魔王国にやって来た理由っ!
「ウギャァァアァァアアアアアアアアアアッ!!!??」
「わきゃぁぁぁぁぁぁぁああああああああっ!!!??」
\ドンガラガッシャァァァァアアアンッ!!/
静かな魔王国の高級ホテルの中に、2人の少女····· って年でもないか、2人の女性の悲鳴と何かが派手に落っこちる音が鳴り響いた。
「どうされましたか!?大丈夫でしょうか!」
「あっ····· 大丈夫です·····」
「·····失礼いたしました」
そしてその音の元凶である私は、ベッドから頭から落ちて地面にキ〇肉バスターされた側のポーズで足をおっぴろげてひっくり返っていた。
·····いや、こういう寝相じゃなくてね?普通に起きたんだけど朝起きたら目の前にエビちゃんが居てめっちゃ近くてビビってすっ転んだだけなのよ。
私が悲鳴をあげたらエビちゃんもひっくり返って反対側に落っこちちゃったし·····
まぁ、悲鳴を上げて警備の人が飛び込んできたけど状況を察したのか出て行ってくれたし、特に危険じゃなかったので私たちはとりあえず起きて着替える事にしたのだった。
◇
って訳で同室だけど別々のベッドで寝てたはずなのに私のベッドにエビちゃんが潜り込んでてお互いにビックリして転げ落ちるなんて珍事もあったけど、私たちはちゃんとした服に着替えてホテルのレストランに朝食を食べに来ていた。
「ん~美味しいっ!このジャムティーがパンと良く会うなぁ」
「わかるのじゃ、これがなかなか良いのぅ」
そんで朝食はというと、本来ならディナーかってくらい豪華なキャビアとかをふんだんにつかった豪華な料理の予定だったんだけど、朝からそれは重いって事で事前に普通の朝ご飯にしてほしいと頼んでおいて、無事にごく普通の朝食を食べさせてもらっていた。
メニューは鮭の塩焼きとスクランブルエッグみたいなのとサラダ、それとボルシチっぽいのとパンがいくつかという超シンプルな感じだけど、まず鮭がデカくて超満足感あるし、パンは普通のっていうよりブリヌイに近いパンだと思うし鮭とよく合ってめっちゃ美味しい。
たぶん鮭はこの辺りでとれたかなり良い物っぽい味がするから後で買いたいかも。
「おはようございます、エヴィリン様、ソフィ様、よくお眠りになられましたでしょうか?」
「あっはい大丈夫です」
「もぐっ!?むぅ·····」
「急いで飲み込まなくても大丈夫ですよエヴィリン様、お食事の邪魔はいたしませんので」
「んっ、わかったのじゃ」
って思ってたら、昨日からずっと案内とかをしてくれてる外交官のお姉さんが私たちのもとへとやって来て挨拶してきた。
私たちも慌てて挨拶を返そうとしたけど、いきなりだったしエビちゃんはパンに鮭と玉子を乗っけてかぶりついたところでモグモグしていて微妙な感じになってしまったけど許してくれた。
それに食べてていいって言ってくれたから私も食べるのを遠慮なく再開しよう。
鉄と料理は熱いうちに食えって言うもんね。
·····いや鉄は食べないけど。
「では食べながらで構いませんので、本日の予定をお教えいたします」
「了解なのじゃ」
「んっ」
「本日は午前10時より魔王陛下との会談の予定が入っております、そのためこのホテルを9時に出発し、15分移動して議事堂へと到着、残りは予備の時間となっております」
「·····それだけ?」
「いや充分だと思うけど?っていうか会談くらいしかガチで予定が入ってないから仕方ないと思うけど」
「その通りでございます、会談終了は正午ごろを予定しておりますが時間が未定となっております、また、午後からはエヴィリン様とソフィ様はお帰りになられるとの事なので、こちらもみていとなっております」
「そうじゃったか、失礼したのじゃ」
私たちの今日の目的でありこの国に来た目的である、魔王国のトップである魔王との会談がこの後に行われる予定らしい。
まぁ知ってたけどね。
ぶっちゃけ言って私は全然何の話か分からないんだけど、エビちゃん曰く魔王国には役職としての魔王しか居なくて最近になってやっと本物の魔王であるエビちゃんが見つかったという話が魔王国のトップの耳に入って、本物の魔王に会いたいという事で私たちを呼んだのだ。
ちなみにやっぱり魔族にとって魔王という種は特別なモノらしくて、そこら辺で色々あるらしいんだけど私にはさっぱりだった。
「·····でも、エヴィリン様がお母様から聞いていたあの伝説の魔王様だなんて、にわかには信じがたいのですが」
「一応本物なのじゃ、じゃがワシは一度死んでこうしてただの魔族の少女に生まれ変わったのじゃ、じゃから今回の会談も一応非公式って事になっておるんじゃろう?」
「その通りです」
「ふむ····· ところでお主、どーっかで見た事ある顔なんじゃが·····」
「私は戦後生まれですので、お会いしたことはないと思いますが·····」
「そうかのぅ·····」
でもかなり要約して教えてもらった感じ、魔王国は国家元首の座を本物の魔王であるエビちゃんに譲りたいと考えてるけど、エビちゃんはそれを頑なに断っていて、色々あって『両者共に非公式だけど魔王として魔王国に挨拶しに行く』っていうところで落ち着き、その話が出た当時は私たちが絶賛妊娠中で行けないから出産してある程度落ち着いた頃にって事になっていたらしい。
·····で、なんで私まで連れてこられてるの?
って思ったけど、エビちゃんが復活したエピソードを魔王国に伝えたら保護した私も連れて来いって言われたらしい。
ちなみに最初はなかよし組の全員の予定だったけど、流石に育児が忙しすぎて全員は無理という事でいつでも行って帰ってこれる私たち2人で来る羽目になったのだ。
っていうかいつまで話してるんだろ、さっさと朝食を食べて会談してちょっと観光して帰ってフェニカとルナの事見てニヤニヤしたいんだけど?
「そうそう、一応じゃが魔王が復活したというのは国のトップレベルの者しか知ってはいけない機密事項じゃから秘密にするんじゃぞ?」
「当然承知しております」
「なら良いのじゃ、ちなみにワシらは会談が終わったらそこら辺でテキトーに飯でも食べてぶらぶらほっつき歩いて帰る予定なのじゃ」
「承知いたしまs····· 失礼しました、予定変更があり昼食は魔王様がレストランを予約しておりそこでの食事となっております」
「·····そうじゃったか」
「おおお····· 政治家御用達の高級レストランかな、それとも意外とそこら辺の普通のお店とか·····!?」
「政治家御用達のレストランでございます、この国の郷土料理を味わっていただこうという事で最大限おもてなしさせていただきます」
えっマジで!?
うわめっちゃ楽しみなんだけど!
でも庶民の味を食べ歩きするのもちょっと楽しみにしてたから残念な気持ちもあるけど、高級料理をごちそうになれるなら、2人でいい物食べてるんじゃねぇ!って言われて後で皆に殴られそうだけど超楽しみだわ。
ちなみに私の目的は最初は無かったんだけど、金星の再生がほぼ完璧に完了して自然の復元とか都市の復興とか調査が本格的に始まって来たから、サイトーシス家の血と技術を若干だけど今も継いでいるこの星の魔族の町の視察をしに来たのだ。
なんでも引っ越し先の星の中で最もサイトーシスに近いのが地球で、他二つは環境に合わせてだいぶ変わってしまって元の様式がデータとしてしか残ってないらしく、今もその建築様式が残ったりしている魔王国を解析して復元に役立てようと考えている。
って事で、私に関しては完全に巻き込まれた側なのでのんびりと観光計画とか調査計画をしようと考えていたのだ。
まぁ既に昼食の予定を入れられたせいでだいぶ狂っちゃったし、最初は私は会談には参加しない予定だったのに参加する羽目になったりしたけどね。
「ちなみに今は何時じゃ?」
「現在時刻は7時43分でございます、会談までまだ時間がございますのでごゆっくり朝食をお楽しみください」
「余裕が沢山あるのぅ、じゃあワシらはのんびり楽しむとするのじゃ」
「私も」
っていう事で、とりあえずは今は美味しい魔王国の朝食を楽しむことにしたのだった。
「あっところでこのジャムって何のジャムなんですか?美味しかったんで買って帰ろうかとおもうんですけど」
「そちらはジャイアントストロベリーワームの体液ですよ?」
「「ごぱぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああっ!!!!???」」
·····だが、優雅な朝食は私たちが口から噴き出した虹で台無しになり、あまりの惨状に泡沫ムゲンの眠り姫で全部無かったことにしたのだった。
ただ、ジャムだけはイチゴ芋虫の体液ジャムから本物のイチゴジャムに現実を改変させてもらった。
うぅぶるるるっ·····
書いてる今でも思い出したら寒気してきたわ·····
よりによって虫食べさせられるなんて思ってなかったわ。
いや味はすっごい美味しいけど、あとで知ったけどあのジャムって芋虫をプチッてして作る·····
「ぎぇぇぇえええええっ!気持ち悪い!ぞぞぞぞぞぞっっ!!ってした嫌ぁぁぁあああああっ!!」
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「·····エビちゃん、魔族滅ぼしていい?」
名前:エヴィリン・アマイモン・ファゴサイトーシス
ひと言コメント
「ダメなのじゃ····· そうじゃった、すっかり忘れておったのじゃコレ····· ストロベリーワームの体液ジャムは魔族の伝統料理の一つだったのじゃ····· ワシも虫が苦手で今まで食べた事は無かったが存在だけは知っておったのじゃ····· 聞かないで食べておけば普通に美味しかったのに····· あぁぁあああっ!背中とかいろんなところがゾワッってするのじゃぁぁぁあああっ!!」




