神界エネルギーチューチュー事件
どこかの遠い、はるかかなたの別宇宙で·····
「フハハハハハ!!よくぞ来た英雄エーユーン共よ!!その褒美としてこの邪王ジャオーンが直々に貴様らを葬ってやろう!!」
「邪王ジャオーン!お前を討ってこの世界に平和を取り戻す!!」
世界を侵略し支配せんと企む邪王ジャオーンとの戦争は終局に差し掛かり、ついに人類たちの英雄エーユーンが敵の本丸へと攻め込み、邪王ジャオーンと対峙していた!
しかし、邪王ジャオーンは秘策を用意していた!!
「フハハ!!見るが良い!これが何か分かるか!」
「·····なんだこれは!!?」
邪王ジャオーンが指した先には、空を穿つ程の巨塔がそびえ立ち、禍々しい気配を放っていた。
「これは神の世界から力を奪い取る魔導具だ!これで我輩は神となり世界を支配するのだ!フハハハハハハ!!!」
そう、これは神の世界から魔力を奪い取り、邪王ジャオーンが世界を支配するに相応しい力を得るための装置なのだ。
その大きさは凄まじく、邪族の技術を結集し建造され、神の魔力を邪族でも扱えるようにする変換器などを搭載した結果、城よりも遥かに大きくなった禁断の魔導具だ。
「やめろ邪王ジャオーン!そんなことをすれば、神々の世界が滅んでしまう!!」
「やめろと言われ止めるマヌケが何処にいる!!フハハ!!それに既に起動済みだ!もうじき塔は天を穿ち神の世界の全てを奪い尽くすだろう!!フゥハハハハ!!!」
「ヤメロォぉぉおおおお!!!」
/バリィィイイインッ!!\
その瞬間、塔の先端が空間を破り神の世界へと突入し、神界に溢れる魔力を吸い出し始めた!!
「ウオォォォオオオオオオオッ!!!!力が、チカラが漲って来るぞぉぉおおおおお!!!」
◇
神界で仕事をしていた私は、ちょっと休憩するべく美しく手入れされている神界の庭園をカフェラテ片手に散歩していた。
「んーいい景色、·····ただ綺麗すぎてちょっと恐怖感じるレベルなんだよなぁ」
ちなみにこの庭園は暇な神々がめちゃくちゃ手の込んだ手入れをしてるせいですんごい事になっている。
しかも神だけじゃない、神にその腕前を認められた職人が死後もこの世界で作品を作り出してるのだから、凄まじすぎる作品が数多く立ち並んでいる。
例えばあそこの裸婦像、あれミケランジェロの作品で、その隣にはミョルナチフの作った銅像·····
あっミョルナチフは別世界の銅像の巨匠だから言ってもわかんないか。
まぁそんな感じで、知ってたり知らなかったりするけれど、全員神級の人が集まって好き勝手作った庭がここなのだ。
「これがタダって怖いなぁ·····」
そんな時だった。
\プスッ☆/
\にょきっ/
「··········ん?何これ」
なんもない空間からなんかほっそいストローみたいなのが生えてきた。
えーっと·····
「私現代アートはわかんないんだけど·····」
ちなみに現代アートの作家も呼ばれてるんだけど、なんていうか、うん、あそこで木に逆さ吊りになって自分の髪に絵の具付けて風で揺られながら地面に絵を描いてる。
何してんのあの人。
\チューーーーッ/
「うーん····· うん?なんか空気吸い込んでる?」
意味不明な現代アートの作家を横目に見ながら、変なストローを見てみるとなんか空気を吸い込んでいた。
「なんかの施設の換気用の管·····にしては細いよなぁ、なんだろこれ」
◇
「ぐあぁぁぁあああっ!!」
「フハハ!!どうだ神の力を得た我が力は!!」
「つ、強い·····ッ!!」
神の世界より力を奪い取り神の力を得た邪王ジャオーンは、英雄エーユーン率いる人類軍をたった一人で圧倒していた。
放つ魔法は最弱の火魔法が極大火球魔法に変わるほど強くなり、更に無尽蔵に魔力を得ているのか無限に魔法を使い、身体強化もされているのか英雄エーユーンの攻撃を軽々回避し、周囲の巨大な瓦礫を素手で投げて戦っていた。
更にその姿はより邪悪な見た目へと変化し、邪王を超えた邪神と呼ぶべきモノとなっていた。
「くそっ、倒すにはどうすればいいんだ·····ッ!!」
「フハハハハ!!吾輩はあの装置がある限り無敵だ!!貴様らには勝てん!!」
「クソォォオオオッ!!」
「さぁ、世界を滅ぼす前にまずは貴様らからだ!喰らえ、極大火炎まほっっっっ·····!!?」
\すかっ☆/
「ぐっ!?な、何故だ!なぜ神塔から魔力が出てこない!!何が起き」
「今だ!!」
\ゴスッ!/
「ぐあっ!?き、貴様ァァアアアッ!吾輩のバリアが消えた隙を突くとは、卑怯なッ!!えぇい!まだ治らんのか!!」
◇
\ン゛ゅーーーっ ·····/
「んー、吸引力はすんげぇ弱いな·····」
私はストローのさきっちょに指を押し付けていた。
まぁ、うん、なんか被害があったら後で謝りゃいいからとりあえず吸い込みを指で止めてみたんだけど、特に何も起きなかった。
「うーん····· 空間から突然ストローが飛び出す現象なんて私知らないし····· なんだろコレ」
とりあえず私は指を離してみた。
◇
「さぁなんかよく分からないけど弱体化したしトドメだ邪王ジャオーン!!」
「ぐぁっ!!くそっ、クソォォォオオッ!!吾輩が、吾輩がこんな所でェェェェェッッ!!!」
\ガギンッ!!/
「何っ!?なんだ!!?」
「むっ!!神塔の機能が·····ッ!!フハ、フハハハハ!!神塔の機能さえ戻れば貴様など雑魚同然ッ!!形勢逆転だッ!!」
「なんだと!!?·····ん?何だこの臭いはッ!!くそっ、毒ガスか·····ッ!!」
「む?·····臭いッ!?な、何が起きた·····ッ!!」
◇
\ブッ/
「あっやべ屈んだらオナラでちゃった····· 昨日みんなで焼き芋パーティしたしなぁ、うぇっ臭····· あっそうだ、丁度いいじゃん、コレに吸い込ませて証拠隠滅しよっと」
\ヂューーーーぢゅゾッ!!?/
ついうっかり排気ガスを放出してしまった私は、証拠隠滅のために出てたストローに吸わせておいた。
·····まさか時空忍者が空間の狭間に居て空気吸うためのストローじゃないよね?
そしたら申し訳ない事やっちゃったかも·····
い、一応謝っとこ。
ごめん。
◇
だが、ストローの先はごめんじゃ済まない事態に陥っていた。
「クソッ!!神塔はどうしたんだ!!突然止まるしオエッ!突然臭くなるし·····ッ!!神よ!!吾輩に恨みでもあるのか!!」
もし私が見てたら、まぁそりゃ勝手に魔力吸ってたら怒るわって言ってただろう。
「·····何がなんだかよく分からないがチャンスだ!!喰らえ邪王ッ臭いっ!!」
「えぇい吾輩は臭いなんて名前ではない!!」
「事実臭いだろ!!」
「貴様、許さんぞ·····ッ!!よくも吾輩をコケにしてくれたな·····ッ!!吾輩の最大最強の一撃でこの大陸諸共消し飛ばしてやるわ!!」
「なんだとーーーッ!!?」
そして余計な事を言って邪王を怒らせた英雄が、邪王に切り札を使わせてしまった。
天に突き上げた腕にまるで炎が龍のごとく巻き付き、凄まじい炎となって天高くの登り始めた。
その大きさははるか天空まで伸びる神塔に迫る勢いで、それに並ぶ神塔も急激に魔力を吸い出しているのか眩く輝き、まるで2つの龍が·····
◇
「うーん····· なんかちょっと吸い込み強くなったな·····」
一方その頃、神界に居る私はちょっと吸引力が強くなったストロー(※神塔の先っちょ)を見てどうしようか悩んでいた。
ちなみに押し戻そうとしたけどやめといた、折ったら下手したら怒られるかもだし。
「·····ストローみたいな形だし吸ってみるかな?いややめとこ、さっきのおなら逆流してきたらなんか嫌だし····· そうなると吹くしかないよね!!」
\スゥゥゥゥゥウウウウウウウウッッッッッ!!/
私は大きく息を吸い込み、更に最近習得した気体を4次元的に圧縮することで肺の体積を遥かに超える容積の気体を吸い込める技を使い、一気に空気を体内に溜め込み·····
\ヂューーーー·····/
「せぇのっ」
「くらえ吾輩の奥義!邪王獄炎龍火
「邪王ッ!!止めろぉぉぉおおおお
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「ンなっ!!?神塔がッッ!!って爆発がッ!!
「塔が壊れたぞ!!·····ま、まて、この爆発はッ!
その瞬間、神塔が凄まじい勢いで破裂した。
それもそのはず·····というか、無調整の4次元魔力はあんだけ僅かな吸引力で極大魔法を連発できる程なのに、私は12億ℓ(※東京ドームの容積とほぼ同じ、成人男性の24億倍)の息を吹き込んだのだ。
過剰すぎた魔力は極限まで圧縮、縮退し、塔内部の空間を折り畳むようにして蓄積、そして縮退圧が限界を迎えた瞬間に空間が崩壊、『真の真空』の極小の泡が出現した。
そして『真の真空の泡』は余剰魔力を用いて光速を超え膨張、邪王ジャオーンのジャオーン王国を瞬時に原子どころか原子内部の原子核の中の核子の中のニュートリノさえ崩壊を起こす現象『真空崩壊』を引き起こし完全消滅した。
·····が、宇宙の終焉たる『真空崩壊』がその適度で終わるはずがない。
『真空崩壊』の泡は大陸を飲み込み
惑星そのものを飲み込み
衛星をも飲み込み
恒星をも飲み
オールトの雲も飲み込み
星系を丸ごと食らいつくしてなお拡大
周辺の恒星系を飲み込み
銀河系をも飲み込み
周辺銀河をも巻き込みながら拡大し続け
宇宙単位の巨大な空白領域『ヴォイド』を形成し
ようやく魔力が尽きて真空崩壊は終わりを迎え、最終的に宇宙全体が揺れる程のとてつもない爆発を起こし、消滅した。
·····神の力には、易々と手を出してはならないのだ。
「···············(汗)」
『あーあ····· やっちゃったねぇ·····』
「··········(脂汗)」
『脂汗だけで揚げ物出来そうだねぇ』
私は先端が破裂して花みたいに裂けたストローを持って、脂汗を流しまくりながら呆然と立ち尽くしかなかった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「·····神の力を盗んだ罰って事でなんとか許して貰えたわ、まぁあの世界の修復やらされる羽目になったけどさ····· えぇとアカシックレコードの予測だと邪王が勝った場合、邪王国が世界を統一、なんやかんや統治しきれなくなって半民主主義みたいなのが発足して平和な時代が来る、英雄側が勝つと····· うげ、戦乱が世界規模に拡大した挙句人類滅亡かよ、まぁアホそうだったしなぁ····· よし邪王に勝たせよ」
名前:ガイア
ひと言コメント
『·····もう全部任せてもいっかなって思ったけど、まだちょっと心配だなぁ』




