↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
61/66

第61話暗躍

会議終了後、宰相カイゼルは自身の所有する屋敷の一室で『ある者』と対面していた。

会議終了後…。


宰相カイゼルは一人、自身の管理する屋敷に『ある者』のために用意した一室に入り扉を閉める。


誰もいないことを確認すると――。


「……ヴェルナー。」


小さく呟いた。


すると、部屋の隅にある影が、不自然に揺れた。


「お呼びですか?」


黒いローブを纏った男が、影の中から姿を現す。


その人物こそ体育祭でミラベル達と対峙した、あの魔導士ヴェルナー、その人であった。


カイゼルは満足げに笑った。


「君の言った通りだ。魔王陛下は見事に人間界への侵攻を決意された。」


カイゼルは上機嫌に続ける。


「これまで君の助言に従ってきたが…実に上手くいっている。」


ヴェルナーは静かに微笑んだ。


「…それは何よりです。」

「…一年だ。」


カイゼルは窓の外を見る。


「一年後には、魔界と人間界が再び繋がる。」


そして――。


「その時こそ、我々の望みを叶える時だ。」


しかし、カイゼルの表情が少しだけ曇る。


「…ただ。」

「何か?」

「不安材料はまだある。伝説の巫女の末裔という少女。」


その言葉にヴェルナーの目が僅かに細くなる。


「そして、巫女の周囲にいる人間達…。」


ミラベル、ブレイブ、ユリウス達。


カイゼルは彼らの名こそ知らない。


だが、その存在が魔王軍にとって厄介な障害になることは理解していた。


「体育祭とやらで巫女の力が覚醒させ…そして魔界と人間界に通ずる亀裂まで塞いでみせた。」

「…はい。」


カイゼルはヴェルナーを見つめる。


「…本当に、我々は勝てるのか?」


一瞬、部屋に沈黙が落ちた。


だがヴェルナーは――。


「…もちろんです。」


一切の迷いなく答えた。


「私の未来視を信じてください。」

「君の…未来視か…。」

「聖戦は、我々の勝利で終わります。」


ヴェルナーの声は穏やかだった。


「何も心配する必要はありません。」


カイゼルはその言葉を聞いて、ようやく安心したように笑った。


「そうか。ならば…引き続き…君に任せよう。」

「お任せください。」


カイゼルが部屋を出て行き、重々しく扉が閉じる。


一人残されたヴェルナーは――。


「…。」


しばらく黙っていた。そして…。


「…さて。」


ゆっくりと振り返った。彼の視線の先には――。


一つの隠し扉。


ヴェルナーはそれを開ける。


その奥には――誰にも知られていない、彼だけの部屋があった。


壁一面。びっしりと貼られた紙。


人間界の地図。魔界の地図。ミラベル、ブレイブ、マリナ、ユリウス達の調査資料。


そして―この世界には存在しないはずの文字、日本語で書かれた


『魔王レグルス攻略情報』


『巫女マリナ』


『悪役令嬢ミラベル』


『イベント発生条件』


『最終決戦』


まるで――ゲーム攻略サイトの情報をそのまま書き写したかのような内容。


ヴェルナーはその中の一枚を手に取った。


そこには、ミラベルの名前が書かれていた。


「…本来なら。」


忌々しいように紙を握る。


「お前は…本来、魔王軍に立ち向かうような存在ではなかった。」


ぐしゃり。


紙が握り潰される。


「ミラベル…お前の存在が全てを狂わせる元凶に思える…。」


ヴェルナーの瞳が冷たく光る。


そして、体育祭で対峙した三人を思い出す。


ミラベル、ブレイブ、マリナ。


一人は元のゲームではどのルートでも追放か退場をする悪役令嬢。


一人はゲームでは名前すらないモブキャラクター。


そして最後の一人は巫女の力こそ持つが性格や振る舞いがゲームとはまるで違っていた。


ヴェルナーの口元が歪む。


「どうしてお前達は…俺の知っている物語から外れる?」


答えなどない。


ヴェルナーは握り潰した紙を床へ落とす。


「俺の思い通りにならない人間なんて――。」


冷たい声が部屋に響く。


「この世界には必要ない。」


その瞳には、狂気にも似た執着が宿っていた。


「次に相対した時には……。」


ゆっくりと笑う。


「必ず、命を奪ってみせる。」


人間界では、ミラベル達が学院祭の余韻を胸に抱きながら、来たる一年へ向けて鍛錬を続けている。


一方魔界では、レグルス率いる魔王軍が、侵攻のために戦力を増強していく。


そしてその裏側では――魔王すら存在を知らない男が、静かに次の一手を準備していた。


人間界と魔界。


二つの世界を隔てる亀裂は、今は閉じている。


しかし、一年後には亀裂は開き再び両世界の人々は衝突するだろう。


本当の聖戦は、これから始まろうとしていた。

カイゼルを裏で操るヴェルナーもミラベルと同様にゲーム知識を持つ現代日本からの転生者だとはっきり書かれました。


ここまで読んでくださった方なら体育祭での言動で察していたと思うのですが、これからはヴェルナーのさらなる暗躍やどうして転生後の世界を良くない方向に導こうとするのか等動機も書いていけたらと思います。


今回は読んでくださりありがとうございます。次回も読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。