まだまだ若いのよ私たち
\ワーワー!/
\キャッキャッ/
「·····元気だなぁ」
「元気な事はいい事じゃない、タキスも楽しそうで嬉しいわ」
私とフィーロ君の母親のユイナさんは、アルス魔道具店の二階で遊びまわる3歳の子供二人を見守りながらのんびりと雑談をしていた。
っていっても井戸端会議くらいの無駄話だけどね。
「いらっしゃいませタキくん!おかえりなさい!ごはんにする?おふろにする?それともイデアにする?」
「うんー?·····いであちゃんにするー」
「んふふ、いいよー、ぎゅーっ」
「·····ソフィさん、イデアちゃんって少し大人過ぎないかしら?」
「そ、そんなことないですよー」
「あの言い回しといい、あの顔といい、わかってやってるような気がするのよね·····」
例えば、イデアがおままごとでとんでもない事を言ってタキス君に抱きついて明らかにわかってやってるっぽいゲス顔してるのを見て、ユイナさんが訝しんで質問してきたりね?
·····アイツ、中身はもう10代以上の精神年齢になってるからなぁ。
しかも私の記憶を一部盗んだから色々余計な事とかも覚えてるし、そういうのを狙ってやるくらいの知能もあるし·····
怪しまれて当然だよね、うん。
っていうか、お医者さんごっこなのに『いらっしゃいませ』は違くない?あとなんで『それとも私?』ネタやってるの?
「やっぱり貴族様の血筋は凄いのかしらねぇ·····」
「いや、うーん····· まぁ私の妹なんで天才なんですよ」
ちなみに貴族の血筋は関係ない、イデアがアホなだけだ。
いや一応は関係はあるけどね?私とかは母方の血、つまりシュテイン家の本家の方が強いから割と、こう、暴力的だし·····
お母さんとかも頭が良いっていうより『パワーで悩みを解決!』っていう派の人だったし、元々シュテイン家自体が割と武闘派な貴族だったみたいなのよね。
だから、頭が良かったり天才が多いのはシュテイン家の遺伝子じゃないし、そもそも私とイデアくらいしかイレギュラーが居ないし、イデアがイレギュラーになったのは私が原因だし·····
「·····まぁイデアはあんな感じでやたら成長が早いですけど、タキス君はどんな感じです?」
「普通ね、ちゃんと健やかに成長してるわ」
「何事も普通が一番ですからね、ちなみに魔法学校の件はどうなってます?」
「もう準備してるわ、入学手続き中だけど結構大変なのよね····· フィーロの時も苦労したわ、何回も学力テストとか魔力テストをして、やっと合格したのよ·····」
「うへぇ、私は免除でよかった·····」
で、イレギュラーなイデアはもう既にマグウェル魔法学校への入学が決定してるけど、普通なタキス君は魔法学校へ入学するため色々頑張っているようだ、·····主に親が。
確かマグウェル魔法学校の入学にはギルドで魔力を測定したり、地域の学校で学力テストとかを受けて合格ラインを満たした上で、A組やB組と言ったエリートクラスに入るにはとんでもない倍率の試験に合格する必要があるのだ。
なので、実はアルムちゃんやフィーロ君も6歳未満の庶民出身なのに貴族学校と言えるレベルの難関校に合格するほどの天才だったりするのだ。
そして、その魔法学校の学年全体で力も魔法も知能も全て学年主席で生活・授業態度が悪いだけでほぼパーフェクトだった私は超が付くほどの天才、いわば神童だったのだ!!
あっちなみに貴族様とかだとコネで入学をねじ込んだりできるよっ☆
私の場合もお爺ちゃんが魔法学校に優先的に鉱山で採れた魔結晶を格安で卸していたという強いコネでねじ込んでもらっていたので受験とかは完全に免除されていたのだ。
ついでに、他の貴族の場合は試験はあるけど簡単な物が多くて、2/3くらいの確率で入学できる甘々仕様なのだ。
まぁ、物凄い大量のお金が必要になるけどね。
「いざとなったらウチでお手伝いしますよ?私、こう見えてお金持ちなんで私がサポートしてもいいですし、遠慮なく頼ってくださいね」
「ありがたいわぁ、でも行けるところまで行って見せるわ、タキスは頭がいいからきっと大丈夫よ」
「まぁイデアとずっと高レベルの会話してたら頭も良くなりますよね·····」
「そうねぇ、そう考えるとやっぱりイデアちゃんは頭が良すぎる気がするわ」
だってあの子、アカシックレコード持ってるからなぁ·····
もうすでにスーパーコンピューター級の演算能力はあるだろうし、アカシックレコード『アイデンティティ』は成長型という極めて珍しい大器晩成型で肉体や魂と共に性能が強化されて行くとんでもない代物だ。
私のアカシックレコードが完成形で誕生した神造アカシックレコードで、増設を繰り返して成長している疑似成長型だから、あの性能は地味に羨ましかったりする。
そんな大器晩成の天才のイデアにずっと色々教え込まれてしまっているタキス君はと言うと、徐々に頭がよくなっているのか普通に足し算くらいならできるようになっていて、もうちょい勉強すればきっと魔法学校の入学試験に合格できるレベルになるだろう。
「·····って、そういえばフィーロ君の時って入学試験ってどうしたんですか?一度も町の外に行ったことが無いって言ってましたけど」
「本当に受験免除されてたのね····· 地域の学校で受けるのよ、アルムちゃんと他にも数人が受けていたわ」
「あぁー、この町の学校でやったのか、なるほど·····」
試験免除ってやっぱりサイコーだわぁ、あぁ、高校・大学の受験、死ぬほど大変だったなぁ····· 毎日勉強、家に帰ったらゲームやる暇もなく勉強、バイトも夜間でやって寝ないで学校で勉強、ちゃんと寝れるのは週に4日だけで、あとはほぼ徹夜·····
よく耐えたよなぁ、私·····
もしかしたらトラックに轢かれなくても近いうちに普通に死んでたかもなぁ·····
「·····大丈夫かしら?」
「過去のトラウマが蘇っただけです、ダイジョブです」
でもあの経験のお陰でめっちゃ耐久力付いたし、元々姉貴がアレで精神強度が異常なほど高い家系だったから、今でも結構役に立ってるんだけどね·····
思い返すとキツかったけど、いい経験だったって事にしておこう。
だがブラック企業は許さん、滅べ!いや私が勤めてた会社、業績悪化で買収されてホワイト企業に強制的に変化させられてたけど。
あのクソ上司とか軒並みダメになってたけど。
·····ざまぁみろ!!
「大丈夫じゃないわねぇ、そこのお医者さん?患者さんを診てくれないかしら?」
「わかりました!叔母さんっ!」
「·····誰がオバサンですって?」
「イデア、ユイナさんは続柄的に叔母じゃないからね?」
「あっごめんなさーい·····」
って私が昔のトラウマで目が死んだ状態になっていると、お医者さんごっこ中のイデアに急患で運び込まれかけたけど、イデアが思いっきり失言してユイナさんが軽くキレた。
まぁ本気で怒ってないけど、脅していたから半分はガチだったのだろう。
だってユイナさん、まだ40代だし·····
「全く、頭がいいのか悪いのかよくわからない子ね」
「天才とバカは結局アホって言いますし」
「言わないわよ?」
「·····まぁ、イデアは頭はいいけどアホなんで許してあげてください」
「アホってひどーい!」
「事実でしょ?」
「うわーん!タキくーん!おねえちゃがひどいよー!」
「よしよし、いいこ、いいこ」
·····いや待てよ?
そういえば、ユイナさんって·····
「言ったら殴られそうですけど、ユイナさんって私とフィーロ君の娘から見たら祖母になるんですよね、もしフェニカが成長したら、40代なのにお婆ちゃんって呼ばれるんですかね·····」
「あり得るわね····· 時の流れって残酷ね」
そう、ユイナさんには既に孫がいるから、おばさんどころかお婆ちゃんと呼ばれてもおかしくない状況になっていたのだ。
まぁそれを言ったら私もなんだけどね?
「ちなみに私はお兄ちゃんたちの所の子から見たら叔母なんで、18歳なのにオバサンって呼ばれちゃうんですよね、あはは·····」
「そう言えばそうだったわね、その年でオバサンって呼ばれるのはグサッと来るわよね·····」
「ですねぇ·····」
おいそこの読者、前世含めたら45歳で十分オバサンだろって思ったな?
せいぜい足元に気を付けろよっ!なめ茸で足滑らせない事を祈ってるからなぁっ!!!
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「·····そういえば性転換してる私って叔父なのか叔母なのかどっちなんだろ?」
名前:ユイナ
ひと言コメント
「ほんと規格外の姉妹よね、将来が楽しみだわ、うふふ·····」




