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40年ぶりの世界を巡る旅

時代がすっ飛びます。

前回から40年後の話です。

「龍姫様、蜜水ですわ」

「ええ」


鷹揚にうなづいて受け取る。

広いこの部屋には美しい少女たちが大勢いる。全てわたしの妾。


「…今日はなにかあったかしら?」


部屋の端で直立していたフェルラインが喋る。


「神教の方が見えられます。新都からの使者です」


「そう。手土産を用意しないとね…」

「黄金を用意しております」

「多めに渡しておきなさい。いくらでも増やせるのだから」


無限に生み出すことが可能になった今、黄金の価値などもはやないのに、まだ金の価値は高い。


「姫様はお会いになられなくとも…」

「会うわ。リグルド様の近況も聞きたいしね」


病に伏せてから2年。そろそろ会いにいくべきだろう。


「久しぶりに出かけることになりそうよ、みな準備しておいてね」


部屋にいるかわいい妾達に呼び掛ける。

数十人を囲っている私。

龍姫と呼ばれている私。


「懐かしい顔に会いにいくわ」

あれから40年、久しぶりに旅をする気になっ た。



「お久しぶりです。公女様」

「ごきげんよう。神皇様や、みなさまはお変わりなく?」


「はい。神のご加護です…。本日はリグルドより手紙を預かっております」

「ええ」


手紙に目を通す。内容は


「…そうですか」


一緒に着いていけなかった詫びと、会いに来てもらえないかという内容。


この人は人に借りを作らないタイプだ。

よほどのことだろう。


体調が悪いのは手紙からも伝わる。

それもそうだ。

今年で90近い。

恐ろしいほどの寿命だ。


「準備を整えたらリグルド様に会いに行きます」

「本当ですか」

「ええ。リグルド様への恩を考えれば当然ですわ」


わたしの恩人でまだ生き残っている人達は3人いた。

ニール。リグルド様。そしてオルグナ。



「龍姫様、準備整いました」

翌日、馬車の用意ができたらしい。


「ええ。それでは向かいましょう。留守の間よろしくね」


全員連れて行くわけにもいかない。十人だけ連れて、残りは残した。


「姫様、旅のご無事をいのっておりますわ」

「お帰りをお待ちしております」


かわいい妾たちと離れるのは悲しいけれども仕方ない。


せめて連れる十人を可愛がろう。

馬車はとても豪華だ。

武装した護衛も大勢いる。


そんなものいなくとも安全なのだが、トラブルのたびに乗り出すのも面倒くさい。


「では向かいましょう。まずは新都へ」



新都に着いたらまず、オルグナに会いに行く。

オルグナも80近いはずだ。


オルグナは私の勧めもあって、神教に従っている。

今は新都にいるのだ。


どちらにせよ、リグルド様に会うためには身の清めが必要で、時間がかかる。その間に会おう。


「竜姫さまぁ。あそびましょう?」

馬車の中、妾の一人、アリスウルが衣服をはだけて迫ってくる。


「わたしのぉ。胸の上に蜜をたらしますのでぇ。どっちにおちるか、えらんでください♪」


アリスウルは幼く見えるが、たしかもう40を過ぎているはずだ。

来たときにはもう20を過ぎていたが、望みは「若返り」だった。


ヘイルカリと似たケースだが、その願いは十代前半まで戻すことだった。その望みの通り成長を戻したら、なぜか頭まで幼くなった。


心は体に引っ張られるのか。

元々こうだったのか。


アリスウルは、幼い見た目のわりにベテランのため、新人いびりをよくやる。


彼女を殺したいほど憎んでいるものも大勢いる。


だが、それでいい。私の血を飲んだ段階で、切り刻まれようと死なないのだ。


実際に闇打ちで三度ほど殺されそうになっていた。


今の私は龍族のトラブルには寛容。というか自由にさせている。


個人的な復讐などには手を貸さない。

むしろ、そういったサバイバルを楽しんでいる。


その代わり、龍族にならない人族には、基本的にいじめもいびりもない。


龍族の血を持つものが、嫌がらせなどすれば、普通の人間は死ぬからだ。


人族のお手伝いは数年で表に戻る。

あまり長期間この館にいると、龍族のエネルギーが満ちているためか、身体能力が底上げされてしまう。


それが分かって以降は年齢制限をかけるようにした。


表に戻る妾はそれなりに多い。

高給だけに惹かれた少女はたいていそうだし、血を飲んだとしても、龍族のハーフの血筋を求める貴族はそれなりにいる。


希望者が出れば出ていく。

大抵はいじめ、いびり競争に敗れた、疲れたものがいくようだ。


このアリスウルはお気に入りだ。


私の前では愛らしく、無邪気に。

妾同士には、残酷に、無邪気にふるまう姿勢が良い。


この遊びもそうだ。

自分の肌で遊ばせる。無邪気だ。


「ええ、退屈していたの、遊びましょう」

ふと横をみていると、呆れた表情で見ているフェルラインと、憎悪の視線をむけるカリスナダがいる。


フェルラインは龍族の血を受け継いだものにはめずらしく豊満な肉体を持っている。


考え方も人族だった時の頃からあまり変わらない、珍しいタイプだ。


なので、仲介役として尊敬されている。

カリスナダは、まだ20のはずだ。

外見もさほど幼くない。


年相応と呼べるかもしれない。

だからこそ、新参のカリスナダはアリスウルの徹底したいじめの対象になっていた。


いじめというには、かなりえぐい。

彼女も龍族になっていなければ何度死んでいたか。


アリスウルを一度殺しかけたのもカリスナダである。

その気の強さが好きだ。

アリスウルの胸に垂れた蜜に舌を這わせながら、にこやかに笑った。

物語は、この40年後のメイルの回想でした。

ここで出てくる龍族の娘達は、続編で大暴れします。

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