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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第六章 TS賢者は母になるっ!
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飴と鞭と無知と



 見習い聖女3人組に、特にフィグちゃんにたっぷり説教と言う名の鞭を与えた私は、3人に飛び切り甘い飴を与える事にした。



「まずは何にしよっかなぁ····· よし!」


\ビクッ!/


「あーそんなにビビんなくていいよ?とりあえずフィグちゃん、お菓子作るの教えてあげるよ、王都でも売ってないような超最新鋭の魔導キッチン、使ってみたくない?」


「い、いいんですか·····?」


「いいよ、ストレスが溜まった後はたっぷりと解消しないとねっ!さっこっちこっち、他2人は来る?」


「どうしようかなぁ、私は食べる専門だし·····」

「僕ぁこのソファの座り心地についてもう少し熟考させてほしい、とてもじゃないけど一生座れないようなソファだからぜひとも堪能させてほしい」



 アメはもちろんフィグちゃんが大好きなお菓子作りだけど、どうやら残りの2人は興味が無いみたいでソファでダラダラしていたいようだ。


 まぁそりゃウチはこの世界基準だとあり得ないレベルの内装が施された豪邸だし、家具も日本で買ってきたり神界から取り寄せたすんごいモノばかりだから居心地が良くて当然だ。



「んじゃそこで待ってる?」


「そーさせてもらうわ」

「じゃあそうさせてもらおう、ありがたい限りだ」


「わかった、フィグちゃん料理場はそこに····· この光のラインを辿ればあるから先行ってて」


「わかりました、ソフィさま」



 とりあえずフィグちゃんを先に行かせて、私はちょいと先に2人にアメをあげることにした。



「·····さてと、あぁ別に怒ってないから気にしないで、お菓子作りは時間がかかるからその間の暇つぶしにいい物を用意したから使ってていいよ」


「なんですか?気になります!」

「ぼかぁ漫画だと嬉しいね、それか珍しい書物でも構わない」


「んふふ、きっと気に入る本だと思うよ」



 そういうと、私はインベントリからこの前やっと完成した、見習い聖女ちゃん達用の魔法具を取り出して机の上に置いた。



「こ、これは····· 見たことのない、魔導書のようで魔導書じゃないぞ、·····なんだこれ」

「指輪·····?」


「んふふ、私からの贈り物だよ、そんじょそこらの魔法具なんかより圧倒的に性能は良いし、忘れたり盗まれても自分の手元に帰ってくる機能があるし、色々扱いやすいようにしてあるから是非検証してみてね」


「「ありがとうございます!ソフィ様っ!」」


「どういたしまして、あぁ、あとついでにこのネックレスも渡しておくよ、色々効果はあるけど基本的に身に着けとけばオッケーだからアクセサリーとして着けとくと良いよ、説明書はそこに置いといたから読んどいてね」



 そして渡すものを渡した私は、1人仲間外れにしていたフィグちゃんの元へと向かったのだった。





 キッチンに到着すると、既にフィグちゃんが私のエプロンを勝手に身に着けて冷蔵庫を漁っていた。



「·····何してるの?」


「きゃんっ!え、えっと、見たこともない魔道具だったので、つい·····」


「·····それは冷蔵庫、魔導式の小型氷室みたいなモノだよ、鮮度が落ちやすい物とか溶けやすい物はそこに入れてある、それと小麦とか砂糖とかはそっち、料理道具はここに入ってて包丁はそこのスタンドに刺してある、んでこれがコンロで下のがオーブンと魚焼きグリル、後ろのアレが電子レンジでコレがシンクで蛇口を捻れば水が出てくる·····って感じだよ」


「せ、説明ありがとうございますっ!見たことない物がたくさんでビックリしちゃって見てました、えへへ·····」



 まぁウチのキッチンはマグウェル街、フシ町、ディメンションルームの3か所全てで私が作った魔導キッチン用品や日本で買って来た道具などが揃っていて、明らかにオーバーテクノロジーな状態になってるから困惑するのも仕方ない。



「さてと、まずは何作るかなぁ····· 寒いからアイスは嫌だし····· よしパンケーキでも作るか!」


「パンケーキ!!」


「んふふ·····それも物凄くフワフワなパンケーキを作るよ?んじゃ早速だけど冷蔵庫から卵5個と牛乳と生クリームを取り出して?それと好きなフルーツも取り出していいよ」


「はいっ!」



 って事で私たちはそのキッチンでふわふわスフレパンケーキを作ることにして、フィグちゃんに食材探しの助手をさせてる間に私は料理道具をあちこちから取り出し始めた。



「ボウルに泡だて器、ヒヒイロガネフライパンに鍋蓋、あとはお皿とまな板とその他色々~」


\ぺこべこべごぺこっ/

「ソフィさまぁ!たまご、とれないですっ!なんか透明な変なのに包まれてますっ!!それに牛乳と生クリームってどれですかぁ!!」


「はいよー、·····あぁ卵のパックか、これはこうすれば開くよ、んで牛乳と生クリームがコレね」


「そうなんですか!?瓶じゃないんだ····· それに見たことない文字が書いてますよ?」


「んふふ·····」



 だがどうやらフィグちゃんは冷蔵庫の中の材料がどれかわからなかったようだ。

 それもそのはず、この冷蔵庫の中身は日本の食材が置かれているから生粋のサークレット人にはわからなくて当然なのだ。



「んじゃフルーツ選んでいいよ、それとも私が選ぼうか?」


「あっ、おねがいしますっ!」


「はーい」



 そして、食材ついでに私は仕込んでおいたフルーツを冷蔵庫から取り出した。


 イチゴやブルーベリーやバナナなどの定番食材が大半を占めているが、その中には『魔力の実』もしっかりと混ざっていた·····





 食材や料理道具の準備が終わったので、私たちは早速料理を始めていた。



「そんじゃまずは卵黄と卵白を分けるよ、卵黄はこっちで卵白はこっちね」

「らんおう?」


「·····黄身と白身ね」


「なるほどぉ!じゃあ半分やります!」

「おっけー」



 ふわふわパンケーキの第一工程は卵を割って黄身と白身に分けることから始まる。


 コンコンッ

 パキャッ


「おわっとと、よいしょ、できた!白いのはどうします?」


「からざは黄身に付いたままでいいよ、よし私もやろうかな」



 フィグちゃんが卵を割ったのを見届けて、私は卵を3つ掴むと上へと放り投げた。


 ぽいっ


「えっ、ソフィさま何してるんですか!?」


「よっと」


 しゅららっ·····


 ピスッ!!


 パキャンッ


\ポチャンッ/



「·····えっ?」


「どうしたの?あと1個だけど」



 私は目にもとまらぬ速さで包丁立てに収納されていた星核合金製の薄刃の三徳包丁を抜き出すと空中で卵の殻のみを切り裂き、魔法で中身と殻を分別して更に包丁で卵白のみを切断、魔法で卵黄と卵白を掴んで分離し、それぞれ別のボウルに入れた。


 この間わずか数秒である。


 卵を割る時間よりもフィグちゃんがこの光景を見て固まっている時間の方が長いくらいだ。



「まぁいいや、えーっと、次は····· 白身を冷やして砂糖50gを加えてメレンゲにするのかぁ、ほらフィグちゃん最後の1個早く」


「えっ、あっ!はいっ!」


 グシャッ


「あっ·····」


 そしてフィグちゃんは焦ってしまい、力加減を間違えて卵を潰してしまった。



「焦らなくてもいいよ?『抽出』『分離』」


「す、すごい····· 魔法のパティシエさまだ·····」



 だがそこは魔法で何とでもなるので殻と白身と黄身に分離して、早速私はメレンゲ作りを始めた。



「『冷却』で温度を下げて砂糖を三回に分けていれるからまず16g入れて····· よし本気出すか」


「メレンゲって作るの大変ですもんね·····」


「だよねー·····」



 ウチにハンドミキサーがあれば楽に済むんだけど、生憎そんなものはウチには無い。


 ·····だって、要らないから。



「よいしょっ」


 ズギャァァァアアアアアッッ!


「はい完成っと、ふぅ····· 疲れた」


「えっ?も、もうできたんですか·····?」


「できたけど?」


「ま、まほうですか?」


「マジックじゃなくてマッスル」



 私の身体能力だったらハンドミキサーを使うより早く、よりきめ細かい綺麗なメレンゲをつくる事ができるのだ。


 自分でもビックリするけど本当にバケモンみたいだよね。



「さてとボヘっとしてないで次やるよ、卵黄に牛乳と強力粉を振るって入れてベーキングパウダーを5g入れてダマにならないようにかき混ぜて、あとちょっと先にメレンゲ入れとくね」


「あっ、はいっ!任せてください!わたしだって料理は得意なんですから!」


「頑張ってね、それじゃ私は生クリーム作ってるから」



 ギュルァァァァァアアアアアアアアアアッ!!



「できた、冷蔵庫入れておこっと」


「早い·····」





 その後はフィグちゃんのお手並み拝見という事で私は特に手を貸したりせずに、彼女の実力を眺めていた。

 んで見た感じだけど、普通に上手だった。

 下手したらアキさんが育成しているシルキー達に匹敵するレベルの料理の腕前で、私もちょっと驚いているほどだ。


 ·····そういえば前に貰ったお菓子も、量に目を瞑れば味はかなり美味しかったからこれくらいの腕前があって当然だろう。



 ちなみに鑑定したら料理関係のスキルが結構沢山あって、ぶっちゃけ絶対この子聖女よりパティシエになるべきだったと言わざるを得ないレベルだった。

 ·····まぁ聖女関係の能力は一応クソ高くて、聖女でも十分やっていけるだけの才能はあったけど。



「混ぜ終えました!生地をメレンゲに混ぜちゃうんですね、こんなの考えたこともなかったです!」


「んふふ、次は焼きの工程だよ?ヒヒイロカネ、着火」



 って見ていたらどうやら生地とメレンゲを合わせる作業が終わったようなので、無駄な思考をいったんやめて焼き始める事にした。


 今回使うのはヒヒイロカネフライパンだ。


 今でも原因不明の自然発熱現象を起こす危険なフライパンだけど、その性能はフライパンにするには最高の代物だ。

 何せ魔力を流した途端、フライパンが瞬間的に温まるし魔力の量によって温度を調整できるのだから便利過ぎる性能を持っているのだから使わない手はない。

 それに熱伝導率もかなり良いから使いやすいし、何より鉄板自体が発熱する影響で冷たい物を乗せても冷める事なく一気に加熱できるのが便利だ。



「油を塗って、こんもりと山になるように生地を乗っけて~、魔法で熱湯大さじ1杯弱くらい入れて蒸し焼き開始っ!」


「蒸すんですか?」


「そうそう、中まで火を通してなおかつフワフワにするにはこれが丁度いいからね、ついでに時短でこの中に火属性の魔力を充満させてあげて熱を通りやすくすれば·····」



 数分後、しっかりと中まで火が通って更に焼き色もついてきたことを確認した私は、さっとフライ返しでパンケーキをひっくり返し、反対側に焼き色を付けるためヒヒイロカネフライパンの温度を一気に上げて中に火が通り過ぎないようにしながらもう片面に焼き色を付けた。


 焼き色が付いたらパンケーキは完成····· だがっ!!



「完成っ!フワフワパンケーキっ!·····って言いたいところだけど」


「わーっ!って、まだ何かあるんですか?」


「お菓子はただ作るだけじゃなくて見た目も大事だよ、えーっと粉砂糖はここだっけ····· フィグちゃんはフルーツのカットをお願いできる?」


「はいっ!まかせてください!ここにあるフルーツは全部使っていいんですか?」


「もちろん良いよ」



 パンケーキの醍醐味はその見た目の可愛さにある。

 焼きあがっただけのパンケーキはまだホットケーキだ、そこにフルーツや粉砂糖やホイップクリームで飾り付けをしてあげてやっとホットケーキからパンケーキに進化するのだっ!!



「ええと、ナイフはお借りしてもいいですか·····? わたしが使ってるナイフ、部屋においてきちゃったんです·····」


「あっ、だったら丁度いいのがあるよ、フィグちゃん用に私が作ってあげた短刃杖『聖杖セフィラ・ケセド』っていう杖なんだけど、今使ってる杖みたいにナイフとしても使えるから早速使って試してみてくれないかな?」


「えっ、す、すごい····· きれい·····」



 そして、ついに私はフィグちゃんに計画の要の一つである神杖を渡すことに成功した。


 最初は遠慮がちに受け取ったフィグちゃんだったけど、今ではその効果に警戒もせずキャッキャと喜んでフルーツを切りまくっている。



「·····んふふ」


「どうしたんですか?」


「何でもないよ、さて盛り付けをしよっか、そうだフィグちゃんは手伝ってくれたしそのナイフはプレゼントするよ、ついでにご褒美で私が育ててる幻の木の実もフィグちゃんにあげちゃうね、·····ミンナニハナイショダヨ?」


「はいっ!ありがとうございます、ソフィさまっ!」



 こうして、私の聖女育成計画がついに本格的に動き始めたのだった。




名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「他2人への魔力の実の投与はフィグちゃんで様子を見てからかな····· 仲間はずれとか依怙贔屓は私は嫌だからね、みんな仲良く聖女にしてあげるよ、んっふっふ·····」


名前:フィグ

ひと言コメント

「このナイフ部分、物凄く良く切れる!なのに他の物は切れないし、魔法がつかいやすい!なにこれすごぉい!!あとなんか、ソフィさまのお菓子を食べてからすっごく体調も良くなった気がする!」


名前:マルス

ひと言コメント

「えっ何コレ凄っ····· 魔法陣が呼び出しやすいし描くのも簡単になってる上になんかオシャレだし····· 今までよりもっとたくさん魔法が使えるんじゃね」


名前:シトラ

ひと言コメント

「見れば見るほど物凄い魔導書だ、あらゆる魔導言語が既にテンプレートとして記されている、更に魔法を思い浮かべると勝手に魔導言語が浮かんでくる····· しかも紙の本と違い書き換え自由ときたものだ、それに魔法の発動効率も構築も今までの比にならないね、特に単語検索機能とテンプレートの保存機能は凄まじく便利だ、しかも1枚の見開きでできると言うことは態々ページを捲って探す必要もないが故、今までより早い魔法構築も可能だ、更に辞書機能や書籍登録機能やメモ帳機能、果ては暇つぶしまで出来るとは····· ふむ、価格にして数億円はくだらないんじゃないかな? ·····ただ、僕の鑑定では表面しか見れていない、この魔導書にはまだ奥がある、僕でさえまだ見えない、深淵のような深い深い何かが隠されている····· 僕にたどり着けない真実か、それとも深淵か、それとも神か····· これはソフィ様からの挑戦と受け取っていいだろうか、この謎は本気で解明してみせる、元々ソフィ様は僕たちでは認知できない別の存在ではないだと僕ぁ疑ってるんだ、魔力眼で見たけどソフィ様は一見普通だ、でもその奥に何か見えないが何かが見えている、何かはわからないけど、まるでこの星そのもの····· いや、それよりもっと大きい、人間の言葉では表せない何かが居るような、僕たちが触れてはいけない何かが見えている気がするんだ、僕ぁ聖女なんてやってるけど産まれてこのかた神様という物を見たことはない、·····ないが、もしかしたらソフィ様が言っていた神様というのは本当かもしれない、確証はない、全部僕の推測だけどね」








 ·····シトラちゃんだっけ?この子ヤバいね、アカシックレコードの一端に触れられるようにする機能を付けたとはいえ、即座にそのレベルまで考察だけで特定するなんて想定外だよ。

 下手したらフィグちゃんに匹敵する才能があるねこの子。


 生まれ持った才能

 天から授かった運

 己で得たその叡智


 3人は自身が持つチカラをどう生かすかな?



 そして、神の座に至る事はできるかな?



 楽しみだねぇ·····

 んふふふふ·····



 神はキミたちの事を待ってるよ。


 そして·····




 隣で見ているよ。


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