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第34話体育祭

ついにゲームの歴史では事件が起こるとされる体育祭が当日を迎えた。

体育祭当日。


王立学院の朝は、普段以上の熱気に包まれていた。


学院所有の広大な森を舞台に行われる実戦形式演習――『総合戦術競技』。


騎士科と魔法科の生徒が混成チームを組み、他チームとの模擬戦や目標達成で得点を競う、学院最大の行事の一つである。


だが、ミラベル達にとっては違う。


(ゲームでは……今日…魔王軍が動く。)


校庭に集まる生徒たちを見渡しながら、ミラベルは無意識に胸元を押さえた。


「緊張していますか…?」


隣から声をかけたのはブレイブだった。ミラベルは少しだけ笑って頷く。


「ええ。でも…今日は絶対に誰にも傷ついてほしくないの。」


その瞳の強さに、ブレイブも真っ直ぐ頷いた。


「大丈夫です。俺が、お嬢様も他の方達も可能な限り助けます!」


その言葉を聞いたマリナが肩を組んできた。


「おいおい。あんまり無理すんなよ?誰かが無茶したらあたしが背中を守ってやっからよ!もちろんブレイブもだ!」

「マリナさん…ありがとうございます!俺もマリナさんも守ります!ユリウス様も!みんなもです!」


その必死な様子にマリナは豪快に笑った。


「はははっ!それでこそブレイブだ!」


ユリウスも穏やかに口元を緩める。


「その意気だ。ただし、守ることだけを考えるな。仲間を信じ、役割を果たすことも忘れてはいけない。」

「はい!」


四人は互いに頷き合った。




やがて、競技開始前の開会式が始まる。


学院長が壇上へ立った。


「諸君。本日の体育祭は実戦形式の競技となる。勝敗も重要だ。しかし、それ以上に仲間との連携、状況判断、そして互いを信頼する心を学んでほしい。」


生徒たちが一斉に返事をする。


「はい!」


続いて教師たちが大きな箱を運んできた。


「これよりチーム分けを発表する!」


ざわめきが広がる。


ミラベルは拳を握る。


(お願い…せめてブレイブとは同じチームに……。)


教師が一枚ずつ札を読み上げていく。



「第一チーム!」


名前が呼ばれる。


しかしミラベルの名ではない。


次々と発表が進む。


そして――。


「第七チーム!ミラベル・フォン・アルヴェイン!」

「!はい!」

「ブレイブ・ハーグレイヴ!」

「はい!」


ミラベルが思わずブレイブを見る。


ブレイブも驚いたように目を丸くした。


「お、お嬢様!同じチームですね!」


思わず笑顔になる二人。


しかし教師は続けた。


「セドリック・ローゼンフェルト!ロザリア・エーデルシュタイン!ルシアン・エヴァレット!」


三人が静かに前へ出る。


さらに。


「エレノア・ローゼンベルク!」


ミラベルは思わず声を上げた。


「エレノアさんも一緒ですねっ!」


エレノアは嬉しそうに微笑む。


「はい、よろしくお願いいたします!」


教師は最後の名前を読み上げる。


「以上六名!」


ミラベルは安堵の息をつく。


(よかった…信頼できる仲間ばかり。)


一方で。


「第十一チーム!ユリウス・アークレイン・ヴァルハルト!マリナ・クラーク!」


マリナが思わず声を上げる。


「おっ!師匠と一緒か!よろしくな!」


ユリウスも頷く。


「よろしく、マリナ。」


さらに。


「アルト・レイヴァン!ヴィオレット・アシュフォード!カイン・ヴァルフォード!アイリス・ウェインライト!」


実力者が集まったチームとなった。


「おお!」


アルトが笑う。


「こりゃ負ける気しねぇ!」


ヴィオレットはすぐに釘を刺す。


「実力者が揃ったからと言って油断しないでください、アルト様。」

「わ、分かってるって!」


カインは冷静に周囲を見渡す。


「かなり戦力が偏ったな。」


ユリウスは静かに考え込みながら呟く。


「偶然……か。それとも…」


すると横から声をかけて来たルシアンはユリウスに聞こえる声でこう言った。


「偶然ではありませんよ…少し、くじに細工させていただきました。」

「!君だったのか…。」

「私も全力を尽くします。ユリウス様のチームも…頼みますよ。」

「!ああ…ありがとう。任せてくれ。」



開会式終了後。


森へ入る直前。


ミラベルはユリウスへ小声で話しかけた。


「夢では…魔法陣は森のあちこちに現れました。でも、場所までは分かりません。」


ユリウスは静かに頷く。


「そうか…。ならば、だからこそ。私たちは競技だけに集中してはいけない。常時魔力探知を常に行う。君達もそうしてくれ。」

「はい!」


ブレイブが拳を握る。


「俺も怪しい場所を探します!」


セドリックも落ち着いた表情で言った。


「私も広範囲探知魔法を使えます。探索は任せてください。」


ロザリアも続く。


「私は後方支援と索敵を担当します。」


エレノアは少し緊張した面持ちで頷いた。


「皆さんの援護は私にお任せください!」


ミラベルは仲間たちを見回した。


「ありがとうございます!みんなで…必ず止めましょう!」



開始の鐘が鳴る。


ゴォォォォン――。


「競技開始!」


教師の声と同時に、生徒たちが一斉に森へ駆け出した。


木漏れ日の差し込む深い森。一見すると平和そのものだった。


だが…森のはるか上空。


誰の目にも映らない透明化魔法の中で、一人の黒衣の魔導士が冷たく笑っていた。


「始まったか。」


ローブの下で紫色の魔力がゆらめく。


「まずは…存分に競い合うがいい。そして…希望が最も高まった瞬間…。」


黒い魔法陣が幾重にも展開される。


「絶望を、与えてやる。」


魔導士はゆっくりと両手を広げた。


森のどこかで、微かに黒い魔力が脈打つ。


その異変に、まだ誰も気づいてはいなかった。


だが、運命の歯車は、確実に回り始めていた。

体育祭のチーム分けのためにルシアンに秘密裏に動いてもらいました。彼は攻略キャラの中で一番策略に長けた設定です。


今回は読んでくださりありがとうございます。次回も読んでいただけると嬉しいです。

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