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クセ強属性の聖なる乙女は、早いとこ護衛騎士様に溺愛されてほしい ~恋愛ショーをリアタイで見たいから~  作者: 工藤 でん


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11/21

11 俺のことが好きすぎる、侍女キキ

今回もウォルター視点

さあさあ、気持ちがすれ違いますよお……!

《アナザーサイド:ウォルター視点》



 キキを探しに出ると、思いの外早く見つけることができた。

 ……思わぬ姿のキキを。

 

 キキは職員用の大食堂で、ホウキをギターにして歌っていた。

 しかも自作ソングらしい。「掃除なんてしてられっか」ソングである。侍女長をコケにもしている。


 たまらず入り口の柱に手を当てて笑いをこらえた。身体もドアにぶつかってしまった。


 ……なんでこいつは……いつでもどこでも歌ってんだ……!


 聞けば、侍女長からの罰で、大食堂の掃除を命じられたらしい。

 一度に五十人は入る食堂だ。女の子一人で掃除できるような広さではない。

 あのババア、キキが気に入らないからって、無理な雑事を押し付けやがったな。

 

 俺はキキの手伝いをすることにした。

 俺の意図に気づいたキキが目を丸くして俺を見返している。まさか俺が手伝うとはかけらも思っていなかったようだ。まん丸の目が信じられないと俺を見上げていた。

 

 あ、可愛いな。

いつもこういう顔してろよな。

ずっと見てられる……


 ……いや、いやいやいや。可愛いってなんだ? ずっと見てられるってなんだ。何を見てられるって? キキをか……?!


 俺は動揺を隠すようにバケツに水を汲みに行った。

 同僚たちの会話が思い起こされる。「意外と可愛い」「俺、行っちゃおうかな」。

そんなもん、許すわけないだろ。少なくとも俺は許さん。許さないんだが……いったいどうしたいんだ、俺。


 悶々としながら水を汲んで、食堂に戻った。キキと雑談しながら掃除を進める。

キキは炊事洗濯掃除もする騎士の話を、珍しそうに聞いてくれた。手は淀みなく掃除を続けている。キキは侍女としての能力もしっかりと高い。一緒に仕事をしていてやりやすい。特に好きでもない掃除が……なぜだか、楽しい。


 思っていたより早く掃除が終わってしまった。

 キキに礼を言われたが、俺としてはばつが悪い。楽しかったなどと正直なことは言えなかった。

 話がある、とキキに伝えると、キキも俺を探していたという。個人的に聞きたいことがあるというのだが。


――個人的に、聞きたいこと。

キキが、個人的に。

俺に直接、聞きたいことがある、ってか。


 不覚にも胸が高鳴った。

 個人的に、俺を探して、見つけて、聞きたいこと……なんて。告白の大前提みたいじゃないか。何を言い出すんだ、コイツ。

まさか、な。このキキが、そんなつもりのはず……ないよ。


 そして、キキから爆弾が落とされた。


「ウォルター様って、好きですよね?」



『好きですよね?』



……!!!

お前っ!


 ……………唐突に、隠してた俺の核心をついてくるな!!

 なんでっ。俺もまだ、はっきりしてなかったっていうのに。なんで俺の心の内の、一番深いところを突いてくる!

 しかもキキはぐぐっと俺に顔を近づけてきた。好奇心を湛えたきらきらした大きな目が、俺をまっすぐに見つめてくる。

 ああ、もうっ。分かりやすく可愛いじゃねえか!


「やっぱりそうでしょ?! そうだと思ったんだよねー」

「おまえっ……突然そんな、直接的にっ」

「だってあの距離感であんなに気のある素振り見せられたら、絶対好きに違いないって思いますよー」

「……は?」

「いつも無愛想な無表情のくせにー。急に優しくされたらときめくでしょー」


 ……俺、気のある素振りしたか? ない……とは言いきれないか。意識はしていた、と思う。

 いつの間に態度に出てたんだろう。

 キキはさらに言い募ってくる。


「でも好きなんでしょ? 好きなんですよね?」


 さらに顔を近づけてくるキキが直視できなくて、俺は顔を背けた。可愛い。近くで見るとやっぱり可愛い。小動物みたいに見上げてくる目が、愛らしい。

うーっと唸り声が漏れてしまった。やばい。触れたい。抱きしめたい。顔近すぎんだろ、分かってんのかこいつ。


「……気になっている、かもしれん。と最近思い始めていたところ……」

「ハイ、キター!!」


 キキは立ち上がって拳を上げた。

 なんだよ、俺に告らせて自分は盛り上がってんのか。いい性格してんな。

 それどころか、キキは俺に人前で告白することを要求してきた。それが楽しみで生きていると。こういうところは、理解不能だ。どうかしている。


 俺は立ち上がってキキを見下ろした。キキは俺を見上げるために直角に顔を上げた。


うぅ……………めちゃくちや可愛いじゃねえか。

この距離感、たまらん。脳が俺に本能のまま動けと命じてくる。手を出しちまえ。向こうだって期待してる。ここさえ乗り切れば好きにしていい。


 わかったよ。はっきり言えばいいんだろ。

 俺はお前のことが……!


 ……と、いうタイミングで。侍女長がヒステリックに怒鳴り込んできた。キキが掃除を終わらせていないこと前提で、耳障りな声を上げて。

部下の失態をいびることの大好きな女だ。もともとそんな性癖が目に余っていたのだが。


 俺がガラにもなく愛の告白ってのをしてやる、と決めたタイミングで、この女。


 

 邪・魔・す・ん・じゃ・ね・え!!



 怒鳴りつけたいところだが、冷静なふりして侍女長を追い払った。ブチ切れるのは簡単だったが、後でそのとばっちりを食うのはキキだ。侍女長の神経を逆撫でて理不尽に八つ当たりでもされたら。職権乱用かまされて、キキに何かしらのペナルティを与えるかもしれない。それは避けたい。


 憤懣に心を燃やしている俺を、キキが尊敬するようなまなざしで見つめてきて、俺は顔を背けた。そんな目で俺を見るな、邪魔だから追い払っただけなんだ。


 キキは俺に殊勝に礼を言い、そういえばと問いかけてきた。俺がキキに話したいことがあると言ったことを、思い出したようだった。

 俺はキキに通訳を引き受けてくれた礼を言った。魔の森という危険な場所に引きずり込んだのは俺だ。仕事とはいえ、さすがに罪悪感はある。

 キキは軽く笑って言った。

 

「それは覚悟の上で引き受けてますんで。

 通訳の役職手当と危険手当もいただいてますから。お給金爆上がりで、うはうはですよー」


 ……こういうところだ。キキのこの、ちゃらけたような気遣いがたまらなく好きなんだ。

 俺はキキの小さな頭に手を置いた。

 たまらなく愛しさが生まれてきた。

 そして確認したくなったのだ。

 キキの気持ちを。


俺は俺の気持ちを自覚した。

そういう、お前はどうなんだ?

 

 お前の気持ちを聞いていない、と尋ねた俺に、キキは憤然となってこう返してきた。


「私の気持ちなんて、そんなのもう。

 ……全部丸ごと、大好きに決まってるじゃないですか!」

「……うっ」

「疑われるなんて心外です。私の『好き』を疑わないでください!」

「……それは……つまり。

……そ(・)う(・)い(・)う(・)こ(・)と(・)、だと思っていいんだな」

「あったりまえじゃないですか」


 言葉にできない気持ち、とはこのことか。

 

 どうしようもなく気分が盛り上がった。キキの心を手に入れた確信を得た。キキは、俺のことを、そんなに想ってくれてたのか。そうなのか。

なんか、グッとくる。有頂天になったと言っていい。

 思い切って、告ってよかった。


 自制が勢いよくボンっと吹き飛んで、俺はキキを抱きしめた。ありがとう、とだけは何とか伝えた。


 今日から俺の彼女。

俺の彼女の、キキだ。

 キキ。キキ!


 いつまでも抱きしめていたい。俺の中に閉じ込めておきたい。もちろん、恋人としての行為は、少しずつ進めるつもりだが。


ああ。先が楽しみだ。

俺のものだ、キキ。

ずっとこのままでいられたらいい……

 

 

 

キキって罪深いよね! 誤解を生むような言葉を選ぶでないよ……

有頂天にもなるよ、ウォルター様。ウォルター様が一人で盛り上がったまま、お話は続きます……www


次の投稿までしばしお待ちを。

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― 新着の感想 ―
むり〜〜〜(≧∇≦)どこまでいくの〜〜〜! 大声出た〜(爆笑)
一旦整理してみましょう。 キヨラ様 → ウォルター様 ウォルター様 → キキちゃん キキちゃん → キヨラ様(+ウォルター様の箱推し) まあ~、キレイな三角………   (¨ ) (遠い目)
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