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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第六章 TS賢者は母になるっ!
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女神様 聖女様 賢者様····· 結局のところ全部ソフィちゃんでは?


 女神様

 それは人類を見守り、導く存在だ。


 聖女様

 それは慈愛に満ち、人々を癒す存在だ。


 賢者様

 それは聡明で、人類に叡智を授ける存在だ。




 ·····だが、それが3つ揃ったところで別に導くかどうかはその人次第だし、慈愛に満ちてる訳でもないし、そもそも聡明とはいいがたい場合もある。



 例えばそう、戦闘聖女服を貰った数日後に形式上だけでも聖女の仕事をしろと親や教会の人などに言われて渋々やってきて、懺悔室でテーブルに肘をついて足を組んでスリットから生足を覗かせてるやる気無さそうな神聖女賢者サマなんかは例外だろう。




『あぁ聖女様、私はどうすればいいのでしょう····· 痩せようと思っても、我慢していたお菓子をつい食べてしまい痩せることができません····· いったいどうすれば·····』



 いや食べないで運動しなよ、ほら懺悔してる暇あったらランニングして来い、時は金なり脂肪は動かなきゃ燃えないなり、だから走れ。


 ·····なんて聖女様のご身分だと言えないよねぇ。


 はぁ····· 聖女様って辛いわぁ·····



「食べたらいいのですよ、好きに食べなさい」


「·····はい?」


「我慢している物を求めてしまうのは人の性で避けることはできません、ならば食べたらいいのです、ですが運動は忘れてはいけません、その運動のご褒美として、一日に少々のお菓子ならば食べても良いでしょう、また食生活を見直してみてはいかがでしょうか、肥満の原因はお菓子だけでなく食事や生活習慣も大きく関わっています、目先の事だけでなく、全体を一度見直してみることが良いと思います」


「·····そうですか·····っ!わかりました!」


「頑張りなさい、ルミナリア様は貴方を見守っております」



 ガチャッ



「·····ぷふぅぅぅううっ、あーキッツいわぁ」


「お疲れ様です、聖女ソフィ様」


「あぁどうも····· いまの夕日町3丁目のリィザさんですよね?あの人前からちょいちょい運動してるの見てたけど難航してるのかぁ·····」


「·····ソフィ様、今のは懺悔ではなくただの相談になっていますよ?リィザさんの懺悔が少し、その、相談事に近い内容でしたが、ソフィ様の対応m」


「私ってほら、おせっかいな性格ですし····· 満足したみたいなんでいいじゃないですか、ね?」


「·····わかりました、ですが程々にするよう気を付けて」



 懺悔というかただの相談が終わると、私は椅子の背もたれにだらしなく寄り掛かり、ロングとはいえスリットの入ったスカートのまま足をおっぴろげて休憩に入った。

 ·····んだけど、教会のシスターさんを纏めるベテランのリーダーに怒られてしまった。


 いやだって仕方ないじゃん?


 痩せたいって言って『精霊様が見守ってるからガンバレ』なんて答え帰ってきたら腹立つし痩せる方法も分らんから意味ないじゃん?


 悩みを持つ者の憂いを断つのも懺悔とかシスターの仕事でしょ、たぶん。

 ·····知らんけど。



「そういえば聞きたいんですけど、懺悔ってどういうのが普通っていうか、アレがアレなんですか?」


聖女(シスター)ならもう少し口調を正してほしいのですが····· まぁ人前では正しているようですし修行も積んでいない一応一般の方ですので今は不問とします、·····そうですね、例えば盗みを働いてしまったなどの罪の告白はそこまで多くありません、主に後悔や日頃後ろめたく思っている事が正しいか正しくないかを聞きに来る者が多いですね」


「·····そういう感じかぁ」



 懺悔室って言うと、もっと、こう、バァァァアアンッ!って効果音を付けたくなるような摩訶不思議な事が起るイメージがあったから意外と普通で驚いた。

 ·····まぁそりゃそっか、自分で解決できない悩みを神様や精霊様に聞いて解決してもらおうとするのはよくわかるし、そう言った存在の代弁をするのも聖女様とかの役目だもんね。



「でもでも、答える時のそこら辺の調整難しくないですか?間違ったらただの相談になっちゃいますし、かといって精霊様が~って言ったら答えになってないですし·····」


「そうですね····· ただ信者の方の中には、自身の答えが合っているか合っていないかだけを聞きたい方や、答えは出ているが実行するのが不安で後押ししてほしい、もしくは否定してほしいだけの方もいます、そこを見分けて答えるのが役目ですね」


「なるほどぉ·····」



 ·····難しいなぁ。



\ガチャッ/



『·····失礼するのじゃ』


「帰れ」


『酷いのじゃ!せっかくお主の活躍を見に来たって言うのにいきなり帰れはないじゃろ!?』


「魔王に精霊様は加護を与えません、テメェは帰れぁぃいいったたたたたたたったたっだぁっ!!??」

「おほん、失礼しました、少々お待ちください」


『·····先行きが不安じゃのぅ』





「·····で?なんで来やがっ·····来られたのでしょうか?」



 私は頭にタンコブを複数くっつけて、真面目に背筋を正して背後から私の背筋が凍るようなシスターさんの冷たい視線を浴びせられながら椅子に座って、信者····· 信者かコイツ?


 いやテメェ信者じゃないだろお前無神論者だろ!ってツッコミたくなるのを我慢して、信者(仮)の懺悔を聞いていた。



『ぶっちゃけ目的はもう果たせたのじゃ』


「·····はい?」


『お主の無様な様子を見に来ただけじゃからのぅ、最高だったのじゃ』


「·····ちょいちょい、シスターさん」

「ソフィさん、サークレット教の懺悔室には不埒者を罰する装置がついております、そこの出っ張っている板を踏んでください」


「了解です」



\カチッ/


 私は机の影に隠れていた板というかスイッチを迷うことなく踏んづけた。



\バギャッ!!/



『ぐえっ!?痛いのじゃーっ!!?なんじゃこれ!?·····ソフィてめぇ!何するのじゃ!!!』


「·····」


 カチッ カチッ カチッ カチッ カチッ カチッ



 バギャッ!ドゴッ!ゴスッ!ベギャッ!ドスッ!バギョッ!



『酷いのじゃあ·····』


\バタッ/



「·····では光の精霊の加護を、ルーメン」

「ちなみに後始末は懺悔を聞いたシスターの役割ですので」


「はぁい」



 そんで私は、壁に仕込まれたギャグ補正無効化のたとえ魔王でも7発喰らえば確実にぶっ倒れる制裁棒によって気絶した私をからかいに来た今は懺悔室の床でくたばってる魔王のツノを掴むとズリズリと引きずって教会の庭に投げ出したのだった。


 ·····ちなみにあの制裁棒、本当は犯罪を懺悔しに来て自主を促しても自首する気がないような人や、シスター目当ての変態とかを気絶させるための物らしくて、割とガチで痛いし魔導効果で気絶しやすくなってるんだとか。

 ギャグ補正が効かないのは私のせいだけどね、だってキノコ神拳つかったもん。


 あと本来なら教会の外に投げ出すんじゃなくて警備隊に差し出したり一旦教会の部屋に移動させたりするらしい。

 今回は私が怒って外に投げ出したけど、普通はやらないらしい。





 その後も私はまだ当番の交代の時間が来ないのでダラダラしてると、また誰かが入ってきた。



『·····ソフィ、今回はマジのヤツじゃ』


「あ? ·····くだらない事だったら制裁棒ですよ」



 ·····またエビだった。



『制裁棒はやめろなのじゃ!ちゃんとやるのじゃ!ていうか話しにくい真面目な相談なのじゃ!!』


「相談室じゃなくて懺悔室なんだけどなぁ····· おほん、ならいいです、ではどうぞ」


『雑じゃのぅ····· おほん、ワシは一児の母で娘が居るのじゃが、なんというか、その、物凄く可愛いのじゃが、見ていると無性に食べたくなってしまうのじゃ····· いや食べたいというか、噛みつきたいというか、傷つけたいというか、ワシにもよくわからないのじゃ····· ワシは種族的に人間を食べる種じゃ、じゃが自分の娘を食べたいと思うのは明らかに異常だとわかっておる、ワシの娘には半分人間の血が流れておる、これが原因なのか、何なのかわからないのじゃ····· 実際に甘噛みしてしまったこともあって、不安なのじゃ、いつか本当に食べてしまわないかとか、娘じゃと言うのに傷付けたいじゃなんて·····』



 でも今回は割とマジそうだった。


 どうやらエビちゃんはフロウを可愛がっていると食べたくなったり噛みついたりしたくなってしまうらしくて、元々食人を行う種だったこともあって、自分の娘を傷付けて、更に食べたいなんて思ってしまって不安だったようだ。


 ·····家でも相談で来たのになんで懺悔室で聞いたか知らんけど、確かに懺悔室で告白するにはピッタリな内容だ。


 ついでにさっきシスターさんから教えてもらった来る人のパターンともピッタリ一致してるわぁ。

 悩んでても答えを知らなくて、答えが出ないから答えが欲しいってパターンだねコレ。



 とりあえずシスターさんに怒られないようにテンプレ的な回答もしとくかな。



「光の精霊様に代わり、私がお答えいたします」


『うむ·····』


「それは光の精霊様が与えた試練です、汝はその欲求を抑え、我が子に真摯に向き合い加虐心を上回る愛情を注ぎ続けなさい、さすれば汝の子は愛情に満ちた子に育ち、汝は母として成長することができるでしょう」


『·····そうか、頑張るのじゃ』



「·····では次にその正体について、そしてアドバイスを致しましょう」


『うむ?』


「それの正体は、キュートアグレッションと呼ばれる攻撃的衝動ですね、可愛すぎる物を見た際に噛みついたり強く握ってしまいたくなる身体の反応、つまり本能ですので貴女が異常なわけではありません」



 そう、エビちゃんの悩みの原因を私は知っていた。


 それはキュートアグレッションという、可愛い物や愛おしい物を見ると攻撃したり傷つけてしまいたくなる人間のバグのような反応だ。


 この反応は実際に確認された感情心理学的にも認められる反応で、可愛いと思うと同時に真逆である傷付けてしまいたくなる感情が産まれるという物となっている。

 その原因はイマイチよくわかっていないっぽいけど、どうやら『カワイイ物を見た時の脳内ではドーパミンが分泌されるが、ドーパミンは人が攻撃的になった時にも分泌される物のため、脳が勘違いして攻撃したくなる』という理由らしい。



「つまり、キュートアグレッションは対象が愛おしいい存在なほど強く起きやすいんです、それは貴女は実際に噛んでしまうほど我が子の事を愛おしいく思っていて、溢れんばかりの愛情を注いでいる証拠です」


『·····なるほどのぅ、なんか、懺悔室で言われると妙な説得力があるのじゃ』


「それなら良かったです、では今後は我が子を傷付けないよう気を付けて、今まで以上に愛情を注ぎなさい、もし加虐欲が発生した場合は何か他の物にぶつけて発散するのが良いでしょう」


『ふむ····· 安心したのじゃ、ありがとうなソフィ、頑張るのじゃぞ』


「いえいえ、では貴女と娘さんに光の精霊様の加護があらんことを·····」



 ガチャッ



 そして私に相談して原因が解明してスッキリしたエビちゃんは懺悔室から出て行って、フロウの元に帰って行ったようだ。



「ふぅ·····」


「·····今のは100点をあげても良いでしょう」


「よっしゃ!」



 そんで私の見事な懺悔の聞く側の対応に、シスターさんも100点をくれて思わずガッツポーズをしてしまったのだった。



名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「私だって真面目にやるときゃやるし、そもそも態度は悪くてもちゃんと答えてたからね?·····ちなみになんでキュートアグレッションの事知ってたかって言うと、私もエビちゃんと同じ理由で悩んだからなんだよね、もうフェニカがマジで可愛すぎて食べたくて暴れたくなってヤバくて調べて見つけたのよ、いやぁマジで赤ちゃんってヤバイよ、可愛すぎて本当にヤバい·····」


名前:エビちゃん

ひと言コメント

「これ正常だったのじゃな····· つまりソフィ見たら腹が減るのも普通なんじゃな」

\えっ!?私エビちゃんに愛おしい存在って思われてたってコト·····!?/

「·····キモ」

\んだとテメェ!!?/


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