姉妹の再会っ!
前回のあらすじ。
ウナちゃんのお爺ちゃんである元国王様の隠居屋敷にて、ウナちゃんとその妹のインクちゃんが再会を果たした。
そして私の脇筋はウナちゃんにぶん殴られて悲鳴を上げて、ついでに脇腹もぶん殴られてエビちゃん共々床に這いつくばっていた。
·····流石にちょっと煽り過ぎて、ウナちゃんが物凄い形相で睨んできて神速の一撃で私たちはダウンしてしまった。
流石に視覚範囲外の光の中から腕を突き出してきてパンチされたら耐えられないわ·····
そしてうるさいアホ義姉妹が黙った後、本物の姉妹である2人は産まれてから数えられる程度にしかした事の無い会話を交わしていた。
「·····で、なんでインクがここに居るの?」
「おねえさまこそ、なんでここに·····」
「だって冒険者としての私はこの町かマグウェル街を拠点にしてるんだもん、居て当然でしょ?それに今日はお爺ちゃんに挨拶しに来たからインクが居るなんて知らなかったし·····」
·····脇腹が痛くて呼吸困難中だけど軽く説明するね。
ウナちゃんは妹がメイドをやってるのは知っていたけど、お爺ちゃんの専属メイドとしてきているのは知らなかったし、出発式の時にウナちゃんは居なくて会わなかったし、ここに来ていると知ってかなり驚いていた。
対する妹ちゃんも、まさかこの町が姉の活動拠点だとは知らずに来たみたいで、ご隠居様からもそのことは聞かされていなかったようだ。
·····で、私とエビちゃんは調子に乗って囃し立ててたら殴られたって訳だ。
「かひゅー·····」
「息、できん、のじゃ·····」
「·····あのアホ2人は放置しておいて、インクはなんでここに居るの?」
「お爺様のお付きのメイドになったんです!コネじゃなくちゃんと実力で!」
「へぇ、すごいじゃん、頑張ったね」
「えへへ·····」
「·····ねぇマルスちゃん、わたしたちどうしよっか」
「邪魔するのは良くないと思うから、·····どうしよう」
「そこに転がってる2人をつつき回すくらいが丁度いいんじゃないだろうか」
·····でも感動の姉妹の再会の割には、なんか、こう、淡白な気がするなぁ。
長年会ってないって訳じゃないけど、マトモに会話したのはもうかなり前っていう話は聞いてたから、もっとこう、感動の再会っぽくなるんじゃないかと思ってたんだけど·····
っていうか、おい見習い聖女3人組ごるぁ、突っついたら突っつき返すぞ!
「で、そこの2人、何か知ってるんでしょ?いつまでも床に転がってないで早く教えて」
「わかりました·····」
「のじゃ·····」
フィグちゃんが杖で私の事を突こうとしているのを睨みつけて止めようとしていると、ウナ王女様から起き上がって説明しろとのご命令が下されたので、私たちはさっさと起き上がる事にしたのだった。
◇
人が出払って私たちしか居ないメイドさん達の控室で、神である私と魔神であるエビちゃんはヒエラルキーが圧倒的に上の怒り気味のウナちゃんに勝つなんてことはできず、彼女に事の顛末を伝えていた。
「·····で?どういうことなの?」
「ウナちゃんってあんまり妹さんと会話したことが無いって言ってたから、どうせなら来てたしサプライズで会わせてあげようかなぁって思って·····」
「ワシはこやつに提案されて協力しただけなのじゃ、善意100%なのじゃ」
「·····ホント?」
「ホントだよ?」
·····まぁ裏では会った時の反応とかを楽しんだりして遊ぼうと画策してたけど、バカ正直に言ったらロクな目に合わないのはわかってるから言わない。
でも一応ウナちゃんとあんまり会話した事が無いっていうのも可哀想だったから、話せる機会を作ってあげるつもりもあったんだよ?
だから私は悪くねぇっ!!
「いまいち信じられないんだけど·····」
「ひぃ、ウナちゃんのジト目怖い·····」
「でもわたしはおねえさまとお話できて嬉しいですよ?」
「·····わかった、今回はソフィちゃんの言い訳を信じてあげる」
おっ?
んふふ、これはアレですな?妹の意見には甘々なパターンですな?
妹思いの良いお姉ちゃんだねぇ。
「·····そこだっ!」
\ガッ!/
「·····ちっ」
って生暖かい目で見てあげたら、亜空間パンチが私の脇腹を狙って来たので気合いで受け止めてやった。
流石に死んでも平気な私でも痛いのはなるべく避けたいのよ。
あとウナちゃん地味に舌打ちしなかった·····?
気を付けてね妹ちゃん、俗世に毒され過ぎるとあんな感じになっちゃうから程々にね?
「そういえば逆に質問しちゃうけど、ウナちゃんとインクちゃんって仲が悪かったりするの?」
「どういう事?」
「えっ?」
「なんかウナちゃんが妙によそよそしいし、居心地が悪そうだなぁって思ってさ」
「そのことかぁ····· ええと····· 魔法学校に行くときはまだ3歳くらいだったからあんまり話した事なくて、帰ってからもメイドになってて殆ど話した事なかったから·····」
「お姉さまが戻って来ても、なかなかタイミングが合わずにお話ができなかったんです·····」
「·····仲が悪い訳じゃなくて、今更何を話せばいいかわからないパターンかぁ」
わかるわぁ、私もピセット姉さんと初めて会った時はどんな話すればいいか分からなかったし、気まずくなっちゃうよねぇ·····
でも完全初対面って訳ではないし、ご隠居様の話によると手紙でやり取りはしていたしお互いに何をやってたのかは文通で教え合っていたくらいの仲らしいから、戸惑ってるだけで慣れれば普通に会話できると思うんだけどなぁ·····
そこら辺はもうウナちゃんとインクちゃん次第ってところかな?
インクちゃんの適応力はあの俗っぽい見習い聖女3人にあっという間に馴染めてしまうほどのパワーを持ってるから、すぐにでも姉妹で話ができるようになるだろう。
「お姉さまってこの町で何をしているんですか?·····あっ、冒険者でしたっけ」
「ええと····· うん、そんなところかな?」
うそつけー。
家に引きこもってゲームしてるでしょ。
前に依頼やったの1ヶ月以上前だったはずだよね?
っていうか最近あんまりみんなで活動してないなぁ····· それといまふと思い出したけど、マグウェル街の家あんまり使ってないよなぁ、いやアルムちゃん達がよく使ってるみたいだけど、私たちはあんまり使ってないし、ここ最近マグウェル街に行ってない気がするし暇な時にでも行こうかな。
「メイドとしての仕事は充実して楽しいですが、冒険者のように自由に動き回れる仕事も少し憧れてしまいますね、えへへ·····」
「·····かわいいなぁもう、っと、でも冒険者は危険が伴う仕事だからインクには向いてないよ、やっぱりメイドが一番向いてると思うから無理しないでね?」
「うん!あっ、ご忠告ありがとうございます、お姉さま」
やっぱりああいうところを見ると姉妹なんだなぁ·····
ウナちゃんって、素でも貴族なイルミア君とは大違いでお姫様部分は思いっきり作ってるタイプで、妹ちゃんも同じ感じで素の性格があるっぽい。
そういうギャップが良いんだよね!
·····私は『ギャップで出る側が常に表だから貧が無い、だから貧乳なんでしょ?』ってウナちゃんに罵倒されてガチで凹んだことあるけど。
ウナちゃんなぁ、姉貴とかネットの猛者と渡り歩いてる間に罵倒がエグくなってきたのよね·····
「·····ひまだなぁ」
「暇とか言っちゃダメでしょ?」
「だが事実だ、しかし姉妹の再会を邪魔するような無粋な真似はしない方が良い、·····どうするべきか」
いやこっち見られても困るんだけど·····
会話に混ざってみたらいいんじゃない?って思ったけど流石にそれは酷だよなぁ。
仕方ない、姉妹がだんだん会話が弾み始めて来たし私たちは私たちで話でもしておくかなぁ。
「んじゃ、さっそk」
「皆様、儀式の準備ができましたのでこちらへ」
『『·····』』
「·····タイミングが悪かったようですね、ですが仕事なので来てください」
あぁ、なんてタイミングが悪いんだ·····
丁度会話が弾み始めたタイミングでなんと祭壇を完成させる儀式の準備が整ってしまい、会話が中断されて何とも言えない雰囲気になってしまった。
その何とも言えなさは厳しそうなメイド長さんでも躊躇ってしまうほどだったが、仕事は仕事なので仕方なく私たちは儀式をやりに向かったのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「まぁ、うん、とりあえず一件落着!!」
名前:エビちゃん
ひと言コメント
「おい無理やり締めようとするなのじゃ、どうするんじゃこの気まずい微妙な雰囲気」
名前:ウナちゃん
ひと言コメント
「そーだそーだ!·····まぁ久しぶりにインクと話できて楽しかったからいいけど」
名前:インク
ひと言コメント
「わたしもお姉さまと同じく、お話ができて楽しかったですよ?」
名前:見習い聖女3人組
ひと言コメント
フィグ
「ねぇ、キッチン借りてもいいと思う?」
マルス
「ダメに決まってるでしょ?ここ元国王様のお屋敷だよ?」
シトラ
「こういう時は本を読むに限る」




