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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第七章 TS賢者は子育てに奔走するっ!
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世界最高の救助隊



 季節は春に向かい始めているが、降雪のピークを迎えてとてもじゃないが春に向かっているとは思えないとある日の事·····


 私とエビちゃんはなかよし組を代表してフシ町の鉱山組合事務所に緊急で呼び出されていた。


 呼び出し先の会議室には、お父さんやお爺ちゃん、冒険者ギルドのフシ町支部のマスター、そして鉱山の一番偉い人が勢ぞろいしていた。



「·····は?巨大洞窟?」

「また珍妙な物に当たったのぅ·····」


「珍妙だが緊急事態だ、明らかに人工の洞窟としか思えない形状だったからな」



 そして鉱山主さんが、フシ鉱山の地下で未知の洞窟を見つけたと報告してきた。


 それも鍾乳洞や溶岩道があるとは思えない場所で、人工の洞窟だと明言するほどの見た目だったようだ。



「どういう感じだったんです?」


「かなり綺麗な円形の洞窟だ、それがほぼ水平にどこまでも続いていた」


「なるほど、って事はゲヌス洞穴じゃないか····· しかも溶岩道でも晶洞でもない、ましてや鍾乳洞·····石灰岩なんてあのあたりには無いし、地質調査でも石灰岩は無かった····· 人工物の可能性が高いですね」


「だが前にソフィが見つけた····· なんだったか、あの巨大な穴と同じじゃないのか?」


「いやアレは····· アレは地質変動があって湾曲したりして綺麗な形じゃなかったし、水平じゃなくて垂直だったから多分今回のは違うと思うよ」



 前に見つけたあのガイアのケツの穴って名付けた大穴は、ガイア様が魔神と大ゲンカした時に放った魔法の痕跡だし地殻変動があった影響で形は歪で綺麗とはいいがたい形状をしていた。

 だから今回のは魔法が消滅してできる現象とはまた別の現象なんじゃないかと私は推測していた。



「·····だろうな、ギリギリで落ちるのを回避した鉱夫の話によると、壁がかなり綺麗に整えられていて、凹凸がほぼ見当たらない綺麗な穴だったそうだ」


「えっ誰か落ちたんですか!?ってかそれ人工確定じゃないですか!·····いや、這い上がれない昏い巨大な穴なんですか?」


「幅10mはあるかもしれないと言っていた、高さもそれくらいあるらしく落ちた時に大怪我をして登れなくなっているらしい」


「·····わかりました、呼ばれた理由は鉱夫さんの救助ですね?」

「それと洞窟の調査じゃな?」


「そうだ、これはシュテイン侯爵家から出す依頼だ、迅速に、かつ死者を一人も出さずに依頼を完了してくれ」



 そして、地下深くにある未発見の洞窟という事は酸素がほぼ無い可能性がかなり高い。

 ·····死んでいる可能性は、限りなく高いだろう。


 だがまだ生きているかもしれないし、死者を出さずにって言ってるって事はまだ生存してる可能性があるって事だ。


 ならば助けるのが私たちの使命だ。



「もちろんです!·····まぁ流石にみんなはちょっと連れて行けそうにないので、私とエビちゃん2人で行きます」

「そうじゃな、ミカあたりも連れて行くのが良いかもしれぬが、やはり少数精鋭で行くのじゃ」


「頼む、洞窟は最下層付近、3127m地点で見つかった、今すぐ向かってくれ」


「·····ちなみにどれくらい猶予があるかわかります?」


「魔導連絡網があったお陰で報告が来るまで2時間しか掛かっていない、深深度採掘現場に行く者には酸素補給の魔道具を渡しているが、魔力が持つのは動かず出来るだけ消費を抑えても最大3時間あるかないかだ、つまり·····」


「「行ってきます!」」


「頼む、必ず助けてくれ」



 私たちは、フシ町の東側にある鉱山事務所の窓から飛び出すと、物凄い勢いでフシ鉱山の本坑道を目指して飛翔していった。





 私の町にあるフシ鉱山は、この国でもトップクラスに力が入れられて整備された、かなり画期的な鉱山で稼働してから鉱山という業種故仕方ないが死者はそこそこ出ているものの、大事故などが起きたことは無かった。


 そして効率的に稼働し、大量の鉱石を採掘するため大規模に掘削されアリの巣のように坑道が広がるこの鉱山は一度迷うとマトモに出れないと言われている。

 ただ迷い対策で出口へのルートを示すロープなどが張られているが、それでもこの鉱山は迷いやすく、そして·····



「ルート制定····· むっず····· あーでもないこーでもない·····」

「じゃろうな、ワシでさえ最短ルートが思いつかんのじゃ、たぶんじゃが最下層まで行くのに数時間は掛かるのぅ·····」



 目的地に行くまで、熟練の鉱夫でも相当な時間が掛かってしまうのだ。


 もし今から最下層の3000m付近の採掘が進められてる最中のエリアまで行くとなると、普通なら数時間は掛かってしまうのは間違いない。


 ·····でも多分、今から救護班が行ってもぶっちゃけ言って普通に助かると思う。

 確か聞いた話だと落ちた鉱夫さんの他に落ちなかった人がいるみたいで、その人たちから酸素補給の魔道具を借りれば生存可能時間は遥かに伸びるだろう。


 それに鉱山の中を移動するときは数人で一組になって移動して、かならず骨折などの重症に対する応急処置ができる道具を持っていたはずだ。


 だから落ちた人数によるけど、十分助かる可能性はある。



 でも、急がないに越したことはないっ!!



「·····決まった、ついてきて!メチャクチャなルートだから覚悟して!」


「じゃろうな!!」



 一瞬でルートを決めた私は、本坑道入り口から外れて別の場所に向かった。





 フシ鉱山のある山奥には、立ち入り禁止エリアが数か所ある。


 その数か所すべてが鉱山の換気システム用の大穴と巨大な魔道具がある場所で、鉱山の命を担う重要な場所だ。


 そこの上空に、私たちは居た。



「飛び込むよ!魔導式でファンは無いからそのまま突っ込めるから!」


「こっわ、マジ怖いのじゃ」


「仕方ないでしょ!これが最短なんだから!」



 私のルートでは、この巨大な換気用の竪坑のうち最深部までつながっている第Ⅳ排気竪坑に飛び込んで最下層まで向かい、底に到着したら方位273度方向に仰角-62度で『4次元的揺らぎ式崩壊魔導弾』を発射をすることで一瞬だけ物質を『4次元的ゆらぎ』状態にして4次元魔力を保有する私たちだけが通り抜けられる穴を構築し、その中を通る事で目的地の巨大洞窟までたどり着ける計算なのだ。



「説明はいいのじゃ!行くぞ!」


「エビちゃん!その前に息を止めて!第Ⅳ排気竪坑は有毒ガスとかも含まれてる危険地帯だから!」


「そうじゃった!すぅぅぅぅううううううっ·····」



 グッ!!



 エビちゃんがサムズアップしたのを見ると、私たちは上空から直径たったの数mしかない大穴へと垂直落下を開始し、地面に激突することなく地中へとダイブした。



 \ゴォッ!!/



「ッ!」

「!?」


 (魔力通話開始、聞こえるエビちゃん、どうぞ)


 (ザザ····· じゃ、·····て、ザァァァアアア····· 合わ·····)


 (チャンネルは144.75!)


 (ザァァアア····· のじゃ、聞こえるのじゃ?)


 (聞こえてるよ!バイザーを付けた方が良いかも!あと速度を上昇!思ったより風圧が強い!)


 (そうじゃな!目が乾燥しそうなのじゃ!)



 そして竪坑に入った瞬間、生温い暴風が私たちを押し返そうとしてきた。


 それもそのはず、この竪坑は私が設計開発作成した半永久稼働型・超高効率換気システムを搭載したフシ鉱山の気道とも言えるフシ鉱山の坑道の60%以上の換気を担う物凄い排気能力を持つ排気口なのだから、少女1人を押し返す程度の風圧はあるだろう。


 だが、生憎私たちは普通の少女ではない。



 (私の後について来て!押し通る!)


 (なぜお主の後を····· アレじゃな?)



 私は神の力····· は使わないけど、賢者姫と呼ばれる所以となった独自の魔法を使い進行方向に流体力学を考慮して設計した結界を展開した。


 すると風は結界に沿って自然と流れる事で風が私を避けて通り始め、速度がグンと上昇した。

 そしてエビちゃんは私の真後ろにやってくると、空気抵抗を避けるため一直線になって地中へと潜って行った。





 数分後·····



 (エビちゃん!減速始めるから離脱して!)


 (了解なのじゃ!先に穴を開けるのじゃ!ワシは後から飛び込む!)


 (りょーかいっ!!)



 私たちは穴の底にあとほんの少しで到着というところまで来て、エビちゃんに離脱してもらった。



 ところで問題、時速数百キロから速度を一気に0にする方法はなんでしょう!

 正解は·····



\ドグッッッッシャアアアアアアアアアッ!!!!/


「ぐえっ!!」


「うわ痛そうなのじゃ·····」



 剛体に激突する、でした!


 つまり!死なない体で地面に激突すりゃ制動距離ゼロで一気に止まれるのよ!!


 こらそこぉ!!ただ落っこちただけとか言うな!計画通りなんだからねっ!



「っづ·····、ー!!っっ!!」


「どうしたソフィ!早ぅ撃たぬか!!」


 (声でない!ちょいまち!!)



 しかし誤算があった、流石に地面が硬すぎて私の体が耐え切れなかった。


 って事で·····



「っーーーーーーーー!!」



 《リスポーン残り使用回数:2/3》



「来た!『4次元的揺らぎ式崩壊魔導弾』発射用意····· 角度補正完了!発射ァ!!」



 ガォンッ!!



 一度自分の生命活動を強制停止させ、生き返る事で新たな肉体になった私は即座に崩壊魔導弾を所定の方向に打ち込んだ。


 すると射線上に3次元的には壁が存在し、4次元的には通り抜けられる直径2mほどの穴が開き、私たちからは目的地が目視で確認できた。

 こうする事で、道中の岩盤の崩落も防げるという算段なのだ。


 だがその効果時間はわずか1分間、その間に目的地まで辿りつかなければ私たちは岩の中に閉じ込められてしまう。



「エビちゃん!直線距離528m!1分以内!行ける!?」


「ったり前じゃ!行くぞ!」


「おっけ!れっつごー!!」



 そして効果が消え穴がふさがる1分以内に、直線距離で528m離れた目的地へと私たちは新幹線の如き速度でぶつからないよう気を付けながら飛んで移動した。



 目的地は、もう目の前だ。



名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「間に合えっ!いや多分絶対間に合うし割と時間に余裕もあるけど間に合えっ!」


名前:エビちゃん

ひと言コメント

「·····ワシ思ったんじゃが、直接崩壊魔導弾で竪坑を作れば良いと思うのじゃ、まぁ確かに1分だけとはいえ間違えた場所に打ち込めば崩落の可能性があるからのぅ····· 仕方ないという事にしておいてやるのじゃ」


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