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ダークエルフの女の子が、聖職者と仲良くしたらダメですか?  作者: 渋谷 恩弥斎
第1章 少年牧師と、ダークエルフの少女
21/114

03/03. 予想外の訪問者(後編)

「ふ、ふーん……そ、そっか」


 うつむきながら、リリウが俺に言う。


「そ、そういうの……わ、悪くないと思うよ、あたし的には」

「……ダークエルフにお墨付きをもらえたなら、そりゃ光栄だよ」

「す、スケベだけどね!? カッタはすごく、すごーくスケベだけどねっ!!」

「おいおい、照れてるのかよ、リリウ? ははーん、そうか。さては俺のこと、かっこいいとか思っちゃったんだな」


 正直なところ、少しこそばゆいのは俺の方だった。

 自分自身の話を、こんなふうに自然に話してしまったことが、何だか。


 だから、明るくふざけた空気に変えたかったんだ。


「ち、違うしっ!? ぜ、全然、ぜーんぜん違うしっ。あ、あたしはあんたみたいなやつ、かか、かっこいいとか思わないしっ!!」


 けれどリリウは、予想外なまでに慌てちゃって。

 テーブルを叩いて立ち上がったと思ったら、ぐぐっと向かい側の俺に詰め寄ってきた。


「お、おい、そんなことするとシチューがっ!?」

「あ、あたしは――あわっ!?」

「ちょ、ちょっと――うわっ!?」


 バランスを崩したリリウが、俺に覆い被さるように前のめり。

 抵抗できず、押し倒されるみたいにして、俺は椅子から転げ落ちた。


 食器の、がしゃがしゃした音。


 体に残る鈍い痛み。


「……ったく、勘弁してくれよ、リリウ」


 寝そべりながら見えたのは、床にこぼれたクリームシチュー。

 俺の上に乗っているリリウの顔や腕にも、少しかかってしまっていた。


「ご、ごめん、カッタ……」

「い、いや、そんなにしおらしく謝られても……シチュー大丈夫か、やけどしてない?」

「へ、平気。そんなに熱くなってなかったから」

「じゃあほら、よりあえずどいてくれよ。床を拭かないとだし、お前の分も、また新しくよそって――」

「か、カッタ」


 上から俺を見つめたまま、リリウが呼びかけてくる。

 もはや、その吐息だけでくすぐったくなってしまうくらいに近い距離から、俺の名前を。


「あ、あんたがあたしに優しくしてくれるのは、聖職者として? そ、それとも――」



「どういうことのなの、カッタくん?」



 聞き覚えのある声が、けれどあまりに想定外な声が、俺の家に響く。


「半裸みたいな格好の女の子に、とろみのある白濁の液体をかけて、二人きりで抱き合いながらくんずほぐれつ……いったいどういうことか、ちゃんと、ちゃーんと説明してもらえるかな、カッタくん」


 金色の長い髪に、白く透き通った肌。

 やや目尻の下がった、穏やかで優しく整った顔立ち。


 体を覆う旅人用のローブを羽織ってはいるけど、それでも、女性らしい大きなふくらみを隠し切れていない。


 いつの間にか扉が開いていて、


「ねぇ、説明して――私が、しっかり、心の底から納得できるように」


 いつの間にか、彼女はそこにいた。


「ね、ねね、姉さんっ!?」


 久しぶりに再会した大切な家族は、その動揺を隠すみたいに、必死な笑顔を浮かべていた。


「う、うふふふふっ」

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