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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第七章 TS賢者は子育てに奔走するっ!
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ほんのり京都観光!〜なんか編?〜



 古都京都はかつての日本の中心地で、現在では歴史を今に伝える文化財そのものと言える都市だ。



 だが、そんな美しい京都でも日本の首都があった頃はずっと栄えていた訳ではなく、様々な災害や疫病や戦禍により度々崩壊し、その度に色々な噂が産まれ、悪鬼羅刹が跋扈していたと言われ、人々は怪異を恐れ異形の者共を対峙する陰陽師が産まれた·····



 しかし現代ではモノノケや幽霊や妖怪は存在しないと言われ、大半が嘘や見間違いと考えられている。

 また、文化的に考えると妖怪の正体が判明する事例があったりする、たとえば河童は水に浮かぶスッポンだったとか危険な川に近付かないように子供に言いつける優しい嘘だったとか、天狗や鬼は実は外国人だったとか、よく調べると文化の擬人化した物が妖怪の正体だったりするのだ。


 故に、悪霊や幽霊や妖怪だからといって全てが嘘とは限らず、重要な文化の痕跡だったりするのだ。


 あと八百万の神が信仰っていうか普遍的に信じられていたのも原因の一つかもしれないと言われている。



 ·····しかし、日本中で何百何千何万と存在する妖怪伝説や幽霊騒動が全て虚偽で伝説である、というのは間違いだ。


 表向きには存在しないと言われているが、超能力機関、すなわち世界の裏側では妖怪や幽霊などの異形の者は確実に存在しているし·····



 裏側というのは、比喩ではないのだ。





 私は日が暮れ始めてうっすら暗くなった京都を、夫と娘と一緒に観光していた。



「おー、こういうさ、町中にポツンとある神社とか地域で愛されてそうでいいよねぇ·····」

「どこ?あぁあそこ?確かに、大きい神社があるのも良かったけど、地域の人が守ってきた小さい神社もいいね」

「うにゃあ?ままぅー」



 今いるのは京都の普通の街中で、ちょっと雰囲気が良かったし観光名所には無いけど歩いてて楽しそうな感じがした場所だったから散策していたとある通りだ。


 その通りの途中で、小さい鳥居とお社があるこぢんまりとした神社があった。


 さっきまで見てきていた豪華絢爛だったり質実剛健ないつまでも魅入ってしまいそうな寺社仏閣も良かったけど、こういう地域に根付いた神社もなんだか趣があってとてもよかった。



「稲荷神社かなぁ····· うん、丁度いいし参拝って言うか挨拶していこっか、フェニカも気になってるもんね~」

「きゃっきゃっ」

「まぁ時間もまだあるしちょっと寄ってもいいかな·····」



 ここで出会ったのも何かの縁という事で、私はちょっと寄って行ってみる事にしたのだった。





 ·····こんなウワサを聞いた事はあるだろうか。


 京都や奈良には周囲の名のある神社を繋ぐと途方もなく巨大な逆五芒星が産まれ、平安京や平城京を守る巨大な結界になっているという話を·····


 それは伊吹山、伊弉諾神宮、伊勢神宮、元伊勢内宮、熊野本宮を繋ぐ事でできる全長約900kmにも及ぶ途方もない長さの結界で、地図上で確認すると正確な逆五芒星となっているのが確認できる。

 まぁ世間ではこじつけとか偶然とか言われているけど、有名な神社·····いやもっと格上の神宮などを繋ぐとこのような形状になる上に、その中心に平城京があるのは偶然とはとても言い難い。


 ·····そして、それはあながち間違いではなく、この世界ではちゃんと意味があり作られていた。



 その結界は、都に住む人々を、そして怪異や妖怪などの人外たちを守るための陰陽結界なのだ。





 グォンッ



「うっ、·····んっ?何か今へんじゃなかった?」

「だよね、何かを通り抜けた気がする·····」

「にゃう?」



 私はお参りをしようと小さいけど綺麗な朱色の鳥居をくぐった瞬間、強烈な違和感を感じた。

 それは、転移ゲートをくぐった時のような、何かの膜を通り抜けたような感覚だった。


 多分だけど一般人じゃ感じ取れないモノで、前に判明したこの世界の固有魔力によって発生した魔法現象の可能性が高いだろう。

 っていうか今後ろ振り返ったんだけど、なんか鳥居の間にゲートできてるね、あっ閉じた·····


 でもゲートを潜ったって事は、ここは少なくとも·····



「·····うわぁ、流石は妖怪の都、京都っていうだけあるね」

「なにこれ·····」



 答えは、私たちの目の前に現れていた。



「これは、狐に化かされたかなぁ」

「落ちそうで怖いんだけど·····」



 先程まで見えていたはずの小さなお社は無くなり、目の前には空中回廊のような数百段はあろうかという曲がりくねった階段と、整然と並ぶ千本鳥居、そして常夜の世界なのか不気味で黒紫色になり空には禍々しい月と雲が浮かんでいた。


 ·····ここは、裏側の京都かな。





 逆五芒星の結界は、人の世と妖怪の世を分離する特殊な結界だ。


 私たちから見て裏側の世界は、昼夜が逆転し更に常に暗くて悍ましい気配のする、妖怪たちの世界になっている。

 また、表と裏で世界がわけられたといっても干渉できない訳ではなく、裏側の結界に熟知した存在であれば個人で干渉も出来てしまう。

 そしてこの世界は表の世界の鏡像のように一致しており、表の世界の変化がこちらにも反映されるし、逆に反映されないところもあるようだ。


 例えば、今私が見ている怪しい雰囲気のする千本鳥居なんて確たる例だろう。



「·····どうする?」

「行くしかないんじゃないかな」



 こういう現象はこっちの専門用語で『御呼ばれ』と言い、神やそれに類する存在が誰かを呼び寄せる現象で、『神隠し』なんて呼ばれているモノだ。


 ·····きっと、私たちもあの神社に祭られている存在に『御呼ばれ』したのだろう。


 だったら行ってやろうじゃない、私はこう見えても神様だし何ならサークレット教の聖女で怨霊を退治する側の人間なのだからっ!!



「さぁ、行くよフィーロ君」

「ちょっと頑張るかぁ·····」



 そして、私たちは自分達を呼んだ存在に会いに行くために、遥か上に見える不気味な社寺を目指して階段を上り始めたのだった。





 妖狐


 それは狐の妖怪で人を誑かし、人に化け、時には人を喰らい、妖術を操る存在と言われている。


 その妖怪は強くなるほど尻尾の数が増え、最高9本になり、更にその先の存在である天狐や神狐となると尻尾は1本に戻ると言われている。



 そして、久しぶりに強大な力を持つ()()をこちらに引き入れることに成功した彼女は機嫌がよいのか9本の尻尾を揺らし、獲物を今か今かと待ち望んでいた。

 あれだけの力を持つ存在だ、喰らえば天狐····· いや、千年前の戦乱の世から現代まで人を喰らい続けてきたわらわであれば、禍狐になるやもしれぬ。


 ·····狐の癖に捕らぬ狸の皮算用をして、彼女はほくそ笑んだ。



「·····遅い」


「ごっめーん☆ お待たせー☆」


「·····???」



 しかし1000年近い時を過ごした彼女でも、時には信じられない現象が起きる。


 例えば、さっき呼んだはずの獲物が通るたびに獲物を衰弱させる呪いが込められた千本鳥居を完全に無視して飛んできた事とか、崇められる存在であるはずの自分に大親友と遊びに来た時のような軽々しい態度で接してきたのは、1000年の中で初めてといっても良い出来事だ。


 いや、そんな事今まで一回も起きたことないに決まってる。



「·····まぁ良い、わらわは疫刻須宮(ヤッコクシュノミヤ)


「エキノコックス?」


「どう間違えればそうなる!貴様ら、なぜ階段を登ってこんのじゃ!!」


「だって、長すぎません?疲れますよ流石に····· こっちは京都観光で移動はあんまりしてませんけど観光で歩き回ったんですよ?その後にこんな長い階段付けて····· ケーブルカーくらい付けてくださいよ」


「むぐ·····」


 ·····何を言っておるのだこの人間は。

 疫刻須宮は訝しんだ。


 だが少なくともマトモな教養は受けていない迂愚な存在だと彼女の経験が告げていた。


 ·····されど、階段が長い事にはちょっと同意した。

 自動で強制的に呪怨鳥居をくぐるケーブルカー、意外とアリかもしれない。



「っていうかここって何なんですか?」


「ここはわらわが座す社、淵璽宮(エンジノミヤ)じゃ」


「うっはわらわ&のじゃ狐だ、すっご!生で見るの初めてだわぁ、ところでエキノコックスとか大丈夫なんですか?」


「ぱぱぅー、あれ、なゃにー?」

「あれ?えーっとね····· ごめんねお父さんもあんまり詳しくないんだ、なんだろこれ?手水社に花が浮いてる·····」



 ·····こやつら、さっさと食ってやろうか?


 あぁそこの男と娘、我が境内を遊び場にするでない、せっかく整えているというのに遊び場にされてしもうたら見事な景観が崩れてしまうではないか。



「ここは観光名所などではない、伝説の大妖狐であるわらわを祭る社寺じゃぞ、無礼は許さぬ」


「あーやっぱり?そういうパターンかぁ·····」


「·····もう良い、貴様らはわらわの贄として呼んだのじゃ、大人しくわらわに喰われるが良い」





 ·····この狐娘さん、確かに物凄い魔力とか神通力に近い力はあるんだけど実力で驕っちゃってるなぁ。

 ちなみに髪の色は山吹路の金髪っぽい感じで、尻尾もキツネらしくモフモフで9本あり、巫女装束風の和服を着崩して着ていて明治時代くらいの和洋折衷な感じになってて、更に明治とか昭和の雰囲気が漂う小物とかを持っている当り、相当長生きなんだろうけど·····


 うん、貧乳だからさ、着崩してると逆に虚しくみえるのよね、私が言えたもんじゃないけどさ。


 それに予想通り私たち狙いだったみたいだし、ロクでもない理由だったね。



「·····こういう言葉を知ってます?『驕れる者は久しからず、ただ春の夜の夢の如し·····』ってね」


「平家物語の一節じゃ、知らぬわけがなかろう」


「ならわかると思うんですけどねぇ·····」



 悪いキツネは解らせちゃおうねぇ。



 ギュォッ!



「っ!!?」

「おっと、流石は大妖怪の一角である九尾ってだけはありますね、よく反応できましたね」


「·····さては貴様、ヒトではないな?」


「ほほー、慧眼をお持ちでしたかぁ」



 私は目にもとまらぬ速さで後ろに回り込むと、さっき買った京都土産の日本刀っぽい傘を魔法で強化して斬り付けるように叩こうとしたが、相手も物凄い反射神経でどこからか妖刀を取り出すと私の傘を受け止めた。


 ·····只者じゃないのは確かだね、Aランク以上の実力はありそうだ。



「ならばよかろう、わらわの手で貴様を葬ってやろう、この疫刻須宮の手を使わせるのじゃ、魂にその恐怖を刻むが良い」


「何が来るんだろ?」



 彼女が右手を下に向けると腕に黒紫色の焔のような模様が出現し、仙力のような不気味な力が収束しているのが見えた。


 そして、大妖狐の力が解放された。



「握」


「っづ!!?」



 その瞬間、私の喉がいきなり締められ、呼吸が止められた。


 どうやら見えない力で喉を掴まれたようだ。


 アレだ、フォースチョークだ、くっそこんにゃろ!フォースの力なんて使いやがって!!

 卑怯だぞこのダースベ〇ダーっ!!


 ディ〇ニーに訴えてやるっ!!



「くははは、苦しかろう?」


「·····っ」



 いやぜんぜん?

 だって1時間くらい息しなくても平気だし·····



「·····」

「·····」


「·····」

「·····」


「·····いつまでジタバタしておる」

「·····?(時計の針をぐるぐる回すような感じのハンドジェスチャーをする)」


「·····もう良い、心臓を直接つかんで止めてやる」



 私が空中に浮かされてジタバタし続けていると、向こうがしびれを切らしたのか解除して、次は心臓を掴むと言って来た。

 っていうか一ヶ所しかつかめないのね。


 でもやろうと思えば時を掴んで止めたりできそうだし、結構便利なのかも?



「握ッ」



\ぎゅにゅっ/



「うぐぅっ!!?」

「これで貴様は死ぬ、くはははっ!」


「·····残念だな!キノコ神拳究極奥義『それはさっきバッタリ再会したハゲ丸のお稲荷さんだ』」

『·····(無言で会釈)』


「·····こゃぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!????きっ!きさまっ!なんてモノをわらわに掴ませたのじゃ!!??ひ、ひぃっ!汚れる、わらわの手が汚れるっ!!」



 ただ、私には勝てないしキノコが最強なのよ。


 あっハゲ丸はお疲れ様、信長様を誅殺したのは特に恨んでないし安心して成仏····· えっこの後競馬に行くの?ってことは京都競馬場かな、んじゃご武運を。



 そして競馬を見に行ったハゲ丸こと明智光秀の落ち武者を見送った私は、狐っ娘にトドメを挿すことにした。



「き、気持ち悪い、清めねば、はよぅ清めねば·····」


「·····悪霊っぽいのに清めて大丈夫なのかなぁ」

「むぅー!おはにゃ!わちゃわちゃー!!むーーっ!!」


 その狐っ娘は花が浮かべられた手水舎の桶の中に直接手を突っ込んで袖がビショビショになるのも厭わずザブザブと洗っていた。

 せっかく綺麗に整えてたのに崩しちゃって、割と気に入ってたらしいフェニカもご機嫌ななめなようだ。


 なんか腕のあの模様も薄れてきてる気がするし、哀れだからとっととトドメを刺して夕食を食べに行こう。



「キノコ神拳究極奥義ぃ·····」


「っっ!!?ま、まて、まだ洗い終わっておらぬ!!あの生暖かい感覚がっ、うぶるるっ····· やめ、やめよ!わらわは伝説の大妖狐じゃぞ!?」



「お稲荷さんの次は本命っ!そしてキノコこそがメインっ!喰らえっ!『EXキノコックスカリバー』っ!!」


\ズブㇴ゜っ♥/


 コヤァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッッッッッッ!!!?!?!?



 その瞬間、世界の裏側である妖怪たちの世界に、狐っ娘の悲痛な絶叫悲鳴が木霊した。







「·····で?反省は?」


「したから、もう、許してくれたまえ·····」



 あれから5分後、私は地面に正座する妖狐さんを説教していた。



「ったく、人を喰うのは妖狐の生き方として仕方ないとは思いますけど、手を出す相手くらい考えて下さいね?」


「しかし!転生して異世界に行って神になった存在なぞ居ると思わんじゃろう!!普通ありえないわ!!」


「いやそっちだって有り得ませんよ?なんで妖狐なんて居るんですかホント·····」



 妖狐は一応人喰い妖怪でもあるから人間を襲うのは仕方ないとはおもうけど、このレベルの大妖狐が狙う相手をミスするとか、ちょっとド三流クラスの大ミスだと思うのよね。


 ちなみにこのド三流、私の実力を見せつけられて完全に凹んでる。

 その証拠にしっぽがシュンッてしてて、モフモフがどっか行ってしまった。


 ちなみに袖はビッヂョビチョのままで、今もハゲ丸のお稲荷さんを握った手を時折気にして気持ち悪そうにしてた。

 ·····ハゲ丸が可哀想じゃんね。



「·····で、どうするんですか?」


「·····負けた者は、わらわは、貴様の言いなりになるしかない」

「稲荷だけに?」


(あく)るぞ?」



 ふえぇ、わたち怖いよぉ☆


 ·····自分で言ってて自分を殴りたくなったからやめよ。



 でもどうしたものかなぁ、まだ予定まで1時間近くあるけど、この人に構ってられる暇は無いし·····

 フィーロ君はさっきから暇そうに写真撮ってるし、フェニカはフィーロ君におんぶされて眠そうだし·····


 ·····はぁ、妖怪退治はやめておこう。



「·····まぁ今日は予定があるので不問としますけど、超能力機関····· 妖怪退治のプロに連絡しておくので、もしなんかやらかしたら即座にプロが来て退治されるので覚悟しておいて下さい」


「むぐ····· 承知した、ではとっとと帰れ」


「負けた癖に偉そうだなぁ····· で、帰り道は?」


「·····?」


「·····おい?」


「基本的にここに来た輩はわらわが喰らっておるから一方通行じゃぞ?」



 ·····はぁ?

 こ、コイツ·····



「·····キノコ神拳奥義ぃ」


「こゃあっ!!?やめるんじゃ!それをやめろ!!わかった!!何とかする!何とかするっ!!」


「·····まぁ脅しただけですけど、それに自分で帰れますから、フィーロくーん、帰るよー」

『はーい』


「·····自分で?ここはわらわの創り出した空間じゃぞ?そう簡単に破られてなるものk」



\ヴォンッ/



「·····」


「じゃあまた今度〜、あっお土産置いておきますね☆」

「お世話になりました、あとソフィちゃんがご迷惑をお掛けしました」

「にゃうー?ばいばい、こんこん!」



 私は無理やりゲートを開いて現世へと繋げると、ポカンと口を開けて目を見開いてアホ面になりながら無意識でフェニカに手を振ってる妖狐さんと別れを告げた。


 そして現世に戻って、目的地の料理屋のある場所へとむかったのだった。



名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「あー、やっぱり撮影NGですか····· まぁ仕方ないです、今日はよろしくお願いします!」


名前:フィーロ・シュテイン

ひと言コメント

「ソフィちゃん、少しくらいはあの狐の人の事に触れてあげようよ····· 」


名前:フェニカ・シュテイン

ひと言コメント

「こんこん!こんこん!きゃっきゃっ♪」




名前:疫刻須宮

種類:大妖狐

ひと言コメント

「散々な目にあったわ····· わらわの顔に泥を塗ってこの手に····· こやぁっ!気持ち悪いっ!!·····で、彼奴は何を置いていった····· こ、これは····· 彼奴の指ではないか!くっふふ、気が利くではないか!··········食ったら両〇宿儺みたいに乗っ取られぬよな?」


種族:大妖狐→???


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