鳥か竜か龍か、それとも·····
『ヴォアアアアァァァァアアアアアアアアッ!!!』
「すっごい声量ッ!!恐竜って鳴かないのが通説のはずなんだけどっ!!いいねっ!!」
『キィゥイリルゥルゥルルルルッ!』
「させない、わたしが守る」
キュインッ!!
普段は静かなフシ盆地の森の中に、激しい戦闘音と木々がなぎ倒される音と巨獣と奇獣の鳴き声と2人の少女の声がこだましていた。
「いやーすごいね、こんな知能指数が高いなんて思わなかったよ·····」
『グルルルルル·····』
そして戦況はなんと3VS1、私とアヤメと魔物ティラノの3匹 VS やたら強い真っ黄色の触手が生えたロケットみたいなキモい魔物という状況だった。
私は1VS1VS2の三つ巴の戦いになると思ってたんだけど、黄色いキモいヤツばっかり狙って攻撃して、ティラノには攻撃せずに逆に守りながら戦ってたら3分くらいでそれに気が付いたのか、ティラノも私たちを狙うのを止めて味方しはじめたのだ。
しかも魔法で意思を伝えてるとはいえ私からの指示をちゃんと理解して行動しているのを見ると、相当知能指数が高いと思われる。
確か私が調べた時だとあっちの世界のティラノサウルスの知能の高さはチンパンジー並という説もあり、人間の4歳児レベルの思考能力はあるらしいのだ。
そして魔物は全体的に元になった生物より知能が高くなる傾向があり、サル系の魔物の中には人間の言葉を完全に理解して単語を2つくらいならつなげて喋れる魔物が居るんだとか。
あとドラゴンなんかは人よりも圧倒的に頭が良い個体が居て、レディクルスさんなんか100億年前に食べた夕飯の内容を覚えてる程だ。
ちなみに100億と1105万907年9ヶ月3日前の夕飯はどっかの惑星の樹木そっくりな全く動かない動物だったらしい、20mくらいあったけど先端からムシャムシャしたんだとか。
ちなみに私は昨日の昼ごはんの内容も覚えてない。
何食ったっけ。
·····それはさておき、このティラノはどうやら4歳児以上の知能を持っているようで、なんかめっちゃ悔しいけどフェニカよりも頭が良いのだ。
「んふふ、じゃあ私が囮になるから、ティラノさんはあっちに行って後ろから攻撃して」
『グルルル·····』
「おっけ!んじゃ行くよっ!!そりゃっ!!」
その証拠に、私が指示を出すとティラノさんは巨大な図体を木の陰に隠しながらキモ黄色い魔物の後ろに回り込み始めたのだ。
そんで知能指数がアカシックレコードを使えるため1兆を軽く突破している私は、狡猾な事なんぞせずにキモ黄色いヤツに真正面から突っ込んだ。
ちなみに昨日の昼ごはんは試作品のパフェロンチーノにしたんだった。
ありゃ大ヒット間違いなし、フシ町のB級グルメとして広まるはずだ。
っとと閑話休題っ!!
『プィリヴィヴィヴィヴィルルルル!!』
「はいはい失礼するよー!!触手邪魔だからカットしちゃうねー!!」
ブニュン!
ブチィッ!!
ヂュビヂャッ!!
「やっぱり音キモイ!!!」
『キィヴェヴェヴェギィヴィィィィイイイイ!!!』
「鳴き声もキモいっ!!!」
私がソフィアの槍を高速で振り回し、グニグニしていて斬りにくい触手をいとも容易く切り落とすと、そのデカい図体にグングン近付いて行った。
コイツはどうやらあまり動き回るような種じゃないらしく、移動は遅いから胴体はかなり狙いやすい。
ただ、そのぶん8本の触手が無限に伸びて縦横無尽にのたうち回るから接近は難しいし、遠距離攻撃も触手で防がれて超音速弾とかじゃないと受け付けないのだ。
「よっ!はっ!よし!アヤメ!!『マギ・マシンガン』っ!!」
「わかった、『フォトン・グラフ:トレース』、いち、に、よん、はち····· じゅうろく!!」
そしてコイツは中央の体の防御力はかなり低い、たぶんだけど魔導障壁がかなり薄くて体表も柔らかく攻撃が通りやすいのだろう。
だが逆に触手は異様に強く、上級魔法でも貫通しないめっちゃ厄介な特性があるらしくてヌメヌメしてて多分普通の武器だと滑って切れないしグニグニしていて普通にぜんっぜん切れないから厄介すぎる。
そんでこの触手をメチャクチャ伸ばして盾にすることで、弱い胴体を守っているらしい。
ちなみに胴体に接近されると触手を自分の身体に巻き付けて身を守るっぽいから、そうなると割と厄介なのよね。
ただ、基本は触手で防御するようで、私たちが猛烈な攻撃を与えると触手で守ろうとして8本ある触手を私の方に全部割り振って攻撃と防御を仕掛けてきていた。
そしてそこへ、私の魔導機関銃『マギ・マシンガン』が発動するとそれをアヤメが『フォトン・グラフ』というヴィエルグランツ固有の万物変化魔法を使い私のマギ・マシンガンを16個もコピーしてしまった。
このフォトン・グラフはかなり特殊な魔法で、光で対象となる物をコピーする力があるのだが、フィーロ君が使う『マジックエミュレータ』のようにコピーした物を自分で扱える力は持っておらず、発動した場所にその物体のコピーをまるで鏡や写真のように写すだけなのだ。
だが·····
「発射!!」
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!
「もっと増やす?」
「もう十分っ!!」
『ギャリリリリウィルィヴィヴィヴィィィィィィィイイイッ!!?』
フォトン・グラフでコピーされた物は、コピー元と全く同じ動きをする。
この魔法は一見役に立たなそうだが、サポートを行うとその真価を発揮するのだ。
性能の検証をした結果、なんとマギ・レールキャノンやサンダーボルト・アヴェンジャーなどの超高威力魔法や、私のソフィアの槍をほぼ完全コピーして一瞬だけ使えるほどの能力があったのだ。
そして、今は私が呼び出したマギ・マシンガンを16倍にコピーしていて、私が引き金を引くとコピーされた魔法から一気に弾丸の雨が降り注いで来たのだ。
この弾丸の大雨を防がなければ胴体は一瞬でハチの巣になり、集合体恐怖症になる前に死に至るだろう。
しかも、触手をブン回しているだけでは絶対に避けられない弾幕だ。
故にあのキモ黄色い魔物は8本あった触手を複雑に絡め合い、1枚の隙間のない盾を構築した。
·····構築してしまったのだ。
「今です!ティラノさん!!」
『ヴォァァァァアアアアアアアアアアアアッ!!!』
ガスッ!!
『Kyiapooaippkkaaahhyyuaaa!!!!???』
「うわすっごい悲鳴!」
盾ができて触手を全て使ってしまった影響で、背後ががら空きになっていたのだ。
そこへ私が後ろに回り込むよう指示を出していたティラノさんが襲い掛かり、弱点である胴体に噛みついたのだ。
\ブチィッ!!/
「えっ胴体そんな柔らかいんだ、簡単に噛み切れ·····」
『ガアアアアッ!!!?』
\ぶべっ!!/
「あっ吐き出した、マズいんだあの肉·····」
そして胴体を噛みちぎったが、想像よりはるかにマズかったらしくてあのティラノサウルスが肉を吐き出していた。
確かにここまで届く嫌なアンモニア臭があるし、うん、アレは茹でて食べるのも無理だなぁ·····
『ギリィビヴィヂヂョッヴァアビョォォォオオオッ!!!』
『ヴォアァァァアアアァァアアアアアッ!!!』
って食べ方を探して諦めている間に、キモ黄色いヤツとティラノさんが激しい戦いを繰り広げていた。
いやぁすっごい迫力、巨獣と巨獣の戦いは見てて楽しいねぇ·····
ビシッ!
『ギュァァアアアアッ!!?』
「あっ今のは痛いヤツだ、うわ痛そう·····」
「治す?」
「アヤメお願いできる?」
ティラノさんはマズいのを我慢して胴体に噛みついていたが、鞭のようにしなる触手を喰らってかなり深い切り傷ができてしまった。
ああいう傷ってめっちゃ痛いのよね·····
って事で、サポート極振り性能なヴィエルグランツのアヤメが治癒魔法を使ってティラノさんの治療を開始した。
「うーん·····?やっぱりティラノさん、さっきから一度も魔法を使ってない····· はち切れそうなくらい魔力は生み出してるっぽいのに·····」
「え?まほう、つかってない····· たしかに·····」
今の戦況は、ティラノさんがかなり押し返しているけど若干劣勢な感じだ。
だがキモ触手の方は魔法もバンバン使って触手に電流を纏わせて攻撃してきてるのに、ティラノさんはさっきから一度も魔法を使うところを見ていない。
一応身体能力の強化はやってるけど、アレは巨大な魔物特有のパッシブ発動の身体強化だと思うし·····
ただ、戦闘開始から精製を始めて蓄えてる魔力量は凄まじく、魔法特化のドラゴンに匹敵する程なのだが、それを一切使わないとなると、考えられる選択肢は2つ。
1つは身体強化に極振りしてて、身体機能を維持するために魔力を多く蓄えてる場合だ。
そしてもうひとつは·····
「もしかして、まだ本気じゃない?それとも·····」
『ゴアアアアアアアアアッ!!!』
\ブヂィッ!!/
『キョルィリゥルルルルルウ!!!』
「あっ!先端がモゲた!」
って悩んでたら、ティラノさんがキモ触手の胴体の先端を噛みちぎる事に成功したようで、イカっぽい身体構造なのか噛みちぎられた部分から内臓が見えていた。
そして、普通のティラノサウルスよりも大きく筋力があってモノを掴みやすそうな前足を使い、キモ触手の傷口をガッツリ掴んで広げると·····
「·····えっ、背部結晶器官が発光してる!?何をする気だ!?ま、まさかっ!!?」
ティラノさんは背中に大量に生えていた結晶のような部分を激しく発光させ、Bランクの魔物·····いや、Aランクの魔物でもなかなか居ないレベルの魔力を蓄積し始めた。
·····2つ目の可能性、それは『一撃必殺の極大魔法』を放つべく、全力で蓄えてる場合だ。
そして、ティラノさんは天に向けてその顎を大きく開き·····
スゥゥゥゥゥウウウウウウウウウッ·····
『ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!!!!』
「や、やば、これやば」
口から黒煙を吐き出し、黒煙は噴火のように一瞬で大噴火の如く天高く昇ると、黒煙はだんだんと紅炎へと変化していき、少し離れた位置に居る私にもその熱波が伝わり皮膚をビリビリと熱し始めた。
敵に放てば·····否、地上に向けて放てば周囲数kmは焦土と化すほどの炎を天に向けて無駄に放っていたが、数秒すると様子が変わってきた。
『ゴオオオオオオオオオォォォォォォォォォ····· ·····ッッッッッッギュィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!!!』
「えっ、ティラノじゃない、この魔物、ま、まさか、ガッ〇ィーラ!?正に、神の化身ね·····」
そして紅炎はどんどん収束し、星核合金さえも溶かしそうな超高温の蒼焔のビームへと変化した。
\ドゴァッ!/
バシュゥゥゥゥゥウウウウウッ··········
「閉じた?·····やっぱり!!!結界展開!!逃げて!アヤメっ!!!」
「きゃんっ!?」
そして、ティラノはその顎を閉じ、ブレスを止めると背部結晶器官を今まで以上に激しく発光させた。
それを見て全てを察した私は、周囲に次元断裂結界を展開してアヤメを外へと無理やり突き飛ばした。
次の瞬間、ティラノさんは顔を下げ、キモ触手の傷口へと顔を向け·····
その大顎を開いた。
『キュゥゥゥアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!』
『ギィヴァッ』
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「うぐぅぅぅうううううっ!!!?」
そして顎から超高温のレーザー光線の如き豪華の奔流が放出され、それを体内に直接ブチ込まれたキモ触手は奇声を一瞬上げると爆散し、それでさえ止まらなかったブレスは結界内で大爆発を引き起こした。
結界の外から見たら、きっと内部は悍ましい光景になっていただろう。
爆炎と黒煙が激しく渦巻き、生命が存在できない程の高温で何も見えなくなっていた。
そしてその中に居る私とティラノは、生死不明となった。
だが·····ッ!!
『ギュォォォオオオオオオアアアアアアアアアアッ!!!』
「うおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」
バリィンッ!!!
「倒したぞーーーーーっ!!!」
『ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!』
黒煙と爆炎の中から私とティラノが現れ、天に向けて勝利の雄叫びをあげたのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「ティラノかと思ったら~、ガッ〇ィーラで~し~た~、サイコーーーーッ!!!!チョーかっこいいんですけど!?マジやべぇ!!!」
名前:アヤメ
ひと言コメント
「これが、かっこいいっていう、感情····· ソフィ、かっこいい·····」
名前:???(ティラノさん)
種類:???
ひと言コメント
『グォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!』




