化け物になりたい方はいらっしゃいませんか?
リグルド様との話からひと月。
わたしは、ブラックドラゴンがいる場所へと向かい対話した。
そして、この馬鹿ドラゴンが如何に話を端折っていやがったのかがよくわかった。
要はブラックドラゴンがやろうとしたことは、ドラゴン殺しを続ける私を起点に、龍族の連合軍で攻め込んでこい。返り討ちにしてやる。
なのである。あの会話で伝わるだろうか?
伝わるわけがない。
あのバカドラゴン。
他のドラゴンも止めろよ。
そして、金属生成能力には
「そんな能力あったのか」と驚いていた。
おい、お前が与えた能力じゃないのか。と思うが、オリジナル・ドラゴンは希少なのでよく分からないそうだ。
神様だけがご存知だった。と言われればすっきりするのだが。
そして、オルグナ、ニールに宣言した。
「共に戦った仲間は去った。無限に金を生成する能力もある以上、私がドラゴンを狩る意味はあるのか。しばらく悩みたい」と
ブラックドラゴンには、ドラゴンを狩るのは生きるためだと言い放ったが、実際私はドラゴンと立ち向かう気力が失せてしまっていた。
とにかく、私とはなんなのか。その自己の確立が出来ない。
有り余る闘争本能と性的欲求。
わたしは、限界を迎えそうになっていた。
そんな時に、出会った。
下級娼婦。
男の好きにされる道具。
抵抗など許されない。消費されて死んでいく女性。
ドラゴン狩りで世界中を旅していた時に何度も見かけた。
同情も寄せた。私もそうなりかけたのだから。
でも、安易な同情で手を差し伸べてはいけない。
ミラーの件は心に刻まれている。
でも、それでも。わたしは、動いてしまった。
その娘はわたしにそっくりな目をしていたから。
「金貨でその娘を買い取ります」
彼女に暴力を振るう男性に金貨を渡す
「な、なんだと!?」
「その娘は娼館の娘でしょう?あなたのものではないのは知っています。その上で、ここで終わりにするなら金貨を払います。30枚。どうですか?」
「ほ、本当か!?」
「どうぞ」
「わ、分かった!好きにしな!」
そう言って男は離れた。
「あ、あの」少女が話しかける
「あなたの娼館はどこ?」
「え?」
「娼婦なのだから、娼館にいるのでしょう?どこ?」
「は、はい。こちらです」
案内される。
そして
「この娘、買い取るわ。足りるでしょ?」
金貨100枚
「は!?あなたは!?」
「オルグナ商会のメイル。詳細はオルグナに聞きなさい。契約書送ってね」
「あ、あの、わたし」呆然としている少女
「あなた、名前は?」
「え?あ、ミリーです」
「そう。ミリーね」
名前がミラーに似てるな
「じゃああだ名はミシディアで」
「…え?あの」
「あなた、良い目をしてるわ。夢があるのでしょう?なにをしたいの?」
わたしの目。
絶対に運命に逆らうとした、あの目。
その結果がこれだが、この少女から同じものを感じた。
「夢…」
そう言うと彼女は毅然として言った。
「わたしは!故郷を滅ぼした連中に復讐をしたい!」
なるほど。でもちょっとがっかりだ。
もうちょっと前向きな理由が良かったのだけれど。
「そう。叶えられるわよ」
「な、で、でも、相手は」
「相手はなに?」
「1000人を超える規模の盗賊団です。とても1人では」
「人をやめる覚悟はある?」
彼女を見据えて言った。
「私なら、あなたを化け物に出来る。たった一人で千人殺せる化け物に」
メイルにとってミラーの存在は大きく「似た名前を呼びたくない」と思うぐらいには特別視しています。




