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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第七章 TS賢者は子育てに奔走するっ!
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助けて治して帰して依頼完了っ!


 暗く狭いトンネルのなかに、2人の少女の声が響き渡っていた。



「うおおおおおっ!!」

「間に合えのじゃあああああっ!」



 既に飛行開始から47秒が経過し、2人が通るたった47秒前にできたこの新たな坑道は魔法の力で修復されて塞がり始めていた。


 あと13····· いや12秒。


 それであと100m、陸上競技の最速記録は100mで9.5秒ほどなので、余裕しかない。



 だが穴はどんどん狭まり、2人が通れるギリギリを飛行するとなると話は別だ。

 2人は頬がくっつくくらい寄り添い、ハリウッドの名作SF映画『独立記念日』の核爆弾をマザーシップに送り届けて逃げるシーンのラストのように、狭い狭い坑道を物凄い勢いで飛んで行った。



 そして·····


「お先に失礼するのじゃ!」


\どげしっ/


「あっちょま!!私を踏み台にッッッ!!!」


\シュンッ!/

「間に合ったのじゃ!!」


「ぐえっ!!」



 ·····まぁ、うん。

 四捨五入したら全員間に合った。



「ここが目的地じゃな!おっ!そこのお主!ワシはエヴィリン・アマイモン・ファゴサイトーシスなのじゃ!お主らを救出しに来たのじゃっ!」


「あぁ!助かった!って俺はいいんだ!下に仲間が!·····まて、き、きみの、キミの後ろ·····」



 そしてエビちゃんは近くに居た鉱夫さん数人に話しかけて助けに来た旨を伝えたが、鉱夫たちは何故か後ろを見て怖がっていた。



「なんじゃ? ·····うぎゃーっ!!?」



 そしてエビちゃんも怖がった。


 何せ、壁に炭素凍結されたハン〇ソロみたいなのがあったのだから·····



 いや私なんだけどね。


 エビちゃんに踏み台にされて間に合わなくて、戻るのに巻き込まれて『いしのなかにいる』になっちゃったのよ。


 でも良かった。



 右手をサムズアップできたからこれでふたつの映画は網羅できたわ。



 あいるびーばっく






\ドガガガガガ/

\がぽんっ!!/


「ぶはあっ!死ぬかと思った!」

「なんで死んでおらんのじゃこやつ·····」


「良かった、ソフィ様までいらっしゃるなんて、これで助かった!」



 その後、私は無事に壁から掘り出されて救出されていた。


 まぁもうふざけてる時間も無いしさっさと本題に移ろう。



「で、例の洞窟は?」


「あ、あぁ、こっちだ、気をつけてくれ」


「了解です」



 私は頭を切り替え、穴に落ちなかった鉱夫さんに案内されて空いたという大穴の元へとやってきた。


 そして穴を私は見つけた。



「·····なんじゃこりゃ」

「ふむ?かなり広いのぅ」


「下まで大体7mはありそうだ、しかも反り返っていて落ちたら帰れる気がしないから····· いや貴女達は飛べたから大丈夫ですが、気をつけてください、空気がかなり薄いようですので」



 問題の洞窟への穴は、坑道の終端部の左側にポッカリと穴を開けていて、穴の奥には落ちた人と思わしき光と人影が見えた。


 ·····この穴についてもめちゃくちゃ気になる点があるし調査したいけど、まずは救出が先だ。



「もちろん大丈夫ですよ、おーいっ!!救助に来たSランク冒険者の賢者姫ですー!ソフィ・シュテインですー!死んでたら返事してくださーいっ!!」


「ワシもおるのじゃ!エヴィリン・アマイモッ

\死んでたら返事出来ねぇよ!!/


「良かった死んでた、よし助けに行こう!」



 とりあえず穴から返事は聞こえてきて生きてると分かったので、私たちは救出するため穴の中に飛び込んだ。



「酸素濃度が15%でかなり低い····· 酸素補給の魔道具が無かったらヤバかったかも」


「そうじゃな····· これはヤバいのじゃ」



 穴の中に入ると、早速なんだか息苦しくなってきた。


 どうやらやはり酸素が少ないようで、呼吸がしにくくなっているようだ。

 ただ、即死レベルの酸素濃度じゃなくて、まぁ悪影響は大いにあるけど死ぬようなレベルじゃなくてとりあえず一安心した。


 まぁ15%っていうと意識が朦朧としたり吐き気を催したりするけど、死んでなけりゃどうとでもなるから大丈夫そうだ。



「よっと、お待たせしました、いや、お待たせしすぎました?」


「あぁ····· 助かった····· もう終わりかと思った·····」

「うぅ····· 痛てぇ·····」

「やったぞ、お父さん必ず帰るからな!」

「俺たち、死なずに、済んだのか·····?」



 って訳で、穴の底で集まって耐えていた4人の元に私は遂にやってきた。



「ふんふん····· 1人は複数箇所の骨折で背中に酷い擦り傷があってかなり重症、2人も何ヶ所か折れてる、1人は軽傷だけと打撲とか多いか····· 内臓の損傷は見られないし、擦り傷があるのを見るに、斜面に当たって滑り落ちましたね?」


「あぁ·····」

「早くコイツを治してくれ!俺たちは····· 痛てぇけど大丈夫だ!もう、かなり厳しい状態なんだ!」


「分かってますよ、皆さんも後で治すので····· それまで耐えて下さいね?『無菌領域』『酸素ドーム』『鎮痛』っ!」



 トリアージを終えた私は、まずは治療用に清潔で酸素が沢山ある領域を作り出し、全員に痛み止めを掛けておいた。



「エビちゃんは上に行って説明お願い、治療してから上げるって伝えて」


「了解なのじゃ、頼むのじゃ」


「任せて!聖女に任命されたからには、聖女らしい事もしないとねっ!」



 そしてエビちゃんに上で待つ落ちなかった鉱夫さん達への説明を任せ、私は治療を始める事にした。



「·····尾骶骨骨折、骨盤にヒビ、足は複数箇所骨折、それ以外は全身に重度の擦り傷で特に背中が酷い····· よく生きてましたね」


「まっさか、コイツいっつも『俺は不死身だ』なんて言ってたけど、本当に死なねぇなんて·····」


「私もビックリですよ、んじゃ治し始めますよ」



 まず最初の治療は当たり前だけど1番重傷の人だ。


 彼は多分尻もちをつくような形で足あたりから洞窟の斜面に激突して、そのまま転がり落ちたのだろう。


 ただ擦り傷は思ったより酷くない。


 この洞窟の表面がシールド工法されたような綺麗な状態で本当に助かった。

 普通の洞窟だったら全員助かってないだろう。



「まずは骨、骨は····· 修繕、治癒、変形、創造·····」



 そんで、骨の治療は意外と難しい。

 その理由は、骨は治癒魔法の効果が薄いからだと言われている。


 骨はリン酸カルシウムという鉱物のようなモノでできていて、骨髄があるから魔法での定義上は『内臓』に分類されているんどけど、それと同時に『鉱物』や『石』としても認識されており、岩石魔法や工業魔法などでないと形状を修復したり融合させることが出来ないのだ。

 しかも、治癒魔法は使えても同時に工業や岩石などの加工系魔法を使える人はほとんど居ない。


 それが骨折の治療が難しいと言われる最大の要因だ。



 しかし、両方覚えていれば直せるのだ。



「治癒開始、骨断面を加工····· 変形、癒着、結合、傷付いた周辺な筋肉や血管や神経の修復····· 完了、尾てい骨の治癒完了、続いて骨盤のヒビを治癒、癒着、結合、治癒····· よし、次」


「す、すげぇ·····」



 私は魔法を使い、折れたり砕けた骨を動かして挟まっていた筋肉や血管を退けて、自然治癒を促進させて骨組織などを修復させ、骨自体を分子単位で結合させて治していった。


 更に途中で血液量がかなり減って危険な状態になっていたので、後でレミアになんで呼ばなかったのかって問い詰められそうだけど彼の血液を少量拝借して水魔法で増やして体内に戻しながら、どんどん骨を治していった。


 そして数分後·····



「骨は終わり、ふぅ····· 内臓は····· 軽くダメージ受けてるか、誰かにお腹蹴られたか踏まれたか····· ヒールっと、あとは切り傷だけど····· ムズいなぁ」



 実は、擦り傷の治癒は凄く大変なのだ。


 まぁ切り傷と比べたらで、傷口がグチャグチャだと治るのが何となく遅い気がするくらいだけど治癒魔法でも若干治すのが難しいのだ。


 それに傷口に砂などのゴミが入っててそのまま治癒するのが大変なのよね·····



「だから、ちょっとだけ痛むけど我慢してね」



 私はインベントリから特級で斬れ味がある星核合金3号鋼とソフィニウムを配合した包丁を取りだした。


 ·····あくまで噂だけど、ものすごく斬れ味の良い刃物で切られた傷はあまり痛みを感じず、治りが早いと言われている。

 更に、理論上だけど刃を細胞と細胞の間に通し、なるべく細胞などにダメージを与えずに切断した場合、簡単にくっつくと言われている。


 手術で使われているメスの斬れ味が半端じゃない理由も、傷口を綺麗にしておく事で再生を早くするためという説もある。

 ·····詳しくは知らないけど、まぁノコギリで切るよりはマシだろう。



「患部を切除します、ふっ!」


 シュンッ


「ぎっ!?」


「大丈夫ですよ、再生開始っ!」



 そんで私は、大きな傷口を星核合金製包丁にデフォルトで付いている飛翔斬撃を使い切除した。


 そして驚くほど、細胞や神経が切られたと気が付かないほど綺麗に切断された断面に治癒魔法をかけると、物凄い勢いで肉が再生され始め、あっという間に綺麗な皮膚になって元通りになった。


 ·····まぁ、多少の小さい擦り傷が残ってるけど、それくらいなら自己治癒でなんとかなるっしょ。



「さーてと、次は誰やります?いやもう決めてるんですけどね、そこの肋骨が折れてる····· あー、リブさんでしたっけ、下手に動くと肺に刺さるので動かないでください」


「や、やめっ、いや治して欲しいが!ひっ!?」


「んふふ····· 思ってるよりは痛くないですから、擦り傷も少ないですし····· んふふふふ·····」



 シュンッ





「っと、はいこれでOKです」


「痛てぇ····· 普通に痛てぇぞ·····」


「·····普通の包丁でやります?」


「遠慮させてもらう、まぁ、全員治ったから良しとしよう」


「ソフィ様!本当にありがとうごぜぇます!これでもう一度ルミナリア様の御光の下に帰れます!地の神にも感謝しなくちゃな!本当に、本当にありがとうごぜぇますっ!!」

「あぁ····· もう地上が恋しい····· これで帰れるのか·····」

「帰ったら酒でも飲もう·····」



 あの、せっかく治癒したのに死亡フラグをポコポコ乱立するのやめてくれません?


 死んでも治せるけど迷惑なんですけど·····



「まぁいいや、んじゃ引き上げますよ」


「早いな····· いや早い方が良い、頼む」

「頼んます!ソフィ様!」

「神よ·····」

「ばっかお前!神なんてもんじゃねぇよ!大神様だ、大女神様だ!ソフィ様、本当にありがとうございます····· まるで神様に見えました·····」


「·····そういや、ソフィ様ってなんかこの町に新しく出来た新興宗教の祭神やってんだっけか」

「オレ聞いた事あるべ、確かソフィ様に命を救われた人が感謝を捧げるために作ったんだとか·····名前なんだったっけか」

「じゃあ俺らも信仰しとくか!」

『『いいなそれ!!』』


「げぇっ!?」


「どうしたんですかソフィ様」


「い、いやー····· あれ勝手に私を崇めてるカルト教団ですし、サークレット教を背信してまで信仰しなくても·····」


「名前思い出したべ!サークレット教ナーゼンブルーテン分派だべさ!別名『衂教団』だべ!」


「って事はサークレット教の宗派を変えるだけでいいって事だな!よし俺信仰するぜ!!」


「やめてぇっ!ってか今日は治療院で絶対安静!そんで衂教団の事は忘れて!!んじゃ上にあげるから動かないで無駄話もやめて!!」


「「「「えっ?うぉァァァあああっ!!?」」」」



 カルト教団に新たに信者が加わりそうになった流れを途絶えさせるべく、4人をさっさと落ちてきた穴に魔法で無理やり押し上げてしまった。


 そんで私もその後に続いた。





「おまたせ、それじゃ地上にご案内しますね、眩しいので気をつけて」


「お前ら、無事だったか!!良かった、死んだかと思ったぞ····· しゃあ!今日は奢りで呑むぞ!!」


「·····4人は大事を見て最低3日間禁酒療養です」



「「「「えっ?」」」」



 いや病み上がりで死にかけなのに酒飲まないでよ·····


 もう大丈夫だと思うけどさ·····



「飲んだらおじいちゃんに伝えますよ?」


「お前ら酒は飲むな!!俺たちまで呑めなくなる!」


「てめぇ!寝返っ····· あいてててっ!」



「あーもう!とっとと地上に、フシ町に帰しますよ!あとは向こうの人に任せますんで!!」



 なんかテンションが壊れたのか今度は仲間割れまで始まって手が付けられない状態になったので、私はさっさとこの人らをフシ町に帰す事にした。



「ゲート展開、よいしょっ!」



 ヴォンッ!



「うおっ!?なんだこれ!?」


『な、なんだっ!?って、お前らっ!!!』


「り、リーダー!?まさか、転移魔法!?すげぇ!」


「そうですよ、ゲート式転移魔法ですのでさっさと通って下さい」



 私はゲート式の転移魔法をフシ町の鉱山組合の事務所にある、事前に指定しておいた待機場所に繋げた。


 するとそこには治療院の人とか鉱山主さんとかが色々集まっていて、私は落ちた4人と落ちなかった数名をさっさとまとめて向こうに送った。


 病人は病人らしく地下深くじゃなくて地上で休んどけ。




「これで救出依頼はOKです、んじゃ私は·····」


「ソフィ様、今回は本当に、本当に助かった、代表として感謝する、それと·····」


「んふふ、分かってますよ、エビちゃんと一緒に調査してきますね」


「ああ、頼む」



「ではまた」



 私はゲートを閉じて、残りの依頼をやる事にした。



「んじゃエビちゃん、お待たせ、そろそろやろっか」


「そうじゃのぅ、やっとワシの出番じゃな」


「んふふ····· じゃあ調査を始めよっか」

「うむっ!」



 そして私はエビちゃんと一緒に、謎の超巨大洞窟の調査を開始したのだった。



名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「これって、うん、絶対そうだよね····· でもそんなこと有り得るのかな····· まぁ魔物なら有り得るか、だって魔物だし」


名前:エビちゃん

ひと言コメント

「あやつの治療、確かに腕は良いんじゃが強引なんじゃよなぁ·····」


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