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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第七章 TS賢者は子育てに奔走するっ!
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回復魔法を教えようっ!


 謎の星核合金の破片を拾ってからは順調にダンジョンの攻略は進み、私たちは地下13階まで到達して今も探索を続けていた。


 ·····のだが、私は探索どころじゃなくなって、結構ガチで考え事をしていた。


 あの星核合金の破片についてだ。

 実はあの後、私は2個の破片を見つけて更になかよし組のみんなからもちょこちょこ発見報告が出てきたのだ。

 でも発見者は大半がアルムちゃんで、1,2回ほどエビちゃんとフィーロ君から見つけたとの報告が来ていた。


 大きさはどれも1cm以下の小さな断片で質もかなり悪かったけど、間違いなく星核合金だった。



 星核合金は星の核付近····· 正確には惑星のマントル下部の超高温超高圧の環境下で希少魔導金属3種が均等に混ざり合う事でできる、濃い藍色で星が瞬く美しい金属だ。

 その希少さと特性は桁違いに高く、聖剣などには隕鉄が多く使われているのだがそれは隕鉄の中に微量の星核合金が含まれており、それが影響して非常に強い効果をもたらしていると判明している。


 ちなみに最近では王都の研究機関が聖剣の分析を行ったところ、やはり星核合金が含まれていることを見つけて、まだ一般公表はされていないが一部では話が広まってきていて人工的に作成する試みもドワーフとドヴェルグ達の間で進められているらしい。



 ·····だから、まだ各国にサンプル程度しか渡して無くて、あのドワーフとドヴェルグでさえ未だに作成に成功していない物がここにあるわけがないのだ。



「·····わからん」


「なにがわからないんですか?次の階段の場所とかですか?」

「ずっと悩んでる····· 何があったんだろう?」

「何度かソフィ様が何かを拾う動きをしていた、もしかするとダンジョンに関する重要な手掛かりがあったのかもしれない」


「あー、いやそうじゃないけど、まぁそうなるけど····· っと、宝箱あった」



 って考え事をしすぎてたら聖女ちゃん達に心配されて声を掛けられてしまったので顔をそっちに向けると、彼女達の背後に宝箱があるのを見つけてしまった。


 丁度私ストレス溜まってたし行き詰ってたから開けよっかな。



「あの宝箱開けさせてもらうね、いいでしょ?」


「いいですよ!わたしも隣で見せてくださいっ!」

「でも中身がいい物だったらほしいです」

「金属の装飾が施された今までより豪華な宝箱、期待できそうだ」


「いいよ、んじゃオープn」


 カチッ


 ドシュッ!



「うぐっ!!?」

「痛いっ!」


「罠っ!?」

「矢タイプの罠だ、マズい」



 私は完全に油断していた。


 宝箱を開けると、罠が発動してクロスボウの矢のような矢が複数本放たれ、私は首の左側を貫かれ、少し離れた位置に居たフィグちゃんは肩を矢が掠めて傷ができていた。



「がはっ、毒、だ、フィグちゃん、治癒、解毒·····」

「痛いっ!!うぐっ、痛い痛い痛い痛い痛いっ!たすけて!たすけてぇっ!」


「効果が出るのが、早い····· 結構、ヤバい、掠っても、死ぬやつだ·····」



 しかも矢には毒が、即死級の猛毒が塗られていて、ガッツリ刺さった私には想像を絶する苦痛が、肩あたりに掠って傷ができたフィグちゃんには冷静さを失って倒れて死を覚悟するほどの痛みが走っていた。


 ·····流石にコレはどうしようもないかな。



「·····『解毒』」


「痛い痛い痛っ····· あれ、そんなに····· やっぱり痛いっ!!」




 私は傷の治し方や解毒について教えてあげようと思ったけど、流石にそれどころじゃなかったので即座に私の命を捨てて先にフィグちゃんに解毒魔法を掛けてあげた。


 しかし、そのころには既に私の全身には毒が回っており、毒が消えたフィグちゃんが起き上がったのを見て、私は目を閉じた。









「これよりキノコ治療院の名医ソフィ・シュテインによるソフィ・シュテインのしゅじゅちゅ····· しゅじぅ····· 手術を開始します」


「「「はいっ!」」」



 という訳で、ダンジョンの中で私による私の手術が始まった。

 だが私は今回は執刀しないで、助手に任せようと思う。



「まずは頚部に刺さった矢の回収を行う、シトラ君、とりあえずテキトーに引っこ抜いてくれたまえ、おっと鏃にはまだ毒が残ってるから自分も傷つけないよう気をつけてくれたまえ」


「了解した、うんぬっ!」


 すぽんっ!

\ぷしゃぁぁああっ/


「うわわっ!?ちっ、血が沢山出てきましたー!?」


「このように頚部は血管が多く、今回は大動脈は傷付いていないのにも関わらずこれほどまで血が出てしまいます、これが頚部の傷の治療が困難と言われる所以ですね、ここメモしておくように」


「はいっ!」

「実際に見るとわかりやす·····」

「ふむふむ、なるほど·····」



 首に刺さっている矢の摘出は完了したので、次は吹き出す血の対処法を教えよう。



「そして血が吹き出しているけれど、人間は大体全血液の30%が抜けると人は死に至ると言われていて、首の傷は特に血が出やすいから死にやすいのです、なので応急処置として首の血管を水魔法でせき止めます、これにより一時的にですが失血を止めることが出来、後遺症の可能性は高まりますが死を回避できる可能性が高まります」


「ながくて覚えられませーん!」


「·····水魔法で血が出るのを止めましょう」


「わかりました!むむむ····· わたしは無理ですー!」

「私も無理·····」

「ふむ、ここをこうして····· むむ、想像以上に難しいぞ、指定する血管が多すぎる·····」


「って言うと思ってました、この場合は血管一つ一つではなく、この傷口をまとめてひとつの水魔法で止めてみましょう、今回は私が実践しますが····· はい、このように血を止めることが可能となります、·····少し対処が遅れたので死にかけていますが気にせず行きましょう」



 私は傷口を水魔法で塞ぎ、血の流出を止める事に成功した。

 ただし説明しながらだった事が影響して、患者が死にかけているが気にしない事とする。



「また、現在患者には致死毒が大量に入っています、本来なら死んでいますが私はキノコ神拳を皆伝しているので毒は効きません、ですが流れ出た血にも毒があるので気をつけてください、また、患者の血は申し訳ないですが雑菌や血液型の違いがあるので体内に入ると致命的な病気になると思っていてください」


「こ、こわい·····」

「気をつけますっ!」

「なるほど、気をつけよう·····」


「ではこれより解毒の方法を教えます、この毒は神経毒と生物毒の複合体で、痛みは生物毒····· 今回は虫系の毒で主にカンタリジンが用いられていて、虫の毒は主にアミンなどの影響により免疫反応に作用して痛みを感じます、それと同時に神経毒は神経の伝達を阻害し、まずは筋肉や手足が麻痺し始め、最終的には肺を動かす横隔膜まで止まって呼吸が出来なくなりしに至ります」


「ひぃ····· だから痛かったんだ·····」

「すごい、さすが自分で食らっただけあって毒を特定できてる·····」

「神経毒は麻痺、虫の毒は痛い····· なるほど、他の毒の見分け方も知っておきたい」



「そしてこの毒の見分け方は非常に重要で、普通の解毒魔法は全ての毒に対応するように設計されているため完治はほぼ無理と言っていいでしょう、そこで毒の種類を特定し、それに特化した解毒魔法を使うことで効果的に解毒ができます」


「なるほどぉ·····」


「毒の治癒は時間勝負です、まぁもう手遅れなくらい時間は経ってますが練習を兼ねて続けますが、本来ならまず普通の解毒魔法で全ての毒の効果を下げて時間を稼ぎ、毒の種類を判別して特化型の解毒魔法で治癒する事が重要です」


「わかりました!勉強になります!」

「ちゃんとメモしないと覚えられないかも····· シトラ、メモなんか持ってない?」

「メモくらい持ってきたまえ、·····なるほど、習ったのはこれの事を指していたのか、先生は教え方が悪くて今ひとつ分からなかったが、ようやく理解できた」



 どうやら私の説明は分かりやすかったようだ。


 ちなみにこれ見てる人は真似しないでね、魔法が無いと無理だから。



「さてと注意喚起も終わったのでついでに余談です、神経毒····· 例えばフグ毒で有名な神経毒のテトロドトキシンは実は解毒魔法無しでも助かる方法があります、基本的に神経毒は呼吸が出来なくなって死ぬので、毒が体外に排出されるまで人工呼吸を続けておけば実は助かります、それか排出されるまで息を止めてられるなら耐えられます」


「そうなんですか!?」

「初めて知った·····」

「さすがは名医だ、僕たちが知らないことを知っている」


「ちなみに私は1年くらい息しなくても平気なのでまだぜんっぜん生きてますよ、むしろ失血の方がヤバいくらいです」



 そう、実は私は神経毒もほとんど効かない。


 正確には神経毒が意味を成さないって方が正しくて、神になった私の体は既に呼吸も食事も必要無い、それどころか臓器とかも何も要らない『ソフィ・シュテイン』という概念になってるから、そもそも毒が作用する場所が無いのよ。


 ·····まぁそれだと過ごしにくいからかなりグレードダウンして人間に擬態してるせいで、一応は効くけどね。

 それでも呼吸が止まっても無酸素で生きてられるので別に平気なのだ。


 ただちょっと動けなくなるけど、そこはご愛嬌。



「って訳で次は毒の除去を····· 誰かやってみますか?」


「僕がやろう、神経毒と生物毒の解毒魔法を早速組んでみたのだ、試させてもらおう」


「ではシトラちゃんどうぞ」



 シトラちゃんは私の体の前に来ると、魔導書を使って事前に構築していた特化型の解毒魔法を発動した。


 すると私の身体が光り、毒がほぼ完全に抜けたのがわかった。



「ちょっと調べてみるね····· うん、ほとんど抜けてるけど末端とか血管に少し毒があるね、でも合格」


「満点とは行かなかったか、どうすれば良かったのたろう·····」


「例えば今回は血管に毒が流れ込んだ事で私が死にかけてるよね?」


「ふむ·····」


「この場合、全身に解毒を施すのは非効率的だよ、例えば量の多い筋肉は除外して血管と神経に解毒を集中させるとほぼ全て抜けていたと思うし、今回の場合は筋肉に残った少しの毒は全体解毒で抜けるから、特に毒の量が多い部分に集中させたら良かったかもね」


「なるほど、覚えておこう」



 って訳で、私の治療はほぼ全て終わり、あとは傷口を再生させるだけとなった。



「まず今回は傷は首を貫通してるんだけど、大動脈と脊椎は傷ついてないからかなり治しやすいね、ぶっちゃけ言ってみんなの治癒魔法で直せるからやってみて?」


「じゃあ私がやります」


「OK、マルスちゃんやってみて」


「おっけ、禁書庫から盗み見た最強の治癒魔法陣ってヤツ使ってみよっと、今なら書けそうだし」


「ちょま、それアカン!あっ!!」


\ギュォァァァアアアアンッ!!!/


 ·····うわぁ



「マジで凄い治癒魔法じゃん·····」


「····················きゅう」


\バタッ/

「ただ消費魔力が多いね、うん」



 なんとマルスちゃんはサークレット教の聖地の禁書庫から盗み見た、完全治癒の魔法陣を再現して発動してしまった。


 ただし魔力消費量がヤバくて魔力を全部吸い取られてぶっ倒れていたが、私は綺麗さっぱり治っていた。



「大丈夫?とりあえず魔力の実たべときなー」


「はぃ·····」


「ちなみにその魔法陣が禁書庫にあった理由だけど、元々全体治癒の魔法を一点集中で治すように改造してたモノで無駄も多いし人間にはオーバースペック過ぎるから、もっと効率的な魔法陣が作られて使われなくなった魔法陣だよ」


「えぇ·····」


「後でもっと良い魔法陣見せてあげるから作ってみてね?」


「はぁい·····」



「んふふ、それじゃ私も治ったし、これにて『キノコ神拳究極奥義 菌糸治療院へようこそ!』を終わりとする、お疲れ様でした」


「「「お疲れ様でした!」」」



 私は体を入れ替えてムクッと起き上がると、キノコ神拳究極奥義を解除した。



「·····あれ?なんでわたし治ってるの!?というかソフィさま生きてたんですか!?」

「えっ、いま治したじゃんアホフィグ!·····んっ?いやなんで死んでるはずのソフィ様がソフィ様を治してたの!?」

「理解不能だ、ありえない現象を目の当たりにしたかもしれない·····」


「まぁキノコ神拳だから」


「そっかぁ」

「キノコ神拳なら有り得るよね」

「うむ、·····いや待ちたまえ、僕が頭おかしいのかな?キノコ神拳?とやらでは納得できないぞ、何が起きていたんだ」



「·····キノコ神拳奥義 1...2の...ポカン!」


「ぎゃんっ」










「さて、私達も治った事だし探索を再開しよっか」


「おーっ!気をつけてがんばろーっ!」

「ボス倒してお宝漁ろっと」

「あと一息、頑張るとしよう」



 無事に宝箱の罠で負った傷を治すついでに治療法を学んだ私たちは、宝箱の中身を取ってまたダンジョンの探索を再開したのだった。




名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「私、毒はほとんど効かないのよね、まぁエビちゃんの毒舌を食らったら確実にキレて喧嘩になるけど」


名前:フィグ

ひと言コメント

「ケガ痛かった····· 本当に死んじゃうんだって思った····· あれ?わたし、あんな痛かったのに何で忘れてたんだろ?」


名前:マルス

ひと言コメント

「·····うん?なんか変なトコあった?全然わかんないんだけど」


名前:シトラ

ひと言コメント

「·····何か大事な事を忘れている気がするが思い出せない、何を忘れたのだろうか」


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