謎の星核合金の正体っ!
私がキノコ神拳の奥義の力で自分で自分を治療した後は、私たちは宝箱とかの罠にちゃんと警戒してダンジョンの中を突き進んでいた。
ちなみに14階は一瞬で終わった、設計ミスなのか階段を下りて5m先の通路を右に曲がったら下に降りる階段があったから即降りた。
って訳で、私たちは地下15階に突入して、かなり強くなった魔物を倒していた。
「まさかダイボルトとチュウボルトが群れで出てくるとはねぇ····· ちょこまか動き回る魔物に当てるの大変でしょ?」
「あたらない、えいっ!だめだぁ·····」
「最初は爆弾も当たってたんだけどなぁ····· チッ、覚えられちゃって当たらなくなってきた·····」
「魔法を発射した音で気が付かれているようだ、しかもかなり聴覚が良い、無音で魔法を発動するか、気が付く前に当てる必要がありそうだ」
今戦っているのはコボルトの上位の魔物で、コボルトより一回り大きくなったチュウボルト、そして大きくなったダイボルトの群れだ。
コイツらは犬というか狼の脚力を使ってかなりな速度で走り回る厄介な魔物で、実際見習い聖女ちゃん達の魔法はほとんど当たっていない。
ちなみにコボルトは元々は鉱山などの精霊だったが、いつの間にかゴブリンと同一の『醜悪な悪い妖精』ってイメージに変化し、なんでか知らないけど日本ではゴブリンが醜悪な魔物、コボルトは二足歩行の犬の魔物っていうイメージになってるし、この世界ではコボルトは犬型だ。
·····てかコボルトってたまーに柴犬型のが出現するんだけどさ、可愛くて殺すの躊躇っちゃうから個人的にかなり苦手な魔物なのよね。
もっと狂犬病持ってそうなイカレ犬だったら躊躇わずに殺れるのに·····
ちなみにちなみに、コバルトの語源はコボルトらしいよっ☆
元素の名前には意外と神話の名前が使われていて
ヘリウム:太陽神ヘリオス
ウラン:天空神ウラヌス
チタン:伝説の巨人ティターン
バナジウム:スカンジナビア神話の愛の女神バナジス
テルル:ローマ神話の大地の女神テルース
セレン:月の女神セレネ
イリジウム:虹の女神イリス
ネプツニウム:海の神ネプチューン
プロメチウム:炎の英雄プロメテウス
トリウム:北欧神話のトール
パラジウム:アテナの本名パラス・アテナから
そういった錚々たるメンバーの中で、コバルトはドイツの民間伝承で語られてきた醜い妖精という、明らかに委縮しそうな感じだ。
私だったら確実に肩身が狭くなるし、実際ガイア様のお付きとして神様会議に参加させられた時は隣がゼウス様、その隣が『みだりにその名を唱える者には天罰が下される』って噂のすんごい神様でビビり散らかしたし·····
他にも復活待機中のキリストさんに、·····うん、偶像崇拝禁止だから誰とは言わないけど有名なのも居たしで、錚々たる顔ぶれだったわ。
だがそんなコボルト君にも心強い味方が2人居る。
それがこの2人で·····
タンタル:ギリシャ神話で罪を犯して飢え渇き苦しむ罰を受けてる不死身の王タンタロス
·····なんだけど、あの人ゼウス様の飲み友だからなぁ、しかもゼウス様が時々勝手に解放して神界の飲み屋横丁で飲み歩いてるし。
ちなみに酒以外飲ませて貰えないから余計に喉が乾いてるらしいけど、そのぶん酒が美味いらしい。
ニッケル:ドイツの『銅の悪魔 kupfernickel』·····
なんだけど、正確にはコイツは悪魔ってより『銅みたいなのに銅が採れない鉱物』が由来だから神話の存在じゃない。
その正体は『紅砒ニッケル鉱』というヒ素とニッケルで出来た銅色の鉱物で、見た目が似てるからと採取されるも銅が採れない事から『悪魔の銅』と呼ばれるようになった代物だ。
だから神話にはそういう悪魔は居ない。
·····つまりコボルト君はやっぱり1人で名だたる神々の中に加わる必要があるのよね。
可哀想に·····
「っと!閑話休題っ!!フィグちゃんは魔法をレーザーに切り替えて薙ぎ払って!マルスちゃんはただの石をブラフで投げて魔物が避けた所を爆破魔法を直接飛ばして爆破!シトラちゃんは光速弾使いづらいから避けてるみたいだけどそれを使って!」
「「「はいっ!」」」
「えっと、ホーリービームっ!」
キュィィィイインッ!!
「えいっ!そして爆破っ!」
ぽいっ
ボカァァァアアアンッ!
「仕方あるまい、僕ぁ照準を付けるのが苦手だから放ってから操作して当ててるのだが·····ええいままよ!」
カッ!
『『ギャウッ!!?』』
「当たった!強い!」
「ぷふっ、避けた先で爆破に巻き込まれてやんの、面白っ」
「むぐ····· 照準を合わせるのに時間がかかってしまった····· なるほどそうか、これをこうやって組み合わせて····· よし出来た、自動で魔物を追跡する魔法だ、これならば百発百中だ」
「いい感じ!んじゃその魔法を使ってもいいし、自分なりに考えて魔法を使っても良いから頑張ってみてね!」
「「「はいっ!」」」
3人にヒントをあげた私は、再びダイボルトの群れを一人で相手しはじめたのだった。
◇
「ソフィさま!これ可愛いですよね!帰ったら着てみてもいいですか?」
「コボルトのなりきり装備いいなぁ····· い、いややっぱやめとくわ、うん、やめとくわ·····」
「むぅ、この尻尾だけ付け方がわからない、専用のアタッチメントを別途落とすのだろうか」
「·····」
ダイボルトを倒し終わった後、私はキャイキャイ騒いでる3人とは裏腹に黙々と15階へと向けて進んでいた。
·····いや、さっきチュウボルトから私も手に入れた『コボルトなりきリセット』がドロップしたのよ。
このコボルトなりきリセット、かなり完成度が高くて露出度は結構高いけどめっちゃ可愛いから人気があるのよね。
実際私も着たことあるし·····
でも一つだけ問題があって、うん、尻尾のつけ方がね·····
まだ純情なあの子らに教える訳にはいかない方法だし、私でも付けるのに苦労した方法だから聞いてて複雑な気持ちになるのよ·····
とりあえず隙を見て私が作ったベルト式の尻尾にすり替えておこう。
·····てかマルスちゃんは気がついてるみたいなんだけどさ、なんで知ってるか後で問い詰める必要があるかな?
だってアレ、アナr
「ん、トラップだ、解除スイッチは天井かぁ····· 届きにくい·····」
「トラップですか?」
「えっ?あっ本当だ!天井にスイッチある、·····けどなんか露骨じゃね?」
「どうやら壁から矢が出るタイプのようだ、危険だ、止めておくべきだろう」
って言おうと思ったらトラップを発見してしまったので、私は早速トラップの解除をすることにした。
まぁ解除といってもボタンを押せば多分出てくる矢が止まるっぽいので、私は天井にあったボタンをソフィアの槍の石突の部分で押してみた。
/カチッ\
/シャコンッ\
「んあ?なんか開いた?いてっ!」
\コツンッ!/
するとボタンの横に穴が開いて、中から石ころが落っこちてきて私の額を直撃した。
しかも結構硬くて重い尖った石だったみたいで、私の額がちょっと切れて血が出てしまった。
「あいててて····· 何この陰湿な····· んぇ?星核合金?」
私は額を治しながらおちて来た石を見ると、何故かそれは星核合金の破片だった。
そしてそれを見た瞬間、このダンジョンで時々見つかる星核合金の正体が何となくわかった。
「もしかしてこのダンジョン、トラップの中に触れた金属をコピーしてくるヤツが混ざってる?よし今度は鉄の棒でつっついてみるか!」
/カチッ\
\ドスッ!/
「ぎゃんっ!いてて·····矢じゃなくて金属の槍だったのかよ、殺意高いなぁ·····」
「鋼鉄の槍が刺さらないの、石頭すぎじゃね?」
「そういえば聞いた事があるぞ、マグウェル魔法学校では最上級の説教に校長直々のゲンコツがあると、そしてそのゲンコツは山をも砕くと····· それを見様見真似で再現出来るほど喰らってきたソフィ様ならば、鉄の槍なんぞものともしないのだろう」
それを検証するため私はただの鉄の棒でスイッチを押してみると、横の穴から鋼鉄の槍というか杭が降り注いで私の額に直撃した。
ただの鉄だったから怪我はしなかったけど、これでハッキリした。
「これは意外と有益なダンジョンかもしれない、条件は不明だけど触れた金属をコピーできる機能なんて見た事無いし、使い方次第では凄い事になるぞ·····」
「えっ、つまりお金をあれに当てたら増えるって事ですか!?」
「それって大金持ちになれるって事じゃね!?金貨、金貨なかったっけ!」
「僕が持ってる、本を買う用だが増えるのならば·····」
「待ってみんな、降ってくるのお金じゃなくて槍だから当たったら死ぬよ?」
「「「·····」」」
なんか早速悪だくみしてる少女3人が居るけど、たぶんこのダンジョンは金属をコピーする性質があるらしい。
でも複製には何らかの制限があるみたいで、鉄とかだと完全にコピーできて、星核合金みたいな超合金だと豆粒程度の小さな粒しか作れないらしい。
リソースが重すぎんのかな?
/カチッ\
\ドゴガッギャァァアアアアアンッッ!/
「ひゃっ!?」
「避けてて良かった·····」
「金だ、みんな、金だぞ、これは高く売れるぞ·····」
「やったぁ!早速持ち帰って売ろう!ふんんっ!!あれ?」
「なにしてんのフィグ、早く引っこ抜いてよ!もういい私がやる、うんっ!!·····持ち上がらない?えっ引っ付いてる?」
「僕に任せたまえ、最近筋トレしているからこの程度っっっんぬぬぬぬぬっ!!!·····っっぶはぁっ!!残念ながら地面と癒着してしまったようだ、あきらめよう」
「シトラこの前私の5kgのダンベル持ち上げようとしてひっくり返ってたでしょ、もっと鍛えなよ、アンタ大好きな分厚い古臭い本読んでても腕が疲れたとか言って机に置いて読んでるでしょ」
「だから机に本置いて読んでたんだ····· そのせいで猫背になるんじゃないの?」
「なんっだとぉ!?·····だから僕猫背だったのか、なるほど、だがしかぁし!今はこの魔導書がある!これにデータを写せばそんなに重くなく読むことが出来るのだ!!」
「いや鍛える話から逸らさないで?」
「シトラちゃんも運動しようよー、お菓子作りは体作りからって言うでしょ!」
「やだぁ!ぼくうんどうしたくないー!!」
「なんかコントしてる····· ちなみに金の比重は約19.32、鉄の2.5倍近い重さだからこのサイズの金でも持ち上げるのは困難だよ、だいたい30kgくらいあるかな?」
\ズボッ!/
「おおおおおっ!ソフィさま力持ちっ!」
「重かっただけなんだ·····」
「僕らの筋力不足という訳か·····」
そして3人が勝手に金貨でスイッチを押して私が引っこ抜いた黄金の槍は、鉄の槍の半分以下のかなり小さい槍となっていたことから、基準は不明だが種類によって複製できる量に限界があると思われた。
んでさっきトラップの動くところを調べてたら、周囲の壁にも若干同じ仕組みがあって、例えば鉄製品が壁に触れるとアイアンゴーレムが腕とかの一部だけ出現して殴ってきたり不意打ちを仕掛けてくるような仕組みになっていたから、たぶんだけど道中で拾った星核合金は私たちの武器が壁に当たって増殖した物だったのだろう。
「ちなみにこの槍で大体40kg以上はあるね、クソ重いよ」
「って事は····· 何円くらいになります?」
「大金持ちになれるかも!?」
「確か····· 忘れてしまった」
「わからないけど多分数百万円はするかな?こっちの物価だとそのくらいだと思うけど·····」
「「「おおおおおおっ!!!」」」
ちなみにこっちの世界は金は貴重だけど結構出るので安くて日本の半分以下だったはずだ。
でも十分高いし金製品がダンジョンで出ると一気に大金持ちになれるほどで、十分お宝と言えるだろう。
それをトラップで大量に生み出せるとなると、このダンジョンはちょっとマズい事になるかもしれない。
何せ鉱山が不要になってしまうかもしれない程の可能性を秘めているのだから、まず間違いなくお国の案件になるだろう。
立ち入り禁止か国が管理するダンジョンになるか鉱山になるかは国次第と言ったところだ。
「·····とりあえずグラちゃん呼んでトラップの解析してもらおっと、覚えてくれたら色々悪用できるし」
「ソフィさま!もっと押しましょう!そしてもっと大金持ちに!」
「えいっ!とりゃ!」
「僕も投げよう、それっ」
カチッカチッカチッカチッカチッカチッ
ドスッ!ガキャッ!コンッ!コツッ コン、·····
「·····あれ?出なくなった?」
「しかも小さくなってる?」
「状況を分析すると、在庫切れを起こした可能性が高そうだ」
「みんな、これ皆が好きにしていいから絶対に他言無用でお願い、あと勝手におさないで·····」
「「「はいっ!!」」」
·····とりあえず在庫切れみたいな状況になったっぽいので、私は出し尽くした金を聖女ちゃん3人に渡す代わりに口止めと悪用の禁止を命じたのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「たった数グラムとはいえ、星核合金のコピーができるとなるとちょっとヤバいかもなぁ····· もしヤバそうだったらグラちゃんに掌握してもらってトラップと複製の機能を撤去してもらうしか·····」
名前:フィグ
ひと言コメント
「えへへへへ····· これで私たちも大金持ちに·····」
名前:マルス
ひと言コメント
「もう一生遊んで暮らせるんじゃない?」
名前:シトラ
ひと言コメント
「·····聖女は謙虚でなければいけず、お金に執着しないという規則を習ったのを全員忘れているのだろうか、かくいう僕も忘れていたのだが、·····よし忘れよう、人はお金の魔力には逆らえないのだ、これは仕方ない事だとしよう」




