表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダークエルフの女の子が、聖職者と仲良くしたらダメですか?  作者: 渋谷 恩弥斎
第1章 少年牧師と、ダークエルフの少女
17/114

02/05. やはり、二秒では終わらない

「ふぅ……」


 満足そうに、リリウが息を吐く。


 意外なことに彼女は、なかなか掃除の手際がよかったんだ。

 床にはもう、目立つようなちりやほこりが見当たらない。


「やってみると、結構気持ちいいもんだね、こういうのって」


 自分の仕事を確認するみたいに、きれいになった教会堂を、リリウがながめていた。


 自然と、素直な感想が口をつく。


「いや、何かさ……俺はお前を見くびってたよ、リリウ」


 ダークエルフかどうかってことじゃなくて、リリウ個人の性格的に、人間が普通に生活する上での必要な家事みたいなものは、どうせいい加減にしかできないのだろうと思っていた。


 けれど彼女は、すごくていねいに――何なら普段の俺以上に、完璧に掃き掃除をこなしてくれたんだ。


「だから言ったじゃん、二秒で終わるって」

「……まぁ、二秒では終わってないけどな」


 もちろん、本当に二秒で終わるなんて期待してなかったからいいんだけど。


「見直した?」

「見直した、本当に」

「そ、そう……わかればいいんだよ、うん」


 恥ずかしそうにしながらも、胸を張るリリウ。


 それから、俺の様子をうかがうようにして、


「こ、これくらいなら、手伝ってやってもいいよ……あんたが、そうしてほしいならさ」


 彼女は、自ら申し出てくれた。


「おおっ、いいじゃん、それ。それならお前も、ウチで食事をするのに気後れしたりしないだろ? 教会堂の役に立つ仕事をしてるわけだからさ」

「べ、別にあたしは、き、気後れとかしてないし。あんたが、一人で食事をするのが哀れだから、し、仕方なく付き合ってやってるだけだし」

「そうかよ、そりゃどうも」


 とりあえず、俺がリリウに恐れをなして食事を提供しているっていう設定は、完全に消えたらしい。

 今後は、魔法で脅される心配はなさそうだ。


「い、いけませんよっ!!」


 そこに入ってきたのは、同じく掃除を手伝ってくれていたアミカちゃん。


「い、いや、まぁ、いけなくはないんですけど、その……や、やっぱりいろいろといけないですっ」

「えーっと……アミカちゃんだって、リリウが村に馴染めればいいかなって、思ってくれたんじゃないの? もちろんこれからも、アミカちゃんにはウチの手伝いをしてもらいたいけど、人手が多くて困ることはないからさ」


 アミカちゃんは、リリウが魔族であること自体について強く反応したりしてないし、リリウ個人が邪悪な存在じゃないことも理解してくれたはず――なんだけどな。


「そ、そうですけど……うぅぅぅっ、はぁ、もう」


 なぜかアミカちゃんは、がっくり肩を落としていた。


 すると、教会堂の扉が勢いよく開く。

 何となく既視感のある光景だけど、入ってきたのは二人の村の男の子たちだ。


「牧師のお兄ちゃんっ」

「臭い魔族、あっちに出てきたよっ」


 うわっ、またかよ。

 じゃあ、さっさと対応しないとな。


「よし、教えてくれてありがとう。今から、すぐにやっつけて来るからな」


 子供たちに答えて、俺が飛び出そうとすると、


「待って――あたしも行くよ」


 リリウが、俺を呼び止めた。


「……あ、あんただけじゃ、頼りないからね」

「わかった。なら協力してくれよ、リリウ」


 俺が伝えると、彼女は小さくうなずいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ