久しぶりの妹とのお散歩っ!
ご隠居様の屋敷で祭壇を作る儀式をして私の悪だくみが成功してから数日後、私は3歳になった妹のイデアを連れてフシ町を散歩していた。
ちなみにウナちゃんとインクちゃんは聖女3人組と一緒にフシ町をぶらぶら歩きまわってるらしくて、ご隠居様ももしかしたらしれっと街中に居るかもしれない状況だ。
そんな中で街中をイデアと一緒に探索しているのは、ちゃんと理由が無かった。
·····イデアが外に行きたいって騒いでたんだけど、ここ最近ご隠居様関係でクソほど忙しくて家族全員構ってあげられる時間が無くて、家族同伴じゃないと絶対に外に出してはいけない事になってるイデアは家から出られず暇をしていたのだ。
まったく、本当にワガママだよね!
だって私の時なんか6歳になるまで数えられるくらいしか家の外に出してくれなかったんだよ?
だからこうして出られるだけでも感謝してほしいんだけどねぇ·····
「おねーちゃ!あっちあっち」
「はいはい、勝手に行かないの」
でもこの子はそんなこたぁ知ったこっちゃねぇとばかりにどっかに突っ走って行ってしまうくらい好奇心旺盛で、今も人込みの中に突っ込もうとしていた。
もし行方不明になったら面倒だから、私はすぐにイデアの隣に追いついて一緒にどこかへと向かう·····って言うのをさっきからずっと繰り返してる。
「好奇心旺盛なのはいいけどさ、あんまり好奇心が大きすぎるとロクな目に合わないよ?好奇心は猫をも殺すっていうしさ?」
「でも!気になるんだもん!これほしい!」
「どれ?·····ほんとにそれ欲しいの?」
「うん!」
んで今回は道端の露店で売られていた雑貨を手に取って欲しいとねだって来た。
この子知能的にはもう10歳以上のはずなんだけど、好奇心とかそこら辺は3歳児のままだから色々面倒なのよね·····
何に使うんだそんな謎の物品·····
「それでやんすか?それはコッケリポンスやんす」
「こっけ·····? なんですかそれ?」
そんでイデアが欲しいと言って来たのは、なんか、金属製っぽいただの2cmくらいの四角いキューブだった。
しかも名前が意味わからん、少なくとも日本語に翻訳できる言葉じゃないからそのまんま言ったけど、マジで意味わからん·····
少なくとも統一人類語じゃないのは確定なんだけど·····
「これは小物入れにもなる髪留めでやんす、ここをこうしてこうすると·····」
カシャカシャンッ
カキンッ!
「ウワーッ!?なんっ、なんじゃこれ!?」
「すっごーい!」
キモッ!って叫ばなかった私を褒めてほしい。
なんかあの鉄のキューブ、怪しい露天商のオッサンが動かした途端に変形してエコバッグくらいの大きさになったんだけど!?
えっしかも中に物入れたまま畳めるの!?
どうやりゃあんな変形するのか皆目見当もつかないし、変形の様子がキモすぎて意味わからんかったし、内部に物を入れたまま閉じられる仕組みも全くわからん。
ただ、アレは並みの職人が作れる代物じゃないって事だけはわかった。
「おねーちゃ·····」
「·····1個何万円ですか?」
「2個セットで300円でやんす」
「やっす!!えっ、安すぎません?」
「まぁこんなもんでやんす、暇つぶしで作ったものでやんすからね」
「本格的に意味わからん····· まぁ買いますけど」
「まいどありでやんす」
なんかヤバそうだし訳ありだけど、間違いなく凄い物だと私の直感が告げていたので、ついでにすっごい安かったから私はコッケリポンス?とやらを買う事にしたのだった。
そしてお目当ての物を買えたイデアは、ノリノリで早速コッケリポンスをツインテールの髪留めにしてルンルンな足取りで何処かへ行ったのだった。
◇
「·····特に盗聴とかの魔法が仕込まれてるわけでもない、これマジで意味不明な超絶技巧だ」
「どーしたの?おねちゃ?」
「なんでもないよ?」
私はイデアと一緒に買ったフルーツ串と、さっきの怪しい露店で買ったコッケリポンスやその他諸々の超絶技巧級になんかすごい小物を精密検査しながら歩いていた。
ああいうのは物好きな貴族が買って、その貴族の家を盗聴したり強盗するときに使われる道具だったりするんだけど、私の全力の調査でも一切怪しい所が無くて、結局ただのガチのやべぇ代物という事が判明した。
たまに居るんだよね、ああいうとんでもない代物を扱ってる露天商人。
·····まぁ私もたまにやるんだけどさ。
「さてと、次どっか行きたい場所とかある?」
「うーんと、タキくんのとこ!」
「タキくん?あぁタキス君の所か·····」
そしてイチゴ串をもちゃもちゃ食べて口の周りを汚していたイデアは、次は幼馴染のタキス君の所に、つまり私の夫であるフィーロ君の勤め先で彼の実家であるアルス錬金・魔道具店へ行きたいようだ。
最近ではタキス君も普通に会話できるような年齢になって、一緒に遊ぶ機会もかなり増えて週一くらいでどっちかの家に行って遊んでいるのだ。
最初は親同士が仲が良くて良く会わせてたんだけど、最近になって子供の方から遊びたいと言うようになってきていた·····んだけど、イデアの方のタキス君への執着が割と強くて、たぶん私のアカシックレコードから人格をパクッたりしたせいで、私とフィーロ君の関係がコピーされてる疑惑があるのよね·····
もしそうだとしたら、そのうち絶対恋心を抱いてしまうだろう。
·····んっふっふっ、超楽しみ、絶対面白そうじゃん。
「いいよ、すぐ近くだしこのコッケリポンスとかの意味不明な魔道具を見せてみたかったし行こうか」
「やった!いこ!」
「はいはい、引っ張らないでお姉ちゃんの腕は左手以外は着脱式じゃないから、いや外せるけど外せないから引っ張らないの、いでっ!いででっ!強いって!!」
って悪い事を考えてたら3歳児のクセに私の肩の関節を引っこ抜きそうな力を持ってるイデアに腕を引っ張られ、私はフィーロ君の実家のお店に行くことになったのだった。
◇
そして十数分後、私たちはアルス魔道具店の裏へとやって来ていた。
「おじゃましまーす」
「おじゃまー!!」
「はい、どなた····· あぁソフィさんか、それとイデアちゃんも、いらっしゃい」
「あっお久しぶりですメルクお義兄さん、タキス君はいますか?」
「いると思うけど····· 母さん!タキスはいるか!?ソフィさんとイデアちゃんが来たんだが!!」
『こっちよー』
「·····だってよ、たぶん二階にいるから好きに行ってくれ」
「ありがとうございます、んじゃ頑張ってくださいね」
「ありがとー!」
そんでもう顔パスだけど、一応従業員用の出入り口なので挨拶しながら入るとアルス家の長男のメルクお義兄さんが出てきて対応してくれた。
そんで目的のタキス君は二階に居るみたいなので、私とフェニカは二階へと上がっていった。
ちなみにフィーロ君の実家はお店をやってるが実は店舗の近くにちゃんと家があるんだけど、店舗の二階が従業員の休憩室みたいになってて、タキス君は面倒が見やすいようによくそこに居るのだ。
んでフィーロ君の母親のユイナさんも一緒に居るみたい·····
「っていうか覗き込んでる·····」
「こんにちは、ソフィさん」
「おはよぉー!タキくんいる!?」
「うふふ、居るわよ?タキス、イデアちゃんが呼んでるわ」
『うん、わかった』
階段の上を見ると、既にユイナさんが待機しててこっちを見ていた。
まぁそりゃ大声で呼ばれちゃったから来て当然かな·····
で、階段を上ってるとユイナさんの隣にちっこいフィーロ君が出てきた。
「タキくんだー!」
「イデアちゃん、おはよ」
「·····ほんとフィーロ君と似てますよねタキス君って」
「そうかしら?少し似ているけど、あの子の小さい頃はもっと大人しくて気弱そうだったわ」
·····ちっこいフィーロ君だと見間違うくらいよく似ている、フィーロ君の弟のタキス君が出てきた。
でもユイナさん曰く、そんなに似てないらしいんだけどあのちょっと困り顔だけど喜んでる顔とかフィーロ君そっくりなんだけどなぁ·····
「確かに、表情はあの子と似てるかもしれないわね、うふふ、そう言われると一番似ているのはやっぱりフィーロね」
「ですよね?将来が楽しみだわぁ·····」
·····そういえば、フィーロ君みたいなちょっと気弱な性格の子ってアルスさんの家族だとフィーロ君くらいしか居ないのよね。
いやまて、妹ちゃんの中には結構フィーロ君に似てる性格の子が居たような気がするな、·····いやどっちかというとミカちゃんだけど、そんなにがっつかないし控え目な正確な子がいたはず·····
もしかして、フィーロ君って男の子だったのに性格がアルス家の女の子寄りだったのかな·····
「おねーちゃ!はやくー!」
「あっはーい」
なんて考え事をしてたら階段ですっ転びそうだし、イデアに呼ばれたので私はさっさと二階へと行くことにしたのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「やっぱりタキス君って絶対フィーロ君寄りの見た目だよなぁ、だってお義兄さん達は結構体育会系な見た目だし、弟たちは悪ガキだから、あの感じは絶対フィーロ君寄りだよ」
名前:イデア・シュテイン
ひと言コメント
「みてみて!コッケリポンスっていうんだこれ!いいでしょー!!」
名前:タキス
ひと言コメント
「こっけり·····? よくわかんない、でもかわいい」
名前:ユイナ
ひと言コメント
「あらあら、可愛い髪飾りね、·····何それ、どうしてそう変形するのかしら? 全く意味わからないわ·····」




