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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第七章 TS賢者は子育てに奔走するっ!
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奇跡の対価は



 宇宙から帰ってきて姉貴をボコボコにした私は、その約一週間後、再び空の上に来ていた。



 しかしこの前と違う点として、『空の上』が比喩なのだ。

 そう、ここは神々の世界であり一般人が死後の世界と考えている『神界』だ。


 ちなみに死後の世界っていうのは間違いじゃないけどちょっとズレてる。


 正確には魂の帰るべき場所で、保管・製造・修理・浄化・供給を担う四次元の世界って言う方が正しい。

 そんで人々が天国と呼ぶのはもうちょう3次元世界に近い方の神界で、私が居るのはその上の階層である5次元に近い3次元世界を維持管理する、いわば行政府的な場所だ。


 わかりやすく表示するとこんな感じね。



 ??(5次元世界,あるとはわかってるし干渉も稀にあるらしいけどよくわかってない)


 神界(4次元世界+,5次元に干渉可能な高度にあり、全3次元-4次元世界を管理する場所)

 神界(四次元世界,四次元生命体が住んでる場所)

 天国&地獄(四次元世界,魂の管理や研究など)


 地上(3次元世界)



 そんで私は一番上の神界が職場なのでよく出入りしているのだ。


 ちなみに1回だけ5次元の存在を見たことあるけど、3次元の世界で4次元を例えるのが難しいような感じで説明不可能な不思議な存在だった。


 まぁ見た目は普通の中肉中背で安いスーツを着てるせいで派遣社員っぽさが滲み出てるおじさんだったけど、なんていうんだろ、えーっと·····

 別々のおじさんが重なり合って同じ場所に見えてるって感じ?ふっと目を離すといつの間にか別の人になってるし、なんていうか·····

 よくわからない、とにかく変な存在だった。


 なんでそんな姿なんですかって聞いても『そうかお前にはそう見えているのか』みたいなこと言われたし·····


 ちなみにお中元を贈りに来てたらしいんだけど、ガイア様が不在で私が受け取ったのよね。


 その時についうっかり話が弾んじゃってお土産で5次元世界の武器をくれたけど、なんか、三次元世界で使ったらオーバーキルしちゃいそうな破壊力だったから使ってない。


 見た目はかっこいいんだけどねぇ····· 1振りで宇宙が裂けて破裂するようなもん、普通に使えんわ。



 っと、話がそれた。

 ていうかガイア様にまた話を逸らされたし·····



「今日という今日は話してもらいますよ?」


「えー····· 面倒だからいいじゃん·····」


「こっちは割と困ってるんですよ?それにガイア様が貯めに貯めたこのハンコとか署名するだけの書類仕事!片っ端からやらされてる私の気持ちにもなってくださいよ!もう10回くらい腱鞘炎になって魔法で治してますからね!?」


「ちっ····· それやらされるくらいなら言う方がマシかぁ·····」



 実はこの前から私は何度も聞いていた事があった。


 でも聞くたびにはぐらかされて、しかも最近は話そうとしたら思考誘導でむりやり話題を逸らされたり酷い扱いを受けていたのだ。


 ただ今日は違った。

 ガイア様のデスクの上に貯まりまくった書類のアレコレという前世の会社員時代ならブチギレて労基に殴り込みに行くくらいひでぇ仕事を任されてしまったのだ。


 だからその対価に教えてもらうよう言った。


 ちなみにもし断ったら仕事を全部押し付けたうえでガイア様の夫のウラヌス様に言いつけてやる予定だったから、アイツは流石に無理だと判断したみたいでやっと教えてくれるようになった。



「あの世界にある『奇跡』、その価値と正体を詳しく教えてもらいますよ?」


「うげぇ····· あれホント面倒なんだよなぁ·····」



 私が聞きたかったこと、それはフィグちゃんやマルスちゃんが所有する謎の力『奇跡』についてだ。





 ガイア様はめんどくさそうにしながら、脱ぎ散らかした下着とか掛け布団とかでグッチャグチャになってるソファに腰掛けると、マグカップにカプチーノを淹れて飲みながら説明を始めた。



「奇跡は私たち神々もずっと調査をしてるけど、大雑把な事しかわかってない謎の力だよ、そこはマジだし情報が少ないから許してね」


「·····まぁ、今回は信用しますよ」


「ほいほい、んじゃ説明するね、奇跡はソフィちゃんが知ってる通り世界の法則を無視して事象を引き起こす特殊な力の事だね」


「それは知ってます、で、正体は?」


「順を追って説明するよ、たぶんソフィちゃんも知らない情報としては、この『奇跡』はユニークスキルよりはるか昔から存在していたんだ」



 ユニークスキルより前にあったのか·····


 って事は?



「正解、ユニークスキルの原型となったのがこの『奇跡』だね、神々が奇跡の解明を進めるうちに似たような力を行使できるようになり、遊びで人々に付与する用になった物こそがユニークスキルだよ」


「なるほど·····」


「それで、ソフィちゃんが気になってる発生条件とか代償についてはほぼ完全にわかってるよ」


「そうなんですか?んじゃ逆にわかってない事は·····」


「なぜこんな物があるのか、どういう基準で付与しているのか·····とかかな?」



 ガイア様は、奇跡の価値について詳しく教えてくれた。



 まず、奇跡の発生条件について。


 奇跡は主に『信仰に関係していて祈りを捧げたことがある者』『強い願いがある者』の2パターンがあり、信仰関係が一番多いらしい。


 その理由として、やはり奇跡も4次元に関係する力らしくて、四次元生命体である神を崇めるため四次元に割と接近しやすい信仰関係の人にはそういうのが多いんだとか。

 それと強い願いもこっち側に干渉しやすくて、特に死にかけたりすると奇跡が発現しやすいんだとか。


 でも、まれに普段通り過ごしてるだけなのに奇跡を獲得することもあるらしくて、100%わかってると言い切れないのが現状らしい。



 次に、奇跡の価値について。


 奇跡はその名の通り滅多に発現する物ではなく、世界で100人居るかいないかって言うレベルらしい。


 それに対してユニークスキルは神々がちゃんと管理を行っているため、ある一定の条件を満たせばほぼ確実に手に入るので意外と持ってる人は多い。

 ただし奇跡の如き力を持つユニークスキルとなると、確率はかなり低いらしい。


 ユニークスキルは普通はその人しかもっていないスキルって感じで、例えば走ってる場合は絶対に疲れないし走る事に関するステータスが異常に強化され走ってる間は無敵になるスキル『走り屋』とか·····ちなみにこれマリアージュの能力ね。


 でもこんな役立つ能力だけじゃなくて、逆立ちしても絶対に転ばないスキルとか、味見しなくても料理の味をバッチリ決められるスキルとかが大半を占めてて、基本的にはそんなもんだ。

 ちなみにエビちゃんの『砂糖吐き』なんかもこっち側ね。


 でも稀に『賢者姫』や『勇者姫』、『魔神姫』に『虚実姫』とか『迷宮姫』みたいな、『姫』や『王』が付く『王級スキル』と呼ばれる飛びぬけて強い能力があったりする。


 それとかなり希少で今までに私も数個しか見たことが無いユニークスキル、『神』の名を戴くユニークスキルが存在する。

 例えば『キノコ神拳』『タケノコ神拳』『ジャガイモ神拳』『ロマネスコ神拳』なんかがある。


 ·····それ以外で見たことない。


 いやあったわ、魔神姫あったわ、エビちゃんごめん。



 まぁそんな感じでユニークスキルにもランクがあったりするけど、基本的には奇跡はユニークスキルよりもはるかにレアで、世界の理に干渉できる王級か神級のユニークスキル級のレア度を誇るそうだ。




 お次は奇跡の正体について。



 これは奇跡の出自にも関するモノらしくて、奇跡の正体とは何か·····


 それは·····



「·····えっ、わかんないんですか?」


「ほっとんどわかってないんだよね····· でも、出所はわかってるしそこから推測はできてるよ」


「教えてください、さぁ早く!」


「悪役みたいに急かさなくてもいいのよん?今言うから」




 ·····いまいちわかってないらしい。


 って事で、ガイア様は考察混じりでその正体について教えてくれた。



「奇跡はいわば『世界族が付与するユニークスキル』かな、ユニークスキルの原初の形が故に対価も存在し、メリットもデメリットもある特殊な力だよ」



 奇跡の出自は、そして正体は、私たち『神人族』と対を成す四次元生命体『世界族』が付与したと考えられる、『世界族が管理するユニークスキル』らしい。


 この世界には世界そのものが生命体であり意思を持っている『世界族』という種族が居る。

 その生態は動物というより植物と言った方が正しく、意思があるような無いようなよくわからない存在なのだ。

 っていうか意思がありそうだから生命って事で分類してるだけで、その正体は3次元世界そのものだったりする。


 そんで動物に近い存在である神人族は世界族を管理していて、世界そのものに干渉してアレコレやってる感じね。



 で、基本的に世界族は何もしない。

 ただそこに居るだけの存在なんだけど、稀に動いて神々のように力を授けてるんだとか。



 昔にうまく奇跡が発現する瞬間に立ち会えて徹底調査をしたことがあって、世界族からよくわからんアレコレがあって奇跡が世界族から与えられたと判明したんだとか。


 それから長い月日を経て、今もちょいちょい調査してるけど『ユニークスキルっぽいモノ』っていう結論が今の所最有力なんだとか。



「·····じゃあその対価は?」


「人によるっぽいよ、魂が奪われて行方不明になった事例もあったし、何もなかった場合もあったり、よくわかってないね」


「その時次第って事ですか····· むむむ·····」


「でも奇跡の力は私たちの力とよく似てるからね、頑張れば解析とかもできるよん、そしたら対価とかもみれるんじゃないかな?」


「わかりました、あとでやってみます」


「はいよ~、まぁ推測はできてるけどね、昔に似たような事例があったし、たぶんフィグちゃんは蘇生を行うたびに魂が削られて、マルスちゃんは悪運が蓄積されてその事象が発生すると誰かに不運が降りかかってるよ」


「やっぱロクでもない力じゃないですかこれ!!!」



「そうだよ、だから私たち神々が代償の少ない『ユニークスキル』を開発したんだけどねぇ····· 代償が少ない分ちょっと劣るっていうか効果がマイルドなんだけどね」



 そして、奇跡の対価は、非常に重い事が多い。


 私が面倒を見る2人にも、代償があったようだ。



「なんとかしなきゃなぁ·····」


「まぁソフィちゃんならできるんじゃない?ちょっと仕様が違うから作り変えるの難しいけど、既に付与された物なら出来ない事は無いよ」


「わかりました、教えてくれてありがとうございます」


「はいよ~」



 って事で、私は仕事を終わらせたらすぐにでも2人の奇跡を早急に何とかしなきゃいけないと心に決めたのだった。


 だが無情にも仕事はいくらやっても減らなかった。




名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「あーあ!奇跡でも起きて仕事一瞬で終わらないかなぁ!!なんで100万年くらい前のヤツあるんですか!ほったらかしにし過ぎですよ!!」


名前:ガイア

ひと言コメント

「奇跡って言うのはね?誰かに頼るんじゃなくて、自分で起こすモノなんだよ?」


『·····だから地道に書類仕事やれと?殴りますよ?』

「やーんこわい~ ·····ちょ、マジで殴ろうとするのやめ、きゃあ、███ごろし!」


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