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ダークエルフの女の子が、聖職者と仲良くしたらダメですか?  作者: 渋谷 恩弥斎
第1章 少年牧師と、ダークエルフの少女
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04/02. わちゃわちゃな教会堂(2)

 教会堂の隅に座る、あのダークエルフ――フィンネに、俺は視線を向けた。


「(くぅーっ……まさか聖剣士まで出てくるだなんて、思ってもみなかったし。こんな教会堂に連れてこられるとは、魔族として不覚だわ)」


 俺やリリウ、さらには姉さんの実力を受けて、とりあえずはおとなしくしているけど、何やら不満げに、ぶつぶつ独り言をつぶやいている。


 いきなり呪文を唱えてくるような相手だから、一応注意は必要だけど、やっぱりリリウと知り合いみたいだし、確認しないわけにはいかなかった。


「……友だちとかじゃ、本当にないわよ、あんな娘」

「だったら、ちゃんと説明してくれよ」

「う、うーん……あたしからは、すごく説明しにくい相手なんだよね。何だか、一方的に興味を持たれちゃったって感じで――ねぇ、ちょっとあんた」


 少し困ったようなリリウが、問題のフィンネに声をかけた。


「……何よ、さっきは知らない振りをしてきたくせに」


 リリウの態度を咎めているのか、フィンネはつんけんして返してきた。


「あんた、あれからずっと変わってないわけ?」

「当たり前よ」


 リリウが尋ねると、フィンネがこっちに近づいてくる。


「私はダークエルフ。魔族の中でも、特に優れた存在。いつか私は勢力を集めて、この国を支配してやるわ」


 フィンネは拳を握り、猛々しく宣言していた。


「……要するにね、カッタ。どうやらフィンネは、自分が女王として扱われるような、そういう国を作りたいらしいの」


 あきれたように、リリウが教えてくれる。


「人間か魔族かは関係なく、あの娘の野望の役に立ちそうな相手には、手当たり次第に声をかけているみたいで……それで、あんたと出会うことになるちょっと前にスカウトまがいのことをされちゃったのが、このあたしってわけ」

「へぇーっ、そんなことがあったんだ」


 うなずきながら、俺は何となく理解する。


「もちろん断ったんだけど、同じダークエルフで、しかも歳もいっしょだったから、妙に気に入られちゃって……何とか逃げられたと思ってたら、まさかこんなところまで追ってこられるなんて」

「はぁ? 別に、あなたを追いかけてきたわけじゃないわよ。旅の途中で、たまたまダークエルフがこの村にいるらしいって耳にしたから、もしリリウだったらまた誘ってあげようかなって――ただそれだけよ」


 いやいや。

 それがつまり、リリウを追ってきたってことなんじゃないの?


 どうやら俺とも同じ歳らしいフィンネは、ちょっと執念深い女の子らしい。


 あらためて近くで見てみると、これがダークエルフの流行なのか、フィンネもリリウに負けないくらいの軽装。腕も脚もお腹も、光沢のある褐色の肌がまぶしい。


 けれど大きく違うのは、やっぱり胸の大きさだ。

 ものすごく控えめで、すごくすっきりとしている……いや、これが一般的なのかな?

 何だか、リリウや姉さんを見ているから、俺の感覚がマヒしている――そんな気がしないでもないけど。


「だいたいリリウ、どうして牧師なんかとつるんでいるのよ? 初めて会った時のあなたは、もっと刺々しかったじゃない」

「い、いいじゃん、別に。フィンネには関係ないでしょ」


「何、もしかして、あなたの彼氏?」

「は、はぁ!? 違うしっ、全然違うしっ!!」

「怪しいわね、そんなに顔を赤くしちゃってさ」


 妙な勘ぐりをしているフィンネが、今度は俺に尋ねてくる。


「あなた、名前は?」

「カッタだ」

「カッタ――あなた、なかなか強いじゃない。私に忠誠を誓うなら、私の勢力に入れてあげてもいいわよ」

「……いやいや、フィンネ。君はある意味、この国を乱そうとしているんだろ? 俺は、それを望まないよ」


 聖職者としての立場とかは関係なく、さすがに、国家転覆もどきには付き合えない。


 同じ歳ということもわかったから、俺は、リリウに対するのと同じ態度で答えた。


「つまらない男ね、いい子ぶっちゃってさ……じゃあ」


 するとフィンネは突然、俺の腕をつかんで体を寄せてきた。


 だから、その……胸が当たって。


「ちょ、ちょっ――」

「私の仲間になるなら、あなたの望むえっちぃことをしてあげてもいいんだけどなぁ」


 控えめなふくらみ――とは思ったものの、そこはやっぱり女の子。

 実際に押しつけられてみると、男子としては戸惑ってしまうような、独特のやわらかい感触が。


「ダークエルフの女の子って、すっごいんだよ、カッタ」


 フィンネは俺の耳元で、くすぐったくなるような息をかけてくる。


「何でもしたいこと、私にお願いしてくれていいんだよ」

「へ、変なこと言わないでくれよ。し、したいことなんて、俺には……」


「いやらしくてぬるぬるなことでも、いいんだよ、カッタ」

「……い、いやらしくて、ぬ、ぬるぬるな、こと?」


「そう……ねぇ、想像してみて、カッタ。私があなたの体を――」

「ふぃ、フィンネっ!!」


 大声を上げたリリウに無理やり引っ張られた俺は、


「んごっ!?」


 倒されるようにして、強引に弾き飛ばされた。


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