04/06. 続・わちゃわちゃな教会堂(3)
「……まぁ、私は別に、この村になんて興味ないから、それは安心しなさいよ」
あえてなのか、緊張感を壊すような声で、フィンネが言う。
「村の人間に危害は加えないって、ここで約束してあげるわ。私がほしいのは、あなたと――えいっ」
そこでフィンネは、正座をさせられている俺のひざに乗って、首回りに腕を絡めてきた。
「カッタなんだから♪」
「ちょ、ちょっとフィンネ……」
「とりあえず、今日は『ちゅー』くらいから始めてみる? もっとすごいことは、私の仲間になってくれた、その後ってことで――んちゅーぅ♪」
かわいく口を尖らせながら、目を閉じたフィンネ。
まぁ、ドキドキしてないって言えば嘘になるけど、さすがに俺も冷静だ。
取り乱したりはしない。
だってフィンネが、そういう女の子じゃないってこと、ちゃんとわかったから。
「…………ん、んーんっ」
キスしろ――と求めているんだろうけど、彼女からは、もう距離を詰めてはこない。
だから大丈夫。
それに、したらしたで、大騒ぎされちゃうだろうしな。
「い、いいよ、フィンネ……無理、しなくてもさ」
リリウの視線が痛いってのはもちろんあるけど、こういうのはやっぱり、本当に好きな相手とするものだと思うから。
俺としては優しさのつもりだったんだけど、どうやらこの場面においては、少し逆効果だったみたいで、
「む、むむ、無理なんかしてないわよ!? 私とちゅーしたら、あなたなんか、もう私なしじゃ生きていけないくらいになっちゃうしっ!!」
「い、いや、もう俺の前で、そういう強がりは――」
「わ、わかったわ、してやるわよっ。わ、私の初めてのちゅー、今からあなたに捧げてやるわよ!!」
何だか投げやりな感じで、フィンネがぐぐっと近づいてきた。
「お、落ち着けよ、フィンネ!? まさか本気で――おいおいおい!?」
ロマンチックな雰囲気はもちろん、エッチな要素すら完全にないけど、彼女の目だけは、とにかく本気だ。
「じ、じっとしてなさいよ。終わるから、すぐに終わるから……ちょ、ちょっと、くちびるをちゅっちゅするだけだから」
「そ、そんな、何かの作業みたいに言われても!?」
もはや、目的がおかしくなっているフィンネ。
一方、シチュエーション的にはおいしいはずなのに、なぜかまったくありがたみを感じられていない俺。
そこに飛び込んでくるのは、
「調子に乗るなぁーっ!!」
どうも力加減がおかしいリリウだ。
「へぶしっ!?」
キスを阻止するためなのか、リリウの手が俺に当たって、何だか殴られたみたいに。
まったく、勘弁してくれ。
当然のように俺は、またまた床に倒れてしまった。
するとそこで、扉を開けて入ってきたのはアミカちゃん。
「は、反省しましたか、牧師さま? もし、心に誠実さを取り戻されたのなら、私の作った昼食をいっしょに――んんっ!?」
「あ、アミカちゃん……う、うん、反省したよ。だから、もう許して」
そうじゃないと、俺はリリウにケガをさせられちゃうっての。
「……は、はは、ハレンチです!! 牧師さまは、ハレンチですっ!!」
顔を赤くしたアミカちゃんの言葉で、俺は自分の状況を知る。
「んんっ……もう」
「い、痛ったぁーい……」
リリウを左に、フィンネを右に――俺は二人の女の子をそれぞれ片手で抱きながら、まるでハーレムよろしく横たわっていたんだ。
「ち、違うんだよ、アミカちゃん!? これには、ちゃんと理由が――」
バタンと閉められた扉が、しばらく開くことはなかった。




