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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第八章 TS賢者はアイを継ぐっ!
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暇つぶしの慈善事業っ!


 魔王国から帰って来てしばらくが経ったある日の事。


 私は割と暇をしていて、のんびりと山の中を歩いていた。



「いい天気、小春日和って正にこの事だなぁ·····」



 私が歩いている山はフシ鉱山がある近くの名前もついてない山で、確かこの辺りにはちょいちょい小さい水晶が産出している砂岩の付加体と花崗閃緑岩&トーナル岩の境目付近だったはずで、もしかしたら巨晶花崗岩(ペグマタイト)がみつかるかもしれないエリアだ。

 あとアッチには火成岩との接触部分もあった気がするし見てみたいかも。


 ·····まぁ今日のメインはそれじゃなくて散歩なんだけどね。



「あれ、小春日和って秋の言葉で合ってたっけ····· 小春っていうから春の言葉だと思わせておいて、暖かい秋の日っていう引っ掛け問題みたいな感じだったと思うけど、実は本当に春とかだった気がしないでもない·····」



 よし!わかんないしネット検索しよ!


 私のアカシックレコードは世界をも超えて日本のネットにつなげてあるから例え異世界の山奥でも圏外にならずに色々調べられるのよ!!



「あっ秋の用語で合ってた、でも秋の後半くらいの言葉だから使うにはまだちょっと早いのかぁ·····」



 んふふ、これでまた一つ賢くなっちゃった、私の天才っぷりは今なお成長を続けているのよっ!!


 ·····そういえば、もうすぐイデアは学校に行くんだっけなぁ。

 えーっと、確か今4歳とかだったはずだから2年後かな?



「私、四歳の時何してたっけなぁ」



 確かあんまりにも暇で魔法の解析とかやりまくってた気がする。


 イマイチ覚えてないなぁ、あの頃はアカシックレコードの使い方もまだ甘くて記憶の保存状態があんまりよくないから所々曖昧なのよね。



「うわっとと!あぶなっ!そこら辺の山って思ってナメてたら危ないなコレ····· よし気合い入れよっと!」



 ってぼんやり考えて歩いていたら、落ち葉に足をとられてあやうく滑落しかけた。


 これだから野山って危ないのよね·····

 ついでに魔物も結構多いし、整備されてない道なき道だから危険なモノがめっちゃあるから油断は絶対に禁物だ。



「んー、方向はこっちで合ってるけど、アレ迂回するのきついなぁ····· かといって楽に昇れる場所もないし·····」



 そんで今進んでる場所は傾斜30度を優に超えているとんでもない斜面で、登り切ったところには高さ5mほどの岩壁があり、その岩壁の中にお目当ての一つであったモノが見えていた。



「こっちでもこの採掘方法はやってたんだなぁ、なんだっけな、シュリンケージ採掘法の露天掘りバージョンだっけ·····」



 それは尾根付近にある巨大なV字の切れ込みで、確かお爺ちゃんの家にあった資料によると昔はここに地表に露出している金鉱脈か何かがあって、徐々に削りながら採掘したらしいのだ。


 そして鉱脈を掘りつくした結果、尾根の崖に巨大なV字の切れ込みができてしまったらしい。



「んー、やっぱりあそこを通って反対側に抜けるのがいいかな····· いやでもあの下って確か坑道になってて30mくらいあったから危ないかな····· よし迂回しよっと」



 んであそこは落ち葉で埋まったりしてるし1人がギリ入れるくらいの狭さだけど、もし滑落したら左右のデコボコした岩壁で削られながら落ちる羽目になって死ぬ可能性が高いから、いくら頑丈な私でもちょっと怖いし迂回して尾根の反対側に行くことにしたのだった。


 ちなみに途中で普通に飛べるどころか空中歩ける事思い出してショートカットした。





 そして一人でのんびり山の中を歩く事1時間、私はやっとこさ目的地に到着した。



「うへぇ····· 明らかにヤバいなぁ·····」



 フシ町の北に延びる川を辿り、途中で山に入って歩き続けて3時間ほど進んだところにフシ町の鉱山としての歴史であり、負の遺産が見えてきた。


 それは鉱山の選鉱などで出たスラグ(鉱滓)を蓄えておいて有害物質を堆積させて下流に毒を流さないようにする、鉱滓ダムと呼ばれる代物だった。


 これは有名な足尾銅山にもあるモノで、もし人が落ちたら確実に健康被害が出て普通に死ぬレベルの猛毒が蓄積された、一般人立ち入り・接近禁止の危険区域だ。

 そして鉱滓ダムはフシ町の旧選鉱システムでも使われていて、今ではほぼ放置されていて管理されていないらしいのだ。



「放置された鉱滓ダムは危ないらしいからね····· 早く何とかしとかないと」



 そんでもって、鉱滓ダムは当然の如く谷に作られて鉱山から出た亜鉛やカドミウムや重金属などが多く含まれているから、決壊して下流にそれが流れ出たら大事になるのだ。


 ちなみに今のフシ鉱山では別のダムを使っていて、そっちは数十年前にヴェルグ地方あたりで開発されたっていう重金属除去の魔道具を利用して常に鉱毒の抽出を行うシステムが使われていて安全だったはずだ。

 あとは工場の排水とかも私が作った有害物質を抽出して単体金属のナゲットにして排出する魔道具で排水は綺麗になってる。



 ·····だが、その魔道具ができるまでの間に、フシ町の奥には巨大な鉱滓ダムができてしまっていた。



「解析····· 構造は見たことないなぁ、岩石魔法で巨大な壁を作って周囲の岩盤と融着させてるのか、これならもれだす心配はなさそうだけど、溢れる危険性が高すぎる·····」



 鉱滓ダムはあっちの世界でも時々決壊したというニュースが流れてきて、その度に下流域の大規模な汚染や人的被害が出たという情報が出てくる。


 私は前世では鉱山の跡地を巡り鉱物を採取させてもらったり時々稼働中の鉱山の人に菓子折りを持って行って特別に見せてもらったりと鉱山にちょっとは関わりがある人物で、今世では鉱山町の町長の娘で一応鉱山の改革に携わったり中で働いたりする、鉱山とかなり関係深い人物だ。


 だから、この鉱滓ダムも私は一切かかわってないけどフシ町を守る立場上何とかしなきゃいけないのだ。



「よし!さっさと潰して無くしちゃうかな!」



 この鉱滓ダムは、今ではほぼ管理されていなくて忘れられかけていて、撤去しようにもできなくて埋めても毒は漏れるしで扱いに困っていた····· って23年前の資料に書いてあった。

 そんで鉱山組合で聞いてみたけど、若い人はほぼ知らなくて年長者の経営陣の人が少し知ってるくらいだったのよね。


 だから、もし私が衛星写真でここに気が付いてなくて、このまま放置されてたら決壊して鉱毒がフシ町に流れ込んでたかもしれないのだ。


 本当ならここの撤去は業者に任せたりするんだろうし私もそうしたかったけど規模がデカいし、実はこのダムの存在は7年くらい前にはもう気が付いてたのよね。

 でもそれを知ってて放置していて、今更危ない事に気が付いた私にも責任があるから、今回は私は慈善事業で撤去することにしたのだ。


 ちなみに独断だけど慈善事業だから怒られないはず。



「んーっと、『賢者の杖』の解析データは·····これか、多いなぁ····· まぁ何とかなるだろうけど」



 私はダムの上に立つと、リュックサックを下ろして早速魔法での浄化を始めた。


 といってもやる事は工場の排水から重金属を除去するのとほぼ変わりはない。

 ただ今回は魔法でこのダムに蓄積された鉱滓や土砂や水を全て掌握して、崩壊魔法で混ざり合った状態を崩壊させてそれぞれに分離させるという大胆でおおざっぱな方式で行う予定だ。



「水銀、ヒ素、カドミウム、鉛、マンガン····· 金、銀、鉄、銅、ケイ素、ニッケル、タングステン、クロム、水素、酸素····· そっか、鉱滓だから重金属以外にも普通に採掘してる金属も混ざるよね」



 ただその種類が半端じゃない。


 フシ鉱山は様々な地質がぶつかり合う特異点であり、一つの鉱山から様々な金属が採れる。

 その中にはレアアースやレアメタルが採れる場所もあり、例えばウランとかもほんの極僅かで線量計にも検出されないくらいちょっとだけ含まれてたりと、元素周期表の半分は埋まるんじゃないかってくらい元素が含まれていたのだ。


 見た感じ大体60種は超えてるかな·····



「でも質量の大半はただの岩石だから、岩石は崩壊させないで分離させて付着する有害金属だけフィルタリングして崩壊させるかな·····」



 って訳で、ちょっとフィルタリング中だから黙るわ。



 ·····



 ·····




「よしできた、んじゃ早速····· 『崩壊』そして『凝縮』」



 そしてフィルタリングが完了した私は、鉱滓ダムに一気に崩壊魔法を掛けた。


 すると水面が脈打ち、徐々に水が綺麗になっていって沈殿していた岩石が分離し、水に含まれていたり沈殿していた金属が原子間の結合をも崩壊させられそれぞれ単体金属へと分離して凝縮の力によりそれぞれの金属同士で集まった。

 更に一定量まで集まった金属は魔法で浮かんだのか水面からポコポコと出てきて空へと浮かび始め、空中でどんどん集まり始めた。



「岩は下へ、水は下へ、金属は上へ····· 世界の理がぶっ壊れてるなぁ」



 そんな感じで崩壊魔法によって水中から金属の雨が降り上げる異常な光景を眺めながら、私は登山で疲れた体を癒すためちょっと座って休憩したのだっ·····



「·····エラー?あっ魔石の指定してなかった、それとリンとカルシウム·····っていうか骨?魔物も動物もある····· うげぇ!!人骨まである!?どうしよ、うん、骨は一旦分離しておこう」



 ·····なんか土砂から魔物とか動物とか人間の骨が出てきた。


 どうしよコレ。

 報告しないわけにはいかないよなぁ·····



 とりあえず骨は一旦作業の邪魔だから端に寄せておいて、私は除染作業を優先したのだった。



名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「うわ金が結構残ってるじゃん!やった!金なら魔法で作れるけど嬉しいわ!!やっぱり金っていいよね!·····骨はどうしよっかな、埋め直すのも可哀想だし、なんとかするかぁ」

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