龍族の血は想像以上に厄介でした
ミシディアとの新生活をする気満々だったのだが、すぐ気付いた。
そうだ、ミシディアは帝国に派遣するんだ。
と言うわけで、ミシディアは派遣。
私はしばらく新居作成をしていた。
溜め込んだ金貨と、帝国からの助成で、人はとにかく集められた。
どうせなら、と、とにかく豪勢な館をと、指示をしながら作り始めたのだが
「ミラーの館に似てる…」
やっぱりトラウマなんだろうな、あれ。
新居作成と平行して鉱山も作った。
そっちは帝国任せなのだが、担当者曰わく
「深く掘る必要なく、良質なものが湧き出るように溢れている。有り得ない」
そうだ。
そして、龍族。
私にとっての仕事みたいなものだ。
龍族を増やさないといけない。
現状ミシディアと、ニールしかいない。
そのニールからは手紙が来て、識都に戻ったそうな。
そこに塔を建てて、世界最高峰の図書館を作るらしい。
もう識都に図書館あるのにね。
二個作ってどうするんだろう。
帝国から非公式にだがお触れが出された。
龍族への募集。
最初は貴族、次に将校、次に大商人。
龍族になるメリット、デメリットが列挙されたのだが、私の新築した館の前に来た人達を見て頭を抱えた。
「女性ばっかりじゃない…」
それも20を超えた人達が多い。
女性としての成熟期を迎え、これから老いに向かう恐怖と抗う時期の女性。
これが30、40ならば既に葛藤は乗り越えているのだろう。
龍族のメリットである不老と年齢操作に惹かれた女性が多いようだ。
「…まあ、ミシディアは女でも強いからいいのか…」
男性の方が少ない。
自分が変節する恐怖は強いのか。
結局詳細説明して残った応募者は5人。
戦場で戦うかもしれないと言われて、大半の女性は止めた。
その中で一際目立つ存在。
「わたくしはソレイユと申します。正直、人生に飽き飽きしておりますの。新しい刺激が欲しくて来ましたわ」
妖艶な美女。
高名な貴族の女性。
この女性だけは不老に惹かれていない。
「退屈なのは嫌いだ」
という一点である。
なかなか面白そう。
そして
「僕は!弱いんです!強くならないといけない!」
男性の中でも特に目立つ、地方貴族の三男。
地方貴族で、長男でなければ、基本は将校として活躍する。
しかし、見た感じ弱そう。
身体付きが悪い。
確かに龍族になるメリットはありそうだ。
「今後の生活は陛下と相談します。身体が慣れるまではこの館にいることになると思いますが」
そして龍族にした5人。
これが大問題を起こした。
まず一人目。
貴族の三男。
これが一番ダメだった。
男性が元々持ちうる闘争心。
更に掛け合わせる龍族としての血。
制御不能の殺人鬼となったのだ。
常に人の命を取らずにはいられない鬼。
敵地に送り込むどころの話ではない。
五体バラバラにしても死なないので、ミシディアと、私と、ソレイユの3人がかりで取り押さえて、弱点である頭を砕き、焼却して滅ぼした。
次、同じく男性。
こちらも同じようなものだ。
理性が焼き付くされるようで、最初は抵抗していたようだが、ダメだった。
私に襲いかかってきたので、返り討ちにした。
こちらも焼却処分
次、男。
同じく。せっかく作った屋敷を壊してたので処分した。
もう二人しか残っていない。
その二人。
ソレイユともう一人の女性ヘイルカリ。
そう、残ったのは女性二人だった。
このあたりで陛下とリグルド様に報告した。
龍族の血と男性は相性が悪すぎると。
ニールという成功例が唯一だ。
ニールは、暴力という闘争心が異常に無い人だった。
だからこそ上手くいったのだろう。
そして、正式に「男性の龍族化は禁止」となった。
わたしは、ニールの事は伝えていなかった。
ニールを戦場とか冗談でも見たくはないし、誰も喜ばないからだ。
ニールにもそのように伝えたら感謝された。
そして、ミシディアが帰ってきた。
帝国の判断は
「使いこなせない」だった。
龍族の闘争心に一度火がつくと、敵味方の区別がつかない。
出来るとすれば、敵地のど真ん中に、転移で1人だけ龍族を送り込むぐらいだ。
だが、そんなケースは殆ど存在しない。
そんな事をしても意味は無いのだ。
嫌がらせぐらいの効果しかない。
しかも、龍族の回収も難しい。
結果。
ミシディア、ソレイユ、そしてヘイルカリ。
この3人は私の館で暮らす事になった。
龍族だけで暮らすのも大変だ。
なので、家事や掃除など雑用に人族を雇った。
金払いを良くしたので、皆喜んで働いてくれる。
そして私たちはなにをやっているかというと。
なにもやってない。
わたしは、鉱山に力を送っているので動けないし、龍族にした3人は、帝国から
「屋敷から出さないでくれ」と言われている。
しかし、色々それも問題なのだ。
龍族には闘争本能がある。
その闘争本能がどこで発散させるかというと。
「ソレイユゅゅゅうううう!!!!」
ミシディアがブチ切れてる。
「あらあら、仕方ないのですわ。龍姫様とキスされるなんて、嫉妬のあまり頭がおかしくなりそうですの」
龍姫。龍族の姫だから龍姫らしい。私のことを、ソレイユがそう名付けた。
そんなソレイユが、ミシディアと昨日キスしたのを見て、嫉妬のあまり、ミシディアが寝ている間に顔面をメッタ刺しにしたらしい。
頭が痛い。
ソレイユ、ミシディア、ヘイルカリ。
やることがないので、始終いちゃついているのだが、この「嫉妬による襲撃」が凄い。
特にソレイユのアナーキーさ加減は半端ない。
館で暴力沙汰とか、ミラーの館の再来みたいで嫌なのだが、闘争本能を持て余す龍族にとって、一番の発散相手は龍族である。
一番効率的には良い。
「人族にはそういうの無いようにしよう…」
龍族には闘争が必要。でもそれが人族のお手伝いさんたちに波及しないように、色々考える事にした。
帝国では「最前線に送り込んで壊滅状態にした後、遅れて帝国軍が進軍する」とかの想定含めて色々考えたのですが、なによりも、暴れまくった貴族の三男の恐怖に怯え
「使いこなすのは不可能」として管理を諦めました。
また、暴れた三男を取り押さえ処分したメイルに対する信頼は上がり「好きにさせよう」となっています




