エルフの成長期っ!
「ふんふん····· ここをこうしてこういう形にしよっかな····· んでここの壁はブッ壊すっと!」
「また貴女ですか·····」
「あひゃぁぁあああっ!!」
フシ町防壁の縁に腰掛けて工事計画の最終報告書を読んでいた私は、突然後ろから話しかけられてビックリして壁から落っこちかけたけど、自慢の筋肉で必死こいて這い上がってギリ助かった。
まぁ防壁から落ちたくらいだったら別に地面に頭から突き刺さって埋まるか、人型の穴が開くくらいで平気なんだけどさ。
「あっ、ユーラさんお久しぶりです」
「わたしも居るよ!」
「コパルさんもいるんだ、コパルさん今日は非番じゃなかったんですか?」
「非番だから居るんだよ?」
「コパルは偵察・遊撃隊だから高い所が好きなのよ、こうして休みの日には防壁の上を歩き回っているわ」
「なるほど·····」
そういえばこの2人って百合百合しいくらいなまでの親友なんだっけ。
それに同じ警備隊に所属してるから、所属が違うコパルさんも防壁の上に来れるのか、なるほど·····
「まぁ私はここでちょっと計画の最終確認中なんで気にしないでくださいね」
「言い方がいちいち物騒なのよ、口に気を付けなさい?」
「はーい、気を付けまーす」
「ねぇユーラ、計画ってもしかして巷で噂の?」
「·····言っていいのかしら?」
「いいですよ、もう噂は流し始めてますし、ちなみに今は防壁拡張計画についての最終確認中です」
「あの噂本当だったんだ!広めなくちゃ!またねユーラ!!」
っていうとコパルさんは5mは軽く超える防壁から飛び降りて噂を広めに行ってしまっ
「待ちなさい」
「ふぎゃっ!」
あっ首根っこ掴まれて止められた。
·····まぁもう噂は私が広めまくってるし、西の公園付近の人にはちゃんと説明もして同意してもらってるから噂が広まるのも時間の問題なんだけどね。
「迷惑を掛けたわね、では私はこれで失礼するわ、行くわよコパル」
「ぐび、ぐびじまっでる·····」
コパルさんに広められたら物凄い勢いで拡散しそうだけど、生憎息の根を止めるような勢いでユーラさんに首を絞められて黙らされて防壁の上を引きずられ始めたから、噂がもっと広まるのは時間が掛かるかもしれない。
「·····さーてと、防壁拡張の下準備でもすすm」
『ソフィちゃん!ちょっと!なんかヤバいんだけど来て!!』
「ほんぎゃああああああああああああああああああっ!!!??」
そんで嵐のように過ぎ去っていった警備隊の2人を見送った私は、再び防壁に腰掛けて下準備を始めようとして防壁に腰掛けた瞬間、大慌てな様子のフィーロ君が突然出てきて私はビックリして防壁から落っこちて、地面にスケキヨしたのだった。
◇
その後、地面から伝説の聖剣とかマ〇ターソードみたいに引っこ抜けた私は、顔に付いた泥を拭いながらフィーロ君に事情を聴いていた。
「いててて····· で、フィーロ君どうしたの?」
『いいから早くディメンションルームに来て!』
「ん?はーい」
\シュンッ!/
「って事でただいまー、なんかあったの?」
でも事情を聴くより見てほしいみたいなので、私はフィーロ君の後を追ってディメンションルームに戻ると、そこにはなかよし組が数名と、見慣れぬ人物が1名いた。
「あっ!ままだ!」
「·····どなた様?」
彼女はうっすら緑がかった金髪を揺らすと、長いエルフ耳をピコピコと動かして私の元に駆け付けてきて、私の事をままと呼んできた。
·····そんな呼び方をするのは、フェニカかあの子しかいない。
「·····えっ、もしかしてチェル?でもなんか、なんか違くない?」
「そう?みんないうんだけどよくわかんない!」
「いや明らかに大きくなってるよ!?デカくない!?本当にチェルなの?アヤメが真似してるんじゃないの?·····ってアヤメはそこにいるし、という事はマジでチェルなの!?」
「うん!チェルはチェルだよ!」
私の目の前にやってきたエルフの少女は、私の記憶だと身長130cmくらいだったと思ったのに、私とほぼ同じ目線だった。
確か私の今の身長が157cmとかだったから、少なくとも145cmは超えてそうな気がする·····
「ちょっと魔力見させてもらうよ、『神眼』」
「うんっ!!」
確かによく見るとチェルの面影はあるけど見た目が全く違うから、私は魔力を見る事ができる神の目を用いてチェルの魔力などを詳細に見させてもらった。
その結果·····
「·····波形が少し変わってるけど、固有波形は変わってないからチェルで間違いない、でもこの変化後の魔力波形はアミィ君のに近い?それに周波数が少し高くなってるって事は体の成熟が始まった?」
「そうなの?チェルよくわかんない!」
とりあえずこの子がチェル本人であることは間違いないと確証は得たが、それ以上に謎が色々出てきてしまった。
まずエルフは基本的に特殊な成長をする。
エルフは産まれてからたった5年で10歳くらいまで肉体年齢が成長し、そこから15歳くらいになるまで500年近くかけて成長し、肉体年齢が13歳くらいになる300歳から一気に成長して16~20歳くらいの見た目に成長する個体が現れ始めるという、特殊な成長方法だったはずだ。
そんで1回目の急成長に関しては危険な森の中でもすぐに成長して身の安全を守れるようにするためって言うのはわかるんだけど、急激な2回目の成長が始まる時期がバラバラなのはほぼ理由が不明で大体300歳前後から始まるとしかわかっていない。
·····まぁチェルはその急成長期に入ったんだろうけど、目の当たりにすると明らかにおかしいと感じざるを得ない状態だった。
だって越冬前のチェルは二次性徴が始まる前の幼い体つきだったのに、戻ってきたら体がほぼ成熟して大人っぽくなってるって、成長が遅いエルフじゃなくても人間でも普通にあり得ない現象なんだもん。
「ちょっと詳細に調べさせてもらってもいい?」
「うん!」
「んじゃ失敬して、『Examination』!·····ふんふん?乳房の成長もかなり進行してるし筋肉とか骨格とかも大人に近い物になってて、内臓も····· ぶっふぅぅぅぅぅぅううううううううううっ!!!??」
「うひゃぁあっ!?ママ汚いよぅ!」
って訳で魔法で身体を調べさせてもらって、チェルの体が間違いなく魔法とか関係なしに成長をしているのを確認して、臓器を見た瞬間私は吹きだした。
「·····えっ、んっ!?はいぃぃぃぃいいっ!!?」
「どうしたのソフィちゃん?なんかあったの?」
「もしかしてチェルが何か病気になったとかなの?」
「心配ね·····」
「魔族でもあんな急成長はせんからのぅ、よほどの理由があったんじゃろ」
「うん、わたしも、不安·····」
「ちょ、ちょま、チェル!こっち来て!!みんなはそこで待機!!」
「はーい?」
『『えー·····』』
「私とチェルだけで話させて!!来たらキノコ神拳無しでブッ飛ばすからね!!?」
「うわマジな感じじゃん、ワタシたちは行くのやめておこう?」
「そうね、それが賢明な判断ね」
「キノコ神拳無しで殴られるのはシャレにならんのじゃ·····」
「2人だけの秘密、聞かない、それが命令·····」
「あの、僕は?パパって呼ばれてたから僕も·····」
「ダメ、2人だけで!!」
「わ、わかったよ·····」
とんでもない物を見てしまった私は、チェルのプライバシーを考えてフィーロ君でさえ拒絶して2人で話すために別室に移動した。
◇
別室に移動しt·····
「チェル、もしかしてだけど比喩的な意味でも大人になったの!?」
「おとなになる?」
「つまり、えー、どう説明すればいいんだ·····」
別室に来た瞬間、私は身長が高くなったチェルの肩をガッチリつかんで顔を真正面から見つめてチェルの事を問いただした。
·····っていうのも、うん、チェルの体の中に彼氏で婚約者のアミィクティェラ君の魔力が混ざっていて、魔力の質が多少変化していたのだ。
しかも、うん、とある臓器にアミィ君の魔力の原液がしっかり残ってる状態だったのだ。
で、この現象は····· なんていうか····· その·····
体内に途轍もなく濃い魔力を注入されないと発生しない現象で、えーっと·····
·····人間に属する生物から魔力が多量に放出される生理現象は、ビックリして漏れる魔法の他には血液の流出や余剰魔力の放出減少などがあるのだが、男性に限ってはもう一つだけあって、精液の中に魔力が豊富に含まれている。
これは子孫繁栄の際に子供に母親の魔力と父親の魔力を交配させて固有魔力波形を獲得するための現象なんだけど、えーっと·····
子供以外にも、子宮は魔力の放出・吸収性能に優れてて、もし子供ができない場合は余剰魔力を体内に取り込むという性質が女性の体にはあって、エルフ以外の人間も相手の魔力を受け取ると体の成熟が早まるっていう身体機能がこっちの世界の人間にはあったりして、エルフはどうやらつがいの特濃魔力を受け取ると一気に体が成長するらしくて·····
·····つまり、えーっと、うん。
チェルは大人になったって事で間違いないかな?
「チェル、えーと、怒られないように表すのめっちゃ大変なんだけど、むむむ·····」
「どうしたのまま?怒られちゃうの?」
「·····もういいや、ズバリ聞くけどアミィ君とエッチな事したでしょ?」
「っ!!し、してないよ?」
あっ図星·····
「別に悪い事じゃないから全然いいけど、ふ~ん?」
「ま、ままとぱぱが楽しそうにしてたからまねしちゃっただけだもん!!えっちな事だってしらなかったから·····」
嘘だッ!
だって覗き見された時にちゃんとそういう事だって教えたからね、知らないとは言わせないよ?
でも、ふ~ん?そういうお年頃かぁ·····
「な、なに、まま····· にやにやしててなんかこわいよ·····?」
「いやぁ~、なんか微笑ましいなぁ~~~~~~·····ってね?んふふふふ·····」
私は生娘じゃなくなった木娘のチェルの様子で昔の私を思い出して、ニヤニヤしながら生暖かい眼差しで見つめてあげたのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「成長が始まったとしても1日2日でこんなに成長しないし、まだお腹の中にアミィ君の魔力があるって事は····· んふふ、チェルも大人の仲間入りかぁ、んふふふふふふふふ·····」
名前:テュイェル・スェイゥルュゥ
ひと言コメント
「えっと、ええええっと、ふみゅぅぅぅぅ·····」




