第二十二話:解き明かされたナゾと、重なる影
テスト最終日。
最後の教科の合図が鳴り響き、校内には一斉に開放的な空気が満ちていった。
重い束縛から解き放たれた生徒たちが大声を上げて喜ぶ中、僕は速やかに荷物をまとめ、隠れ家へと向かう。
ギィ、と重い鉄扉を開けると、そこにはすでに瑠愛が待っていた。
西日の射し込む資料室で、彼女は窓枠に腰をかけ、僕の足音を待っていたらしい。
「おかえり、湊。……テスト、どうだった?」
瑠愛が薄く微笑みながら、僕の顔を覗き込んでくる。
僕はカバンを机に置き、深く息を吐き出した。
「瑠愛の手紙のおかげで、なんとか全力を出し切れたよ。数学の難問も、二人で復習した解き方で解けた」
「ふふ、本当? ……よかった。湊が頑張った成果だね」
安堵したように胸を撫で下ろす瑠愛の姿が、夕暮れの光芒に照らされてどこか幻想的に映る。
彼女はトコトコと歩み寄ると、ごく自然な動作で僕の制服をぎゅっと掴んできた。
「あのね、湊」
「ん?」
「……テストが終わったってことは、もうすぐ冬休みが来ちゃうでしょう?」
少しだけ上目遣いになり、瑠愛が不安を削った瞳で僕を見つめる。
放課後という口実が使えなくなる長期間の休み。
「学校に来られない間、湊に会えないのは……私、すごく寂しい」
凛とした普段の姿からは想像もつかない、僕だけにしか見せない素顔。
僕は掴まれた彼女の手に自分の手を重ね、ゆっくりと力を込めた。
「大丈夫だよ、瑠愛。約束したろ? 休み中も絶対に時間を作って、二人だけで会うって」
「……うん。湊がそう言ってくれるなら、私、信じる」
言葉とともに、瑠愛がそっと僕の肩に頭を預けてくる。
髪から漂う甘い香りが鼻腔をくすぐり、胸の鼓動が二人分、重なって響いた。
三つ子の気配もない、静寂に包まれた秘密基地。
僕たちの新しい季節が、すぐそこまで近づいていた。
3章と区切りがついて慣れ始めたので
ルビを多めにしてみました。




