止められない不安の予感
無事に中ボスを突破した私たちは、地下10階に突入して探索と攻略を続けていた。
「ふんふん····· やっぱり階層が急に小さくなってる、ちょっとアテが外れたかぁ、たぶん15か16層にボスが居るねコレ」
「ほんとうですか!?あとちょっとじゃないですか!」
そしてさっきなかよし組のみんなから届いた情報によると、この階層は上の階に比べて一気に狭くなっていたようで、この調子だったら多分最下層は想定より5階ほど浅い15階くらいが妥当だろう。
·····だからこそ、少々不安が残っている。
「·····おかしいんだよ、それが」
「えっ?」
「あのゴーレムは少なくとも30層はあるダンジョンじゃないと中ボスで出現しないようなかなり強いゴーレムだったのよ、本当ならこの規模のダンジョンならラスボスでもおかしくないし、それが中ボスだったのは異常だし、10階からは景色が一気に変わって存在しない古代文明の遺跡のようなダンジョンになってる、·····やっぱり、ここちょいと警戒するべきかも」
あのゴーレムは15階程度のダンジョンであればラスボス級でもおかしくない魔物だ。
にもかかわらず中ボスで出現してたし、その下の階層の魔物は明らかに強くなっていて絶対に初心者向けじゃない感じになっていた。
『ゲギャ?ゲギャァァアッ!』
『ゴギョギョ!ギャー!』
「ちぃっ!人型蜥蜴か、三人は後ろを警戒しながら魔法攻撃をして、私は前衛で動きを止めるから!」
「「「わかりました!」」」
例えばこんな風に、二足歩行で武装をしてる蜥蜴が小隊を組んで時々徘徊しているのだ。
コイツらは結構厄介で、単体だったらDだけど集団になると個体数によるが最低でもCランクまで格上げされる強さになり、連携を組んできたりしてかなり厳しい戦いを強いられる相手だ。
ちなみに人型蜥蜴って呼んでるのは私だけね、本当はリザードマンなんだけど某ドラゴンなクエストのモンスターの名前と被ってるから使いたくないのよね·····
まぁそれは置いといて、今は戦闘が優先だ。
「さてと、なんか強いって話題になってたレイピアでも使ってみるかな·····っと!!」
ズドンッ!
ドスッ!
『ギギャァァアアアッ!?』
「あっ強いコレ」
だが私には関係ない。
見習い聖女ちゃんの成長の糧にさせてもらう····· つもりだったんだけど、実は強いって噂を聞いたレイピアを使ってみたら思ったよりも強くてビビッた。
まぁ星核合金で作ったからなんだけど、確かにめっちゃ強い。
まず刃渡りがヤバくて細いから刺突攻撃がしやすいし、細いけど意外と重いから思いきり切りつけるとかなりな衝撃が走るし、長いから先端の速度は物凄い事になってよく切れる、破壊力のある武器だ。
多分私、レイピアが弱いって思ったのフェンシングのせいだわ、へにょんへにょんしてて弱そうって思ったけど実戦用の刃がついた本物のレイピアはかなり強いわ。
「んー、でも刀みたいに『斬る』って訳じゃなさそうかな····· いや切っ先の様子を見ると慣れれば相当切れそうだけど、普通に切るだけじゃ叩き切るのとあんま変わんないか····· 扱いが結構難しいな·····」
ただ、私はどっちかというと刀とか槍とか大剣の方が使いやすいかもしれない。
刀は反っている形状によって振り下ろした動作によって自然と切断力をあげる引き切りができて、私的には切れ味も良くてかなり扱いやすい武器だ。
槍は言わずもがなでキセキの槍『ソフィアの槍』だけど、あれは槍って言うか諸刃の薙刀みたいな感じだし、耐久・切れ味・魔法効果に優れていてなおかつ私が全身全霊でぶん回しても絶対に壊れないから愛用しているだけで、実は私は槍は好きだけどそんなに得意じゃない。
でも刺突も斬撃も打撃もできるしリーチが長くて投げても使える万能武器だからこそ、ぶっちゃけ言ってコレが最強だと思う。
んで大剣はソフィアの槍を変形させると穂先の刃が変形して大剣のような形状になってブン回せるからランクインしてて、破壊力はめっちゃ高いし範囲攻撃に向いてるから使ってる。
·····ただ、普段からそんな使い方ばっかりしてる弊害が起きてしまった。
/
ガキンッ!!
\
「やべ壁当てちゃ」
\からんっ/
「うわ折れたっ!?流石の星核合金でも細長いと変な当て方しちゃうと折れるのかな····· やっぱり慣れないと無理だコレ」
「ソフィさまどいてくださいー!」
「あっごめん、撃っていいよ!」
「はいっ!ええと、はっしゃ!」
ドンッ!
そして私はソフィアの槍を使うような勢いで細いレイピアを振り回したせいで壁に当ててしまって、星核合金製であるにもかかわらず欠けさせてしまった。
一瞬青色の破片が落っこちたの見えたから間違いないけど、見てる暇がなくて仕舞っちゃったからどこ折れたか欠けたか分かんなかったわ。
やっぱ先端かな·····
ただショックを受けてる暇はないので、インベントリから愛用している星核合金の包丁を取り出すとフィグちゃん達の魔法攻撃が3体の人型蜥蜴に直撃し、瀕死の重傷を負わせたり即死させた隙を見て、のこりの人型蜥蜴に接近すると脚を切断して動けなくしてやった。
「良いよその調子!もっと急所を狙って!」
「はいっ!」
「ええいっ!」
「僕ぁ仕留めそこなったのにトドメを刺す、2人は元気なのを狙いたまえ」
ギュォアッ!
ドッゴォォォォオオンッ!
ズドドンッ!
『ゲギィア!!?』
『ガッ·····』
『ぎょヴっ』
『ッ·····』
『ギィィィイイイ!!』
そして見習い聖女ちゃん達が放った魔法は人型蜥蜴たちを撃ち抜き、絶命させることに成功した。
「おっ!次は一撃で仕留められたじゃん、いいねその調子だよみんな」
「はいっ!」
「当たれば一撃だわ、楽勝かな」
「当たらないから僕がトドメを刺す羽目になるのだが·····」
「·····ただ油断は禁物、後ろもちゃんと気を付けてね」
「「「えっ?」」」
「そいっ」
ヒュンッ
私は見習い聖女ちゃん達に向けて包丁を横に一閃し、斬撃を彼女らに飛ばした。
だが飛翔する斬撃は彼女達には直撃せず、真後ろから接近していたコボルト・シーフに直撃し一撃で身体を真っ二つに切り裂いてしまった。
「ああいう獣系の魔物は特に足音が聞こえ辛いから気を付けるんだよ、今私が気が付いてなかったら首を搔き切られるか背中から刺されてたよ」
「き、きをつけますっ!」
「怖っ····· 次から後ろに地雷しかけとくわ·····」
「やはり探知魔法を全方位に向けて発動し続ける必要がありそうだ·····」
「そうそう、特に混戦状態になったら前だけじゃなくて前後左右、更に上下も気にしないと死につながるから気を付けるんだよ、そんじゃミナタが次の階層の階段を見つけたみたいだし行くよ」
「「「はいっ!」」」
そして人型蜥蜴を倒した私たちは、素材をインベントリに入れて次の階層に向けて出発した。
·····が。
「·····こっから先はみんなが先頭で進んで、私ちょっと調べ事あるから」
「はい?わかりました!」
「探知の訓練ですね!頑張ります!」
「些か不安だが、努力してみよう」
私はちょっと事情があって3人を先に行かせ、地面に落ちていたソレを拾った。
「·····星核合金に間違いない、やっぱりレイピアが欠けっ·····てない?うーん?これ使うの初めてだし、加工場の星核合金がどっかについてたのかな····· いやそれにしてはデカめだし、こんな形の破片記憶にないし····· なんなんだろコレ·····」
それは紛う事なく、私が発見した星の核付近にしか存在しない幻の魔導超合金『星核合金』としか思えない、ミスリル・オリハルコン・アダマンタイトが主成分の美しい魔導超合金だった。
名前:フィグ
ひと言コメント
「ソフィさまのレイピアを見て思い出したけど、ずっと遠距離攻撃ばっかりであんまりナイフつかってないなぁ····· お料理用だからあんまり使ってないけど、使ってみたいなぁ·····」
名前:マルス
ひと言コメント
「バカフィグ!そっち魔物いたんだけど!?警戒してよ!シトラが見つけてなかったら気が付かれてたよ!?」
名前:シトラ
ひと言コメント
「マルス、大声を出すのはやめたまえ、魔物に気が付かれてしま\ガウ?/·····ほら言わんこっちゃない、魔法で隠れるから近寄りたまえ」
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「いやーわかんないわ、·····ん?えっ、この星核合金、私の魔力を感じないんだけど····· それどころかこのダンジョンの魔力を感じる?·····ちょっとマジで探索と警戒する必要があるかも、このダンジョン」




