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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第七章 TS賢者は子育てに奔走するっ!
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情緒もスキルも不安定っ!?



 ここは私が住む世界に付随する、離れ小島のような小さな世界『ディメンションルーム』


 そのリビングの隅っこに、布団にくるまってエビのように体を曲げて縮こまってスネている一人の少女が居た。

 その名を、エヴィリン・アマイモン・ファゴサイトーシスという。


 彼女はそれはもう立派な魔神と呼ばれるほどの魔族であり、現在は18歳になり角が生え変わる『角落ち』で自慢の立派な角が無くなった『角落ち娘』になったがツノが無くなったせいで誰も分らなくなり、物凄く落ち込んでいた。



「もうやじゃぁあぁぁぁあああぁぁああっ····· 恥ずかしいし、誰もワシの事がわからんのじゃったら、もう、近付かないでのじゃぁぁぁああ·····」


「わ、ワァ····· 泣いちゃった!うーん、情緒不安定だぁ·····」



 それもさっき見た映画の主人公かってくらい情緒不安定だ。

 てめぇは14歳の少女か、いま18歳·····っていうか中身の年齢含めたらてめぇ1300歳超えてるだろ。



「ほらエビちゃん起きて、そんなところいると寒くてカゼ引くよ」


「嫌じゃあ····· もう誰もワシの事なんて見ておらんかったのじゃ····· ならもう見えないようにした方がマシなのじゃ·····」



 ただ、今日のエビちゃんはだいぶ重症だった。

 まぁそりゃ娘とか夫にさえ顔を忘れられてたらショックだよね、私だったら三日三晩寝込んで美味しいカレーになってる自信があるもん。



「エビちゃん姉貴でも呼んできてあげよっか?」


「いーやーじゃー!!どうせ、どうせ!ワシの姿を見せてバカにするつもりじゃろ!!もう、構わないでほしいのじゃ!!!」


「これはもうダメだなぁ·····」



 みんなに顔を忘れられてショックを受けるくらいならもう顔を見せたくないし、幼児退行が限界まで達した事で出てきた標準語エビエビが私に録画されていたのが相当ショックなのか出てこようとしないから、さっきからどうしようか結構悩んでるのよね·····


 まぁお腹が空いたらノソノソと出てきて無言でご飯を食べて帰って行くんだけど、あいにく今は夕飯後でもうすぐ寝る時間なのに、エビちゃんは隅っこで動こうとしていない。

 たぶんここで放置していたら魔神と言えど3月のまだ寒さが残る季節の気温で確実に風邪をひくと思うし、なんとかしたいんだよなぁ·····

 エビちゃん風邪ひくと長引く体質なのよね、めんどくさいったらありゃしない。


 それと流石にエビちゃんの顔のわからなさが酷すぎるからユニークスキル的なのを獲得してるんじゃないかと思って、ユニークスキルと奇跡両方の調査をしるし、それに集中したいから早く寝てくれるとありがたいんだよね。



「·····引いてダメなら押し込めっていうし、寒いから温めておくね、熱くなったら出てきて」


「·····」



 とりあえずエビちゃんは無理やり引きずり出しても無駄だとわかってるので、近くにストーブを置いて遠赤外線でじわじわと温めて出そうとした。

 北風と太陽作戦である。


 これが結構効果あってねぇ、あのミカちゃんでさえ起きるレベルの効果があるのよ。

 まぁ大体すんげぇ怒ってペシャンコにされんだけどさ。


 あっちなみに気を付けないと布団に火が付くから気を付けてね?

 私、それで一度酷い目にあったし·····



「さてと、エビちゃんが出てくるまでもうちょい原因解明でもしよっかな····· いや原因はなさそうだし、どうすれば認識されるようになるか考えておこうかな····· うーん·····」


 まぁ私が包み焼きになりかけた体験は別に良いとして、今はエビちゃんの認識がズレて誰にも認知されなくなった理由を考えよう。


 今の所エビちゃんを正常に認知できてるのは、エビちゃんと間接的だけどほぼ直接的な2親等以内の人物だけで、お兄ちゃん、私、姉貴の3人しかわかってない·····

 でも娘のフロウが全然わからなかったから親等はあんまり関係ない?


 それに、私と姉貴に関しては色々超越した存在なのもあるけど目の前で変化を見てたから気が付けた可能性もある、でもそれだと私と共鳴して神様になってるフィーロ君がエビちゃんの事がわからなかったのがいまいちよくわからないのよね·····



 まぁだからこそユニークスキルか奇跡じゃないかと疑ってるんだけどね。



「あー····· 奇跡の線は消えたか、まぁそりゃアレ信仰心無さそうだもんね····· いや神様で信仰される側だけどさ·····」



 ってやってたらエビちゃんに奇跡が無いかの鑑定が終わったが、残念ながら全くなかった。

 だから奇跡で何か起きたという線は消えた。


 そうなると、ユニークスキルだったり?



「んっ、ユニークスキルの鑑定も終わった、えーっと、魔神姫があるくらいで他は特に異常なしかな?」



 ·····ユニークスキルだったりしなかった。


 エビちゃんにはもともともユニークスキル『魔神姫』があって、彼女の魔神の力を司る神級のユニークスキルだ。

 ·····って、あれ?



「エビちゃんのもう一つのユニークスキルどこいった?あれ、なくなった?」



 そして今更気が付いたけど、エビちゃんは14歳くらいの時に『砂糖吐き』という個性的な(ユニーク)スキルを持っていたのだ。

 ちなみに能力は『口の中が甘くなるような展開を見ると砂糖を吐いてしまう』という変わり種のスキルで、今では魔力を砂糖に変換する方法を覚えてそれで作った高級砂糖をアルム商店で販売して設けているはずだけど、ユニークスキルが消えているのは割とあり得ない事なのだ。


 ユニークスキルは魂に刻み込まれたスキルで、基本的には神界で処理をしないと消えないはず。


 それが消えてるとなると·····



「·····何があるんだろ?ヘイガイア様!ユニークスキル、消える、検索!」


/知らんわ\


「えっガイア様でも知らないパターン?」


『·····効果が弱まっちゃって別のスキルに置き換わろうとしてるんじゃないの?知らんけど』


「なるほど、いやーガイア様便利だわぁ」


『天罰いっとく?』

「遠慮しっとく」



 原因がなんとなくわかってきたかもしれない。

 天罰なんてくらってる暇ねぇ!今すぐ調査だ!!





「いてててて····· 結局神罰喰らった·····」


「·····で、なんでアタシ呼ばれたんだよ、今日はこっち来てたからいいけどよ、いつもは日本でバイトしてんだから呼ぶんじゃねぇよ」



 その後、私は調査を重ねてとあることに気が付き、ちょっとリリアを呼んだ。


 訳が分からないと思うけど、たぶん実験は成功するはずだ。



「おーいエビちゃーん、ちょっと顔出して―」


「嫌じゃー!!!」


「いいから、次わからないって言ったら私の事頭から丸かじりしていいからさ」


「··········わかったのじゃ」

「いやそれでいいのかよ!!!」


「えっ?別に大丈夫だけど?」



 だってよく食べられてるし、性的な意味じゃなくてマジな意味で。


 ってそれはさておき、エビちゃんがモゾモゾしたあとついに布団から顔を出してきて、不安そうにこっちを見て来た。


 そして、それを見たリリアはというと·····



「·····ほへぇ?」



 口をぽかんと開けて、変な声を漏らした。


 ·····が。

 

「·····やっぱりそうじゃろ、ワシが誰かわからn」


「ぶあっはっはははっはっはっははははははははっ!!!なんだそれ!角ないじゃん!?おもしれぇな!ツノどこ行っちゃったんだよ、まさか自分で折ったのか?お前、タケノコの素質あるぜ!一緒にニョッキリしようぜ!!」


「いいやキノコだね、ニョキっと生えるのはキノコの特権じゃい!」

「あぁん!?タケノコだってにょっきり生えてくるだるるぉ!?」



 角の無いエビちゃんを見て大爆笑した。


 ·····そう、誰にも気が付けないはずの角無しエビちゃんを見て、即座に角が無いエビちゃんだと気が付いて爆笑してるのだ。


 でもこれで完璧にわかった。



 エビちゃんは多分『ユニークスキルの改変』が発生して魂の状態が不安定になってて、幼い頃の誰にも気が付かれない『unaware状態のウナちゃん』になりかけているのだろう。


 そして、絶賛改変中のユニークスキルはたぶん『神拳』系のナニカになると思われる。


 その証拠に、神拳を使える私たちだけはエビちゃんの魂のパッションをドラミングしてトロンボーンできたから、今はその神拳のビートが抑えきれなくて周囲に影響されて『角が無いエビちゃんが誰かわからない』というノリが溢れ出しているせいで気が付けないんじゃないだろうか?


 でも神拳を使える私たちはそのパッションのビートをティンパニ☆することで彼女がエビちゃんであると気が付けたのだ!!



「·····ならば、新たなる神拳を受け継ぎし者の誕生を見守るのが我々の役割だ」


「あぁ、将来のライバルだ、今のうちに砂糖を送っておいて損は無い、ふっ、楽しみだなァ·····」


「うわぁぁぁああああああああああああああああああああああああああんっ!!リリア、おぬしはワシの恩人じゃ、大親友じゃぁぁぁあああああああっ!!びえええええええええええええええええんっ!!!」


「ちょっ!あっちぃなてめぇ!!しかもなんでそんな汗だくなんだよ!サウナでも入ってたのかよ!?」

「ストーブを近距離から当ててたのに逃げないから·····」



 そんで、自分がエビちゃんであると気が付いてくれたリリアにエビちゃんは大喜びして、大親友だのなんだの言って飛びついて喜んだのだった。



名前:ソフィ・シュテイン

神拳:キノコ神拳

ひと言コメント

「なるほどね、ユニークスキルが別のユニークスキルになる事もあるんだ····· へぇ、おもしろっ!」


名前:リリア

神拳:タケノコ神拳

ひと言コメント

「·····ふっつーに話しかけただけなんだけどなァ·····ってことはアタシって何もしなくても無意識で神拳が使えてたって事だよな!?すげえなアタシ!!やっぱアタシとタケノコが世界最強なんだ!!はっはっはっは!!」



名前:エビちゃん

神拳:????神拳

ひと言コメント

「·····え、もしかしてワシあの珍妙なスキル覚えるのじゃ?なんか嫌なんじゃが」


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