタに頼まれたから、仕方なく来てやったんだからね」


 頼んでなんかいないけど、具体的な行き場所がない女の子を、外に放置するのは胸が痛む。

 心配の必要はないだろうが、下手に動かれて、村の人に迷惑をかけられても困るし。


 そんなこんなで本人も望んでいるようだから、フィンネはしばらくウチで過ごすことになったんだ。


「リリウもほとんど、この家の居候みたいなものなんでしょ? だったら、私を咎めるなんてできないはずじゃない」

「くっ……フィンネのくせに、また調子に乗っちゃって」

「まぁまぁ、いいじゃない。フィンネちゃんも、もう悪いことはしないって約束しているんだし、部屋だって、余分があるんだから」


 ケンカが始まりそうなリリウとフィンネをなだめるみたいに、姉さんが間に入る。


「私もカッタくんも、大人数での生活には馴染みがあるから、全然平気よ――ねぇ、カッタくん?」

「う、うん……」


 面倒なことにさえならなければ、もちろん俺は構わない。

 面倒なことに、ならないのならば。


「大丈夫よ、リリウ。あなたのじゃまにはならないわ――私、カッタのベッドでいっしょに寝るんだから」


 ……ほら、始まったよ。


 フィンネの妙ちくりんな宣言に、


「ば、バカなこと言わないでよっ!!」


 リリウだけじゃなくて、


「そうよ、フィンネちゃん。だったら私が、カッタくんと同じベッドに入るんだから」


 マルセラ姉さんまで噛みついた。


「私の当面の目的は、カッタを誘惑することなんだから、そんなの当たり前でしょ?」


 そんな知識も度胸もないくせに、相変わらずフィンネは、その手の女の子としての態度を崩しはしない。


「どうやらカッタってば、ダークエルフの女の子に、かなりのえっちぃ興味があるみたいじゃない?」


 ああ、変な設定が、勝手に流布されていく。


「私にメロメロになるのも、もはや時間の問題ね、ふっふっふ」

「か、カッタは確かにダークエルフっ娘が好きみたいだけど、大好きみたいだけど」


 何でそんなに強調するんだよ、リリウ。


「カッタはあくまで、胸の大きな女の子専門だからっ。胸の大きなダークエルフっ娘を油でぬるぬるにしたいって考えている、そういうスケベ男子だからねっ!!」


 もはやすごいな、その誤解!?


「ちょっと違うよ、リリウちゃん。カッタくんが胸の大きな女の子が好きなのはその通りだけど、カッタくんの好きなシチュエーションは、血のつながらないお姉さんのふくよかな胸をふにふにしながら、愛を持って体と体でつながっちゃう系のやつなんだよ」


 ちょっとじゃなくて、すごく違うよ、マルセラ姉さん!?


 俺のことなんか差し置いて、俺のことを話している三人。


 にぎやかなのは結構だけどさ、俺にも一応立場ってものがあるんだから、外ではぜったい、ぜーったいにやめてくれよな、そういうの。


 やかましいやり取りを背中で感じながら、俺は心を静めるべく、ひたすらスープをかき混ぜていた。

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