悪巧みは実行へっ!
数日後·····
「さてと、ちゃちゃっと色々作っちゃうかな」
「何作るの?というか僕の作業邪魔しないでね?」
「わかってるわかってる、邪魔しないよ」
私はディメンションルームの共同作業場に来て、フィグちゃん達を超絶強化する計画に必要な武器を作ろうとしていた。
ちなみにフィーロ君は実家の魔道具屋に持ち込まれた超有名メーカーの魔道具の修理依頼が入ったみたいで、こっちの設備じゃないと修理できないくらい精巧な魔道具だったから持ち込んで修理してるらしい。
ちょっと見させてもらったけど結構ヤバい回路してたから邪魔は絶対しないようにしよう。
弁償額もとんでもない事になりそうだし。
「よしやるか、まずは材料····· 何使おうかな·····」
話を戻して、まず私が作ろうとしている物は数種類ある。
一つ目はフィグちゃんが使っている杖で、ちょっと特殊な形状をしていたから踏襲しようと思う。
それが刃杖という杖で、見た目は刃が付いている片手杖だ。
ちょっと見せてもらったけど、普段はナイフ部分を鞘に納めて魔法を使ってて、戦う時はナイフを出して使う感じで、鞘から出すと刃部分に刻まれた魔導回路が覚醒して効果が一気に向上するし切断もできる結構いい性能をしていた。
まぁ使う人の技量がアレなせいで、フルーツをカットするくらいにしか使ってないみたいだけど。
ちなみに刃は魔結晶製で刃渡り15cmくらいで青水色をしていて表面や内部に魔導回路が刻み込まれた結構カッコよさげな感じで、柄の部分は多分聖地産の世界樹の枝を使ってて魔力伝導効率や増幅率もかなり良く、装飾にはオリハルコン含有率60%の魔導エレクトラム合金を使用しており、金の含有量が多いからなのか若干青緑色になっている私が使っている白オリハルコンとは違うモノを使っていた。
ちなみにオリハルコンはエレクトラム合金というだけあって大まかに2種類あって、金の含有量が多く魔力伝導率が高い『緑オリハルコン』と増幅率や魔法反射率が高く魔力伝導率も平均してよい『白オリハルコン』がある。
ちなみに魔力を持つ金は魔力の伝導率が良く魔力を劣化させず運搬でき、銀は対照的に魔法を反射したり増幅する効果が高いのが特徴だ。
「っと危ない危ない····· とりあえず形状は似た形にして、装飾は白オリハルコンとミスリル、それに私の藍色魔結晶を施して、刃部分は星核合金含有水色魔結晶、杖本体は庭の世界樹ユグドラシルで構築····· こんなもんかな」
フィグちゃんの杖の形状はハリー〇ッターで出てくるような短杖と片刃のフィレナイフを混ぜたような感じだから軽くて非常に使いやすいのが特徴だ。
元の形状が良いし彼女も使い慣れてるようなのでなるべく変えないように、でも私なりの意匠を加えて更に神器レベルの性能を持たせるのが目標だ。
「·····ソフィちゃん、藍色使って大丈夫なの?」
「だいじょーぶ、神属性魔力に適性があるみたいだし今回はそれを成長させるのが目的だから、うまいこと使えるようにチューニングするし」
·····で、この杖の本体は、杖と刃部分の境目付近に嵌めこむ予定の私の藍色の魔結晶『叡智の結晶』だ。
これは私の神属性魔力を固めた結晶で、超硬度を誇り無限の魔力を産み出せる賢者の石の子機みたいな性能のモノだ。
でも神属性魔力というだけあって一般人には使えないんだけど、あの子たちなら多分少しは使えるし、意匠で散りばめる普通の私の魔結晶を使って操れるように補助もするから大丈夫だろう。
だが神の力に触れるには代償がある。
この杖を使っていると使用者、特にフィグちゃんに神属性魔力が若干逆流し、使えば使うほど神属性魔力が蓄積されて勝手に強化されて行く恐ろしい性能を持たせようとしているのだ。
「んふふふふ·····」
「悪い笑い方してるなぁ····· もう一度祝福して貰って浄化しとく?」
「ヤダ」
なんかフィーロ君に酷い事を言われた気がするけど、実際悪だくみしてるから仕方ないと私は言い返すのを諦めて、早速脳内に描いた設計図を元に加工を始めたのだった。
◇
「だぁぁぁあああああっ!!!つっかれたぁぁぁああああっ!!いったん休憩っ!無理!!」
2時間後、私は集中の限界になって作業を投げ出した。
杖の作成は見た目は70%くらいまで行ったんだけど、回路を刻み込むのが死ぬほど大変だったのだ。
まず叡智の結晶を3次元世界の人間にも使えるようにするのがクソ大変で、まるで第一使〇アダムを〇ヴァンゲリオンに加工するかの如きむずかしさで途中で投げ出したのだ。
何せ叡智の結晶は人外未知の未解明な構造、四次元超立体構造をした魔力の塊だから、そんなものを3次元で3次元の生命体が使えるようにするのは死ぬほど大変なのだ。
この叡智の結晶を使えるようにするために、世界樹ユグドラシルの最上級の枝を使って更に内部に魔導回路用に絶対に壊れないようソフィニウムを1.5%混ぜた星核合金985という合金の棒を組み込み、その表面と内部にびっちりと書き込んでいて、更に魔導的に色々な接続とか結晶刃部分にも魔法陣を刻み込んだり色々やってたらマジで限界が来たのだ。
「いったん休憩しよ····· 他の子の魔導具も作らなくちゃだし·····」
「休んだら?」
「そうする····· 休みながら設計するわー」
って事で、ちょっと休憩しながら他2人の魔法発動用の道具を作ってあげる事にした。
フィグちゃん以外の2人の魔法の発動方法だけど、実は結構特殊だ。
まずシトラちゃんは魔導書を使っていて、それを使って魔法を発動している。
魔導書を使う魔法の発動は、魔導書に描かれた魔法のインクで書かれた魔導言語の単語を探して選択して繋ぎ合わせて発動する、辞書引き魔法プログラムのような方式で、実は私の魔法発動方式と結構似ている。
例えば
火、水、風、土、光、闇、無
玉、矢、渦、光線、爆発、付与
発射、貫通、壁、防御、強化
敵、味方、自分、複数、単数
っていう感じで魔導書に描かれてたら、ファイアーアローを撃ちだすには『火』『矢』『発射』『敵』といった感じで単語を選びそれに魔力を流して、それらを魔力の線で結合して一つの『火 矢 発射 敵』というプログラムを作成し、全てにもう一度魔力を流して発動の詠唱を唱える事で魔法が発動する仕組みだ。
コレの楽な所は割と魔法を自由に組み替えられたり、魔導書の質によるけど炎と氷を組み合わせてメド〇ーアを作って撃ったりすることができる所だ。
更に自分で予め完成した魔道プログラムを記述しておけば魔法を一瞬で発動できたりする結構便利な機能がある。
弱点としては組み合わせを覚えないといけないところ、魔導書が無いと魔法が使えない事、いちいち色々組み合わせないといけなかったり、魔導書自体が結構高いし扱いにくい、そして汚れると使いにくくなるという点だ。
だから固定砲台をする人や、職業柄何度も同じ魔法をすぐに発動できなきゃいけない人には良く使われて、とっさの判断で魔法を使わなきゃいけない人には向いてない方式だ。
使用者は主に教会勤めで祝福魔法や浄化魔法を使う人、治療所で検査用の魔法や軽い怪我の治癒を行う医者や、建築や工事で地盤などの調査を複数回行う人が使っている印象が多い。
そんでお次がマルスちゃんが使っている魔法陣式の魔法発動方式だ。
魔法陣式はまず見た目がカッコイイ。
空中に魔法陣を召喚して、それに魔力を流して魔法を発動する仕組みなんだけど、多重魔法陣を起動したりするとめっちゃカッコイイのだ。
だから私も時々使ってたりする。
そんで特徴としては、魔導書式よりも更に連続での発動に向いている設置にも対応した、魔法プログラムの回路を即興で作って魔法を発射する方式となっている。
利点は例えばドアノブに魔法陣を刻み込めば鍵にもできるし、設置型のトラップにできたり、複雑な魔法を発動する時にも使える万能型だ。
ついでに魔法陣式には二種類あって、空中に魔力で光の線を描いて魔法陣を構築して魔法を放つ物と、金属などで魔法陣を作成して魔法を放つものがある。
前者は戦闘中に用いられることが多く、後者は生活用品や何度も使う道具なんかに使われることが多い。
マルスちゃんが使っている前者の弱点は魔法陣を一度は書かないと召喚出来ない事で、複雑な魔法になると何重にも魔法陣を重ねてようやく一つの魔法が撃てるという下準備がクソめんどくさい魔法だ。
その代わりに一度召喚してしまえば魔導書よりも効率的に同じ魔法を何度も撃てるという利点もある。
ただし他の魔法を使うには別の魔法陣を召喚する必要があって、その切り替えが大変なのでやっぱり固定砲台に向いてる魔法発動方式だ。
ちなみに魔法陣といっても円形だけじゃなくて◇や▽、六芒星もあるし、魔道具なんかは魔法陣や魔導言語を魔石に刻み込んだりして作るし、魔導回路も一種の魔法陣なので知らないところで結構使われている魔法発動方式だ。
「うーん····· 魔導書とか魔法陣発動補助の魔道具作るの大変なんだよなぁ·····」
·····で、2つとも共通の欠点がある。
それが媒体の作成の困難さなのだ。
魔導書は本を作らなきゃだし、魔法陣は本人のアカシックレコード(記録庫)にデータとテンプレートが保存されるからあんまり干渉できないしで、結構大変なのよね·····
杖だったら本人が発動した魔法を杖で増幅したり整流したりしてより高効率で発動するだけだからシンプルで使いやすいんだけどねぇ·····
「·····まぁいいや、なんとかしよ」
「雑だなぁ·····」
「魔導書はアレ使うかぁ、漫画作ってる製本機でチャチャッと魔導紙で製本しちゃって装丁で発動補助したりするようにすれば何とかなるかな····· 魔法陣は発動補助用の指輪作ればいいかな、あの子アクセサリー好きそうだったし、ついでにより効率的にテンプレートを呼びだせて書き込むときに補助する仕組みも加えれば····· これならちゃっちゃと終わるかな、よしやっちゃうか!」
·····なんて言ってるけど、本来魔導書は1冊作るのに最低でも半年は掛かる高級品なのでちゃちゃっとなんてあり得ないけど、ウチには製本機があるからマジで一瞬で作成できてしまう。
それに魔法陣用グローブも結構簡単にできそうだから、杖の作成の休憩には丁度いい。
って事で私はのんびりと2人用の道具の作成を始めたのだった。
◇
そして、作ろうと思っていたものが全て完成したのは5日後だった。
フィグちゃん用の杖の作成に3日も掛かったわコンチクショウ。
んで他にも魔導書と魔法陣操作補助グローブの作成と調整に1日かかって、オマケで3人用に作った色んな機能を盛りだくさんにしたネックレスも作成に半日、テストに6時間くらいかかってクソ大変だった。
でも、満足できる物ができたから良しとしよう。
「んっふっふ····· これはヤバいぞぉ·····」
全部紹介するとキリがないから、フィグちゃんの杖のスペックだけ紹介しようと思う。
フィグちゃん用の杖の名前は『聖杖セフィラ・ケセド』
スペックとしては神聖属性魔法に特化しており、刃は星核合金含有ソフィ製魔結晶で構成された刃渡り15cmの結晶刃で魔法発動の媒体となる。
柄の部分は杖のような形状となっており、材質は世界樹ユグドラシル製、そして普通のフィレナイフよりも若干長く様々な金属製の装飾が施された美しい形状だ。
その柄と刃の付け根には『叡智の結晶』が埋まっており、鞘に納めていると鞘側に付いているイチジクの葉の意匠によって隠され、鞘から抜き放つと結晶刃と共に藍色の美しい宝石が現れるという仕組みになっている。
切れ味に関しては鋼鉄程度であれば軽々切り裂く事ができ、星核合金を含有させたことで斬撃を飛ばす事は出来ないが切りたいモノだけを切断できる能力を獲得し、コランダム級に頑丈な結晶になり、叡智の結晶に組み込んだ魔導回路により破損しても魔力で直せるようにしてある。
魔法の発動に関しては想定の120%の出来栄えで、威力を数倍に増幅させ更に発動補助や補正なんかもしてくれるかなり優秀な杖となった。
そんで当初の目的であった、神属性魔力の逆流もうまく調整してできるようにしてあって、普段から身に着けていると少しずつ神属性魔力を持ち主に流し込んで慣らしていって、極限状態に陥ると権限が解放されて神属性魔力が一気に流れ込んで瞬間的に疑似的な神化を行って強化するシステムなんかを組み込んである。
ついでに無くしたりしても自動で帰ってくるようにしてあるし、他の不埒な輩が持つと天罰が下るような仕掛けも組み込んである。
ちなみに持ち方は包丁のような持ち方で、今使っている杖も料理にも使ってたらしいから、装飾はあるけどちゃんと料理にも使えて、色々意匠を組み込んで洗いにくくなってたから洗浄・浄化魔法も組み込んである匠の心遣いが施された美しい刃杖だ。
·····今使ってる杖も大概ヤバいんだけどねアレ、聖地で作られた聖なる杖だしアレ、市場に出回らない聖遺物級の道具だよアレ?
アレを料理に使うとか普通畏れ多くてできんわ、フィグちゃんの精神の図太さは下手したら私に匹敵すると思う。
そして、少なくとも1本10億円は下らないとんでもない代物になってしまった。
·····フィグちゃんに持たせるのが若干心配だけど、まぁ、大丈夫だと信じよう。
で、お次はマルスちゃんの魔法陣発動用補助効果のある指輪『セフィラ・ネツァク』なんだけど、これまたかなり凝ってる。
見た目は指10本に嵌めるセットのリングで、手首につける腕輪と紐で繋がってる。
んで起動すると空中に自在に図形を描けるようになったりイメージした魔法陣を投影できる仕組みなんだけど·····
·····早い話、ドクタースト〇ンジの魔法陣みたいなっていうかあれを丸パクリした。
いやまぁ、あそこまで物凄い魔法が使えるような代物じゃないけど、パクリと言っても偽物では無い。
本当に使えて効率もかなり良く、一応組み込んでおいた『叡智の結晶』による神属性強化も謀ってる逸品だ。
しかもホログラム式でウィンドウを出して操作すれば10個までテンプレートで魔法陣を出せる機能もある、便利すぎる魔道具だ。
ちなみに喜ぶかなって思って細かい作業がしやすくなるような工夫も色々凝らしてる。
最後はシトラちゃん用の魔導書『セフィラ・ダアト』で、こちらもまた中々すごい逸品に仕上がった。
この魔導書のページ数はなんとたったの2ページしかない。
しかしそこに無限大の魔導言語が記され、自由に書かれている内容や位置を書き換える事が可能で、ページを跨いでの魔法構築が不要になる超スグレモノだ。
··········と、言ったけど実はその正体は『マギ・スマートタブレット』だ。
要するにマギスマホのデカいやつを2つ貼り合わせて作った電子魔導書なのよね。
でもかなり画期的な事に間違いはなくて、魔導書式の最大の難点である魔導言語を探す手間を省ける事と、見開き1面だけであらゆる魔法を構築できる超便利機能がある。
それとページ数は2と言ったけど、不自然にならないように厚み確保のために紙のページも数十ページ用意してあってフリーで書き込めるようにもなってる。
更にはパスワード付きのロック機能と、メモ帳機能と電子書籍機能と辞書の機能もあって、買った本をスキャンすれば自由に読めるようになる。
·····ちなみに買ってない本とか借りた本をスキャンすると物凄いアラームが鳴って暫くロックされる機能付きだ。
ちなみにこれを校長先生に見せたら真剣に魔法学校への導入を検討してた、·····めんどくさいから絶対量産したくないけど。
ただ問題はそこそこ重くなっちゃったから、筋力の無さそうなシトラちゃんから重いと文句を言われる可能性がある所かな。
まぁもし文句言われたら重り足してウェイトトレーニングさせるだけだけどね。
「さてと、あとはタイミングを見計らって渡すだけだから考えないと····· んふふ·····」
だが武器の完成は終わりではない。
私の悪巧みの、教会への嫌がらせの序章に過ぎないのだ。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「はぁ疲れた、でも武器作成ってマジで楽しいわぁ····· ずっとやってたいけど他にやる事が沢山あり過ぎて時間が本当に足りないわぁ·····」
名前:フィーロ
ひと言コメント
「·····ずっと隣で悪い笑い声を出しながら作業されててすっごい邪魔だったんだけど、危うく壊しかけちゃったし、あとでお仕置きしなきゃかな」




