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風呂場でも、シリウスはなぜかいつもより変だった。
いつもなら、
「リルド、髪洗ってやるよ」
と言ってくるのに、今日は——
「リルド……その……髪、洗うか?」
「う、うん……洗う……洗ってくれる?」
「うお!?……お、おう、いいぞ」
そうして、髪の毛を洗ってもらう。
「今日は……シリウスに身体も洗ってほしいな」
ガツン!と、シリウスが壁に頭を打ち付けた。
「ちょっと!!大丈夫!?」
「だ、大丈夫だ……問題ない」
額を押さえながら、シリウスはそう言った。
全然大丈夫そうじゃないけど。
「身体は……背中だけな」
「ん、いいよ。お願い」
背中を向けると、しばらく沈黙が続いた。
(……洗ってくれないの?)
振り返ろうとした瞬間、ようやくスポンジが背中に触れた。
ごしごし。
いつもより、なんだかぎこちない。
「シリウス、今日ほんとに変だよ?」
「う、うるさい……黙って洗われてろ」
(なんで怒られるの!?)
そのあとは無言のまま身体を流して、二人で湯船に浸かった。
いつもなら肩がぶつかるくらい近くに座るのに、今日のシリウスは妙に距離を取っている。
「……ねえ、なんか怒ってる?」
「怒ってない」
「じゃあなんで遠いの?」
「……のぼせるだろ」
まだ入ったばかりなのに?
よく分からないけど、シリウスの耳が真っ赤なのは、お湯のせいだけじゃない気がした。
まあいいか。
明日も雑貨店だし、撮影の日も近い。
(平穏……どこいったんだろうなあ)
天井を見上げてそんなことを思っていると、隣からぽつりと声がした。
「……リルド分、補給できたからもういい」
「だからなんなのそれ!?」




