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いつか来世で約束を 01  作者: 朱本来未
絶命因果編
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第021話 精神侵食08

 ロジィの提案に乗ってから数ヶ月、やることもないので転生者や顕界文明管理局に関して考えながら余生をのんびりと過ごす。

 左腕に関してはショータと物理的に距離を取っていれば暴走の心配もない。彼の異能に関してはロジィの影響が大きいからか他者から与えられる能力ちからで手っ取り早くことを済ませようとするのではなく、自力でなにかを成そうとする傾向にあり、異能を望む可能性はかなり低かった。


 そうした環境で穏やかに日々の中で、ふと疑問が浮かび興味本位で尋ねる。


「ねぇ、ロジィちょっと聞きたいんだけどさ」

「んぁ、なんだ?」

「あんたさ、ショータが私に殺されるって予知されてたって言ってたじゃない」

「言ったな」

「それって、いつ予知されたの? かなり昔のことなんだろうけどさ」

「いや、そんなことはねーぞ。お前さんが生まれる少し前とショータが寄宿舎に入る前くらいだったかな」

「予知能力を持ってた曽祖父は亡くなったって言ってなかった?」

「あー、ひーじーさんがな大型鎧蟲の魔導球使って造った特殊な魔導具があるんだよ。あたしもそれを再現しようとして色々試してるんだけど上手くいかないんだよな。魔導球の刻印も接続されてる外部機器も完全再現出来てるんだがな」

「なにか開発時の記録とか残ってないの?」

「なーんにもだな。完成直後にひーじーさん自殺してるしよ」

「自殺? なんでまた」

「さーな。予知することに疲れたとかなんとかそんなんだったかな? だから代わりを用意したとかなんとか」

「おかしくない?」

「あたしも不自然だとは思うが当人と会ったことがないからな。明言は出来んよ」

「ロジィ、その魔導具見せてもらうことって出来ないかな」

「うちの血縁者しか入れねーんだよな、あそこ。でも、ま、なんとかしてやるよ」

「え、いいの? 私、一応あんたの曽祖父を殺そうとしてた側の人間なんだけど」

「あたしも魔導具のこと解明したいしな、その手掛かりが手に入るんならなんだって構わねーよ」

「あんたって、本当に……」

「いーだろ。多分、魔導球になんか特殊な仕掛けがあるんだろうからそれだけすり替えてくるわ。幸いにもダミーはあるしな」

「あきれるわね」

「そこは感謝しろっての」

「はいはい、感謝してますよ」

「じゃ、ちょっくら行ってくるわ」

「早速? 判断早いわね」

「時間は無駄にしたくないんでな」

「そ、いってらっしゃい」

「はいよ」


 私の頼みを請け負ったロジィは軽快に出て行き、半日も経たずに戻って来た。彼女は戻ってくるとどうだとばかりに素手で持っていたらしい裸の魔導球を見せてきた。


「もうちょっと気を使いなさいよ。貴重なものなんでしょ。って、それ!」


 私は思わず声を張り上げる。一目見てわかった。ロジィがすり替えてきた魔導球には明らかに魔法力が宿っていた。


「どうした?」

「どうしたもこうしたもないわよ」

「だから、どうしたんだ。わかるように説明してくれ」

「でも、これ、どういうことなの。あんたの曽祖父死んでない」

「なにを言ってんだ? ひーじーさんならきっちり遺体も埋葬されてるぞ」

「そう異能よ、異能。死後も異能が使用され続けるはずがないんだもの。この世界にありふれ過ぎてて当たり前のように受け入れてたけど、なんでこんな単純なことに気付かなかったんだろ」

「さっきからどうしたよ。ついに狂ったか?」

「失礼ね」

「失礼だと思うんなら、なにに気付いたのかさっさと説明するんだね」

「転生者のこと前に話したと思うけど、たぶん異能に関しては説明が足りてなかった。まぁ、あのときは関係がなかったから当然なんだけど」

「その魔導球とも関係することか?」

「関係大有りよ。転生者の異能って、肉体じゃなくて魂に付与されるものなの。それも転生後の世界でのみでしか発動しない限定付き。だから子を成したとしても異能が遺伝することはない。肉体依存のものじゃないからね。それはロジィ自身がよくわかってるとは思うけどね」

「確かにうちの血筋は魔力こそ高いが、ひーじーさんみたいな異能持ちは一度も現れてないな」

「遺すことが出来ないように設定されてるの。本来その世界に存在しない能力だから再現することも不可能なはず。でもロジィが持ってきたそれはそれが出来てる」

「てことは、お前さんはこれにひーじーさんの魂が入ってると言いたいわけだな」

「ご名答。転生者の肉体自体は滅びてる。でも魂は還っていない。だから、まだ異能が使用出来ている」

「そして、それをやった人間が存在している」

「そこなんだけど、ひとつ心当たりがある」

「偶然だな、あたしもだよ」


 ここまでの説明でロジィは理解してくれていた。これなら手間は省ける。そしてその先にある放置出来ない問題を次々と議論していった。


「おそらくだがひーじーさんのときは今とはルールが違ったんじゃないか?」

「かも知れない。こういう可能性について私も考えておくべきだった」

「お前さんの前任者は十中八九『殻命の祖』だろう。そしてそいつは今もどこかで存命してる」

「そう。でなきゃ鎧蟲が活動し続けていることが説明出来ない。あれは異能によって造られたもののはず。その異能持ちが死んでいれば機能を停止してなきゃいけないはずなんだ」

「どんな異能ならそんなことが可能なんだ?」

「推測になるけど、魂の器を入れ替えるような異能じゃないかしら」

「それでひーじーさんは魔導球の中に閉じ込められたってことか?」

「うん。鎧蟲に関しては、あの蟲型魔導器に昆虫かなにかの魂が入れられてるんだと思う。魔導器の作製自体には異能が使われてないんじゃないかな」

「だとすると当人はひーじーさんの命を狙って来たっていう少年の中に入っていて、襲撃の際にうちの血筋の誰かに成り代わってた?」

「あるいは、あんたの曽祖父本人と入れ替わっていた」

「まずいな。頻繁に身体を入れ替えれるんなら、探しようがないぞ」

「私の目なら異能を使用するのに必要な魔法力の有無でわかるかも知れないけど、ある程度対象を絞らないと。なにか指標になりそうなものがあればいいんだけど」

「指標か……いや、ある。呪いだ」

「呪い? あぁ、そうか。変性型殻化症」

「捜索の目処は立ったな」


 方針が固まるなりロジィは変性型殻化症発症者の資料を集めるために即座に家を飛び出していった。

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