第二十話:解けた緊張と、これからの秘密
「……明日からの期末テスト、頑張ろうね」
瑠愛が上目遣いに僕の目を見つめる。
夕暮れの光が差し込む旧・第一資料室。僕たちの膝と膝が軽く触れ合い、握りしめた手からは心地よい温もりが伝わっていた。
「うん。でも、テストが終わったら……また、湊の手料理作ってね。今度は……もっと甘いおかず、入れてほしいな」
「了解。瑠愛の好物、たくさん調べて作ってくるよ」
「楽しみ。……ねえ、テストが終われば、冬休みも近くなるね」
瑠愛は僕の手をぎゅっと強く握り直し、窓の外に広がる冬の茜空を見つめた。
「冬休み……学校が休みになったら、この部屋で会えなくなっちゃうかなって……ちょっと不安だったの。でも……」
「大丈夫だよ」
僕が言葉を重ねると、瑠愛はゆっくりとこちらを振り返った。
「……本当? 学校が休みになっても、私と会ってくれる?」
「当たり前だろ。妹たちに怪しまれない口実を作ってでも、絶対に時間作る。瑠愛を一人にさせないよ」
「っ……湊……」
瑠愛の瞳が揺れ、マフラーに顔をうずめるようにして照れくさそうに笑った。
かつては他人に心を開かず、誰も寄せ付けなかった「学年一の美少女」。
だけど今の彼女は、僕の前でだけこんなにも素直で、愛おしい顔を見せてくれる。
「約束だからね。……もし破ったら、罰ゲームでまたお弁当あーんしてもらうから」
「それ、僕へのご褒美にしかなってない気がするんだけど……」
「〜〜〜っ! もう、バカ!」
赤くなった瑠愛が僕の肩をポカポカと叩き、二人で声を殺して笑い合う。
三つ子の愛陸、愛空、愛海たちの鋭い追跡をかわし、手作りの二段弁当を分け合い、ロッカーの中で息を潜めた日々。
「涼風さん」と「黒木くん」だった僕たちの境界線は、もうすっかり溶けてなくなっていた。
けれど、これはまだ始まりに過ぎない。
これから訪れる期末テスト、そして二人が初めて迎える冬休み。
二人の秘密の放課後は、ここからさらに甘く、深く、加速していくんだ——。
2章終わったぁ、
こっからきまっつ




