異世界ツーリング時々盗賊退治っ!
宇宙から帰って来た3日後、私は1人でふら~っと遊びに出かけていた。
·····実は明日、元国王様がこっちに来る事になっているとウナちゃんから報告があって、明日の午前8時に王城の転移部屋へ迎えに行ってこっちに2人とお付きの人と護衛の人とかを連れて行くことになっているのだ。
まぁまだやり残したことがあるみたいだから本格的に引っ越すのはもうちょい後らしいけど、一旦休息も兼ねてこっちに来るつもりのようだ。
で、ここからが問題で、ウナちゃん経由で聞いたけど王城に新しい転移部屋を作って隠居用の家と王城を転移ゲートでつなげられないか?と向こうが提案しているらしくてやらざるを得なくなったのよね·····
「転移ゲートねぇ····· あれ作るの大変なのよ、私が維持管理するとすっごい簡単にできてるように見えるけどさ?本当なら超大掛かりな装置が必要だからね?まぁ作るけどさ·····」
ガキャンッ!
ギィンッ!
ギャリリリリィィィッ!!
キンッ!!
「よっほっ、それっ」
「くそっ!何だコイツ!!」
「なんだコイツってか?えっ!?そうです、私が賢者姫のソフィ・シュテインです」
·····で、実はさっきから私はのんびりと遊びにきていた。
その遊びに来ていた場所はサークレット王国の南西にある巨大なカルデラの中だったんだけど、のんびり火山でも見て温泉でも湧いてれば入って、いい感じの渓谷がったら観光して帰ろうとおもってたんだけどねぇ·····
偶然村を襲ってた盗賊団に出くわしちゃったのよ。
普段は私は盗賊の駆除の依頼とかしないのよね。
たとえ盗賊でも、何で人の物を盗むようになったのか、盗みという犯罪を犯したのか、その全てに理由がありそれぞれの正義と理由によって、人間は行動している。
·····神である私がそれを邪魔する事は、別にやっても良いけど私の流儀に反する。
それに、私は基本的に人に危害を加えることはしない、ましてや人殺しなんて言語道断、絶対にやらない行為だ。
·····私と私の関係者が襲われた時は容赦しないけどね。
ただまぁ、うん、いくら手を出さないようにしてるとはいえさ?
目の前で村を襲ってる15人くらいの小汚いオッサンの集団を見かけたら放置するわけにはいかないのよね。
神である以前に人だし冒険者だからさ?
「いやー、対人戦なんて久しぶり····· いや、リリアとかエビちゃんとはやったけど、アレは例外だから一般人とやるのは久しぶりだよ」
「そこだっ!」
ヒュン!
「ここだね」
パシッ
ブォンッ!!
「は?ぐあっ!」
·····こうして、剣や弓で武装した集団が村を襲ってる場合、冒険者は依頼外でも襲っている側を捕まえたり、討伐しても良い。
これは冒険者協会が制定した国際法で、国によって多少の差はあるがサークレット王国では『殺害による対処も可とする』と制定されている。
まぁ私は殺すつもりは無いけど、遠慮なくやれる相手なんて滅多にいないからちょっと楽しませてもらってる。
例えば、真後ろから放たれた矢を素手でキャッチすると、クルッと高速で回転して更に私の腕力で遠心力を加えて、来た時よりも早い速度で発射してみたりしている。
ちなみに矢は相手の利き腕の肩に突き刺さり、あまりの速さで貫通してしまっていた。
これでもう弓は撃てないだろう。
「くらええええっ!」
「おっと危ない」
「なんで避けられる!?ぐはっ!!」
ドッ!!
んで今度はナイフを持って突進してきたヤツが居たから、槍を持つ手とは反対の手でみぞおちに掌底を食らわせてやった。
しばらく息も出来ずに地面で藻掻くしかできないだろうなぁ·····
「さーてと、身体も暖まって来たし····· テンポ上げていくよ」
「なんっ·····!!?」
ガキャキャキャキャキャンッ!!
「早いっ!くそ!もういい!纏めてかかれ!!Sランク冒険者を捕まえたら·····」
「捕まえたら?」
「ひっ!!?」
「捕まえたらぁ?ブチ犯してみたり?違法奴隷商に売ってみたり?殺して私が持つ巨万の富を奪ってみたり?色々できちゃうだろうねぇ、でも残念、それは無理だけどチャンスをあげよう」
私は全方位を囲まれながら、槍をクルクルとバトンのように回して構え直した。
そして、私は罪人に告げた。
「·····5秒間耐えてみせよ」
次の瞬間、時が止まった。
否、彼女の力が、魔力が、意思が、存在感が急激に指数関数的に上昇し、周囲の魔力量が粘度を持ち干渉できてしまうほど上昇し、更に魂が委縮し処理能力が低下したため、『止まった、遅くなった』と感じてしまっているのだ。
「ヤバい!!」
そして、推定世界最強のSランク冒険者が動き出した。
それと同時に、私が動き出すのに追いつけなかった盗賊が一撃で吹き飛ばされて村を囲んでいた柵に直撃し、気絶したのかピクピクと動いてはいたがそれ以外はピクリとも動かなくなった。
だがその様子を私は見ていない。
盗賊を蹴っ飛ばすとその勢いで隣にいたサーベルのような剣を持つ男に一瞬で接近すると、剣の側面へ槍の柄を思いきり打ち付けた。
その間、僅か0.1秒。
人間の反射神経でもギリ追いつけるかというレベルの速度で接近され、物凄い勢いで叩かれた剣は手からすっぽ抜けるより早く刃を大きく曲げて破壊し、ワンテンポ遅れて手から吹き飛ばされてどこかへ飛んで行った。
そしてすっぽ抜けて飛んで行った剣を見ていた盗賊たちは、自らが致命的なミスを犯したと気が付いた。
「せりゃぁぁああっ!ふんっ!それっ!とうっ!!」
「ぐあぁ!!?」
「が、はっ·····!?」
「づっ!!?」
「ぎゃぁぁあああっ!!!?」
「·····は?」
だがそれに気が付いた頃には、戦闘不可能レベルの重傷を負っていた。
いや、重傷を負ったからこそ気が付いたのだろう。
持っていた毒のナイフ諸共手を叩かれ粉砕骨折した者、頑丈な盾を持っていたが盾をフルパワーで蹴り飛ばされ腕を悉く骨折して肩の関節が外れ筋肉や神経まで断裂した者、剣を手ごと縦に真っ二つに切り裂かれた者、鳩尾を柄でぶん殴られた者、腕や足を切り落とされた者たちまで、全員が自分が攻撃されたとは気が付いていなかった。
何せ、素で人間の反射神経を超える速度で動き回れる彼女を視覚でとらえようなんて、ましてや防御して戦い捕獲しようなんて、到底不可能なのだから。
「いっくよー!!」
ッ!!
『『ぐあああっ!!!』』
その速度をもってすれば、小汚い盗賊とはいえ屈強な男たちの集団を、可憐な少女一人が全滅させるなんて容易い事なのだ。
事実、盗賊団は一瞬で壊滅させられ、被害は盗賊が脅した時に壊した物が数個と、ソフィが盗賊をブッ飛ばして倒壊した古めの納屋1件と民家の壁3枚と村の柵3mくらい×4ヶ所という、盗賊より酷い被害をだしてしまい私が何度も村長さんに頭を下げる羽目になったことくらいだった。
◇
その後、私はなんやかんや村でおもてなしを受けていた。
「すいません村長さん、村ぶっ壊しちゃって·····」
「良いのよ別に、こんな簡素で直すのが簡単なのが取柄な村で申し訳ないくらいだわ」
·····お風呂に入りながら。
なんかこの村、水は綺麗だし平原のド真ん中にあるのに温泉が湧いていて、なんでも太古の昔に今はこの村がある地点に火山から吹っ飛ばされた火山弾が降り注いだんだけど、その火山弾が微細な魔石を多く含んでいて、しかも火属性だったせいで今も高温のまま保っているらしくて、温泉が簡単に作れてしまうそうなのだ。
正確には、元々めっちゃ綺麗な水がこの村のある場所では複数個所から沸いているらしいんだけど、そのうちの一つが火山弾·····この村では『熱岩様』と呼ばれている岩の周囲に流れこんで自然に熱湯ができてしまうらしいのだ。
それを利用して、この村では物凄く広いお風呂ができているみたいで、一種の観光スポットみたいになっているらしい。
あっちなみに村長さんは女性だったから、こうして一緒にお風呂に入ってる····· っていうか、ふらっと遊びに来てケッテンクラートで爆走して遊んでてちょっと疲れたから報酬代わりに入れさせてもらったら、村長さんまでついてきたのよね。
まぁ別に良いけど。
「絶景ですねぇ····· 混浴なのがちょっとアレですけど」
「あらあら、この村で気にする人なんていませんよ?」
「私は外から来たので·····」
ちなみに混浴で、一応仕切りみたいなのはあったけどないに等しいし実際気にされてないみたいだから、私は水着を着て入ってる。
·····それと男の人は昼間っから入ってるお爺ちゃんくらいだし、別に元男だからあんまり気にしてないから大丈夫。
そんな事よりも、水がめっちゃくちゃ綺麗で透き通ってて景色も絶景だから気にならないのよね。
「はふぅ、落ち着くわぁ·····」
「うふふ、気に入ってくれて光栄です」
その後、私はお礼で村名産の美味しい水を10リットルほどと牧畜をやってるこの村の名産品という牛肉を貰って、再びツーリングを楽しんで帰ったのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「絶景の露天風呂、めっちゃいいわぁ····· またツーリングするだろうし、その時はよらせてもらおうかなっと!っていうかあそこの村で飼ってる牛の肉貰ったけどめっちゃ美味いじゃん、あれ、もしかしてブランド牛だった·····?えっウナちゃんそれマジ!?王室御用達のスカーレットビーフなのこれ!?ちょ、ちょっと明日また行ってくる!!」




