表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
43/51

第43話託された想い

マリナの強い決意の念とミラベルやブレイブ達共に戦う仲間の存在に安心した巫女の意思を伝える者は最後にある行動に出る。

白く広がる夢の世界。


ミラベル、ブレイブ、マリナの三人は、互いの手を握り合ったまま立っていた。


その様子を見つめる”巫女の意思を伝える者”は、どこか安心したように柔らかく微笑む。


「…よかった。」


ぽつりと漏らしたその一言には、長い長い孤独から解放されたような安堵が滲んでいた。


「あなた達なら、この世界を託せます。」


マリナは首を傾げる。


「なんだよ、そんな言い方…まるでどこかへ行っちまうみたいじゃねぇか。」


少女は少しだけ目を伏せた。


「…私は、この世界に強く干渉できる存在ではありません。こうして言葉を交わせるのも、本当に奇跡のような時間なのです。」


その言葉に、ミラベルは胸騒ぎを覚えた。


(やっぱり…この人は、本当は——。)


しかし、少女はあくまで「巫女の意思を伝える者」として話を続ける。


「ですから、最後に一つだけお願いがあります。」


三人は静かに耳を傾けた。


「どうか…この世界を守ってください。泣いている人が笑える世界を、子ども達が安心して眠れる世界を…大切な人と手を取り合って歩いていける世界を…。」


その声は震えていた。マリナは拳を握り締める。


「そんなの当たり前だ!」


一歩前へ出る。


「昔のあたしなら…そんな世界なんて信じなかった…でも今は違う。」


ミラベルを見る。


ブレイブを見る。


そして、仲間の孤児達、ユリウス、アルヴェイン家の人々の笑顔を思い浮かべる。


「あたしには守りたい奴らがいる、だから絶対に負けねぇ!」


少女の瞳が少し潤んだ。


「っ!…ありがとうございます。」


ブレイブも胸へ手を当てた。


「俺も約束します。俺は今まで剣術を習ってきました。その剣で…お嬢様も、マリナさんも、みんなも絶対に守ります!俺にできることは全部やります!」


迷いのない言葉だった。


ミラベルも静かに頷く。


「私は…未来を…夢に見ます。でも、それだけでは未来は変えられない…変えられるのは、一緒に歩いてくれる仲間がいるからです。だから私は、皆と一緒に未来を切り開きます!」


少女は三人を見渡した。


その表情は、本当に嬉しそうだった。


「あなた達なら…きっとできます。」


その瞬間。


少女の身体が淡い光を放ち始めた。


「え?」


マリナが驚く。


「なんだこれ!?」


少女は困ったように笑った。


「時間が来たようです。もう…夢が終わります。」

「そんな!」


ミラベルが思わず一歩踏み出した。


「まだ聞きたいことが——!」


少女は優しく首を横に振る。


「大丈夫。必要な時には…また、きっと…。」


その言葉に、不思議な確信があった。


そして少女はゆっくりとマリナの前まで歩み寄る。


マリナは困ったように笑う。


「?どうした…?」


少女は何も言わず、そっと両腕を広げた。


マリナは目を丸くする。


「え?」


次の瞬間。少女は優しくマリナを抱き締めた。


その抱擁は、とても温かかった。


まるで、前世で一度も知らなかった母親の温もりを埋めるように。


マリナの瞳が大きく揺れる。


「!…どうして。」


少女は耳元で、マリナにだけ聞こえる声で小さく囁いた。


その言葉にマリナの目から涙が溢れた。


「…っ!」


マリナは声にならない。


ただ涙だけが次々と零れていく。


少女は最後に微笑む。


「ありがとう…生きていてくれて。私の代わりに…。」


その言葉を最後に、少女の姿は光の粒となって消え始めた。


「待って!」


ミラベルが叫ぶ。


「あなたは——!」


少女は振り返る。


そして優しく微笑んだ。


「皆さん。この世界を…どうか、お願いします。」


その声は、どこか現実世界から聞こえてくるユリウス達の魔法詠唱と重なっていく。


白い世界が崩れ始めた。


「お嬢様!」


ブレイブがミラベルの手を掴む。


「っ!…ええ!」


マリナは涙を拭い、大きく頷いた。


「絶対守るからな…!約束だっ!」


少女は最後まで笑っていた。


そして、夢の世界は光に包まれた。





次にミラベル達が目を覚ました時、そこは王立学院の研究室だった。


魔法陣の光は消え、ユリウス、ルシアン、アイリスが安堵した表情で三人を見つめている。


「成功した…。」


ルシアンが静かに息を吐く。


ユリウスも優しく微笑んだ。


「おかえり。」


ブレイブはゆっくり身体を起こす。


「戻って…来られた。」


ミラベルも頷いた。


「ええ。」


しかし、隣を見るとマリナは布団の上で顔を覆ったまま動かなかった。


肩だけが、小さく震えている。


「マリナさん?」


ミラベルが心配そうに声を掛ける。


しばらく沈黙が続いた後——


マリナは涙を乱暴に拭いながら、無理に笑顔を作った。


「…なんでもねぇ!ちょっと…変な夢見ただけだ!」


そう言って笑うその瞳からは、それでも涙が止まることはなかった。


ミラベルは何も追及しなかった。


ただ静かに、マリナの隣へ歩み寄り、その肩へそっと手を添える。


その優しい温もりに、マリナは小さく「ありがと」と呟くのだった。


――その夜、マリナはミラベルの部屋を訪れ、夢の中で少女から掛けられた本当の言葉を打ち明けることになる。

ミラベルとブレイブが無事にマリナの夢から帰還しました。巫女の意思を伝える者が最後にマリナを抱きしめ彼女に伝えた言葉は次回以降明かされる予定です。


今回は読んでくださりありがとうございました。次回も読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ