フシ町の案内人
「ま、町だーーっ!!!」
「ここに来る途中も何個か町寄ったでしょ?」
「普通の町に見えるけど、ちゃんと考えられて作られてる、それに人々の顔も幸せそうに見えるし、服もちゃんといい服を着た人ばかりで痩せすぎてる人も居ない、ふむ、たぶんすごくいい街に派遣されたようだ」
「んふふ、私の町を褒めてくれてありがとね?」
私は聖女見習い3人組を連れて大通りに出てくると、早速3人は目をキラキラさせてフシ町を見て、若干一名ツッコミを入れてるような気はするけど思い思いの感想を述べた。
どうやら好印象だったみたいで、一応町を維持・管理している立場の者としては凄く嬉しい。
「でも王都の方が大きかった·····」
「当たり前でしょ?王都と違ってここは山の奥だよ?」
「確かに、山の奥にここまで大きな町を作るのは凄く大変だったはず、それに作るのだけじゃなく管理するのも凄く大変なはずだ、ソフィ様、実際のとこはどうなのか教えてくれないか?」
「シトラちゃん大当り、特に魔物とかの被害が大きくて大変だよ、ただそれに対抗するために有力な冒険者とか元王宮騎士団の人たちとかが所属する結構な規模の警備隊があったりしてるね、だから意外と安全だよ?」
「ふむ、やはりそうか····· 僕の予測に間違いは無いな、やはり僕ぁ天才だ」
「「へー」」
ほか2人はあんまり興味無さそうだなぁ·····
興味ないって言うか町の方に興味が行っててそれどころじゃない感じかな?
確かにフシ町は王都とかの主要都市に比べると規模は小さいしある程度発展した田舎町って感じだから地味かもしれないけど、お店も何もない山奥に6年間ずっと居た彼女達にとってはテーマパークに来たかの如き新鮮さとワクワク感を感じているだろう。
さてと、んじゃ早速·····
「·····うん、負の魔力も感じな····· なに、これ、うぐぅ····· 神聖·····ちがう、もっと、凄い何かが、沢山·····」
「フィグどうしたの!?」
「馬車酔いの影響かな?僕の知識によれば、とりあえずベロを引っ張っておしりにネギを挟めば治るぞ」
「シトラちゃんは変な民間療法教えないで?」
「ま、まりょくが、変····· 太陽見た時みたいな·····」
「·····うん?あっそれ私の魔力じゃない?ほら私の魔力」
「·····しまって、ください、強すぎます」
ほー?
私の神属性魔力を検知したのかこの子、なかなかやるじゃん·····
まぁそりゃ太陽の如き魔力源が真後ろに居る状態で空間中の魔力解析なんてやったら気持ち悪くなって当然よね。
「ちなみにそういう感じで気持ち悪くなるのは体内の魔力の流れが乱されるからで····· ふんっ!·····ってやるとどう?」
「あれ····· 治った·····」
「流れがゴッチャゴチャになってたから莫大な魔力のパルス波で流れを一方向に整えておいたよ、たぶん暫く魔法が使いにくいけどすぐ治ると思うよ」
今のは魔力酔いという現象で、強力な魔物とかに出会ったり魔力が多い場所に行くと体内の魔力の流れが乱されて体調を崩してしまうという作用がある。
普通の人間で言うと、自律神経が乱れたり三半規管が揺れたりしてしまった状態みたいなモノだろう。
これ結構キツいのよね·····
でも対処法はあって、この魔力の流れは磁石と鉄みたいな関係なので強力な磁石で一定方向に強力な魔力を当てる事で流れを整え、気持ち悪さなどを防ぐことができるのだ。
「·····ね?簡単でしょ?」
「こ、この人ヤバい·····」
「なんでそんな簡単に出来んだろ」
「僕ぁ無理だ、そこまでの魔力量がない故にな」
「まぁだって私Sランク冒険者の『賢者姫』ですし?」
「「「そういえばそうだった!」」」
忘れてたんかい。
「まぁそれはともかく、そっちは後で教えるからまずは道の真ん中で突っ立ってないで行くよ」
「「「はぁい」」」
魔法とかに関しては後でた~っぷり教えてあげる予定なので、今はまずフシ町の案内をすることにして私は3人を引き連れて歩き始めたのだった。
◇
「で、まずここがゴルド商店ね、とりあえず何か足りなくなったらここに来ればあるよ」
「ほへー·····」
「なんか面白そう!」
「雑貨屋ですか?」
「へいらっしゃい!·····ありゃソフィさんか、毎度ありがとうな、今日は····· なるほど、聖女様たちか『ルーメン、光があらんこと』、神様にもウチの品揃えの良さと安さを広めてくれよな!」
「あっゴルドさん、今日はこの3人に町の紹介ついでに買い物に来たんですよ、なんか冬用の安い服ってありません?」
「冬用の安い服か?·····品揃えの良さを自慢しといてアレなんだが、·····すまん、ウチは季節の服はあまり扱ってないんだ、春用と夏用ならあるぞ?」
「ですよねー、とりあえず後で古着屋行ってみます」
「置いてないんだ·····」
「少しは置いてあるぞ?だけどあんまり取り扱ってないんだ」
ゴルドさんのお店はちょっと特殊な商売方法をやってるから、こんな感じで季節の服は置いてない事が多いのよね。
なんでも、時期外れで安くなってしまったり処分されそうな物を安く仕入れて売るっていう商売で儲けてるらしい。
ついでに流通業をやってるゴルド商店だったらイ〇ン級に周辺の店を尽く潰す勢いで商売ができるだろうけど、社長の方針が地域との共存だから上手いこと制限しながらやってるそうだ。
「まぁ季節の物は少ないけど普通の物は安く売ってるし基本的に何でもあるから足りない物があったら買ってきていいよ」
「わかったちょっと買い物してくる」
「僕もメモ帳とか筆記用具を買ってくる、学びが多すぎてこの調子ではメモ帳が足りなさそうだ」
「行ってらっしゃーい」
「·····フィグちゃんは行かないの?」
「·····お金」
「はぁ····· 生活必需品だったらお金は出してあげるから行ってきなよ」
「わぁい!」
って事で、結局私がフィグちゃんの買い物の代金を肩代わりしてあげる事になってしまったのだった。
◇
「毎度あり!ソフィさんアルムに宜しく言っといてくれよな!」
「もちろんですよ、商売もいい感じみたいなのでアルムちゃんに追い越されないようゴルドさんも頑張って下さいね?」
「当たり前だ、まだ娘に負ける訳には····· いやこれからも負ける訳には行かねぇからな!」
「んふふっ、ではまた今度きますー」
私たちは紆余曲折あったけど無事に買い物を終え、お店の外に出てきた。
「ソフィさまって店主さんとお知り合いなんですか?」
「あー私の親友がこのお店の子でね、なんだかんだ仲良くさせてもらってるのよ」
「友好関係ひろいなぁ」
「さすが町長の娘さんだ·····」
「ちなみに次に行こうと思ってるアルス錬金術店の息子さんが私の夫だよ」
「「「ええええっ!?」」」
「ただ今日フィーロ君のシフトだったかな····· まぁいいや、事前にアルスさんに聖属性関係の素材を多めに仕入れて欲しいって頼んでたから、今は必要なくてもそのうち必要になるだろうから顔見せに行くよ」
「じゅ、じゅんびが良すぎる·····」
「まるで予知能力みたいだな、羨まし」
「用意周到というか、僕の見立てでは先見の明がありすぎるというか、コネが広すぎる·····」
「んふふ、私は神様にもコネがあるからね、何でも知ってるし神羅万象に関わりがあるからなんでも出来ちゃうのよ?」
「うっそだー!」
「有り得なくね、バーバラ様でさえ数度の神託でしか交流した事無いって言ってたのな」
「冷静に考えて、子供だましの嘘だと思うぞ、·····ん?おい今僕の事を子供みたいなチビって言ったか?」
いやまぁ、コネがあるってか私がその神そのものなんだけどさ。
「んふふ、嘘だよ?でも事実も混ざってるから考えるといいよ、女性にはミステリアスさも必要だからね」
「「「???」」」
私はイマイチ理解してなさそうな3人を連れて、フィーロ君の実家のお店に向かったのだった。
◇
ゴルド商店からさほど離れていないアルス錬金術店に私たちは数分でやって来て、早速お店の中に入った。
「いらっしゃーい、あらソフィさん?その後ろの子····· 来たのね?」
「ありゃ?ユイナさんが店番って珍しいですね、どうしたんです?」
「将来のお得意さんが来ると聞いたからには顔を合わせるべきと思ったのよ、未来の聖者様たちこんにちは、『ルーメン、光があらんことを』、私がアルス錬金術店の店主アルスの妻、ユイナと申します、今後ともよろしくお願いいたしますわ」
「「「よ、よろしくお願いいたします!」」」
「ちなみにユイナさんには11人の子供が居たりするよ」
「えっすご·····」
「うふふー、ソフィちゃんもフィーロの子、沢山産むのよ〜?」
「が、頑張ります·····」
2人目はまだもうちょい先かなぁ·····
今も結構悩んでるけど、その時次第って感じで今はまだ選択肢に無いかな·····
でもフェニカに妹か弟は作ってあげたいから、いつかは2人目、3人目って増えていくかも·····
「っと危ない危ない、ユイナさん、この3人に説明お願いできます?私、あいにく錬金術はそんなに得意じゃなくて·····」
「あらあら仕方ないわね、ほら3人とも、入り口でかしこまってないで入ってきて良いわよ」
「「「はいっ!」」」
ぶっちゃけ言って私は錬金術がいまいちよく分かってないから、説明は専門家のユイナさんに全部任せてしまったのだった。
◇
「じゅあ3人とも、何か足りないものがあったら言ってね〜?すぐに仕入れてあげるから〜 ·····そこのソフィちゃんが」
「うへぇ····· あんまり難しすぎる素材はやめてくださいよ?高くするんで」
「よろしくお願いいたします!」
「こ、これ貰っちゃって良かったのかな·····」
「結構良い魔法薬の触媒だ·····」
結局錬金術店では特に何か買い物はせず、それどころからユイナさんからタダで色々貰って3人は嬉しそうな顔をしていた。
·····タダより怖いものは無いんだけどなぁ。
まぁ、知らぬが仏だし神は聞かれなきゃ答えないから、うん、頑張れ。
「はぁ、楽しかった!えーっと、次はどこに行くんですか?料理屋さんとか!?それとも宝石屋さん!?それともお菓子屋さん!!?」
「·····目的忘れてない?」
「忘れてないですよー!えーっと····· ····· えへへ·····」
「ボケてないで古着屋行くよ」
「あっそれです!いいいいや覚えてましたよ?」
「アホフィグ、アンタの財布の中のお金、今何円か覚えてんの?」
「覚えてるよ!さっき2980円使ったから20円····· あれ、20円しかない·····」
·····本格的にこの子ダメかもしれん。
その後、色々考えた結果彼女が山ほど持ち込んだ料理道具を私が買い取る形で5万円を彼女に渡す事でお金の問題は解決した。
そしてその5万円は速攻で古着屋で買った服によって3分の1近く消費されてしまったのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「いやー参ったなこれ、料理し過ぎるだけじゃなくて浪費癖もあったとはね····· 一応教会から給料も出るらしいけど絶対足りなくなるよなぁ····· 後で私がなんか救済処置考えないとダメだなこりゃ」
名前:フィグ
ひと言コメント
「えっ!?こ、こんなオシャレな服あるの!?すごいすごい!あれもこれも欲しっ····· た、高い·····」
名前:マルス
ひと言コメント
「ちなみに私、道中王都の賭場で結構稼いできたから纏まった金は持ってるんだけどさ、·····あげないからね?私が稼いだ金だから、えっ何ソフィ様そんな怖い顔して、いや違、トラブルは起こしてないからさ、どうせフィグが使い込んで泣きつくって思ってたから、多めに持っておきたかっただけだし····· え、許してくれんの?」
名前:シトラ
ひと言コメント
「凄くいい街だ····· 特に教会に本が沢山あるのが高得点だ、ついでに漫画も買い占めたぞ、むふふ、後で一気に·························ふむ、1冊ずつ丁寧に読むとしよう、この『ティンクル☆キュルピカ』にはそれだけの価値はありそうだ」




