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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第8章 TS賢者はアイを継ぐっ!
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事故は隠蔽する物さ☆


「·····おいお主、どうするんじゃこの状況」


「待って話し掛けないで、考えてるから····· とりあえず落ち着け私····· 1,1,2,3,5,8····· 8は素数じゃない····· あんまりだぁ·····」



 私は魔導鉄道の一番豪華で私たち来賓用に用意された部屋の中で、頭を抱えていた。


 その理由は、私の隣で頭にタンコブを付けてお尻を天に突き上げるようなポーズで地面に転がっていた。


 そんなはしたない姿勢をしている彼女は、私たちに付き添って色々な質問に答えてくれたりした、魔王国の外交官の人だ。


 ·····外交官を殴って気絶させたとなると、流石に国際問題になる事間違いなしだ。



\コンコンッ!/


『エヴィリン様、ソフィ様、何か必要な物はあるでしょうか』


「ひゃんっ!」

「わひゃいっ」


「はーい!わたしご飯が沢さもがふっ」


『·····今の声は?』


「あー、えええっと、わたしですソフィ・シュテインです!わたしって声真似が得意なんです!こんど身内の宴会で披露する予定で練習してました!今は欲しい物は特にないです!」


『そうでしたか、失礼いたしました、それと先程からミルシェが見当たらないのですがご存知ですか』


「ン、ンンッ、おほん····· 『失礼いたしました、もうすぐ行きますのでお待ちください、ソフィ様が魔王国伝統の料理のレシピを知りたいとの事で、教えています』」


『そうでしたか、わかりましたそのまま続けて大丈夫です、ソフィ様、エヴィリン様、何かございましたらそちらのミルシェにお声掛けください』


「わ、わかったのじゃ」


『では失礼いたします』


\ツカツカツカツカ·····/



 ·····



「·····よし行ったっぽい」

「ふぃぃ····· 何とかなったのじゃ····· お主の声真似凄いのぅ·····」


「もごー!もごごー!!」



 私はとっさに外交官のお姉さんが気絶させられる原因になったヤツの口を塞いで、そいつの声真似をしたり、外交官のお姉さん·····ミルシェさんの声真似をしたりして、なんとかバレないようにやり過ごすことに成功した。


 ·····で、とりあえず今は内側から鍵をかけて休憩中(プライベート)って事にしてなんとかその場をしのいでいた。

 そしてその場をしのがなきゃいけない理由は二つある。



 一つ目の理由は、いまこの外交官のお姉さんは気絶中なんだけど、ちょっと魂がすっぽ抜けちゃっててどこ行ったか分からなくなってるのだ。

 いや根元は繋がってるから引っ張ればいいんだけど、さっきそこら辺に引っかかってなかなか戻ってこなくて苦戦してるのだ。

 って訳で魂が無いと気絶から覚めないから、今は気合いで魂を手繰り寄せてる真っ最中だ。



 そして二つ目の問題は、私の知り合いの鉄オタで乗り鉄の女神だ。

 っていうかこの人がが全ての元凶だ。



「まったく、こっちは一応国に直接呼ばれたんで結構な大事になってますし、この列車には一般人も載ってますけど普段の数十倍は厳重にしてるらしいんで、勝手に入られると超問題なんですよ·····」


「でも、異世界の電車ってすっごい気になるんです!!わたしは旅の女神様なのでそこら辺すっごい気になるんです!!」


「自分勝手すぎる·····」



 そう、元凶は私の同期の女神様でガイア様が行方不明になった時のごたごたで日本の神界支部の高天ヶ原の財政がついに激ヤバになって神界コンビニでバイト複数掛け持ちしてまでやって何とか財政を確保していた天照様への負担が限界になってぶっ倒れ、代理として働くためになんだかんだ階級が上がったツクモさんだ。

 一応停滞していた神格も無事に上がったらしいけど、結構多忙な日々を送ってるんだとか。


 まぁそれはいいとして、何があったのかを時系列的に解説しようと思う。


 まず最初に、私たちは割り当てられていた特級室で外交官のお姉さんと休憩してのんびりカードゲームをして遊んでいた。

 そしたら突然部屋の中にツクモさんが転移魔法でやって来て、外交官のお姉さんとバッチリ目が合ってしまった。

 次の瞬間、外交官のお姉さんは悲鳴を上げると同時に確か一応魔族流の武術や護身術も習っているって言ってて即座に反応して太ももに隠してた魔導拳銃を抜き放ち、撃とうとした。

 だがそれより早く私が神速のチョップを脳天に喰らわせて一撃で気絶させ、あまりのスピードに元々魂がすっぽ抜けやすいという弱点がある魔族のお姉さんは地面に倒れた後魂がどっかに吹っ飛んで行ってしまったのだ。


 この間僅か5秒未満である。



 そして冒頭のシーンに移るまでに、約15分もの時間を要したのだった。





 更に10分後·····


「どうじゃ?魂は見つかったか?」

「なんとか····· 今持って来てる最中だけど·····」


「どこにあったんじゃ·····」


「途中の標識に引っかかってた」


「酷いのぅ」


「ねぇソフィさーん、わたし車内を歩き回ってみたいですよー」



 ·····あの女神、さっさと送り帰していい?


 とりあえず無理やり帰しても戻ってくるってわかってるからここに居させてるけど、少しは落ち着いてほしいんだけど。



「あっ戻って来た」


「よし!じゃあさっさと戻すのじゃ!」



 って内心で文句を言っていると、私の分身がすっぽ抜けた魂を拾って届けてくれた。

 こういう時に便利なのよね私って。


 そんで私は私から魂を受け取ると、早速元に戻す作業を始めた。



「えーっと、器は····· うん正常、流石は魔族だなぁ魂も全く傷ついてないよ、1時間くらいなら外に行ってても平気そうだねぇ」


「良いからさっさと戻すのじゃ」


「へいへい····· んじゃちょっと集中·····」



 魔族の魂は特別強く、人間だったら即死するレベルの魂への衝撃でも耐える事が可能で、しかも器の外に出た魂が耐えていられる時間も他の生物に比べて圧倒的に長い特殊な生態をしている。


 ただし弱点もあって、割と簡単に魂がすっぽ抜けてしまうのだ。


 まぁ戻りやすくて放置していれば5分もあれば元通りになるんだけど、今回は途中で引っかかってしまった影響で私が直接戻らせる必要があったのだ。


 って事で、いくら頑丈な魂でも元の場所に戻すのはちょいと大変で繊細な作業なので、私はめっちゃ集中しはじめた。



「·····ッ!」



\シュバッ!/



「よしオッケー!!っぷっはぁ!やっぱり苦手だわ!!」


「じゃが前よりはスムーズになったのぅ」


「でしょ?練習したからね、一応」



 めっちゃ集中したから喋ってなかったけど、私は無事に外交官のお姉さんの魂を元に戻すことに成功したのだった。

 ちなみに私はここ1年で魂を扱う技術がかなり上がった。


 っていうのも一度だけ聖女3人組の1人のシトラちゃんが好奇心で町の外に抜け出してしまい、魔物に襲われて致命傷を負って決死の転移魔法で戻って来た事があったのだ。


 ·····ただ、致命傷を負った状態では転移魔法の反動に耐えきれず私が行った時にはもう死んでいて、ギリで魂が現世にとどまっていたから私が本気で治療して戻してギリなんとか助かった事件が起きて、それ以来私は苦手な魂の取り扱いの練習を頑張っていたのだ。


 ちなみにそのシトラちゃんはというと、無事に後遺症もなく生還して今は聖女になるためにかなり頑張って勉強中だ。

 でも代償として魂とか幽霊が見えるようになってしまったし、幽霊に好かれる体質になってしまって毎日怖くて困ってるんだとか。



 ·····まぁそれは良いとして、一つ目の仕事はおわったしこの人は放置してりゃ起きるだろうから、次の仕事をしよう。



「ツクモさん、次こそはちゃんとアポ取ってくださいよ?だからこんな大騒ぎになってるんですよ·····」


「わかりました!次はアポをとる!しっかり覚えておきます!·····ところでアポとアポロって似てますよね」


「はあぁぁぁ····· 流石に買って無いんで無いですよ、『泡沫ムゲンの眠り姫』、世界を書き換えろ」



 ◇


 ◆



「うぅん····· はっ!申し訳ございません!来賓のお二方····· いえお三方を置いて眠ってしまいました」


「いえいえ、気にしなくても大丈夫でしょ!·····事情が事情なので」

「ソフィ、声が漏れておるのじゃ、あー気にせんでよい、ワシらは寛容じゃからのぅ」

「そうですよ!あと何か食べたいです!」


「感謝いたします、では何か軽食をお持ちいたします」



 ·····仕事熱心な人だなぁ。


 あの人、気絶から覚めた途端働こうとしてるよ。



「っう、あれ足が····· 申し訳ございません、少々お待ちくださいませ·····」


「いや良いですよ、変な姿勢で寝てたんで体を痛めたんでしょう、少し休んでいて大丈夫ですよ」


「お心遣い、ありがとうございます·····」



 まぁでも魂が引っこ抜けた衝撃は流石に魔族でも厳しいから、さっき立ち上がれた方がだいぶおかしいのよね。

 この人も立ち上がって歩こうとしたけど魂が上手くなじんでないせいで足がもつれて転びかけてたし。



「んじゃ私たちは3人でちょっとぶらぶら歩いてくるので休んでいてくださいね、あーあともし途中で上司さん達にあったら足を捻って部屋で様子を見てるって事にしておくのでご安心ください」


「·····感謝いたします」


「じゃあちょっと行ってきますねー」



 って訳で、私とエビちゃんとツクモさんは3人で車内探索を始めたのだった。





 その後、私たちは車内を巡って私とエビちゃんは見飽きた車窓の景色を見て大興奮するツクモさんをなだめたりしながら進み、結局売店のある車両のテーブル席に座って落ち着いていた。



「ん~っ!美味しいです!間に挟まっているのが何かよくわからないですけど、コクのある甘みがしてピーナッツバターのような濃厚さと油っぽさは感じますがこってりとしていてとても美味しいです!シンプルが故に素材の味が感じられて美味しいパンですね!人気なのも納得です!」


「わかる、それ美味しいよね」


「·····ワシ、それ知らんのじゃが?転生前はそんなのなかったのじゃ」



 んでツクモさんが食べているのは、魔族の定番軽食だという菓子パンだ。


 見た目は完全に菓子パンのシベリアだけど、間に挟まっているのが多分ナッツ類で作られた羊羹みたいなモノで、しっかり食感だけどクリーム感があってかなり美味しいパンだ。


 牛乳がめっちゃほしくなるくらい甘いけど、この寒さの中だったらそれくらいが丁度いいのかもしれない。



「んっ、そう言えばソフィさん、泡沫ムゲンの眠り姫ってなんなんですか?わたしが居ても元からいたみたいに皆さん認識してますけど·····」


「あー、このスキルは現実を変えてしまう特殊な力があるんですよ、目を瞑ると起動して、目を開けると発動するんです、例えば····· こうやって目を瞑って『ツクモさんは菓子パンを食べきった』って考えてから目を開くと·····」



 私が目を開くと、皿の上から無くなっていたはずの菓子パンが完全に元通りになっていた。


 このスキルは『事実』を夢として認識し、それから目を覚ます事で現実を変えてしまう文字通りのチートスキルだ。

 これを使えば攻撃の瞬間を無かったことにして飛ばして当たらなくするとかいうキングク〇ムゾンごっこもできちゃうのよね。


 まぁ実際ラスボス的な能力だからあながち間違いじゃないんだけど。


 でも今回はそれを使って、この電車に元々ツクモさんが乗っていたという風に事実を書き換えてしまったのだ。



「ね?」


「す、すごいですっ!!これでご飯が無限に食べられますね!!」


「あーそれがちょっと違うんですよ、そのお菓子はさっきツクモさんが食べた物で、食べてなかったことになっただけなんです」


「え·····」



 ·····そう、この泡沫ムゲンの眠り姫には弱点があって、こういう風に時々ちょっと不便だったり、例えば無からおにぎりを追加したりとかするのは面倒な手順を踏まないといけないから物凄く便利だけどちょっと欠点もあるのだ。


 でもこうやってツクモさんが元からいたことにするとかもできるのは便利過ぎるよね。



「·····まぁ、私が使えるようになった新しい力なら本当に増やせるんですけどね」


\ポンッム☆/

「えっ?あっ増えてる!?」


「まだ使いこなせてないから名前は決めてないんだけど、こうやって『現実に事実(テクスチャ)を書き加えて改変する』っていう力をつかえるようになったのよ、創世魔法の概念特化の上位バージョンって言ったところかな?」


「いつ見てもヤバいのぅ·····」



 そして、私の概念ぶっ壊しスキルはもう一つあった。


 名称未定の新スキルは、新しい概念や物事を現在に差し込んだり削除する事で書き変える系の使い方によっては物凄い事に使えそうな能力だ。


 これを使えば無条件で物を増やしたりできるから意外と便利なのよね。


 あと泡沫ムゲンの眠り姫と違って辻褄を合わせる事で物を生み出したり変えたり消したりするんじゃなくて、スパッと変えられるのと目を瞑らなくても良いのが利点だ。


 ちなみに今までやってた『テクスチャ』の上書き能力の応用的な····· そしてちゃんと制御できるようになったからこそ出来た本来の力だ。



「ちなみに味は保証するよ、はむっ」


「あー!それわたしのですよぅ!!」


「私が出したんで私のですよ、っていうかまだ残ってますよ?」


「本当です!!·····なんか頭が混乱しちゃいます」


「んはは、まぁ次は買ってくださいね?流石に商売の邪魔になっちゃうんで」

「はぁい·····」



 って訳で私は魔王国の旅路に1人追加·····いや元からいたか、まぁ何だかんだ3人で夕暮れの車窓を眺めながら魔王国へと向かう電車の旅を楽しんだのだった。



名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「でもぶっちゃけ言って泡沫ムゲンの眠り姫の方がだいぶヤバいのよね、だって変えたい事象の前後まで自動で勝手に変えちゃうし····· 本気で眠り姫の方がヤバい、デメリットが無いせいであまりにも強すぎて私でさえ使うのを自重してるし、使い過ぎるとアイツ出てくるし·····」


名前:エビちゃん

ひと言コメント

「あやつのぅ、使わんから助かっておるがもしアレを使われたらワシは一切触れる事さえできず負けるのじゃ、なんじゃよあの『負けたという事実(テクスチャ)で覆う』とか言って一瞬で敗北させられたのは····· 理不尽すぎるのじゃ·····」


名前:明星 木兎萌

ひと言コメント

「すごいんですねソフィさんって!はい!褒めたんでもう一個出してください!·····ダメですか?アマテラス様は身長を褒めたらすぐプリンをくれるんですが·····」


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