火星といえばジャガイモっ!
「えーと、教えてもらった座標は····· ここらへんかな?」
私は今、真っ赤な大砂漠のど真ん中に居た。
周囲は鉄分を多く含む砂しかなく、雑草の一つも生えていない大小さまざまな石が転がっている惑星規模の大砂漠····· だと私は来るまで思っていた。
「·····まさか、本当に火星に文明があるなんて、それに一応草も生えてる」
ここは地球ではなく地球のお隣さんの惑星である火星のとある場所なのだ。
実はこの前宇宙生命体連合の調査隊第二陣が到着して月の裏側に基地の作成を始めたのだが、実は調査隊は月面に来る前に金星の調査をしていたのだ。
·····そう、金星の調査をしていたはずなのだ。
なのに送られてきたのは火星のデータで、指摘したらなんか大慌てで会議が始まって色々大騒ぎになって、何度調べても違う星を調べていた事が判明してめっちゃショックを受けていた。
なので彼らの調査チームは現在基地建造用宇宙船を置いて行って調査船で金星を調査中なのだが、また別の問題が発生した。
調査チームが提出してきた資料の中には『旧魔族の物と思わしき古代文明の遺跡や人工物が確認できた』と書いてあって、上空から撮影された写真もちゃんと添付してあったのだ。
でも調査したのは金星ではなく火星でそこには魔族の文明は無かったはずなのに、なぜか不毛の星であるはずの火星に文明の痕跡が発見されたので見に来たのだ。
その結果がコレだ。
「·····巨大な門?でも見たことが無い様式だ」
調査隊から送られてきた地図の場所にやってくると、赤道に近い場所の巨大な谷の中に、ヨルダンにあるペトラ遺跡のような岩壁を削って作られたであろう巨大な門があったのだ。
しかも割と綺麗で、周囲には砂漠に生えてそうな感じの植物がちらほらと生えていて、なんと水まで流れているとんでもない場所だった。
それに、色々調べたらどうやらこの火星に値する星が前世の火星の弱点をいくつか克服していると判明したのだ。
私が転生してきたこの世界は惑星のサイズが1.25~1.5倍くらい大きいんだけど、この火星も例にもれず大きくなっていてその直径は従来の1.47倍、直径9965kmであると判明し、重力も地球の2/3くらいあると判明したのだ。
それゆえにこの世界の火星の大気は結構あって、なんと0.7気圧前後もあるのだ。
ヘクトパスカルに換算すると薄いところでも大体700hPa、なんと富士山の山頂の気圧とほとんど同じ気圧になっているのだ。
そのため一応呼吸も出来るし、結構マジで寒いけど今は夏なのか何なのか知らないけど即死するほど寒い訳ではないし、場所によっては普通に植物が生えて水が流れることができるらしい。
つまり、この星は生命が住むことが十分可能な星になっているのだ。
地球の生命が住むなら高山に適応した人達、例えば魔法競技大会で戦った標高6000mの山の中腹にある『タントラ魔法学校』の生徒とかなら平気だと思う、むしろ呼吸が楽なくらいじゃないかな?
·····私は転移でいきなり来たせいで高山病気味ですっごい頭痛いけど。
ちなみに実は私は千里眼を使って既に火星の探索はちょっとだけやってて、液体の水があったり植物が生えているのは知っていたりする。
そんでここは背の低い雑草みたいな植物しかないけど、場所によっては谷底に森が広がっていてある程度の動物や魔物が生息している場所はあるのだ。
「でも地表に生命の痕跡はほとんどない、特に知的生命体の痕跡はほとんどない····· あっても遺跡らしきものがチラホラとあるくらいで、そしてコレがあった·····」
だが地表に文明らしきものは存在していないのは、地表はどこもかしこも富士山の山頂のような気候で植物が生えるのに適さないし、暴風や砂塵が吹き荒れて植物が生えるどころじゃないからだと私は推測している。
そんな過酷な場所に、知的生命体が住んでいられるわけがない。
だったらどこに住むか?
「答えは·····」
ガコンッ!
ゴゴゴゴゴ·····
「開いた、やっぱり、まだ文明は残ってたんだ、そして地下か·····」
『Joike fr pitts nhik!』
「こんにちは、始めまして·····って言っても伝わらないかな?」
この星の人々ががこの過酷な星で生き残るために選んだのは、地下に逃げる事だった。
それを裏付けるように、開いた扉の中には階段·····があると思ったけどエレベーターがあり、それに乗って武装した人々が出てきたのだ。
◇
『·····隣の星か、あの星に生命が存在していたとはなぁ』
「こっちも驚きです、前々からこの星の事はちょこちょこ見てたんですけど皆さんは地下に住んでおられるようなので見つけることができなくて·····」
私は多分牢屋っぽい場所に閉じ込められながら、代表者っぽい人と談笑していた。
いやーまさか取っ捕まるとは思わなかったよ。
でもよく考えてみたら、もし地球に突然宇宙人が訪ねてきたら即捕まえて檻にブチ込むよね。
ちなみに私を捕らえた火星人さん達は、見た目はあまり人間と変わりないけど皮膚が赤色混じりの褐色って感じでドワーフと結構よく似ていた。
確かうろ覚えだから間違ってたら悪いけど、酸素の量が少ないと生物は小さくなりやすいと聞いた事がある。
例えば恐竜とかは恐竜になる前は酸素濃度が薄くて小柄だったのだが、時代が進んで酸素濃度が上昇すると巨大化したといわれているから、実際大きさに酸素濃度は関わっているのだろう。
そんでこの星は酸素濃度が高山の山頂くらい低いので、小柄な人が多いようだ。
だから私はこの人達のことをドワーフと呼んだのだ。
ただこの地下都市の中は大気圧が意外と高くて、地球の0.8気圧くらいは平均してあるとわかったのだ。
ドワーフと似た種族なら十分生活できるだろう。
そして火星の人々は地球人とは大きく違う点があって、ほぼ全員腕が多いのだ。
身長は平均150cmほどだが両腕が2本ずつあって計4本で、時々ドワーフ?とは種族が違うのか腕は4本あるけど身長が高い人スレンダーで綺麗な人が居たりするし、逆に妖精みたいに小さい人も居て、結構沢山の人種が住んでいると判明した。
あっ、妖精みたいな種族は腕が2本の代わりに背中から羽が生えてたよっ☆
「にしても、結構文明が発展してたんですね·····」
『こっちこそ驚きだ、まさかあの星に我々と似た姿の生命が住んでいるなんて、それもほかの生き物も沢山いるなんて思ってもなかったぞ』
そんでこの人々の文明レベルについてだけど、ぶっちゃけ言ってかなり高い。
まぁそりゃ地下に大都市を作れるだけの技術があるから当然だけど、家が割と現代日本っぽい感じでオシャレでスーパーマーケットがあったりして、最初来た時、日本かどこかに来たのかと思ってしまったほど綺麗な街だったのだ。
しかも魔法もあって、魔力量はちょっと薄いけど十分魔法が使えるレベルなので魔法の文化もちゃんとあった。
あと天井がちょっと特殊で、発光する苔が生えていて青空が拡がっていてある程度の昼夜サイクルもあるみたいで時々消し忘れの苔がいるおかげで星空まで見えるらしい。
ただ地下で暮らすせいであまり星や宇宙を観測したり空を飛ぶ道具を作ってないようで、隣の星、地球に人間が存在するとは知らなかったようだ。
あとで聞いたら、伝承で隣の星に生命が溢れているっていうのがあったけど、ほぼ御伽噺扱いだったらしい。
ついでに外に出て太陽光を浴びると体が爆発四散するとかいう意味不明な伝承が昔に信じられていて、一応太陽光を浴びても爆発四散しないとわかっていても怖がって出ない人が多いらしい。
あと種族は複数居て、いちばん多いのが4本腕のドワーフの『ズヴァーゲ』、次が身長の高いドワーフ的な種族の『アルヴズ』、大きくなっても身長1mにもならない空を飛ぶ種族の『ファエリ』などが居るらしい。
そんで地下都市の代表はズヴァーゲの人らしくて、いま私と話をしているのはこの星の冒険者的な組織に所属する、Sランク冒険者的な真面目だけどノリが軽いズヴァーゲの女性『ネイデル』さんだ。
「で、さっきから何語話してるんですか?」
『何語も何もジャガイモ語だこの短小キノコ』
「誰がHpolt Bedifinhだゴルァ!!このじゃがポックリが!!」
『·····Happn sung aukoqjd MmKaleggi?』
『そんなの決まってるだろう!』
「ノリと!」
『パッションで!』
「『会話してるんだッ!!』」
『··········Ham、makkepis haggenvr』
実はネイデルさん達、さっきから何言ってんか全くわかんないのよ。
まぁそりゃ異星の言葉だから私が知ってるはずもないし、ノリとパッションだけで会話してるのだ。
ちなみに使用言語はまだ解析中ね。
『貴様、あまりジャガイモを舐めているとソラニン中毒になるぞ』
「ふんっ!何言ってんのかよく分かんなかったけど、毒ならキノコの方が一日の長があるわ!受けて立つぞジャガイモ神拳究極奥義継承者ァ!」
『何言ってんのか分かんないけどかかって来なさいキノコ神拳究極奥義継承者っ!』
そしてネイデルさん、実はジャガイモ神拳の究極奥義の継承者なのよね。
そういえばキノコの育成日記3冊目に『火星にはジャガイモ神拳がある』って書いてあったような気がするような気がする気がしたわ。
なるほど納得。
「つまり貴様は我がライバル!いざ尋常に勝負だ!何言ってんのか分かんないけどこのジャガイモ頭っ!」
『かかって来なさい、我らジャガイモ神拳のジャガイモはこの星の環境下でも逞しく成長する美しき宝石の如き神拳·····間違った、植物っ!故にジャガイモ頭とは美しき宝石の如き頭を示す言葉なのだ!分かりましたかこのキノコ頭っ!あと何話してるか理解できませんでしたよ!』
「あぁんっ!?てめぇ何言ってんのかわかんないけど何言ってんだ!私の頭はキノコカットじゃない!ウルフヘアじゃいっ!」
『·····うるふ?』
「·····えっ、狼居ないパターン?」
『狼····· 知らない生き物だ、まぁいい、表に出てこい、殴り倒してやる』
「ああいいよ殴ってやるよ!·····あの、牢屋の扉開けてくれません?」
『·····失念していた、今開けるから少し待ってくれ』
「はーい」
カチャカチャ·····
『あれ、鍵これじゃない····· どれだっけ』
「んっ?どれどれ?」
メギョッ!
私は牢屋の柵をひん曲げて出てくると、ネイデルさんと一緒に手分けして私の入ってる牢屋の鍵を探した。
そして探すこと数分後·····
カチャカチャ·····
\カチンッ/
『よしあった!助かったよソフィさん、では牢屋の中に戻って再開しよう』
「言われずとも!」
私は牢屋の中に戻ってひん曲げた柵を元に戻すと大人しく捕まった。
「早く出してくださーい」
『わかった、今出すから待ってろ』
カチャカチャ·····
\ガチャンッ/
「よし!やっと解放」
\ガコンッ/
「んぶぇっ!?ちょっと開かないんですけど!?」
『·····すまない、閉めてしまった』
「んもー間違えないでくださいよ、ほら開けて開けて」
『わかっている、ちょっと待て』
\カチャンッ!/
「おっやっと開いた·····」
『待たせてしまったな、ほら出て来てくれ、閉じ込めてすまなかった』
「はいはい、じゃあ·····」
『じゃあ·····』
「『いざ尋常に奥義対決だ!何言ってんの理解出来ないけど拳で会話するお話し合い第1回決勝決定戦を始めるぞ!』」
私は手に『神拳:キノコの拳』を身につけ、ネイデルさんは4本の手に『神拳:ジャガイモの拳』を装着して、さっきから会話が全く通じないので拳で会話をすることに相談して決めたのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「けっ!ジャガイモ如きがキノコに勝てる訳ないだろ!あとさっきから何言ってんのかわかんない!!」
名前:ネイデル
種族:ズヴァーゲ(4本腕ドワーフ的な種族)
ひと言コメント
『この異星人は何を喋っているのか全く理解出来ない、が、神拳の辞書に無理の文字はないっ!無理矢理にでも拳で会話して話してやるぞ!』




