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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第七章 TS賢者は子育てに奔走するっ!
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聖女ちゃん達の特訓開始っ!



 という訳で、私たちはダンジョンの中を突き進んでいた。



「何が『という訳で』ですかーっ!!こ、怖いですよぅ!」

「だだだだだいじょうぶ、私は運がいい、運がいいから私は大丈夫·····」

「緊張してる暇はない、冷静に落ち着いて考えるんだ、曲がり角で警戒して、鉢合わせないよう魔法で感知して、罠を警戒し続けて、一瞬たりとも油断しない必要がある、大変だ·····」



「まぁ大丈夫っしょ?」



「「「大丈夫じゃないです!!」」」



 ダンジョンの中は薄暗くて空気は澱んでいて不気味な雰囲気だった。

 ·····BGMがだいぶ酷いせいで雰囲気台無しだけど。



 \ズガァァァアアアアアンッ!!!/

 パラパラパラパラ·····


「ひゃぁぁあああっ!!」

「爆発!!」

「どこかで戦闘が始まったようだ、大丈夫だろうか····· それにこの魔力は非常に邪悪な属性を含んでいる、僕たちも行った方がいいのでは無いだろうか」


「ちっ、エビだなこれ····· 」



 さっきからなかよし組のみんなが暴れているのか、爆音とか魔物の断末魔とか()()()が破裂する湿った鈍い音が響いてきていて雰囲気が台無しになっていた。


 そんでさっきのは多分エビちゃんが高威力の魔法をぶっ放した音だろう。

 魔神属性の魔力が伝搬して来たから多分間違いない。



「大丈夫、これエビちゃん····· 魔族っ子の魔法だから気にしなくても良いよ」


「·····紛らわしい」


「まぁだってアレ魔王だし」


「本当に魔王なの?」

「魔族なのはわかるけど、ぜんぜん魔王って感じしなかったんだけど·····」

「僕の目でも魔王かどうか分からない、邪悪だけど完全に悪い魔力ではないのが不思議で仕方ない·····」


「本気出したエビちゃんを見たらそうは言えないと思うよ、あれめっちゃ強い····· おっと魔物だよ、3人とも、お手並み拝見させてもらうね」


「「「は、はいっ!!」」」



 だがエビちゃんの話はそこで中断せざるを得なくなった。

 何せ今歩んでいる通路の3個先の交差路から魔物の集団がやって来たからだ。


 ただ、敵の編成はコラプションゴーレム3匹とゴブリン5匹とコボルトが1匹という、戦闘未経験の3人にはかなりキツい相手だった。



 だから減らす。



「まずは壊れかけのゴーレム、コラプションゴーレム3体を相手してみて、ほらあの背の高い武骨だけど壊れかけてるゴーレムね」


「ご、ゴーレムですか·····?」

「壊れかけなら·····」

「油断してはだめだ、万全の警戒をしよう、それに他の魔物も·····」


「それは心配無用だよ、マジックバレット」



 ッダァァアアンッ!!!



 私はまずは3人に壊れかけているせいで動きが単純かつぎこちなくて鈍い低スペックで知能も低いゴーレムを相手させることにした。


 そのためにまずは周囲に居た集団戦をしかけてきたり足が速かったりして厄介な雑魚、ゴブリンやコボルトをマジックバレットで瞬殺してゴーレムだけにしてしまった。

 そしてゴーレムは発砲音に気が付いたのか、だが一緒に居た仲間が死んだことに気が付かないで、仲間だったものを踏みつぶしながらこちらへ向かって来た。


 しかし、壊れかけとはいえゴーレムは非常に頑丈で、普通の剣くらいじゃ歯が立たないし魔法にも割と強いのでかなり厄介な相手だ。

 とはいえ倒す方法がわかれば弱い相手で、例えばゴーレムに存在するコアを一点突破で装甲を貫いて壊せば倒す事ができるし、爆破魔法で木っ端みじんにしたり、魔導回路を乱してやったり、パーツを分解してバラバラにすればゆっくり倒すことができるのだ。


 ついでに、コアを壊さなければ結構長い時間殴れる、それはつまり·····



「サンドバッグ3名様ごらいて~ん、んじゃ3人とも、早速お手並み拝見させてもらうよ?」


「い、いきなりですか!?こ、こわいです····· 無理ですよぉ·····」

「や、やるっきゃない!!ええと、魔法陣展開っ!!」

「ここでやらなきゃ僕たちの命が奪われる、やるしかない」



 初心者にはピッタリのサンドバッグという訳だ。


 さぁ、実戦訓練の始まりだ。



『ギギギギギ·····』


「大丈夫、私が手伝ってあげるから遠慮せずやっていいよ」


「う、ううううう····· どうにかなれぇぇぇえええ!聖なる光よ悪しき者を貫き弱者を癒せ『セイクリッド・レイ』!!」

「魔法陣構築、基礎魔法陣B、爆破魔法リトルエクスプロージョン記入、N1を頂点に星、三角部に魔術文字を記述!炎魔法印、風魔法印、光魔法印を刻印!これで行けるっしょ、発破ッ!」

「ゴーレムの弱点はあまりない、だが魔導回路を断ち切れば動きを止められるし隙間も多いから狙えるだろう、魔導言語構築『切断』『聖』『光』『硬質化』『刃』『操作』『遠距離』·····こんなものだろうか?放たれよ」



 キュインッ

 ドゴォォオオンッ!!

 カキャンッ



『ギ』

『====---=___∸--』

『ギギギ』



「き、きいてない!?」

「あっ吹っ飛んだ」

「·····僕の獲物がマルスの爆発に巻き込まれて吹き飛ばされたのだが?しかし関節の魔導回路は切れたようだ、地道にいこう」


「マルスちゃんの爆破魔法、結構な威力だなぁ·····」



 でも全員にまだまだな所があるから、早速補助してあげよう。


「さてと補助するね、まずフィグちゃんは狙いと魔法の選択が良くない、ゴーレムの装甲は魔法を弾きやすいし悪魔特効の聖属性魔法は効果が薄いよ、確かフィグちゃんは火魔法なら使えるよね?聖属性と聖属性に似てる暖かい魔力、それと火属性を混ぜ合わせてみて」


「で、でも、複合魔法はわたし苦手で·····」


「大丈夫、小麦粉と卵と牛乳を混ぜ合わせるイメージをして、キミの体の中のキッチンに、三つの食材がある、聖属性、暖かい聖属性、そして火属性、まずは相性のいい聖属性魔力を容器に入れて?」

「は、はいっ」


「いれたみたいだね、でもまだ調理は始めないよ、そこに暖かい聖属性を少々入れて、軽く粉が吹き飛ばないように混ぜ合わせる」

「わかりました·····」


「混ぜ合わさったら、火属性を聖属性の半分くらい加えて、ダマにならないようによーくかき混ぜて」

「むむむ·····」



 私は複合魔法、複数の属性を混ぜ合わせて放つ魔法が苦手なフィグちゃんに、料理に例えて丁寧に魔法の発動方法を教えた。

 ついでに自信が付くように少し補助してあげた結果、体内で魔力が混ざり合い、聖炎魔法が構築され始めた。


 流石は料理好きというだけあるねこの子、でもそれだけじゃなくて才能が無いとこの複合魔法はいきなりできない魔法だから、やっぱりすごいわ。

 それに、暖かい聖属性魔力、神属性魔力を少しだけでも操れるんだからかなりな才能と言っていいだろう。


「さてと、これで生地は完成した、次は無詠唱の練習だよ、心の中でどんどん料理を完成させるんだ、作る魔法はさっきのと同じ光線魔法だよ、まずは生地を型に流し込む、綺麗に、なるべく限界ギリギリまで入れるんだ」

「わ、わかりました····· こういう感じかな·····」


「よくできてる、じゃあそれをオーブンに入れるみたいに、魔法に変形していってみて」

「·····」


「そう、その調子·····」



 ちなみに現在ゴーレムは私が魔法で拘束して動きを止めているから魔法の作成にいくらでも時間を掛けられる。

 だから私はフィグちゃんに懇切丁寧に魔法の作り方を説明していた。



 その結果·····



「·····あれ、もしかして、できちゃいました?」

「んふふ、完成だよ、さぁ早速ゴーレムに撃ってみて、今は何も考えず当ててみるんだよ」


「わかりました!せーのっ!はっしゃ!」



 ギュォアッ!!

 ズドオオオオオオオンッ!!!



「·····へっ?」


「んーいい威力、魔力の質が良いからかな?」



 フィグちゃんは私があげた杖の先端から小規模ながらも加粒子砲の如き閃光を放つ熱線を放射し、それがゴーレムの胸の中心に直撃した。

 すると先程はビクともしなかったゴーレムの体が一瞬で蒸発し、余波で残った体を木っ端みじんに消し飛ばして、ダンジョンの壁を数枚ブチ破ってようやく止まった。


 そして魔法を放ったフィグちゃんも、爆風で髪がボッサボサになった状態で口をあんぐりと開けて完全に静止していた。



「おーい?·····まぁいいや、次はマルスちゃんね」


「おっ何教えてくれんの?もっと行為力にする方法とか?」


「んー、それもいいんだけど、マルスちゃんも最近見知らぬ聖属性魔力を感じてない?」

「えっ?確かになんか違うような気がする魔力は感じてるけど·····」


「それを元の魔力に均等に混ぜたら威力上がるよ、ただ書き込むのは無理だから発動の時にその魔力を流し込んであげればいけるはず」

「へぇ、やってみよ」



 という訳で次はマルスちゃんの指導なんだけど、どうせなら見様見真似で新しい魔法を自分で構築して作って欲しかったから、魔法だけ見せてあげて真似させようと思う。



「それよりさ、面白い魔法陣の使い方思いついたから見せてあげるね、真似してみると良いよ」


「えっマジ?どんな感じ?」


「んふふ·····」



 私は空中に直径15cmくらいの小型の魔法陣と、直径3cmのドーナツ状の不完全な魔法陣と1cmの小さな魔法陣を産み出した。



「すご、細かいし綺麗に組まれてる····· でもこれ、魔法の発動方法が記述されてなくね」


「これね、遠隔発破可能な設置式爆破魔法陣なんだよ」


「えっ何それ、めっちゃ面白そ!」


「まずはこうやって15cmの魔法陣を相手に投げて貼り付けて、B魔法陣とC魔法陣をこうして·····」



 私が今思いついた魔法陣は、3つの魔法陣を組み合わせて発動する起爆装置付きの魔法陣だ。


 本来爆破魔法は魔法陣とあまり相性が良くない。

 というのも、魔法陣の発動は術者が魔法陣に魔力を流して発動するんだけど、爆破魔法を魔法陣で発動すると術者が巻き込まれて自爆するのだ。


 だから普通なら魔法陣から火球という形で爆破魔法を放出し、着弾地点で炸裂させる仕組みが多いんだけど、これだと威力が落ちてしまうのだ。



 そこで私は、Aの15cm魔法陣に爆破魔法を仕込んで飛ばせたり設置できるようにして、発動条件を魔術的にリンクしたBの3cmのドーナツ魔法陣が起動した瞬間とする事で、遠隔起爆可能で最大効率で爆破を相手に当てる事ができる、C4爆弾のような爆破魔法陣を完成させたのだ。


 ただしBの魔法陣は中央部が欠損しており、通常では発動しない。


 このBの魔法陣を起動するにはCの1cmの魔法陣をその欠損部位に嵌めこむ必要があり、これがまるで起爆スイッチのようになるという仕組みなのだ。

 ちなみにCの魔法陣にはBを完成させるための回路の他に安全装置があり、魔力を流しながら嵌めこむことでBの魔法陣を起動し、そこからAの魔法陣へと魔力を転送して爆破魔法を発動させるという仕組みだ。



 そして起爆のやり方は吉良〇影の幽〇紋(スタ〇ド)、キラー〇イーンのバ〇ツァ・ダストを発動する時みたいに下にB魔法陣を、上にC魔法陣を浮かべて親指で押す事でC魔法陣をB魔法陣に嵌めこみ、爆破するという感じだ。

 ちなみにB魔法陣には『カチッ』という音を出す魔法を組み込んでるので·····



「もういいや説明するのもう限界だ、押すね!今だっ!」



\カチッ!/


 ドグォォォォオオオオオンッ!!!



「·····すっごい」


「んっふふ·····でしょ?」



 爆破を見た瞬間、爆弾魔マルスちゃんはあの魔法を絶対に覚えようと決心したのだった。





「待ちたまえ、僕を忘れてないかね?」


「いや忘れてないけど、ちょっと一旦◇挟みたかっただけだから」


「·····仕方ない、これも真理への探究の第一歩だから我慢しよう」



 んでお次は問題児シトラちゃんだ。


 彼女は第四の壁を多少であるが認識できるようになっており、他の子とは別方向に成長中だ。



「んー、ぶっちゃけ言うと、シトラちゃんは私が教えるより自力で学ぶ方が良いと思うね」


「同感だ、僕ぁ教えられるより自分で見つけたい派なんだ、だがヒントが要らないわけではない、教えていただけるならぜひ教えて頂きたいところだ」



 彼女は私の事を警戒するとともに信頼して素の口調、対外的には私で通している部分を棄てて僕という素の口調を見せてくれているし、私を年上で聖女という事を知っていてなおグイグイと質問してくるようになった。

 研究熱心なのか上下関係をあまり気にしないタイプなのかわからないけど、こういう子は嫌いじゃない。



「そうだなぁ····· マルスちゃんの時みたいに魔法を見せてあげるって言う感じでいい?」


「構わない、だがゆっくりやって欲しい、その方が解析しやすいんだ」


「おっけー、じゃあ····· 3人全員に特別に見せてあげるよ」



「今から見せるのは、魔法の極致にあり、絶淵に臥し、超越する魔法·····」




「█属性魔法『始源の光』」



 きゅらららららららららららっっっ·····



「·····なに、これ」

「きれい····· 歌みたいな音·····」

「これは、最近感じる、不明な魔力と似ている····· いや、わかる、これが、本物····· あの力はただの微粒子の如き断片だったのか、これは、なんなんだ、わからない、青白いのに、黒い·····いや、無い、色が無い····· 興味深いが、見ていられない、恐怖を抱いているのに安堵している·····」



「んふふ、本当は幻惑魔法かもよ?まぁこれは本物の神の力、世界を創造した瞬間をここに呼び出したモノなんだけどね」



 始源の槍はビッグバン開始の10 (-43)秒後、0.0000000000000000000000000000000000000000001秒後の宇宙をペンくらいのサイズで再現した光の点だ。


 直径0mmの空間に『創世魔法』で宇宙が誕生する程の物質を重ね合わせて創り出すことであらゆる物理法則が適用されない空間を創り、極限·····否、この世の限界まで温度を上げる魔法だ。


 そしてその温度は『プランク温度』と呼ばれ、約『1溝4168穣℃』という途方もない温度で、その点に触れた瞬間、万物は蒸発を超え消滅するだろう。



 もしこれを地上に呼びだせば、この周辺は·····いや、この宇宙は一瞬で想像を絶する温度になり、全てが消滅するだろう。



 ·····だが神属性魔力を込めたのなら、話は別だ。

 神属性魔力によって完璧な制御が成されたビッグバンの一点は一切の温度を漏らすことなく、歌のような美しい音色を放っていた。



「·····『光あれ』」



 ··········ッッッッッッ!!!



 そしてその光点がゴーレムに直撃すると、この世の始まり、そして終わりの焔がゴーレムへと襲い掛かり、瞬時に消滅させてしまった。


 ·····しかし世界を光より早く消し飛ばす大いなる爆発(ビッグバン)は、たった数mの範囲に押し留められ、むしろ収縮し再び1つの光の点へと戻った。



「どうかな?シトラちゃん、君が探求しようとしていた力の一端を見た感想は」


「·····僕は、手を出してはいけない深淵に手を出しているそういう認識で正しいのだろうか」


「どうだろうね?んふふ····· 答えを見つけてみるといいよ」



 ガオンッ!!


 そしてプランク温度の光点を私は素手で握りつぶして消滅させた。




 その後、3人はしばらく休憩を挟んで体力を回復して思考を整理して、またダンジョンの奥へと出発したのだった。



名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「あっちぃ!!!いててて·····消すときちょっとヤケドしたわ·····」



名前:フィグ

ひと言コメント

「ソフィさま、すごい·····」


名前:マルス

ひと言コメント

「むむむ····· 簡単そうだけど意外と難しい····· ん?でもここをこうすれば、いい感じに····· あっやべ!\ぼんっ☆/」


名前:シトラ

ひと言コメント

「これは、桁違いすぎる····· 何なのだろうか、この人は····· いや、そもそも人かもわからない、どうなっているんだ·····」


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