計画されたダブルブッキングっ!
さて、途中で邪魔が入って計画が少し遅れたりしたけど無事に計画の実行の日がやって来た。
もちろん準備はすべて完了していて、私は聖女の服に着替えて見習い聖女3人とメインで儀式をやる神父さんとシスターさん数名の後について来ていた。
·····ちなみに見習い聖女3人組は、儀式の見学という事になっているからそこまで忙しくは無いし、うまいことインクちゃんとぶつけられるだろう。
っていうか儀式の前にも交流する機会があるから、その時に仲良くなってもらおう。
「っていう訳で、隠居屋敷に到着っと」
「っていうわけで?」
「何言ってんだろ·····」
「ふむ、偶にソフィ様がやる虚空に対して話しかける謎行為だ、なぜやるかはよく分からないが、何かに説明しているような語り方の事が多い····· ふむ、試しに僕もやってみるか?」
「いやなんでもないよ?だから気にしないでね」
「·····ソフィ様、いくらご隠居様と面識があるとはいえ、言動には注意してください」
「もちっ····· おほん、当然です、元とはいえ陛下の御前では口調を正しますのでご安心ください」
神父さんに注意されたから、私は一応口調をお仕事モード(聖女ver.)に切り替えて姿勢をピシッと整えて、全員で予定時刻通りに屋敷の敷地内へと入って行ったのだった。
◇
そんで入り口で待機していた執事さんに案内されて屋敷の中に入った私たちは、早速ご隠居様と奥様に挨拶をした。
·····まぁ堅苦しい感じで面白くなかったから全カットだけど、ちょっとだけ面白い場面があった。
なんかご隠居様の後ろで控えてたメイドのインクちゃんが、こっちの見習い聖女3人組を見て何やらソワソワしてて、明らかに話をしたそうにしてて可愛かった。
そんでこの後は神父さんとシスターさんがご隠居様と打ち合わせをするので、邪魔な見習い聖女と見習いメイドは追い出される予定になっていて·····
「っていう訳で紹介するよ、この3人は聖女学校からこの町に研修に来ている見習いの聖女たちだね、ほら自己紹介して」
「はいっ!わたしはフィグって言います!お菓子作りが大好きです!あっお菓子持ってきたんですけどたべます?」
「フィグ!馴れ馴れしく話さないって言われてたでしょ!あっやべ·····おほん、申し訳ございません、私はマルスといいます、趣味はギャンbっ····· 最近はハンドメイドのアクセ作りにハマってます」
「私はシトラと言います、年齢は13歳、趣味は読書で知識をこよなく愛している、ただの平穏な生活を望む聖女見習いだ」
うーん?
怪しい部分がめっちゃあるけど、まぁ、うん、良しとしよう。
「じゃあ次はわたしですね、わたしはインクといいます、ご隠居様のお付きのメイドをしていますが、まだ皆様と同じで勉強中です、お互いに切磋琢磨し成長できることを楽しみにしております、本日はどうぞよろしくお願いいたします」
「·····見たまえ2人とも、異端児と陰で呼ばれる僕たちとは大違いだ、流石は王城勤めのメイドだ、見習うべきだろう」
「すっごーい·····」
「私だって頑張ったらアレくらいできるし·····」
なんで張り合ってるのこの子たち·····
相手はメイドとはいえ王族としての所作を完璧にマスターしてるウルトラメイドさんだよ?
俗っぽい見習い聖女如きが勝てる相手じゃないわ。
·····だが、その俗っぽさは時には狂気になる。
ちがった、凶器になる。
「さてと、今の時刻は9時30分くらいで、神父さんとご隠居様も4人には交流してもらって仲良くなり、お互いに研鑽を積んでほしいと仰られていたから、ぶっちゃけ押し付けられて何話せばいいかわからないと思うけど好きに交流してもらえるとありがたいかな」
「大丈夫ですソフィ様、わたしは皆様に非常に興味がありましたから、色々お尋ねすると思いますがよろしいでしょうか?」
「問題ない、ただぼk····· 私はでりかしーとやらが足りないとよく言われてしまうんだ、沢山聞きたい事はあるが、もしでりかしーとやらが足りない質問をしたら、申し訳ないが目を瞑ってくれるとありがたい」
·····デリカシーの意味はちゃんと教えたと思うんだけど、知らないフリしてるな?
記憶力はいいから1回だけポロッと漏らした事をしっかり覚えてる程の記憶力のシトラちゃんが忘れるはず無いもんねぇ?
まぁ、そのデリカシーの無い質問が綺麗な環境で育ったインクちゃんにどう影響するかめっちゃ楽しみなんだけどね。
「ではまずわたしから質問させていただきます、フィグさん、お菓子作りがお好きとの事ですが、どのようなお菓子を作るのが得意なのでしょう?わたしも仕事柄お菓子をよく作るのですが、聖女様がどのようなお菓子をおつくりになられるのか気になっていたのです」
「えっわたし?ええと·····」
「·····フィグ、彼女は端的に言うと『普段どんなお菓子を作ってるの?』と聞いているんだ、早く答えたまえ」
あっ理解できてないな?
っていうかほぼ同い年なのにインクちゃんは流石だなぁ·····
「はいっ!普段はええと、ケーキにパイにタルトにクッキーに····· 色々作ります!」
「ちなみに私もお菓子作りが得意で、時々フィグちゃんに料理の指導をしてたりするので知ってますけど、この子は基本的にお菓子だったらなんでも作れますね、ぶっちゃけ言って聖女になるよりお菓子職人になった方が良いんじゃないかってレベルです」
「凄いです、わたしはまだまだ修行中で大したものは作れないので、フィグさんの腕前がとても羨ましいです·····」
「ふっふ~ん!でしょう!お菓子作りはわたしが一番得意なんですから!!」
·····って言ってるけど、机の上に置いてあるこのクッキーってインクちゃんが作った物なのよね。
普通に王都で売られてるお菓子くらい美味しいし、庶民な味で美味しいフィグちゃんとは別方向で高級なお菓子としてちゃんと成立してるモノを作れる技能はあると私は予想してる。
だって普通にめっちゃおいしいもんコレ。
でもインクちゃんの言葉が謙遜だとは気が付かず、フィグちゃんは自分の腕前の方が圧倒的に上だと勘違いしてドヤ顔をしていた。
しかもインクちゃんもそれがフィグちゃんの勘違いだと気が付かず、超腕前の良いお菓子職人だと勘違いして目を輝かせていた。
·····どっちもイマイチ常識が足りないからなぁ、でもコレを狙ってたから良しとしよう。
◇
その後、見習いメイドと見習い聖女の交流は順調に進んでいた。
まぁ順調って言ってもシトラちゃんが好きな本は何かと聞いて物凄いマニアックな話をしたと思ったら漫画を激押しして読ませようとしたり、マルスちゃんが特技である幸運を披露して投げた硬貨三枚を触れることなく垂直に積むというとんでもない奇跡をみせてあげたり、それぞれの役職を忘れたただの乙女らしい話をしたりして、徐々に打ち解け始めていた。
当然それは私の狙い通りで、なんだかんだいい感じに仲良くなってくれているみたいで一安心した。
最初は単なる愉快犯で反応を見て楽しもうと思ったけど、想像よりも意外とちゃんと交流していい影響が出そうで内心はビックリしていたりもした。
特にインクちゃんへの影響がデカいみたいで、メイドとはいえ箱入り娘で庶民と触れ合う機会が少なかった彼女にとって、庶民でしかも同世代の女子3人との交流は新鮮でとても楽しいと感じているようだった。
「それでさ、空から降りてきて一気に魔物を殲滅したソフィ様とレミアさんがこっちを見たんだけど、全身血塗れでさっき話してた『血塗れの賢者姫』を思い出してビビりまくったフィグが気絶しちゃったんだよ、しかも盛大にお漏らししちゃっててさ」
「もっ、漏らして無いもん!·····ちょっと出ちゃったけど」
「うふふ、とても面白いです、みなさん仲がよさそうでとても羨ましいです」
まぁ基本的に聖女組がワイワイ騒いで、インクちゃんはそれを楽しそうに聞きながら時々面白い話をしてみたりして、親睦は深まっているようだった。
·····だが、そこへ第三者が乱入して自体は一変した。
\ぴんぽーんっ/
「ひゃあっ!」
「あれ?ピンポンここにもあるんだ、ソフィさまが作ったからかな?」
「多分そうでしょ?」
「やはり便利だ、ここまで来客が来た知らせが聞こえるのは便利というほかないだろう」
「·····来たか」
どうやら話に夢中になってる間に、来客であり第二の刺客が来たようだ。
◇
そんで十数分くらい誰が来たのかとかそういう話をしていると、従者たちの部屋の入り口が勢いよく開いて、彼女たちが入って来た。
「よっエビちゃん、こっちはいい感じに場を温めておいたよ〜、秀吉があっためた信長の草履くらいポカポカよ〜」
「なんじゃその例え····· とりあえずワシの方も大丈夫なのじゃ、例のお爺様への挨拶は終わらせて、まだ話し合っておったからという事でこっちに来たのじゃ」
「·····魔族の方ですか?そういえばソフィ様が義姉が魔族の方だと仰られていましたね、もしかしてあなたがエヴィリン様でしょうか?」
「うむ、そうなのじゃ、ワシこそが大魔おっ····· うと同じ名前を持つ誇り高き魔族、エヴィリン・アマイモン・ファゴサイトーシスなのじゃ」
まず最初に入ってきたのは、私の計画の協力者であるエビちゃんだった。
ちなみに今は角を魔法で作り直してそれっぽくしてあるから一瞬で魔族だとわかったのだろう。
あえて王族の家に魔族の姿で行くのはどうかと思うけど、彼女曰く魔族の誇りと意地だと言っていた。
んまぁそんなこたぁどだっていい。
本題は後ろにいる子なのだから。
「ちょっとー!退いてよエビちゃん!通れないでしょー!」
「おっとすまんかったのじゃ、では早速姉妹のご対面なのじゃ」
そして、後ろにいる子が従者の控室に入って来た。
その少女は白黒のツートンカラーの髪と瞳を持ち、普段使い用っぽいけどちゃんとドレスを身に纏った、王族モードのウナちゃんだった。
「·····おねえさま?」
「·····えっ、インク?なんでここに居るの!?」
そしてっ!!ついに王族の姉妹が顔を合わせてしまったのだ!!
さぁどうなる?どうなるっ!?
気になる続きは次回っ!!
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「んふふふ····· 計画通り·····」
名前:エビちゃん
ひと言コメント
「角が無い状態で身分の高い者に会うのは失礼·····な気がするのじゃ、特にそういう決まりとかないんじゃが、ワシの気持ちが角無しで行くのを許さなかったのじゃ」
名前:インク・リィス・ラ・サークレット
ひと言コメント
「おねえちゃっ·····さまって、王城に居たんじゃ·····」
名前:ウナ・ウェア・ラ・サークレット
ひと言コメント
「インクって、王城でメイドやってたんじゃ·····」
名前:見習い聖女3人組
ひと言コメント
フィグ
「えっ!?ウナさま!?·····ってだれだっけ?」
マルス
「大バカアホマヌケフィグっ!!王族の人、それも王女様だよっ!次の女王様って事だよ!!死にたいの!?」
シトラ
「やめたまえマルス、流石に王族の方の前でその罵倒はマズい、処刑案件だ、·····いやまちたまえ、いま君、ウナ様の事を姉君とよばなかったい?という事は、もしや君の正体は·····?」




