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ダークエルフの女の子が、聖職者と仲良くしたらダメですか?  作者: 渋谷 恩弥斎
第1章 少年牧師と、ダークエルフの少女
33/114

04/03. わちゃわちゃな教会堂(3)

「か、カッタは、す、スケベなんだから、本気にしちゃうよ、そんなこと言ったらさっ」

「いいわよ、別に。私はあなたと違って、もう大人の女なんだから」


 おしりに痛みを感じている俺の目の前で、何やら言い合うダークエルフの女の子二人。


「あ、あんたがよくても、あ、あたしは……だ、ダメなの」

「何でよ。別にカッタは、リリウの彼氏とかじゃないんでしょ?」

「そ、そうだけど……か、カッタは、胸の大きな女の子が大好きだから、あんたなんかに興味ないのっ」

「なっ!? い、言ってくれるわね、リリウ……いいわよ。じゃあ、私がカッタに、女の子の本当の魅力を教えてあげるわ――えいっ」


 そこでフィンネは、まだしりもちをついたままの俺に覆い被さるようにして、細い脚を開いて乗っかってきたんだ。


「お、おい、フィン――」

「教会堂の中で、人間の牧師がダークエルフと――うふっ♪ 考えただけでドキドキしちゃうでしょ、カッタ?」


 押されたらすぐにキスされちゃうような距離感だから、俺は思わず、フィンネの口元に意識を集中させてしまう。


「緊張しなくても大丈夫。すぐ……すぐに私が、カッタのことを気持ちよくしてあげるから。だからね、私と――」

「いい加減にしなさいよ、フィンネ!!」


 止める――というより、もう突進。


 いきなり飛び込んできたリリウのせいで、


「うわっ!?」


 俺はフィンネといっしょに、またしても床を転がってしまった。


「い、痛って……あ、あのなぁ、リリウ。お前、間に入るにしても、もっとやり方が――う、うわっ!?」


 再び声を上げてしまった俺。

 今度は別に、リリウに突き飛ばされたからじゃない。


 タックルもどきで体勢が変化したのか、いつの間にか、俺が倒れたフィンネに乗っかってしまっていて、


「あぅ……んっ」


 そしてなぜか俺の右手が、フィンネの小さな胸の上にあったからだ。


 薄着のフィンネだから、いくら控えめなふくらみでも、その感触と温もりは、もう完璧に俺の手に伝わってきちゃっていて。


「ご、ごご、ごめん、フィンネ!?」


 だからもう、俺はひどくテンパっていた。


「お、俺、全然そういうつもりないから。す、すぐに、すぐにどくから、いやらしくてぬるぬるなこととか、そういう――」


 話の流れ的に、俺がフィンネの誘惑を受け入れちゃったんだと思われたくなくて、とにかく必死だった。

 もしも『こういうことしたかったんだぁ♪』とか『強引なのが好きなんだね、ふふっ♪』とか言われたら、どう弁解したらいいのかわからなくなるから。


 けれど、フィンネの態度が俺の予想と違っていて、だから俺は、それ以上何も言えなくなってしまったんだ。


「い、痛く……しないで、よね」


 顔を赤くして、瞳を潤ませて、顔を少し背けながら、ささやくように訴えてきたフィンネに、不覚にも俺は、本当にドキっとしてしまって。


「〈火の魔力フレイツ〉」


 とはいえそれは、すぐにリリウの呪文によって、別のドキドキに上書きされてしまった。


「ちょ、ちょっと待てよ、リリウ!? 言いたいことはわかるけど、この状況はある意味、お前が原因みたいなものだろっ!?」

「…………」


 魔力の炎を右手に、無言のリリウが俺を見下ろしていた。


「あっ、牧師のお兄ちゃんが、さっきのやばいお姉ちゃんのおっぱい触ってる」

「下のダークエルフのお姉ちゃん、顔が真っ赤っかだぁ」

「ウチのお父さんの持ってるスケベな本に、こういう場面も載ってたぜ」


 さすがに騒ぎに気づいた子供たちが、何やかんや言い出している。


「牧師さまっ、子供たちの前で、な、なな、何をやっているんですかっ!?」


 当然、アミカちゃんは怒るよね、そりゃ。


「カッタくん、ごめんね。やっぱり昨日、お姉ちゃんがしっかりご奉仕してあげなかったから、いろいろ我慢できなくなっちゃったんだね……今夜は、お姉ちゃんに、そういうことしてくれていいから」


 マルセラ姉さん。

 ものすごく勘違いしている上に、みんなの誤解を招くようなことを言わないでくれ。


 そんな中でも、やっぱり男の性なのか、俺はどうやら、無意識のうちにフィンネの胸をもんでしまっていたみたいで。


「あぅ、あっ……んんっ」


 すると、さっきまでの挑発的な勢いはどこに行ったのかってくらい、何とも女の子らしい吐息混じりの声が、フィンネの口から漏れた。


 これは――これは、まずい。


 リリウに視線を向けると、マジで教会堂が火事になっちゃうくらいの火柱が、彼女の手から立ち上っていた。

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