超人だとしても私たちは普通の姉妹
「よいしょっと、んじゃ私たちはぼちぼち帰りますね、ちょっと長居しすぎちゃってご迷惑をおかけしちゃいました」
「良いのよ別に、イデアちゃん、いつでも遊びに来てね?タキスも喜ぶから」
「うん·····」
あれから数時間後、私とユイナさんはのんびりとお茶をしながら談笑してイデアとタキス君が遊んでいるのを見守っていたけど、流石に遊び疲れてしまったのかイデアもタキス君も睡魔に襲われ、タキス君は熟睡してイデアはもうあと少しで寝そうなくらいになっていた。
って事でぼちぼちお開きにして、私はイデアをおんぶして帰路に就く事にした。
あとユイナさん仕事中とかだったら申し訳ない事をしちゃったかも、だって数時間も長話しちゃったし、しかももう日が暮れ始めちゃったし·····
「お仕事とか大丈夫でした?仕事中だったら申し訳ないなぁって」
「大丈夫よ、元々タキスの面倒を見ながら書類に目を通していただけだから」
「それなら良かった、今度はちゃんと事前に連絡してから来ますのでよろしくお願いしますね」
「わかったわ、じゃあソフィさんのお母様にもよろしくと伝えておいてくれるかしら?」
「了解です、じゃあ今日はお邪魔しました」
これ以上長居しちゃうと本格的に邪魔になりそうだし、もうイデアも限界そうだから私はユイナさんへと別れを告げて帰って行ったのだった。
◇
帰り道、私はわざと転移魔法で家へと帰らずにイデアをおんぶしたまま街中を歩いて帰っていた。
別に何か理由があるわけじゃないけど、なんとなくこうして歩いてみたかった。
私は前世だと弟や妹が居なくて、こうやって妹を抱っこしたり面倒を見るのはちょっとやってみたかったのだ。
イデアは既に3歳になり、体重は美味しい物をバクバク食べてるせいで15kgくらいあってちょいと重いから、おんぶして歩いて帰るのを若干後悔してるけど、すやすや寝息を立ててる妹はなかなか可愛かった。
「黙ってれば可愛いんだけどなぁ、まぁ私も同じか」
イデアは起きてる時は私のコピー品か?ってくらい似てるってお父さんとお母さんからは言われてるし、私もなんか似てるなとは思う言動ばっかりしてるけど、寝顔やこうして遊び疲れて寝てしまう様子は紛れもなく3歳児だ。
しかもかなり美形で、将来はすんごい美人になるんだろうなって一目でわかるような子だから成長が楽しみだ。
美人の遺伝子は私もイデアもちゃんと受け継いでいるみたいだ。
うん、お母さんも一応美人だし、全員性格が激しいけどちゃんと美人なのは絶対シュテイン家の遺伝子だよね。
お婆ちゃんはどうか知らないけど。
「んっ?あっ丁度いいや、すいませーん」
「はいよ、おぉソフィさんか、イデアちゃんも居るのか?今日は寝ちまったのか·····」
「遊び疲れちゃったみたいでおんぶして帰ってるんですよ」
って考えながらのんびり歩いてると、イデアが気に入っていて通りかかるとほぼ必ず買っているお菓子のお店を見かけたので寝てるけど寄ってみた。
とりあえず買って帰っておけば喜ぶだろうし、買わなかったら文句言われそうだし·····
「とりあえず揚げドーナツ5個、イチゴチョコ味を3個と普通のチョコを2個お願いします、それとチョコシェイクってあります?」
「すまん、チョコシェイクは今日はねぇんだ、雪魔法を使えるうちの息子がちょっと用事でな·····」
「あちゃー、んじゃそこのチュロスでお願いします、シナモン1本で」
「なんかサービスして欲しいモンはあるか?」
「んー、じゃあそのシナモンシュガーが多くかかってそうなのでお願いします」
「そんだけでいいのか?まぁ多く掛かってる方がうめぇからな、じゃあちょっと待ってろ今詰めるから」
「はぁい」
んで、イデアの好物はやっぱり私と同じ揚げドーナツだ。
ただイデアはちょっと好みが違くて、私は素かチョコ味が一番好きで、イデアはイチゴチョコ味が一番好きなのだ。
あと激レアだけど中にホイップクリームが入ったやつが特に好きらしくて、いっつも口の周りをべたべたに汚して食べてお母さんとルーベさんに怒られてるのよね。
でもアレを綺麗に食べろと言う方が無理があると思う。
私だってうまく食べられないし·····
あっもう袋詰め終わってたわ、早いなぁ·····
「お待たせ、ほら品物だ」
「ありがとうございます、んじゃまた買いに来ますー」
「あいよ、·····あっ手提げ袋とか、·····いらなかったなそう言えば」
私は両手がイデアのおんぶに使っていたので商品が入った紙袋を魔法で浮遊させ、中から器用にチュロスを取り出すと手を使わないで魔法で浮かべたまま食べたのだった。
◇
周囲にシナモンの香りをまき散らしながら食べ歩きをしていると、その香りに釣られておやつ大好き少女が目を覚ましてしまった。
「·····あれ、ここどこ?」
「橋渡った所だよ、あともうちょっとで家だから寝てていいよ?」
「うん····· いいにおい·····」
「食べる?シナモン味のチュロスだけど」
「あげどーなつがいい·····」
「はいはい、イチゴ味ね?あんまり食べ過ぎると夜ご飯食べられなくなって怒られるからちょっとだけだよ?」
「うん、あーん·····」
私は魔法で袋の中にあるイチゴ味のチョコ掛け揚げドーナツをうまく切って魔法で取り出すと、やっぱり手を使わずに魔法で浮遊させ、眠そうな目をしてアホみたいな顔で口を開けてるイデアに揚げドーナツを食べさせてあげた。
「んむんむ·····」
「あぁ耳元咀嚼音ASMR····· ぞわってするぅ·····」
すると寝ぼけ気味にモグモグとドーナツを食べ始めたけど、生憎イデアの顔は私の顔のすぐ隣にあって、耳にダイレクトに咀嚼音が届いて私は背筋がゾワッとした。
いや背中はイデアの体温でめっちゃ温かいけど、ゾワッてなるのは私の癖だから仕方ない。
ちなみに私はASMRみたいな囁き声とかが超苦手で、ゾワァッみたいな感覚になって足腰に力が入らなくなっちゃうタイプだ。
まぁ咀嚼音じゃ腰砕けにはならないんだけど、ちょっと苦手でゾワゾワはするのよね。
「おいしかった」
「このくらいにしておきなよ?今日の夜ご飯は確かハンバーグだったはずだからね」
「ほんと?」
「ホントだよ、楽しみにしててね」
「うん」
私がイデアの咀嚼音に耐えていると何とか食べ終わってくれたみたいで強制ASMRから解放され、ちょっと目が覚めたイデアは私と話をしていた。
って言っても夕飯の話だけどね。
「ちゃんとマッシュルームも食べなきゃダメだからね?」
「いやだぁ·····」
「肉汁をたっぷり吸ったマッシュルームは美味しいよ、大丈夫だから」
「うぅん·····」
ちなみにイデアはニンジンは大丈夫な子だけど、よりによってこの私の妹なのにキノコが苦手なのだ。
何とか食べさせようと画策はしてるけど、苦手な物は押し付けたくないのよね·····
まぁ、そのうち食べられるようになるだろうからいいけどね。
さてと、キノコの話ばっかりしてると嫌がりそうだから話題でも変えよっかな。
「そう言えばイデア、タキス君の事はどう思ってる?」
「タキくん?うーん····· すき·····」
「そっか、いいね、好きな人がいるのはいい事だよ、大切にしてあげなよ?」
「うん·····」
まだどの『好き』なのかはわからないけど、やっぱりイデアはタキス君の事が好きだったみたいだ。
「っと、もうすぐ家だから下ろすよ?」
「やだ····· おねーちゃのせなかがいい·····」
「んふふ、ワガママだなぁ、まぁ家に帰ったら手洗いうがいするから下ろすからね?」
「うん·····」
「じゃあもう家だしちゃんと挨拶するよ?」
「わかった·····」
私は今度は気合いで片手でイデアの体重を支えると、もう片手で玄関のドアを開けた。
「おほん、ただいまー、帰ったよー!」
「かえったよー·····」
『おお帰ったか、お帰りなさい2人とも』
『お帰りなさい、ソフィ、イデア、もうご飯作り始めてるわよ』
『お帰りなさいませ、ソフィ様、イデア様』
私とイデアは家族が待っている我が家へと帰って来たのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「やっぱり、私たちって姉妹なんだよなぁ·····」
名前:イデア・シュテイン
ひと言コメント
「ねむい····· あたまぼんやりする·····」




