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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第七章 TS賢者は子育てに奔走するっ!
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エルフには厳しい寒さっ!


 チェルが大人になって帰って来た翌日·····



「ぶるるる····· 寒い·····」


「そう?結構温かくなってきたけど····· まぁスェイゥルュゥ村は熱帯気候で年中暖かいから温帯のこの辺りは厳しいかな」



 私は防壁の拡張工事の下準備が今日から始まるので作業をするため公園建設予定地にやって来ていた。


 ·····でもなぜか知らないけどチェルまでついて来てて、エルフは熱帯気候の場所に住むから寒さに弱いのに寒い寒い言いながらもついて来てるのだ。


 ちなみにエルフが寒さに弱いっていう理由は、種族的に元々皮下脂肪があまり付かないのでスレンダーな人が多くて痩せてるので寒さに弱いっていうのと後もう一つ、特徴的な長い耳にあるのだ。

 エルフにとって長い耳は優れた聴覚を強化する集音器や風や気温や魔力を感じるセンサーになっている非常に大事な器官で、しかも人間とは違い耳がかなり自由に動かせるので神経なども多く通っていて、エビちゃんが属する魔族の角みたいに敏感な器官だ。


 ·····で、冬に弱い理由はその長さにあって、寒いと耳ってめっちゃ冷たくなって赤くなったりするけど、エルフなんかは特に長くて冷えやすいし冷えると結構痛いみたいで、寒い気候が苦手なのだ。

 まぁ普段は基本的に温暖な地域に住んでるから大丈夫だし、寒冷地に行く時は聴覚が悪くなるけど耳カバーとかを付けたりするらしい。



「耳当て一応持ってきたけどつける?」


「嫌かなぁ·····」


「言うと思った、まぁそのうち慣れるからさっさと行くよ」


「うーん·····」



 まぁでも、エルフは耳を隠したり塞いだりするのは苦手で、寒い癖に耳を防御しなかったせいでしもやけになって病院に運び込まれるエルフが1年に絶対1人は居るし、フシ町に住んでるエルフも毎年のように耳がやられて通院してたりするんだけどね。

 前にチェルも耳が凍傷レベルのしもやけになって耳がめっちゃ膨れて真っ赤になったから魔法で治した事あるし·····


 ちなみにこっちの世界には『病院にエルフが居ない冬は暖かい』的なニュアンスのことわざ的なのがあって、冬にエルフが病院に来ないって事は暖冬でエルフの耳が霜焼けにならないくらい温かい事を表してるそうだ。



「さむいー·····」


「·····懐炉貸してあげるから耳に当てておきなよ」


「やったー!」



 そんで、もう春になったって言うのに耳が冷たいと言ってるチェルに魔導式の懐炉を渡してあげて、チェルはそれを耳に当てて温めながら私の後を追って工事予定地へと向かったのだった。





 工事予定地に到着すると、既に冒険者さんや工事業者の人が作業をしていた。



「おまたせしましたー!すいません遅れちゃってー!」


「ん?おおソフィさんか!勝手に先に作業しちまってたわ!だからソフィさんは遅れてねぇ、安心してくれ!」


「時間外労働····· あっいやなんでもないです、そんじゃ私も作業しちゃいますね!」



 どうやら彼らは私よりも先に現場入りして、暇を持て余していたのか先に今日の作業を始めてしまっていた。

 まぁ、作業って言ってもやるのは割と雑草まみれで低木とかも生い茂ってて公園にするにはちょっと厳しい建設予定地を綺麗に整える作業なんだけどね。


 ちなみに彼らは街道整備の業者さんで、普段はフシ町へ続く街道を整備したり周辺の草木を伐採して安全を確保したりする仕事をしてて、お父さんかお爺ちゃんが依頼してやってるそうだ。



「さーてと、どこからやろうかな····· ってほぼ全部終わってる?早くないですか?」


「そりゃ長年鍛えてきたからな!この程度なら何てことないぜ」


「いや普通にめっちゃ広いですよ?何時からやってるんですか·····」



 ·····で、この人らは普通にめっちゃ優秀で、私が来た時にはもう大体の作業は終わらせていて今日やろうと思ってた作業がほぼ全て終わらせられていた。


 しかも完璧ってレベルで終わってたから私がやる事が無くなってしまった。



「どーしよっかな····· 何やろう·····」


「ままー、何するの?」


「ん?あー、やる事なくなっちゃってね、どうしよっかなって·····」


「そうなんだー、じゃあまま!チェルあれ植え直してもいい?引っこ抜かれちゃって可哀そう·····」


「どれ?引っこ抜かれた木か····· ふんふん、んじゃちょっと予定が早まるけど植えちゃうか!」


「うんっ!」



 という訳で、やる事が無くなってしまったので私たちはチェルの要望で、邪魔だったから引っこ抜かれてしまった低木を植え直して公園の装飾を作る作業を始めることにした。


 そして、神の果実である魔力の実を食べ過ぎてハイエルフを超えたエルフになってしまったチェルの力が発揮される時が来た。



「えーっと、完成予想図はコレだから····· ここら辺に植えてくれるとありがたいかな」


「わかった!みんな、いま戻してあげるからね!こっちこっち!」


\パキパキパキッ·····/


「うわぁ····· 何回見ても凄いわ·····」



 チェルは引き抜かれた低木に話しかけると、なんと低木たちが自ら動き始めてチェルの後を追って進み始めたのだ。

 そう、チェルはエルフ固有の植物を操る力が特に優れていて、あの世界樹に寄生する『ニーズヘッグプラント』でさえ従えてしまうほどの能力を持っているのだ。


 彼女はそれを利用して、引き抜かれて枯れる運命になるはずだった低木たちを救ってあげてるのだ。


 ほんと優しいよねこの子·····


 優しすぎて魔力の実のタネをそこら中に植えるせいでスェイゥルュゥ村がちょっと大変な事になってるくらい優しいのよね。

 世界樹が群生してるのって世界であそこくらいじゃない?


 ちなみにウチで消費される魔力の実のタネは大半が炒って塩振って作った酒のアテになってる。

 あれが美味いんだ、見た目はミカンとか柑橘類の種に似てて、炒ると胡麻とヘーゼルナッツを合わせたような感じの香りがして、カボチャの種みたいな食感がして、魔力も多いからめちゃくちゃ酒が進むのよ。

 しかも体のアセトアルデヒドの分解を促進してくれるから2度美味しい。


 ちなみに油も絞れるんだけど、その油は不飽和脂肪酸がゼロでヘルシーだし、なんなら髪に塗ると椿油的な感じで髪にも良い。


 そんなわけで世界樹さんには種がめちゃくちゃ多い魔力の実も専門に育てて貰ってるくらい、魔力の実の種には価値があるのだ。



 ·····話は逸れたけど、チェルはそんな至高の食材を食べずに植える心優しい子なのだ。



「ままー!ここらへんでいい?」


「んっ?あーそこでおっけー!」


「わかった!じゃあみんな、潜っていいよ!」



 ってボーッと考えてたら既にチェルが植樹の予定地に引き抜かれた大量の低木を移動させ終わってた。

 ·····早くない?いや早い方が良いけどさ。


 と考えてる間に既に低木たちが根っこをワシャワシャさせて自ら地面の中に埋まって行ってしまった。


 やっぱりエルフって凄いわ·····



「ままー、つぎなにするのー?」


「えーっと····· 次何しよっかな·····」



 次かぁ·····


 私がやる予定の作業って、3日後に防壁を作って地面を隆起させて小山を作ってその山の上にシンボルとなる世界樹を生やすことくらいなのよね·····


 他の作業とか公園予定地の整備とかは町の業者に頼んでいて、公共事業的な感じで経済が云々ってお父さんが言ってた。

 ·····正しくは『ソフィが1人いるだけで業者が全部潰れかねないから今回は時間が掛かり過ぎて大変な事だけやってくれ』って割とマジで懇願されたんだけどね。


 確かに最初は私一人でやろうと思ってたけど、よく考えたらそれって業者さんの仕事を片っ端から奪う事になるわけで、いい加減ちょっとは仕事を回してあげないとって事になったらしい。



 あっそうそう、フシ町の防壁拡張に関しては専門業者が居るには居るけど今回は私が全部やる事になってるのよね。

 この時期は温かくなって冬の魔物は消え始めるんだけど、越冬したり春になって出現する魔物が急激に増え始める時期だから、建造に数ヶ月かかる防壁拡張工事をやってる暇がないのだ。

 ついでにもうすぐ西の公園を撤去予定だし5月には国王様が隠居しに来るから、時間が掛かる防壁建造は私が1日で終わらせる事になったって感じね。


 ちなみに業者さんにはもう挨拶に行って建造を私がやるって伝えて、本来やっていたら払われる給料や報酬を私のポケットマネーから出したことで許してもらってたり·····

 まぁその話は要らないか。



「·····だから特にやる事ないかも、軽く林とか沢と池も作る予定だけど、それは壁ができてからだしなぁ」


「そっかぁ····· やることないならあそんでいい?」


「まぁ遠くに行かなければいいよ、あと魔物が来たら狩ってもいいからね」


「うんっ!」



 とりあえず私がやるべきことはもう無くなっちゃったみたいなので、チェルはそこら辺で遊ばせておいて私はのんびりと考え事をすることにしたのだった。



名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「これならフェニカを散歩に連れて来ても良かったかもなぁ····· 日差しが温かくて気持ちいいわぁ····· 早朝だからまだ寒いけどね、あっチェルが魔物ブッ飛ばした」


名前:チェル

ひと言コメント

「やっぱりフシ町ってひろくて思いっきり走れて楽しい!村は木が沢山あってたのしいけど、まっすぐ走れないから····· でもどっちも楽しくて好き!」


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