第48話 特産品が呪いの人形?猫族の町
怪しい新興宗教の町に平和を取り戻したトーマとポメヤ。
そこで出会った猫族のタマから地元の特産品を王国で売って欲しいと頼まれる。
そんな事かと二つ返事で了承したのだが…
「呪いの人形?なにそれ急におっかないじゃん」
「特産品というか厄災の後に大量に現れたとかじゃないんですぞ?」
「違うの!私達の町って呪術を得意としててその呪術で作った人形を売ってるの!」
何も違くないよ?
「呪術って言っても相手を呪い殺すとかじゃなくて悪い悪霊を祓うとか不幸を近づけないとかそういうの!」
いや君さっきまで麻薬漬けになってたじゃないの、全然防げてないよ…
「たまに効くの!本当なんだから!」
「ちなみに今持ってる?その人形」
「お酒…あの麻薬に変えちゃったの…もうどこかに行っちゃったかも…」
言っちゃ悪いがそんなもんでもポイントに変えちゃうんだな…いや、まず麻薬漬けにする為に一応引き取ったのか。
「まあ見てから判断しますぞ!一緒に猫の町に行くですぞ!」
まあそうだな、危険じゃ無ければ別に売っても良いし。
「分かった!ちょっと汚れちゃったから着替えて来る!少し待ってて!」
数分後、白いワンピースに着替えたタマが戻ってきた。
うーん…この世界は美少女ばっかりだな…あの尻尾どこから生えてるんだろ…
気になる。
「可愛いでしょ、お母さんが作ってくれたんだ!」
「似合ってますぞ!いい感じいい感じ」
僕達はラクダに乗って猫族の町を目指す、三人乗ってもスピードは変わらない、なんて良いラクダなんだコイツは。
「結構早いね!この子の名前は?」
タマは初めてのラクダでテンションが上がっている。
「ラクダですぞ、熱線を吐くバチクソ強いヤツ」
「熱線?なんか凄そうだね…今度見せて貰おうっと」
良いけどその熱線は殺意の具現化みたいなビームだよ?
猫族の村までは数日かかるらしいので休みながら進む、のんびりした旅だ、こういうの久しぶりな気がする。
「ちなみにタマってなんであのバカみたいな宗教の町に行ったの?」
「バカって…うーん…町が貧しくなっていくのが我慢出来なくて人形を売る場所を探してたら迷っちゃって…気がついたらお酒の虜に…」
行き倒れにならないだけマシか?厄災を微妙な角度で祓った感じ?
「まあ死なないだけ良かったですぞ、マシですぞマシ。」
呪術がどーだの言ってるけどお守りみたいな感じなんじゃないか?現物を見ていないからなんとも言えないけど。
そして数日後、猫族の町に到着した。
途中色んな魔物に襲われたが開幕ビームで全てが終わってとても安全な旅だったよ。
「ようこそ!ここが猫族の町!呪術の町だよ!」
両手を広げてクルリと回る美少女、絵になるなぁ、背景が綺麗な湖とかなら…
「なんかもう呪われてるんじゃないのこの町、黒と紫しか無いですぞ…」
ポメヤの言う通り不吉、そんな町だ。
ほとんどの家が黒を基調としており、何の骨だか分からない物は家先に置いてある。
市場にも黒焦げのトカゲやら蛇の燻製やら完全にやばい系の町だ、うん、やばい系だここ!
僕達の顔色を見てタマが慌てて弁明しだした。
「違うの!家が黒いのは悪霊が入ってこないようにする為だし動物の骨は表札代わりなの!!」
いやだから違くないのよ、毎回なにも違くないの。
「まあちょっと観光もしようかな…とりあえずリーダーに会わせて貰って良い?」
「いいよ!リーダーはウチのお父さんなの!紹介するね!」
話が早くて助かるよ…でも嫌な予感がする。
「ウチの娘に何をした!とか言われますぞ、なんたって麻薬漬けの間ずっと帰って無かったワケだし。」
「だよなぁ…ポメヤ、王冠被っとけ」
タマの家は大きく、やっぱり黒かった…入り口にはやっぱり動物の骨、ちょっと帰りたいなぁ。
「ただいまー!お父さん!王様連れてきた!」
おいおい!怪しいよ流石に!それは。
タマの父は大きな猫族、虎じゃないの?すごい強そうだけど。
「こんにちはですぞー、王様参上ーなんつってー」
なんつってーじゃねぇよ!空気殺す気かお前!
「これは…こんな僻地に王がいらっしゃるとは…まさか娘が何かしたのですか…?」
あれ?大丈夫っぽい。
「いやタマちゃんは何もしてないですぞ、特産品を王都で売りたいって言うので現物を見に来たんですぞ、ちなみに王って疑わない感じですかぁ?」
さっきからお前偽物認定でもされたいの?
「それはお疲れ様でございます。私は王都で御二方の絵を拝見しておりますので疑う事なんてしませんよ。」
あぁ、ポメヤが書いた戴冠式の絵か、だいぶ盛ったヤツ。
「お父さん!人形見せてよ!王都で売ってくれるかもよ!」
「タマ、王様の前で失礼じゃないか、すみません…なにぶん活発な子で…」
「いやいや楽しいので大丈夫ですよ、是非人形を見せて下さい。一応前向きには検討するので…」
少々お待ちくださいとお父さんは奥の部屋に行き、大量の人形を持ってきた。
「あっちゃー…これはなんともですぞ…」
失礼だろ流石に、とも思うが確かにあっちゃーだなコレ…
完全に呪いの人形だ…髪の毛が知らない間に伸びそうな…
木で出来ており猫族の形をしているのだが…目は見開かれて口は耳らへんまで裂けている。
髪の毛も生えているがまばらで申し訳ないが気味が悪い。
ボロボロの服で何年も雨風に晒されたような…これは不幸そのものじゃないか?
「あの、言いにくいのですがコレ…ちょっと売れないと思うんですけど…」
「嫌いな人に送るとか?なーんてね!そんなわけないよね!ジョークですぞ」
お前お父さんの今の顔見てみ?人形と大差ないよ?
「確かに見た目はアレですけど…中に幸運の石を埋め込んであるんです…呪術で作ったので一応低級のゴーストとかは近づけないくらいの…」
ん?それ石だけで良くない?なんでこんな禍々しい不幸を具現化してんの?
「あの、それって外見は関係ないように聞こえるんですけど…」
「え、はい、関係ないですよ、趣味です、私の」
お父さん…ダメだよそんな事じゃ…
「だから言ったじゃない!外見を可愛くすれば売れるかもって!」
「でもなぁ…なんか引っ込み付かないところまで来ちゃってるしなぁ」
「いや引っ込め!今からでも可愛らしい見た目に!なんなら石だけ売れよ!」
ポメヤに同意だ、しかしお前この人に当たり強いな。
「一応娘に言われた通りの外見の物もあるんですけど…見ます?全然心動きませんよ?」
呪いの人形は心持ってかれるんだよなぁ…深淵まで…
「一応見せて貰っていいですか?一応…」
お父さんはまた奥の部屋から人形を持ってきた。
え?良いじゃんこれ。
持ってきて貰った人形はタマの形をした人形だ。
今にも走り出しそうな躍動感がある。
フェアリーの国のフィギュアもすごいが、この木の人形は関節があり好きなポーズにする事が出来る。
「ちょっと見せて貰って良いですか?」
どうぞと渡されたそれをまじまじと見てみる。
うわ、スカートの中まで完璧だ…これをこうして、こんなポーズも…
「買います、5万ベルでどうでしょう?」
「トーマ、最近欲望に忠実ですぞ…嘆かわしい…」
僕が色んなポーズにして眺めているとタマが顔を赤くしながら人形を取り上げた。
「ちょっとトーマさん!なんか恥ずかしいので没収です!没収!」
あぁ…僕のフィギュアが…
気を取り直してお父さんにこのフィギュアなら売れるだろうと言ってみる。
「売れるんですか?心動かないのに?」
さっきまでの僕の様子見てなかった?
「これなら売れます、タマ以外にも色んな女の子の人形作ればすごい売れます。しかし厄除けとかそういう目的ではないと思いますが…」
「おお!良いんです良いんです、正直リーダーが私だからみんな呪いの人形作ってたようなものですし!売れるならみんな喜んで作ると思います!」
その呪いの人形って自分で呼ぶのやめればいいのに…
「じゃあ何個か作って貰っていいですか?僕が王都に行って宣伝しておきますよ!僕が!お金払うんで!」
「気に入りすぎですぞ…ちょっとキモい」
うるさいなぁ…いいだろ、誰も不幸になってないんだから。
一日はこの町に泊めてもらってその間に人形を準備してもらう事になった。
実に楽しみだ、良かったこの町に来て。
「トーマ…顔が気持ち悪いですぞ…」




