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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第七章 TS賢者は子育てに奔走するっ!
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騒々しいくらいがちょうどいいっ!



「オーラーイ、オーラーイ、はいオッケーです」


 ぎゅぅぅぅぅううううん·····

 ガチャンッ


 パシュゥゥゥウウッ



 私たちは桟橋に居た係員の少年に手伝ってもらいながら魔導戦闘機を桟橋に係留し、コックピットのハッチを開けて久しぶりに外へと出てきた。



「よいしょ、案内ありがとうございました、予約なしなのですが大丈夫でしょうか?」


「構いません、空挺師団も空の男たちにも明日を見る暇なんてありませんから」


「·····ソフィちゃん、どういう事かわかる?」



 どうやら少年の言っている詩的な言い回しがフィーロ君にはよくわからなかったようだ。

 ちなみに私もよくわからんかったけど、なんとなーく意味は伝わって来たからそれを伝えよう。



「たぶん、空の警備隊の空挺師団も、空賊も賞金稼ぎもいつ墜ちるか、それとも墜とされるかわからないし、空賊が予約なんかするわけないから、誰でも来れるように予約不要にしてるんじゃないかな」


「ご名答です奥様、ここはレストラン『ウィンディ』、その名の通り空に魅せられた人々が崇拝する風の大精霊様がオーナでして·····」


『風は全ての人に吹く、それは秩序を守る正義の味方にも、人を殺め資材を奪う罪人にも、罪人を倒す者にもね、だからこの店は風のように誰でも来れるようにしたんだ、だからようこそルミナリアのご友人さん方、ボクはここのオーナーにしてしがない吟遊詩人にして全ての空にあこがれる者が崇拝する風の大精霊『ウィンディ』だよ』


「あっども·····」



 どうやらこのお店は空を飛ぶ者であればだれでも使えるレストランだったようだ。


 っていうか、敵対してるはずの空挺師団と空賊が一緒に居れるお店ってすごいな····· アレかな、サバンナの水飲み場みたいに肉食獣も草食獣も共通認識で『襲ってはいけない場所』と認識してるような感じで、唯一許された憩いの場って感じなのかな?



『大正解、よくわかるねぇ』


「うわバレた」


『風はどんな噂でも届けてくれるからね、ちなみにこの辺りはボクの聖域だから全ての空に憧れる者たちは無礼を働いてはいけない、ここだけは風を求める者たち同志で仲良くしよう、美味しい料理と歌を皆で分かち合い楽しもうってボクが言い聞かせてるからね』


「·····裏を返せば、空を飛びたければ、風を捕まえたければ、ここでは立場を忘れて仲良くしなさい、さもなければ二度と空へ踏み入れさせないって事ですね?」


『うーん、せっかく詩的にしたんだからあまりそう言わないでほしいな、ボクはヒトが作った歌と料理とお酒が好きなんだ、だからこの店は止まり木、ヒトの文化に触れるため止まることなく吹き続ける風であるボクが止まるために必要な止まり木なんだ、そしてそれはボクだけじゃなくて、風に乗る渡り鳥たちにも必要だからね』



 つまり、誰でもウェルカムって事ね。


 おっけー理解した。



「ではお言葉に甘えて、止まり木を使わせていただきます」


『ふふふ、何名様でしょうか?』


「あっそこは普通に聞くんだ·····」


『だってお店だからね』





 って訳で、2名様がレストラン『ウィンディ』に来店し、その2名様である私たちは比較的静かなレストランフロアの端っこにある窓際の席に案内されて外の景色を眺めながら食事を楽しんでいた。



「いい景色、それにドリンクも美味しい·····」

「お酒は飲まなくてよかったの?」


「だって吞んだら飲酒飛行で墜落しちゃいそうだし?」

「なるほど·····」



 ·····まぁ料理は注文したけどまだ届いてなくて、今は頬杖をついて部屋の中央から聞こえる喧噪とそれをかき消すほどの美しい風の大精霊の歌声を聞いて、窓の外に広がる美しい景色を楽しんでいた。


 騒いでるのは小汚い空賊たちだけど、全員楽しそうに肩を組んで精霊の歌を聞きながら昼間っから酒を飲んでなんだか楽しそうだった。

 それに流石に立場を忘れろと言われても捕まえる相手だから気まずいのか参加してないのか知らないけど、空挺師団の人もちらほら居て、なんなら一部の人は空賊の人と談笑をしているのが時々目に入るし、つるんではいないけど貴族の人も来て美味しそうに料理を食べていたり、本当にカオスだけど面白い場所だ。


 やはり、ここでは身分も何も関係ないらしい。



「よう嬢ちゃん、それに若旦那、そんな隅っこの席でいいのか?ヒック、ここぁ真ン中の席が一番、ヒック、一番いいんだぜ?」


「いやぁ、それも良いなぁって思ったんですけどね、この窓から見える景色も好きなんですよ」


「そうかぁ?ここぁ騒いでナンボな場所だぜぇ?」



 こんな感じで、空賊のおっちゃんが樽ジョッキ片手に千鳥足で私たちの座る窓際の2人席にやって来て真ん中にある舞台の近くに来ないか誘ってくるくらいには、身分も立場も肩書も関係ない場所だ。


 ちなみに、このお店は精霊が調理の合間に歌を披露する中央のステージ周りが一番の人気席で、すっごい絶景の窓際の席はあまり人気のない三等席らしい。

 現にこの辺りで座ってるのは私たちくらいで、大半の客は一段低くなっているステージ周りに居るから目に見えてわかるもん。


 でも私はこの場所が一番好きだ。



「ここの景色もいいですよ?飛空艇が行き交う空と、綺麗な海、それを引き立てる島々が見えるんで私は好きなんです、貴方もこの景色が好きで、この場所が好きで飛んでるんですよね?」


「あぁそうだ、俺たちゃヴェルグの海と空を駆ける空の男だァ!好きに決まってんだろォ!なぁテメェら!!」

『『応!!』』


「んふふ、空の男っていいですね、私たちはここで皆様の様子と皆様が飛ぶ空と海を見ていたいので、気にしないでお仲間の所に戻ってもらって大丈夫ですよ」


「おう!」



 私がそう言うと、空賊のおっちゃんは機嫌がめっちゃくちゃ良くなったのか楽しそうにしながら仲間たちの所に戻って行ったのだった。


 ·····あれ戻って来た。



「っと、注文の品物だぜ、ジェノベーゼ・ウィンディパスタとヘンセイフウチョウのスープ、それにどっかの婆ちゃんが焼いた絶品のパンだ、それでこっちがヘンセイフウチョウの風香草焼きのトラメッツィーニとスパゲティ・アレ・ボンゴレだ」


「えっ店員さんだったんですか?」


「ちげぇ、空賊だァ!ただちとツケが返せなくてよぉ、ここで働いてんだ」


「·····なるほど」



 どうやらさっきの人、空賊だけどツケで飲んでたら金が返せなくなってここで働かされてるらしい。


 まぁそう言うのも面白くていいけどね。



「んじゃいただきます」

「僕もいただきます」


\バァンッ!/



『ソフィはどこじゃ!!』


「いらっしゃいませお客様、何名様でしょうか?」


『あん?何じゃ貴様は、わらわは伝説の焉狐、疫刻須宮じゃぞ?』


「一名様ですね、こちらへ」


『·····どうも、あっ居た』


「うげぇ·····」



 ·····美味しそうなジェノベーゼパスタを食べようとしたら、邪魔が入って来た。


 っていうか生きてたのか疫刻須宮さん。



「こっちこっち、その人私の知り合いなので」


「·····???」

「畏まりました、では····· イェッコクスノイャー様、こちらへ」


「わらわは疫刻須宮じゃ!ヤッコクシュノミヤじゃ!!」


「まぁまぁ、発音しにくいので仕方ないですよ」



 私は無視して他人のフリでもしようかと思ったけど、ここは身分も立場もしがらみも関係ない風のレストランだから、今回は気にしないで呼ぶことにした。



「·····やけに素直よな、どうかしたんかや?」


「ここでは敵も味方も怨みも気にしちゃダメなんですよ、ただ美味しい料理を食べて心地よい音楽を聴いて、みんなで騒ぐ場所なんですって」


「なるほどなぁ、じゃがわらわは許さっ····· \ガオンッ/ッ!!!???!?」


「·····あー、あそこの吟遊詩人、風の大精霊でぶっちゃけ私でも下手したら歯が立たない相手なので怒らせない方が良いですよ」



 だって、風の大精霊さんを怒らせるイコール死だから。


 彼は風を操る力を持っている、正確には『大気と対流』を司る存在であり、もし彼が本気を出したなら暴風が吹き荒れる竜巻を発生させられるし、そして逆に怒らせた者の周囲を真空にして一瞬で殺す事だって容易だ。



 動物は、その中でも人間は水を飲まなくても何も食べなくても数日は生きていける。


 だが酸素だけは別だ。

 たった3分という僅かな時間でも酸素が無くなれば、生命は簡単に死に至る。



 ·····この聖域は、彼が自分で定めた『ナワバリ』であり、風そのものである彼の手のひらの中でもある。


 それはつまり、彼がその気になれば、いつでも私たちをたった数分で死に絶える可能性もある危険領域に居るという事になるのだ。



「わかった、ここでは一旦すべてを忘れよう、許してはおらぬがな」


「へいへい、じゃあこれメニューだから好きなの頼んでいいよ、奢るから」


「·····なんか調子狂うのぅ、まぁええじゃろう、店員、コイツと同じのを頼む」

「えっ僕のなんだ·····」


「緑と野菜は苦手じゃ」



 まぁ、だからここでは一旦忘れて美味しいジェノベーゼパスタ····· より先に、このスープを楽しm



\カランコロン/


『さっきの少女はどこだ!?』


「いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」


『『おっ旦那ァ!!こっちだこっち!!』』

『待てお前ら!俺は、待てやぁぁあああああっ!!』



 ·····さっき絡まれた空賊も来たわ。

 まぁほかの空賊に即絡まれて連れてかれたけど。


 まぁそれもまた一興って事で、私は風の大精霊が作った美味しいスープとローストビーフが乗っかった豪華なジェノベーゼパスタを、美しい景色と綺麗な歌と耳障りな喧騒と疫刻須宮という心地良い雑音たちと、そして大好きなフィーロ君と一緒に楽しんだのだった。



名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「あー美味しいわぁ、いいねここ、今度はみんなを連れてきたいなぁ····· 今日は静かにのんびりしたいから絡まなかったけどさ、次はワイワイするのもいいかもね!·····まぁ、これから凄く忙しくなるから、いつのんびりバカンス出来るか分かんないんだけどね、はぁ····· まったくあの女神は·····」


名前:フィーロ・シュテイン

ひと言コメント

「賛成、料理もおいしいしなんだか雰囲気も良いし、みんなで来てワイワイ騒ぐのもいいと思う」


名前:疫刻須宮

ひと言コメント

「異世界の飯うっま!!なんなのじゃこれはぁ!!」

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