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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第七章 TS賢者は子育てに奔走するっ!
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エビちゃんのアイデンティティ




 エビちゃんの角が抜けてから数時間後·····



「ふーん?なるほど····· こうすりゃいいのか、接種しなくても金属を体内に取り込むだけで元素を魔導化して体内に分解しながら取り込んでツノに集約するって····· 魔族ってすごいな·····」


「だねぇ、日本で色々な学問に触れたからわかるけど、やっぱ魔族ってあっちの世界ではあり得ない身体構造だわぁ·····」


「なぜワシがミスリルを飲まされなきゃいけないんじゃ·····」


「でも頑丈でかっこいいツノが欲しいんでしょ?」


「そうじゃが、金属を飲み込むのは抵抗があるのじゃ·····」



 私と姉貴は角が抜け落ちたエビちゃんをオモチャにしていた。


 オモチャっていうか、魔族の角の研究と実験台にしてる。

 ちなみに既に結構面白い事になってて、結構な速さで傷口がふさがって1時間後には角があった部分が円形ハゲになっていたのだ。

 って言ったらエビちゃんに猛烈に殴られたので訂正すると、傷口がふさがって皮膚ができていてしばらくするとその部分に成分が凝縮してだんだん角が生えてくるらしいのだ。


 そんでツノを構成する成分の供給は体内に取り込んだものから行うのはわかってたけど、どうやら金属を体内に取り込むと体内で崩壊魔法のような魔法が発生し、対象の物質を崩壊させ一部を魔力に置き換えて体内の魔力流路、それもツノと繋がる神経のような魔力流路を逆流してツノに行って、生体組織などで再構成しながら角を生やしていくらしいのだ。


 だから早速エビちゃんに最強のツノをプレゼントするため、ミスリルと星核合金を飲み込ませた。

 そしたら既に体内で崩壊魔法が発生してジワジワと星核合金まで崩壊されていて流路を通って角に集まり始めていた。


 まぁでも角が完成するまで半年くらいは掛かりそうだから気長に待つべきだろう。

 ちなみに本人はたとえ小さい金属の球でも飲むのに抵抗があるみたいだけど、それも想定内でもう胃の中に転移ゲート作ってあるから、時々こっそり胃に直接転移で送り込んでやろうと思う。


\ガチャッ/



「ただいま、あれお姉さん来てたんですn····· 誰?ソフィちゃんまた何かやった?」


「やってないわ!!」

「えっ、ワシじゃぞ?もう忘れたのじゃ?」


「すいません、合った事ないかもしれないです·····」


「ぶっふぉwwwwあー草、めっちゃ草生えるwww」



 って考えてたら、フィーロ君が帰ってきた。

 そしたらリビングに居る私たちを見て、誰か知らない子が居ると思って丁寧な口調になった。


 これ絶対エビちゃんってわかってないパターンだよね、あーおもしろっ!!



「待ってフィーロくん、マジでわかんないの?」


「えっ、知り合いだっけ····· わかった、リリアさんでしょ、ツインテールを下ろしたリリアさんだよね?」


「ちーがーうーのーじゃあぁぁぁぁぁああああああああああっ!!!ワシはエヴィリン・アマイモン・ファゴサイトーシスなのじゃあああああああああっ!!!」


「いや、でも角が無いし·····」


「ツノがあればええんじゃな!?ほれ!どうじゃ!!ワシじゃ!!」


「あっ、えっ!?エビちゃんだったの!?」


「なんでわからんかったんじゃ!!ぶっちゃけ言ってツノがあってもあんま変わらんじゃろ!!?」


「いやぜんっぜんわからんけど?」


「ソフィ!お主までわからんのじゃ!?」



 ·····わからん。

 だってエビちゃんかどうかを判断する時って、角があるか無いかで判断してるからそれ以外であんまり見ないし·····



「·····ワシ、マジで泣くぞ?」


「まって、その前に聞きたいんだけど、なんでツノを手に持ってるの!?」


「抜け落ちたんじゃ!!そしたらお主にも気が付かれんくなったしこいつらには変な物を喰わされるし!散々なのじゃ!!」


「えっ、ソフィちゃん?流石にエビちゃんの角を折るのはダメだよ?今すぐ治してあげなよ」


「ちがっ、私のせいじゃない!!魔族はこの時期に角が生え変わるから私は悪くない!!ね!姉貴!!」

「そうそう、アマイモン種の魔族は18歳の春になると角が落ちるのよ、まぁ右の角はソフィたんがへし折ったけど」


「言い方が悪い!!取れやすくなってて痛がってたエビちゃんの要望に応えて角をグリグリ押してたらポロって取れただけだから!!」


「そうなの?エビちゃん」


「·····まぁ、その通りじゃな」



 よかった·····

 あらぬ疑いを掛けられて酷い目に合わされるところだった·····


 流石の私でもエビちゃんの角を折るような事はしないもん。


 だってエビちゃんの角ってエビちゃんのアイデンティティだし、アレが無くなったらエビちゃんは身の無いエビ·····



「まって、そういやエビちゃんのアイデンティティ無いじゃん、そりゃ誰もわからないわ·····」


「んなわけないのじゃ!!今に見てろ!!フィーロはわからんかったが他のやつらなら絶対わかるのじゃ!!」



 だが、現実は非常であった。





 夜·····



「なんで、何で誰もわからんのじゃ·····」


「ご、ごめんねエビちゃん····· ぜんぜんわかんなかった·····」

「これ私の頭がヤバいかもしれないわね、エビちゃんの角が置かれたクッションと見間違えるなんて·····」

「本当にエビちゃんなのか今もわかんないんだけど?」

「ん、エビちゃん、落ち込まないで」


「·····ミカちゃん、それクッションだよ」


「·····えっ?·····ほんとだ、おやすみぃ」



 みんなが帰ってきてエビちゃんを見たのだが、結論から言うと誰一人角落ちエビちゃんがエビちゃんだとわからなかった。

 そしてフィーロ君の次に帰って来たアルムちゃんがエビちゃんを見て全然わからなかったから、試しにクッションにツノを置いといてみたらみんなクッションに話しかけたのだ。


 流石の私も笑うを通り越して怖くなったわ。


 今もミカちゃんが間違えてたし、あんまりにも酷すぎてお兄ちゃんを呼んだら最初の30秒間は別人だと思ってたみたいだけど、唯一教えないでエビちゃんだと気がつくレベルで誰も分らなかったのだ。


 マジで怖くて神様の私でもビビるほどだったわ·····



「っていうか!ワシの角で遊ぶななのじゃ!!ったく、折れたらどうしてくれるんじゃ·····」


「もう折れてない?」


「そうじゃが!!むぅぅぅううう····· 調子が狂うのじゃ!」



 多分だけど、マジで私たちの認識が『エビちゃん=ツノ』ってなってたんだと思う。


 いやぁマジで怖いわぁ·····

 エビちゃんと毎日のように顔を合わせてる私たちでさえこの有様だから、あまり顔を合わせてない知り合いとかが見たら本当に誰かわからないんじゃないかな?


 例えば私のお父さんとか·····



「·····やべ」


「どうしたのじゃ?」


「明日エビちゃん仕事あったよね?」


「うむ、明日は町政の手伝いじゃが····· あっ·····」

「エビちゃんも気が付いた?」


「·····この状態で行ったら絶対に気が付かれんのじゃ」



 多分だけど、この角落ち状態のエビちゃんが町役場に行って事務部の中に入ったら確実に警備隊を呼ばれて連行されるだろう。

 だって絶対に気が付けないもん。


 

「どうするの?」


「どうにもこうにも、どうすればいいんじゃ!?ワシわからんぞ!?」


「·····カチューシャにツノくっつけて被っておく?」


「なんか嫌じゃ」


「四の五の言ってるとロクな目に合わないよ?」


「お主、自分の抜けた歯を戻して使うってできるか?ワシは嫌なのじゃ」

「·····なるほど、それは確かに嫌だわ」


「じゃろ!?じゃがこれがないとワシはワシと認識されんのじゃ····· むぅ·····」


「·····てかさ、魔族の誇りである角を抜けた歯と一緒にするの違くない?」

「例え話なのじゃ!」



 これはマジで困った·····


 どーしよっかな·····



「·····ソフィちゃん」


「何フィーロ君、なんかいい案出て来た?」


「ソフィちゃんの左腕って義手で魔法で構築してるんでしょ?それ同じのできないの?」


「·····できるかも、エビちゃん!ちょっと頭貸して!」


「ワシの頭はお主みたいに取り外し式じゃないのじゃ!!」


「そうじゃなくて!頭を私の方に近付けて!」



 ちなみに私の頭は普通に取り外せる·····っていうか首が飛んでも魔法で治療して元通りにできるから取り外し式なのだ。


 って、それは今は関係ない。



「これで良いか?」


「そうそう、それで、えーっと、義手魔法はコレで、元データを読み込んで一時的に角があった場所に魔法で角を疑似的に作成····· よしできた!『義角』!!」


 パキィンッ!!


「いでっ!·····むっ、はっ生えてるのじゃ!!」



 私は即座に義手の角バージョンを構築して、エビちゃんに付与してみた。

 すると角のあった場所から一気に角が生えてきて、見た目は元通りになった。



『『あっエビちゃんだ!』』


「お主らブッ飛ばすぞ!·····というか、なんか違和感凄いのじゃ、角があるのに全然何も感じないのじゃ·····これ機能どうなっておるんじゃ?」


「無いよ?見た目だけ再現してるし、ちゃんとチューニングするの難しすぎるから今のところ一日8時間くらいしか使えなくて、それ以上たつと一時的に消えると思う·····」


「·····条件付きで角が生えたという事じゃな?」


「そうそう、だから基本的には生えてない状態になってるから気を付けてね?」


「うむ、まぁないよりはマシじゃな、助かったのじゃ」



 こうして、角落ちエビちゃんが誰かわからなくなる最悪の事態は避けられたのだった。


 ·····まぁどのみち色々事件は起こるんだけどね。




名前:エビちゃん

ひと言コメント

「·····」

\おいソレはワシじゃなくて角なのじゃ!! /


名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「いやー、マジで誰かわからないわ····· エビ要素のないエビちゃんなんてただの普通の女の子じゃん、ねぇエビちゃん?·····あっこれ角だった」


名前:フィーロ

ひと言コメント

「本当に誰かわからなくて僕も驚いた····· 記憶力には自信あるんだけどなぁ·····」


名前:アルム

ひと言コメント

「くっ、気が付けなかった····· もっとエビちゃんの顔見ないと、それに匂いとか味とか····· ぐへへ·····」


名前:グラちゃん

ひと言コメント

「私、クッションとエビちゃんを間違えたんだけど本当に大丈夫かしら····· 病院行くべきかしら?」


名前:ウナちゃん

ひと言コメント

「あれ?エビちゃんも3人になれたんだ!でもなんで他2人は喋らないの?」

『それはワシの角じゃ!!なんで1本で一人カウントなんじゃ!?!』


名前:ミカちゃん

ひと言コメント

「·····ん、エビちゃん真っ二つだけど大丈夫?」

\お主の認識、角にワシの半身くっついとるのか!?/


名前:ラクト

ひと言コメント

「しっかり顔は見てたと思うんだけど、わからなかった·····」


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