びっくり京都土産!〜いらないお土産編〜
とあるシャイな神様の料亭で神饌を頂いた私たちは、夜の京都観光を終えて異世界へと、ディメンションルームへと帰ってきた。
ただ、帰った時には既に22時で今からお土産を出したり土産話をしたら寝る時間が無くなるので、そういうのは明日やる事にして私たちは眠りに就いた·····
·····けど、私は起きていた。
「ん〜っ♡ やっぱりあっちの鉱物はいいなぁ、三連双晶アレキサンドライトの美品が手に入るなんて思ってなかったし、いい買い物ができたわぁ·····」
私は京都の祇園で買ってきた鉱物を、あの料亭で買ってきた御神酒をちょっとだけ呑みながらフシ町の夜景をバックに眺めていた。
私が今回買った石は10個近くあるけど、その中でも特に気に入っていたのはこのアレキサンドライトだ。
アレキサンドライトはウナちゃんの結婚指輪にも使われている世界三代希少宝石の1つで、通常光の下では青緑、白熱灯やロウソクの光の下では赤色に変わる不思議な石だ。
更にアレキサンドライトが属するクリソベリルという鉱物は特殊な結晶が出来ることでも有名で、六方向に花弁のように結晶が成長する『三連双晶』と呼ばれる結晶が出来る特徴がある。
私が手に入れたのもこの三連双晶の標本で、大きさは1cmに満たないが歪みがほぼ無い完璧な三連双晶かつ僅かに宝石質で光が透き通る美しい標本だった。
まぁ、物凄く高かったけど後悔はしていない。
何せコレクターにとっては憧れで垂涎の的なのだから。
あと、今度はロシアのダイヤモンド鉱山に殴り込みに行って、天然の1cmくらいあるダイヤモンドの八面体結晶を買ってこようと思う。
こう見えて私はロシア語ペラペラなのよ?
ボルシチ!ハラショー!イクラ!!
\ぢりっ·····/
「·····んっ?」
ほんのり酔っ払って変な事を言ってると、私の第六感が何かを感じ取った。
生憎微弱で、私は酔っていてよく分からなかったけど、確実に何か変な感覚がした。
私は急いで出していたコレクションをインベントリに収納すると、酔い醒ましを兼ねてフシ町の自宅のベランダへと出てきた。
「·····なんだろ、なんか来たっぽいね、私たちが帰ってきたのに紛れてロクでもないものが紛れ込んだかな?」
ただ、星明かりと月明かりで照らされたフシ町は、いつもと変わらないように私の目には見えた。
◇
翌日·····
\コンコンコンッ/
「はぁーい」
私がほんのり二日酔い気味で京都で買ってきたちりめん山椒と漬物で和な朝ごはんを作っていると、誰か来客がやってきたようだ。
この時間に誰かが来るのはちょっと珍しいけど、時々あるのよね。
って事で無視するのも良くないし、私はちゃちゃっとエプロンの紐を解いて朝ごはん用に焼いていた焼き鮭の時を止めて一旦焼くのを止めて、玄関に向かっていった。
\コンコンコンッ/
「はいはい、今開けますよー」
\ガチャッ/
そして、玄関にやってきた私はドアの鍵を開け
\ガチャンッ!!/
「わひゃんっ!?」
『くははは、やはりここじゃったわ、わらわは伝説の大妖狐····· いや、神話の存在『焉狐』に至った疫刻須宮じゃ、忘れたとはいわせん、ここで会ったが1000ねn』
「うわぁ!出たエキノコックス!帰れ!エンガチョ!エンガチョッ!!お帰りやがれくださいッ!!」
\バァンッ!!/
『ぢょわっ』
·····えっ?
いや、なんで昨日見たあのアホキツネが居るの?
いやまぁ確かにロクでもないものだったけどさぁ·····
玄関のドアの先にいたのは、昨日私がとっちめた妖狐の····· 名前なんだっけ、エキノコックスじゃなくて、ええと····· たしかラッコクニミャーみたいは名前の人だったと思うんだけど·····
\コンコンコンコンコンコンコンコンコンッ!!/
私はドアをノックする音が鳴り響く中、暫く頭を抱えたのだった。
◇
その後、ずーっとコンコンとドアを叩いてきて流石はキツネと思って諦めた私は、チェーンを掛けてドアを開けた。
ちなみに案の定ラッパフキヤーはチェーンがちぎれそうな勢いでドアを開けてきた。
「·····何の用ですか?」
「決まっておるわ、貴様に再度決闘を申し込むためよ!今度は負けぬ!!」
「なんでこの世界にいるんですか·····」
「くっふっふっ·····わらわは焉狐ぞ?世界を越えることなぞ容易いわ」
·····めんどくせー。
帰らせたいんだけどマジで。
「っていうか、エンコエンコって、指でも詰めて来たんですか?」
「違うわっ!!終焉の狐!それで焉狐じゃ!!」
あぁ·····
またわかりにくい名前を付けたなこの人、ホント迷惑なんだけど。
「はいはい、もう私の負けでいいのでさっさと帰ってくださいよ、っていうかエキノコックスが怖いんで帰ってくれません?」
「わらわはエキノコックスには感染しておらぬっ!!そもそもエキノコックスの分布域に京都は入っておらぬ!北海道と愛知県の一部だけじゃ!!それにじゃ!これを見るが良い!妖界総合病院で出されたエキノコックス非検出証明書じゃ!わらわの身体に虫なぞ居らぬっ!!あとそれ、妖狐への最大限の侮辱じゃからな!!」
「·····ホントだ、まぁそれはわかりましたけど朝から騒がないでくれません?周囲に民家は無いですけど近所迷惑なので」
「なに?わらわは時代が時代なら神と崇められ大社を建てられる伝説の存在ぞ?」
「でも神社小さかったじゃないですか」
「ぐふうっ!!き、貴様ぁ!!言ってはならぬ事を言ったな!?」
あっいい感じにクリーンヒットしたみたいだ。
やっぱり気にしてたんだ、表に社を作るのって大変らしいしなぁ·····
しかも京都の土地価格結構高いんだってさ。
ずっとこっそり観光に付いてきてたハゲ丸がそう言ってたわ、あの人競馬場に入り浸ってるみたいだから世間話とかもよくしてるらしいし·····
教えてくれてありがとう、ハゲ丸。
「はいはいごめんなさいね、帰れないなら送りますよ、なんでしたっけあの神社、あっ思い出した!おんじ呑み屋でしたよね、帰しますよ?」
「コヤァァァアッ!!きさまぁ!わらわをバカにするのもいい加減にしろ!!さもなければ、両手で使えるようになり進化したわらわの『握』で捩じ切るぞ!!」
あっ、両手で使えるようになったんだ。
片手でも時を止めたりできる物凄い力だったけど、両手で使えるようになったら引きちぎったりできるようになったのかぁ。
なかなか凄いじゃん?
「まぁまぁ落ち着いて」
「ふーっ、ふーっ!!·····貴様、まさかわらわの名さえ忘れたとは言わせぬぞ?」
「·····えーっと」
「おい」
「まって、喉元まで来てる、えーっと····· エキノコックスじゃなかったから····· ウッチョリニャンポ····· 違う、パン粉お食べや!そうだパン粉お食べやだ!!」
「違うっ!!!なんじゃそれは!!原型が残っておらぬではないか!!わらわの名は『疫刻須宮』じゃ!」
「ふんっ、贅沢な名だねぇ、今からお前は『ラッコクニミャー』だ!いいかラッコクニミャー!」
「沖縄みたいな名前つけるでない!!わらわはラッコクニミャーじゃ!!·····えっ?」
·····エンコがどんな存在か知らないけど、キノコ神拳には勝てないのよ。
ざまぁみろ〜
「じゃあお帰りください、ラッコクニミャーさん」
「まっ、まて!!わらわの名を返せっ!!返せぇぇぇええええっ!!こやぁぁぁぁあぁぁああぁぁぁあっ!!!あ゛ーーーっ!!」
\バタンッ/
◇
結局あのあとラッコクニミャーさんは無視して朝ごはんを作った私は、みんなにお土産を紹介して土産話をしながら京都土産の朝ごはんを食べていた。
「·····で、そのラッコなんちゃらはどうしたのじゃ?」
「んっ?いま外で放置してるよ?名前奪ったから例の『握』も使えなくなってると思うよ」
「えーっ?じゃあさ、ワタシからアルムって名前奪ったら勇者のチカラ使えなくなるの?」
「それはないよ、日本のああいう存在は名前が大切で、名前を奪われると力を失って奪われた人に掌握されちゃうのよ」
「なるほどぉ·····」
「ちなみにこれ、有名な神様温泉映画の設定で見たからやってみたんだけど、なんかマジっぽいよ?」
·····実は名前を奪ってみてわかったけど、ああいう神様の類は名前を奪われると力を行使出来なくなるらしい。
そんで名前を奪った私はと言うと、あの『握』の力を解析して遊んでいた。
なんかこれ、手で掴むっていうより見えない手でありとあらゆるモノを掴むことが出来る力らしいのよね。
その用途はかなり広くて、モノを掴むのはもちろんの事、例えば時間を掴んで止めてしまったり、真実を『握り』潰す事で答えを見つけられなくしたりとか、かなりチートで相当強いモノだった。
たぶん本当に神様級の力があったんだろうなぁ·····
「でも、ぷふっ!今はラッコクニミャーになっちゃってさぁwww クニミャーってサイコーにダサいよね!!ぷぷぷっ」
「·····酷いなぁ」
「いやだってさ?なんだっけ····· パン粉····· エンコの素飲み屋····· 近いな、なんだっけ」
「いやわたしに聞かれても·····」
あの人の名前、思い出せないのよ·····
私まで忘れちゃった?
てへぺろっ☆
「それはもうどうでもいいわ、で、その狐は今どうしてるのかしら?」
「えっ?たぶん握の力でこっちに来たから帰れなくなってると思うよ?今頃玄関の前でコャァーンコヤァーンって泣いてるでしょ」
「ソフィちゃん、流石にそれは酷くない?」
「えー?だって焉狐とか名乗ってたし別に平気でしょ」
「·····フシ町でも女の人1人で放置されてたら何が起きるかわからないから、見てきたら?」
めんどくさいなぁ·····
でもフィーロ君にそう言われたら仕方ないし、さっさと名前返してあっちに帰すかぁ·····
「でも朝ごはん食べてからね、それくらいは大丈夫っしょ」
「大丈夫だと思うけどさぁ····· 最悪レミアさん来るよ?」
「げっ····· レミアはマズい」
·····レミア、ウチに来た迷惑系冒険者が家の前で騒いでたら、騒ぎを聞きつけたレミアがボコボコにして教会で生贄にしようとしてる所をとっ捕まえてレミア諸共全員警備隊に突き出したのよね。
ちなみにこの前釈放れたばかりだから、またやらかしたら次は懲役待ったなしだ。
·····でもまぁ、うん、多分大丈夫でしょ。
私は白米にちょいとお高いちりめん山椒をふりかけて豊かな山椒の香りとちりめんの旨みを楽しんだのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「お土産はやっぱりこういう物だよね、あの····· あー思い出した、疫刻須宮さんみたいな厄介なお土産は要らないのよ」
名前:フィーロ
ひと言コメント
「あっ、このお漬物美味しい····· 後でまた買いたいかも」
名前:アルム
ひと言コメント
「金閣寺いいなー、ワタシも行ってみたい!」
名前:グラちゃん
ひと言コメント
「妖狐ねぇ、ゲームだと強キャラのことが多いけど現実でも強いのね、ただソフィが規格外すぎるわ、·····それを言ったら私も大概だけれど」
名前:ウナちゃん
ひと言コメント
「ねぇー、家に入れてよー、狐のシッポをモフモフしたいんだけどー」
名前:エビちゃん
ひと言コメント
「全く、こやつはなぜ毎回のように面倒な奴を連れてくるんじゃ·····」
名前:ミカちゃん
ひと言コメント
「きつねしっぽ·····っ!!まくらにしたい」
名前:アヤメ
ひと言コメント
「わたし、まねしたいから見てみたい」
名前:ミナタ
ひと言コメント
「へな?キツネって?あっけなへなっけぱな、うちっぱにっちぇりるゃ!あしぇなけっぱちゃっさなった!·····へな?あっ·····こっけなっぱけぁ!へっなけへっなけ!いまんのは『キツネはへなのライバルっけ』って事っけ!!ついアチシの村のコトバでちったっけな!」
名前:ラッコクニミャー
ひと言コメント
「あぁぁぁあああっ!わらわの名が!大切なわらわの名が酷い事に!!どうしてくれるんじゃあのアホーーーーーっ!!!」




