03/09. 誤解は解けた?
「ぼ、牧師さまのお姉さま――ですか!?」
「うん。よろしくね、アミカちゃん」
驚いているアミカちゃんに、マルセラ姉さんが答えた。
「お、お話には聞いてましたけど……」
「私も、アミカちゃんのことは、昨日カッタくんに教えてもらったよ。いろいろ、教会堂の仕事を手伝ってくれてるんだってね。ありがとね、アミカちゃん。ウチのカッタくんがお世話になってます」
「い、いえ、お、お世話だなんて……」
俺と姉さんの関係を理解してくれたアミカちゃんは、うれしそうにはにかんでいた。
俺たち家族と、訪ねてきてくれたみんなで、今は朝の食卓を囲んでいる。
パンとサラダとミルクっていう、すごくシンプルなメニューで。
いきなり慌ただしい展開になっちゃったけど、どうにか落ち着いてよかったよ。
よかった……んだけどさ。
「り、リリウ……そんな目で、俺をにらまないでくれよ」
今朝は俺の正面に座っている彼女の視線からは、もう『じぃーっ』という音さえ聞こえてきそうだ。
「……カッタのスケベ」
「だ、だから説明しただろ!? 俺はただ、姉さんの背中の傷跡に薬を塗った――それだけなんだって」
起きたての姉さんが、いきなり妙な言い回しをしたから、リリウは俺を疑っているんだ。
「あんたの姉ちゃん、さっき『今朝も体がうずく』って」
「ふ、古傷に違和感があるってことだよ」
「『カッタくんのやつでぬるぬるにして』って」
「お、俺の持っている軟膏をつけてくれって、そういうことだよ」
「……は、裸の姉の背中に、ぬるぬるしたものを塗りつけるなんて」
「い、言い方に悪意があるぞ、リリウ!?」
黒こげにされるのは避けられたけど、はたして彼女は、ちゃんと俺のことを信じてくれているんだろうか。
「だ、だいたい、今日はずいぶんと朝が早いじゃないか。お昼近くまで寝てるのが、ダークエルフの普通なんだろ、お前いわく」
ウチに泊まるときはいっしょに朝食をとるから、文句を言いながらも起きてくることが多いけど、そうじゃないときは、昼食の時間くらいに顔を出すことがほとんどだったのに。
「(も、もしかしたら万が一の間違いが――ってことを考えたら、居ても立ってもいられなくて……)」
「何だよ、はっきり言えって」
「う、うるさいなっ。め、目が覚めたから来てやっただけだよ――はむっ」
不機嫌そうに、リリウはパンをかじっていた。




